SCP-2052-JP
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収容以前のSCP-2052-JP

アイテム番号: SCP-2052-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2052-JPはサイト-8133の標準型危険物保管倉庫に収容されています。実験及び探査は、セキュリティクリアランスレベル2以上の職員の監督下で行ってください。

説明: SCP-2052-JPは一般的な有料式コインロッカーです。SCP-2052-JPは通常のコインロッカーと同様の使用が可能ですが、0013番の扉のみ不明な要因によって閉鎖されています。0013番ロッカーを通常の手段で開放する試みは成功しておらず強制的な開放の試みはオブジェクトの破壊を招くと考えられています。

SCP-2052-JPの0013番ロッカーは満21歳以上の人物(以下、対象)が接触した場合、自発的に開放します。0013番ロッカーの内部にはトンネル状の空間が広がっています。内部空間の広さは高さおよそ40cm、幅およそ50cmであり、奥行は不明です。壁面は粘土状の物質によって構成されており常に微量の液体が染み出しています。内部を視認した対象は空間の奥に"幼児が存在する"と強く認識し、内部に積極的に進入しようと試みます。なお、対象の行動は第三者の介入や身体拘束によって容易に阻止することが可能です。対象が内部空間に進入すると扉は自動的に閉鎖されます。進入後の扉は内部の対象が死亡するまで開放されません。なお、現在まで進入した対象の回収は成功していません。

SCP-2052-JPは2005年8月14日に青森県八戸市の八戸駅にて回収されました。当初、民間人より地元警察に「ロッカーの中に人が入って出てこない」という旨の通報が複数寄せられており、八戸駅前交番に勤務する警官らが対応しました。対応中、SCP-2052-JPの0013番ロッカーに接触した巡査2名が内部に進入する事案が発生し異常性が発覚、青森県八戸警察署に潜伏していたエージェントによる報告を経て財団に捕捉されました。

以下は2005年8月14日にSCP-2052-JP関連事案の対応に当たった八戸駅前交番の佐川秀行巡査と青森県八戸警察署(八戸本部)の間で交わされた無線通信の記録です。

傍受通信記録.2052-JP 2005/8/14

[前半省略]

佐川秀行巡査: 駅前から八戸本部。通報にあったロッカーを調査していた相勤1が中に入った。先程まで無線にて会話していたものの現在は応答無し。指示求む。どうぞ。

八戸本部: 八戸本部より駅前。現状の詳細を求む。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前から八戸本部。えー。通報にあったロッカーの調査中にロッカーに接触した相勤、えー、小湊巡査がロッカー内部にトンネルのような空洞があることを確認。その後、進入。しばらく応答あったものの、現在は無線での呼びかけに応答なし。また、進入後にロッカーが閉じ、本官では開けることが出来ない。どうぞ。

八戸本部: 八戸本部より駅前。トンネル様の空洞の存在は確かか。より詳細な説明を求める。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前から八戸本部。えー、空洞は開放時に視認にて確認済み、何者かがロッカー内から壁に向けてトンネル様の穴を掘っていたものと見られる。小湊巡査が内部に入ったものの現在応答がない、指示を求む。どうぞ。

八戸本部: 八戸本部了解。通報者への聴取はどうか。どうぞ。

佐川秀行巡査: 通報の女性、駅員等に聴取したところ、えー、当該ロッカー内には通報から4人が進入した模様。それ以前は少なくとも2人が進入したとの証言もあり、小湊巡査含め、最低でも7人はロッカー内部に進入しているものと思われる。詳細については不明、えー、不明であるものの証言は一致している。どうぞ。

八戸本部: 八戸本部了解。付近のPM2など駅に向かわせる。付近PMの現場転進までは引き続き当事案の対処、調査願いたい。よろしいか。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前了解。

[2分17秒間通信なし]

佐川秀行巡査: 駅前から八戸本部。ロッカーに接触したところロッカーが開いた。指示願う。

八戸本部: 八戸本部了解。えー、ロッカー内の様子について報告願う。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前了解。あー。内部に小湊巡査、その他の人影なし。えー、壁はやや湿っていて生臭い様に感じる。どうぞ。

