SCP-2056-JP
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アイテム番号: 2056-JP
レベル5
収容クラス:
esoteric
副次クラス:
thaumiel
撹乱クラス:
amida
リスククラス:
danger

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慈眼式廟室の内部

特別収容プロトコル: SCP-2056-JPはサイト-81Q5の収容ユニット「慈眼式廟室」に収容されています。慈眼式廟室は独自に開発された真言から構成されており、そのために結界エンジニアのメンテナンスを必要とします。

SCP-2056-JPは特殊管理区画-2の患者に割り当てられており、独自の収容班と研究者が専門的に担当しています。SCP-2056-JPとの接触はクリアランスレベル5/2056-JPを持つ職員に限定されます。現在では慈眼式廟室は異常性により封鎖されており、内部を確認することができません。

この報告書はHEP手順-81Q5によって閲覧されます。サイト-81Q5独自のサーバーシステムに記録し、通常のSCiPネットからアクセスできないよう隔離してください。

説明: SCP-2056-JPは戸籍名"木ノ下世界"、財団指定難病013番"阿弥陀脳症"の末期患者です。その性質から人類全体の体内現実性の調整に関わっています。阿弥陀脳症の説明については以下のタブを参照してください。

SCP-2056-JPの病態は通常の阿弥陀脳症とは大きく逸脱した振る舞いを見せます。通常の阿弥陀脳症において低現実性空間腫瘍は脳や中枢神経系に発生しますが、SCP-2056-JPの特異な症例においてはそれは心臓に集中して発生しています。これらはSCP-2056-JPに行われてきた微視的な検査において、心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖、両大血管右室起始症が含まれるファロー四徴症類縁疾患につながっていることがことが判明しました。以上のような症状の帰結から、低酸素血症と心不全に由来するチアノーゼ、成長障害、ばち状指、易疲労、などが引き起こされています。これらの症状は現実性の高低差による偶発的現実改変により、非常に流動的な振る舞いを見せます。体内の現実性の分布によっては、1日のうちのおよそ3時間程度の間、SCP-2056-JPがレム睡眠に入った時、一時的にこれらの症状が収まったかのように見えます。

SCP-2056-JPの最高瞬間体内ヒューム値は85Hmです。クラスVI現実改変実体と同じ現実改変能を持ち、主にその現実改変能力を他者の現実改変能力の付与/減衰に使います。SCP-2056-JPにより選択された人物は、著しく高い現実性を与えられ、あるいは低現実空間腫瘍を体内に発生させることで、致命的なダメージを負いました。これらの「現実改変を現実改変する」メカニズムは、SCP-2056-JPの無意識化により引き起こされます。このメカニズムにおいて減った現実性がどこへ向かったのか、SCP-2056-JPはどこから現実性を与えているのか、については不明です。少なくともSCP-2056-JP自体の体内現実性には変化がなく、別個の現実改変系を持っていると推測されています。

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図.1 体内ヒューム値の増加

特筆すべきことにSCP-2056-JPはその現実改変能力を全人類を対象とし大規模な改変事象として行使しています。図.1の青色のグラフは実際の年ごとのヒトの体内ヒューム値の平均です。橙色のグラフはSCP-2056-JPの作用が存在しなかった場合の財団の試算した値です。2028年を境にSCP-2056-JPによる抑制が働いたことがわかります。これはいくつかの心理学的、統計学的、生物学要素から抽出されたモデルケースの1つしか過ぎないことを留意してください1。ハーディ博士の提唱した認知現実論によれば、体内現実性の推移は共通する認識と(元の意味に近い語義での)現実との乖離により増大するとされています2。2020年、最新の研究から世界規模での体内現実性増加が予期されたことで、財団はCK-クラス再構築シナリオの発生を危惧していました。しかしながら、現実には若干の体内現実性の増大があったものの、壊滅的な規模に及ぶことはありませんでした。

補遺.1: 歴史
SCP-2056-JPは群馬県特別地域2区の帝都大学総合病院で発見されました。SCP-2056-JPを産んだのは同地区に居住する"木ノ下英恵"で、事前の健康診断で胎児が奇形疾患になっていることが判明していました。木ノ下氏は改良型カント・アーレント計測機による母体内の調査の結果、子宮内部の瞬間的現実性が最大23Hmにまで及んだため、何らかのタイプ・グリーン存在を宿していると認められました。これを受けて帝都大学総合病院は財団に木ノ下氏を委託することを決め、木ノ下氏も財団市民医療合意3に従って医療専門サイトであるサイト-81Q5で出産をすることになりました。この時点でSCP-2056-JPは以下の異常疾患である可能性がありました。