八戸本部: 八戸本部より駅前。現在、中央交番よりPM転進中につき待機願いたい。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前より八戸本部。内部に子供、あー、又は幼児がいる気配あり。

八戸本部: 駅前。中央交番より八戸駅にPM転進中、現場を維持したまま到着まで待機願いたい。どうぞ。

佐川秀行巡査: 内部にて幼児の気配あり。繰り返す。内部にて幼児の気配あり。

八戸本部: 駅前。増援到着まで待機されたし。了解願う。どうぞ。

佐川秀行巡査: えー、内部の幼児が危険な状態であることが推測される。調査する。

八戸本部: 八戸本部より駅前。状況不明につき待機されたし。繰り返す、待機されたし。どうぞ。

[応答無し]

八戸本部: 八戸本部より駅前。応答願う。どうぞ。

佐川秀行巡査: こちら駅前。ロッカー内に進入。調査を行う。

八戸本部: 八戸本部より駅前。ロッカー内部に入ったということか。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前。その通り。どうぞ。

八戸本部: 駅前、状況不明につき至急戻り、増援との合流まで待機されたし。どうぞ。

[不明なノイズ]

[49秒間沈黙]

佐川秀行巡査: 駅前から八戸本部。ロッカー扉が閉められた模様。…えー、出られない。指示願う。どうぞ。

八戸本部: あー。本部より駅前。現在地点より進行せずその場で待機願いたい。PM到着後救助する。どうぞ。

佐川秀行巡査: 駅前了解。その場で待機する。

[25秒間沈黙]

佐川秀行巡査: 駅前から八戸本部。奥より子供の泣き声を確認した。どうぞ。

八戸本部: 八戸本部了解。増援到着後に調査願う。どうぞ。

[子供の泣き声と思われる音声]

佐川秀行巡査: 音声が近い。確保出来る可能性が高い。えー、奥へと進む。どうぞ。

八戸本部: 駅前。待機せよ。繰り返す、現在地点にて待機せよ。

[不明なノイズ]

佐川秀行巡査: (不明瞭)

[不明なノイズ]

[子供の泣き声と思われる音声]

[不明なノイズ]

佐川秀行巡査: 駅前より八戸本部。音声がかなり近い。

八戸本部: 間もなく増援現着、現在地点で待機せよ。繰り返す。待機せよ。

[不明なノイズ]

[叫び声と思われる音声]

佐川秀行巡査: [荒い呼吸音]

八戸本部: 八戸本部より駅前。何かあったか。どうぞ。

[34秒間の沈黙]

佐川秀行巡査: ふざけんな!なんなんだよ。

八戸本部: 八戸本部より駅前。報告願う。どうぞ。

佐川秀行巡査: 来んな!やめろ!やめろよ。おい!ふざけんなって!おい!おいおい。

[子供の泣き声と思われる音声]

佐川秀行巡査: おいおいおいおいおいおい!出せ!出せって!ふざけんな!おい!出せ!来る、来るって!あぁ!来んな!来るなよ!

[不明なノイズ]

八戸本部: 八戸本部から駅前。報告願う。

八戸本部: 駅前?報告願う。繰り返す。報告願う。

[以降、佐川秀行巡査からの通信は無し]

[後半省略]

目撃者による証言、及び監視カメラの映像等からSCP-2052-JPの異常性は2005年8月13日深夜から8月14日未明の間に発現したものであると考えられています。監視カメラの映像を調査した結果、0013番ロッカーが最後に使用されたのは8月11日23時17分でした。0013番ロッカーの使用者は女性であり、女性は紙袋に入れられた何らかの物体をロッカー内部に入れていたことが確認されています。現在までその物体の所在については判明していません。

補遺1: SCP-2052-JP内部の詳細な調査を目的として、Dクラス職員を用いた探査が実施されました。以下は過去に行われた探査の記録です。

探査記録.2052-JP 2005/8/21

探査人員: D-13422

装備: LED照明、標準標本採取キット

探査目的: SCP-2052-JP内部空間のサンプル採取


結果: サンプルの採取はD-13422の身体を内部に進入不能な形で固定して行われました。当初D-13422は内部に進入しようと試みましたが、職員の制止によって抑え込むことに成功しました。D-13422は問題なく壁面の粘土状物質及び壁面から染み出す液体を回収しました。解析の結果、粘土状物質はヒトの垢と脂肪の混合物であり、液体はヒトの羊水に類似した組成を有するものであることが判明しました。

なおD-13422がサンプル採取を終えSCP-2052-JPから4m程度離れた時、0013番ロッカーは自発的に閉鎖しました。

探査記録.2052-JP 2005/8/22

探査人員: D-13422

装備: 高精度GPS発信機、トランシーバー、LED照明、ボディカメラ

探査目的: SCP-2052-JP内部空間の調査


映像記録:

<映像開始>

[00:00:02] D-13422が0013番ロッカー内部で照明を点灯する。

[00:00:11] D-13422の装備の動作確認完了。

[00:00:37] D-13422から「奥に幼児が存在している」という認識が報告される。研究チームによって何故そう認識したのかについて問われたものの、D-13422は回答することが出来なかった。

[00:01:14] D-13422が幼児の泣き声が聞こえると報告。映像中においても空間内に反響しているものと思われる幼児のような泣き声が記録された。また、D-13422は奥へと積極的に前進する意欲を示した。

[00:01:52] 不明なノイズを記録。

[00:02:07] 不明なノイズを記録。

[00:02:22] 研究チームがD-13422のGPS信号がロッカー内部の座標から移動していない事を確認。D-13422にGPS発信機を確認させたが機械的な故障は見られなかった。

[00:05:37] 前進したD-13422が泣き声の音源に近づいていることを報告。

[00:07:33] 映像が一時的に暗転。この機器の異常は21秒後に復帰した。原因不明。

[00:07:37] D-13422が前方から泣き声とは別の何らかの音が聞こえる旨を報告。

[00:07:40] 不明なノイズを記録。

[00:07:42] D-13422が前方からの音を「何かが這うような音」と報告。

[00:08:12] 研究チームより音源を調査する旨が指示されるもD-13422が前進を拒否。

[00:08:43] 前方で何らかの影が動く様子が確認される。

[00:08:59] 前方から幼児ような呻き声が発せられる。

[00:09:01] 突如として大音量の幼児の泣き声と思われる音声が記録される。これと同時にカメラ映像の解像度が急激に低下する現象が確認された。

[00:09:07] カメラが大きく揺れ、前方から幼児の頭部のように観察される何らかの存在が急速にD-13422に近づいてくる様子が映像に映る。

decoy

[00:09:07]

[00:09:11] D-13422が判別不能な叫び声を上げながら暴れる。パニック発作と考えられる。

[00:09:15] D-13422からカメラが脱落する。映像にはD-13422が這いながら逃走しようとする様子が記録された。

[00:09:31] カメラの目の前を赤黒い何らかの存在が通り過ぎ、同時にカメラ映像が暗転した。カメラ映像の暗転は7秒後に復帰した。

[00:10:07] D-13422のものと思われる叫び声が記録される。叫び声はその後8分間に渡って継続して記録された。

[00:18:27] D-13422のものと思われる叫び声が途絶える。

[00:18:29] 幼児のような泣き声が響く。

[00:18:31] カメラ映像が暗転。直後、カメラ映像との接続が断絶。同時にGPS信号も断絶した。

<映像終了>


結果: この探査では内部空間に不明な存在を確認しました。内部に幼児の存在を強く認識する現象や、幼児のものと思われる泣き声はこの存在に関連している可能性があります。研究の必要性からこの存在は暫定的にSCP-2052-JP-1に指定されました。また、この探査においてGPS信号がロッカー内部の座標から動くことなく発信され続けたことが確認されました。内部空間は別の空間に接続されているのではなく、本来のロッカー内部の空間が拡張されることによって成立していると考えられます。

SCP-2052-JP-1を含めSCP-2052-JPには未知の領域が多く、更なる研究が求められます。

補遺2: SCP-2052-JPの0013番ロッカーを最後に使用した女性の身元を現地エージェントらが調査した結果、女性の身元は青森県八戸市内に在住する廣森美嘉氏(当時22歳)であることが判明しました。同氏はSCP-2052-JPの異常性発現に何らかの形で関与していた可能性があり、財団はエージェントを通じて身柄を確保しました。なお確保時、廣森美嘉氏の自宅には同棲相手である高橋浩介氏(当時34歳)も居住しており、聴取のために同氏の身柄も確保しました。以下は両者に対して行われた聴取の記録です。