  • 阿弥陀脳症
  • 高現実脳症
  • 低フーバ徴候ヒストゲル欠乏
  • 非典型フラクタル内臓障害
  • 現実虚脱発作症候群

そして2028/7/23、誕生時に特定の現実改変を行ったことから、SCP-2056-JPは阿弥陀脳症であることが確定しました。この時点では一般的な阿弥陀脳症の急性期と同じ病態を辿り、てんかん、チアノーゼなどの症状が見られました。SCP-2056-JPは激しいチアノーゼを示しましたが、肺動脈が低形成または体内の現実性が不安定で外科的治療が困難であったため、予定されていたブラロック-タウジッヒ短絡術は行われませんでした。錠剤/酸素投与が完了し、現実性が安定し始めるまで46時間が経過しました。

SCP-2056-JPは阿弥陀脳症の急性期を脱した患者としてサイト-81Q5の脳神経部門に収容されました。患者番号は23868、安全性トリアージは橙4を与えられました。以下は誕生からこれまでにSCP-2056-JPが引き起こした阿弥陀脳症の非典型的現実改変です(その内最初のものは阿弥陀脳症ではよく見られるものである)。以下を参照してください。

日付 内容
2024/7/23 自身の肉体の一時的な改変。誕生からすぐに医師の手を離れて歩行を行い「天上天下唯我独尊」と発言した。NICU(新生児集中治療室)においてスクラントン現実錨を用いると直ちに鎮静化した。
2031/4/29 サイト-81Q5の脳神経部門の病室から脱出。スクラントン現実錨は意味を示さなかった。その後自身の身体を発光させながら佐渡海峡を浮遊しているところを回収。
2035/9/14 病室内の空間を改変。床にはハス(学名:Nelumbo nucifera)を出現させ、天井からはアクシスジカ(学名:Axis axsis)を生成した。
2037/6/2 診療を行なっていた医師を2人融解。現実性の吸引と毎秒23回にも及ぶ瞬間的な身体構造の改変が致命的に実行された。

補遺.2: 事案
2039/10/15、SCP-2056-JPはインシデント2056-JPを引き起こしました。2035/9/14の事例でも見られたように、SCP-2056-JPは自身が居住する現実改変患者用病室からハスやアクシスジカを無数に出現させました。この時、児童病棟区画-5には総勢6人の患者と100名余りの財団職員が滞在していましたが、その全てが非常に複雑な内容の幻覚を確認しました5。幻覚の内容は主に語りかける形式のものであり、人類を救済する現実改変の行使を宣言するものでした。この時点でSCP-2056-JPはその病態を悪化させ、心臓内部の異常な形状が目に見える形態に影響を与えたと考られます。

補遺.3: 収容状況改善
SCP-2056-JPの研究が進むにつれ、さらに高度化された収容チャンバーが必要とされました。以下の収容チャンバーは結界工学に基づいて身体の構造変化をもたらす疾患の患者を安定して収容するために開発されました。

特別慈眼式霊廟室チャンバー
(通称: 慈眼式廟室)

概要: 特別慈眼式霊廟室チャンバー(SMC)6はいくつかの理由による身体改変が激しい患者のための空間的収容機構です。新潟県小千谷市にある真言宗智山派慈眼寺の結界を基盤として構成されており、身体が異常に改変されることを抑制します。結界工学においては、身体の構造変化そのものは本来のあり方から逸脱しているとみなされるため、非常に効果的な治療法を提供することができます。SMCは身体構造の逸脱を確認するため、あらかじめ測定に基づいて結界エンジニアが元の外見的構成要素を記録する必要があります。SMCはその登録内容と比較しながら、内部に存在する患者の身体構造の変化を抑制します。

SMCは元々霊的実体の収容を目的に研究されていました。後天的疑似呪縛症候群の治療の際、霊的実体にもっとも負荷をかけない方法でその場に固定する方法が求められました。従来の「メトカーフ非実体反射力場発生装置」や「ハイズビル幽体固定法」などの技術は、部分的に霊体と化した新生児には負荷が強く、安全な治療法として採用されることがありませんでした。SMCは財団医療部門のマクローレン博士と花踏坂博士の共同研究によりその基礎である霊体用結界が完成しました。これは非常に画期的であり、寺の空間そのものを模倣することによって、結界の機能性を増大させました。現在、霊的実体の収容や手術室によく用いられます。

補遺.4: 記録
SCP-2056-JPが示した現実改変の映像を以下に提示します。

以下はSCP-2056-JPに行われたカウンセリングの記録です。

このカウンセリングの後慈眼式廟室は異常性により侵入不可能な状態に変化しました。現在はSCP-2056-JPの今の状態及び慈眼式廟室にアクセスするための手段の研究が進んでいます。

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