聴取記録.2052-JP(1) 2005/8/25

対象: 廣森美嘉氏

インタビュアー: エージェント・野村

付記: 聴取は警察官を装ったエージェントらによって行われました。


<記録開始>

インタビュアー: それでは始めます。8月11日の23時頃、あなたは八戸駅のコインロッカーを利用していましたね?それについてお聞きしたいです。

[廣森氏は俯いたまま沈黙している]

インタビュアー: 何かロッカーの中に変わったものがあったとか、そういう事でも構いません。どんな些細なことでも構いませんよ。

廣森氏: …見つけたんですか。

インタビュアー: …何をですか?

[廣森氏は沈黙する]

インタビュアー: お話頂けますか。

廣森氏: 捨てました。子供。私の、赤ちゃん。…ロッカーの中に。

インタビュアー: 子供ですか?

[廣森氏が泣き出したことにより聴取の継続が困難と判断される]

[聴取は一時中断され、15分後に再開された]

インタビュアー: それでは再開します。大丈夫ですか?

廣森氏: …はい。

インタビュアー: それでは先程の確認ですが、あなたは自分の子供をロッカー内に遺棄した、ということでしょうか。

廣森氏: …そうです。

インタビュアー: 詳しくお聞きしますが、それは何故ですか?

廣森氏: …彼氏が、邪魔だって言ってて。だから。

インタビュアー: 彼氏というのは同棲している高橋浩介さんですね。

廣森氏: …はい。

インタビュアー: 浩介さんに邪魔だと言われたから…生きたまま置き去りにしたんですか?駅のコインロッカーに?

廣森氏: [無言で頷く]

インタビュアー: …お子さんは、いつ産まれたのですか。

廣森氏: …去年の4月頃だから…1年ちょっと…くらい前。

インタビュアー: こちらの集めた資料を見る限りでは、あなたの子供の出生届は提出されていません。

[廣森氏は沈黙している]

廣森氏: …ごめんなさい。

インタビュアー: …ロッカー内に遺棄した際の状況についてお聞きしますね。

廣森氏: [無言で頷く]

インタビュアー: あなたがロッカーを開けた時、中に何か異常はありましたか?

廣森氏: なかったと思います。

インタビュアー: では他に何か、遺棄する前後で何か変わったことはありませんでしたか。例えば、お子さんの様子とか。

廣森氏: …え、その、えと。

[28秒間の沈黙]

廣森氏: …ただの、勘違いとかだと、思うんですけど。

インタビュアー: 何かあったんですか?

廣森氏: ロッカーに入れるまで、静かだったんです。あの子、自分が捨てられるなんて知らないから、ぐっすり寝てて。それで…ロッカーに入れて、私、「また来るね」って言ったんです。来るつもりなんてなかったのに。そして、ロッカーを閉めたら…。

[37秒間の沈黙]

廣森氏: …笑い声が聞こえたんです。あの子の、けたけたっていう。私が聞いたことがないくらい元気で、…すごく気持ち悪い、怖い声で。それで…。

[廣森氏が再び泣き出す]

インタビュアー: 大丈夫ですか?もう一度休憩を挟みましょうか。

廣森氏: ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんね。ごめん。ごめんなさい。ほんとにごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんね。ごめんね。

[この後も聴取は続行されたが、廣森氏から有力な情報を得ることはできなかった]

<記録終了>

聴取記録.2052-JP(2) 2005/8/25

対象: 高橋浩介氏

インタビュアー: エージェント・野村

付記: 聴取は警察官を装ったエージェントらによって行われました。なお、この聴取は廣森氏に対して行われた聴取の後に行われています。


<記録開始>

インタビュアー: それでは高橋さん。廣森さんのことについてお聞きします。

高橋氏: はぁ?

インタビュアー: 8月11日、廣森さんに何か変わったことはありませんでしたか?

高橋氏: 知らないですよ。そんなの。

インタビュアー: では質問を変えます。8月11日の23時頃、廣森さんがどこで何をしてたかご存知ですか?

高橋氏: さあ。

インタビュアー: …廣森さんは8月11日の23時頃、お子さんを八戸駅のコインロッカーに遺棄しています。

高橋氏: へぇー。そうなんすか。

インタビュアー: お子さんがいなくなれば普通はその時点で異常だと気が付くはずです。

高橋氏: 知らないっす。

インタビュアー: そもそも、あなたと廣森さんのお子さんは出生届も提出されていません。これについても説明していただけますか?

高橋氏: 知らねぇっす。

インタビュアー: あなたは一年以上、子供と一緒に生活していたはずです。知らないはずは無いですよね。

高橋氏: だから、知らねぇって言ってんだろ。

[高橋氏が机を殴打する]

高橋氏: だいたい、俺は子供なんて欲しかったわけじゃねぇし。めんどくせぇんだよ本当。子供はあいつが勝手に産んだだけだっつーの。

インタビュアー: だから邪魔にしたんですか?お子さんを?

高橋氏: はぁ?意味わかんねぇよ。なんで俺が説教されなきゃなんねぇんだよ。

インタビュアー: 廣森さんはあなたに邪魔にされたから捨てた、という旨の供述をしています。

高橋氏: ふざけんなよ。ロッカーに捨てたのあいつだろ?だったらあいつを逮捕しろよ。俺は関係ねぇって。

インタビュアー: 高橋さん。落ち着いてください。

高橋氏: …関係ねぇよ。俺は。

[47秒間の沈黙]

インタビュアー: …では、もう一度聞きます。8月11日、いえ、その前後でも構いません。廣森さんに何か変わったことはありませんでしたか?

[36秒間の沈黙]

インタビュアー: 高橋さん。答えてください。

高橋氏: …あいつ、子供捨ててきてから、ずっと「ごめん」しか言わねぇし。マジでキモいんだよ。飯食わねぇし、買ってきてやっても吐くしさ。

[27秒間の沈黙]

高橋氏: …マジめんどくせぇ。

[以降、有力な情報なし]

<記録終了>

聴取により、廣森美嘉氏が8月11日23時17分にSCP-2052-JP内に幼児を遺棄していたことが判明しました。また、同氏の携帯電話から遺棄された幼児と思われる男児の画像と動画を複数回収しました。それらを解析した結果、男児とSCP-2052-JP-1の顔がほぼ同一であること、男児の音声と0013番ロッカーの内部空間で確認された幼児の泣き声に一定以上の類似性が認められることが判明しました。これにより研究チームはSCP-2052-JP-1と男児が同一の存在であるという仮説を立て、SCP-2052-JP内部空間はSCP-2052-JP-1が何らかの手段で生み出したものである可能性が高いという結論に至りました。

この仮説に基づき廣森美嘉氏に一部情報を開示し、合意のうえで同氏をSCP-2052-JPの0013番ロッカーに接触させ、内部が示す反応を観察することを目的とした実験が試みられました。被験者が一般人であることを踏まえ、実験には探査記録.2052-JP 2005/8/21で安全性が確認された接触者を固定してロッカーを開放する方法が採用されました。なお、高橋浩介氏は一貫して非協力的な姿勢を見せたためクラスB記憶処理を施した上で解放されました。実験の経過については以下を参照してください。

実験記録.2052-JP 2005/8/26

実験目的: SCP-2052-JP内部空間及びSCP-2052-JP-1の反応の観察

実験方法: 廣森美嘉氏をSCP-2052-JPの0013番ロッカーに接触させて扉を開放させた後、内部に呼びかけて内部空間とSCP-2052-JP-1が示す反応を観察する。観察には集音マイク、小型無人探査機が用られる。なお接触者の廣森美嘉氏が内部に進入を試みることが予想されたため、安全性確保の観点からワイヤーによる身体の固定が行われた。


実験経過:

[00:00:01] 廣森美嘉氏が0013番ロッカーに接触する。扉は問題無く開放された。

[00:00:33] 廣森美嘉氏による内部への呼びかけを開始。同時に内部空間に小型無人探査機を進入させ、開放部に固定された集音マイクでの録音が開始される。

[00:00:49] 廣森美嘉氏が内部に幼児がいるという認識を報告。直後より同氏は内部へと進入しようと試みたが、ワイヤーによる身体の固定と研究チームによる説得によってその場に留まった。

[00:01:13] 集音マイクが内部から幼児の泣き声のような音声を記録。廣森美嘉氏は記録された音声に対して「自分の子の声で間違いない」との認識を示した。

[00:01:48] 無人探査機が内部空間の67m地点で動体を検知。映像にはSCP-2052-JP-1が首を傾げながら大きく口を開け、泣き声を上げている様子が記録された。研究チームは探査機の進行を停止し、映像によるSCP-2052-JP-1の反応の観察を開始した。

[00:02:06] SCP-2052-JP-1は発声を停止した。SCP-2052-JP-1は42秒間の沈黙の後、笑い声を上げ始めた。笑い声は廣森美嘉氏の呼びかけの直後に発されており、呼びかけに対しての反応だと考えられる。

[00:09:16] 突如として探査機の映像が激しく乱れる。画面上のSCP-2052-JP-1に動きは見られないものの、周囲の壁面が蠢く様子が観察された。なお、開放部からの観察では壁面に異常は観察されなかった。

[00:22:01] 探査機が不明な原因によって破壊される。終始SCP-2052-JP-1に動きは見られなかった。

[00:22:07]集音マイクが内部から高周波音を確認。同時に0013番ロッカーの開放部から極端に伸びた赤褐色のヒトの腕のような存在が計12本出現した。これらは内部の壁面から直接生えている様に観察された。この存在は握りつぶすようにして廣森美嘉氏の身体を固定するワイヤーを破断、同氏の体を掴み迅速に内部へと引きずり込んだ。

[00:22:09] ロッカーが自発的に閉鎖される。

[00:23:51] 実験担当者により実験の中止が宣告される。

[00:23:52] 実験中止。

廣森美嘉氏が腕状の存在によって内部に引きずり込まれた際、巻き込まれる形で開放部に固定されていた集音マイクも内部へと引きずり込まれました。これにより、内部の様子が音声として記録されました。その際の音声記録は以下の通りです。

音声記録.2052-JP 2005/8/26

[49秒間のノイズ]

廣森氏: [不明瞭]

廣森氏: …痛い。

[不明なノイズ]

廣森氏: …何…ここ…暗。

[幼児のものと思われる笑い声]

廣森氏: え…何?

[27秒間の沈黙]

廣森氏: …嘘。そんな、なんで。

[9秒間の沈黙]

廣森氏: …ゆうくん3

[幼児のものと思われる笑い声]

廣森氏: …あぁ、そんな…ゆうくん!!

[幼児のものと思われる笑い声と廣森氏の泣き声]

廣森氏: ごめんね…ごめん…ほんとにごめんね。

廣森氏: 寂しかったよね。苦しかったよね。

[幼児のものと思われる笑い声]

[廣森氏の泣き声]

[幼児のものと思われる呻き声]

廣森氏: ごめんね。ゆうくん。ごめん。こんなお母さんで本当にごめんなさい。許さなくて…いいから。

廣森氏: ごめんなさい。ごめん。

[49秒間の沈黙]

[幼児のものと思われる笑い声]

[17秒間の沈黙]

廣森氏: え。

廣森氏: え、ちがう。え?え?なんで?

廣森氏: ちがう。なんで?どうして?え?え?

[幼児のような呻き声]

廣森氏: あなた、ゆうじゃない。

[幼児のような笑い声]

廣森氏: …あなた。何?

[不明な音声]

記録された不明な音声

[廣森氏の叫び声]

廣森氏: 嫌!やだ!あっちいって!出して!出して!やだ。やだやだやだやだやだやだやだ!

[廣森氏の叫び声]

廣森氏: やだやだやだやだ!

[激しいノイズ]

廣森氏: ぎ。

[不明な高周波音]

[笑い声と思われる不明な音声]

[通信途絶]

現在、廣森美嘉氏は死亡したものと推測されています。この実験を計画した責任者への処分は現在協議中です。

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