SCP-2060-JP
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アイテム番号: SCP-2060-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2060-JP-1は現在、低危険度人型収容室に拘留されています。SCP-2060-JP-1を外出及び帰宅させる行為は、SCP-2060-JP-2との接触を発生させる恐れがあるため推奨されません。SCP-2060-JP-1には心的外傷ストレス障害の兆候が見られるため、適度な精神療法とカウンセリングを施してください。また、SCP-2060-JP-1をSCP-2060-JP-1以外の呼称で呼ぶことは禁止されています。

説明: SCP‐2060-JPはSCP-2060-JP-1に対して発生する異常現象です。現実改変を伴うものと推測されていますが、詳細は不明です。SCP-2060-JP‐1は東京都██区に在住していた███家の次女(22)です。現在は元の家を離れ、財団で保護されています。SCP-2060-JP‐2はSCP-2060-JP‐1を███という実名とは異なる名前で呼称する人々です。███という名前は日本人の名前として一般的に用いられているもので、SCP-2060-JP‐1との特別な関係性は確認されていません。

SCP-2060-JP‐2はSCP-2060-JP‐1の外出中に出現し、SCP-2060-JP‐1を自分の知り合いの███だと完全に誤解して話しかけます。SCP-2060-JP‐2の誤解を解く方法は、時間経過を待つもの以外はすべて失敗しています。この誤解は最短で約五分、最長で約三時間の時間経過によって消失します (補遺-2060-JPを参照)

発見経緯: SCP-2060-JPはSCP-2060-JP‐1が警察署に「自分の知らない人物から、自分の知らない名前で呼びかけられる」という相談を持ち掛けた際に、現場にいたエージェント水橋がその相談を怪しく思い、その調査を請け負ったところ、異常現象らしきものが見受けられたために発見に至りました。

以下の記録は、エージェント水橋がSCP-2060-JP‐1に持たせた小型録音器具によって記録された、SCP-2060-JP‐2がSCP-2060-JP‐1に接触する際の音声記録の抜粋です。

録音記録-1 SCP-2060-JP‐2は40代の女性であった。記録時、SCP-2060-JP‐1はスーパーで買い物をしていた。

<録音開始,20██/05/09>

SCP-2060-JP‐2: ……あら! あなた██さんとこの███ちゃんじゃない? 久しぶりねぇ! 一体何してたのよ?

SCP-2060-JP‐1: ……あなたのことは何も知りません。人違いじゃないでしょうか?

SCP-2060-JP‐2: そんな冷たいこと言わないでよ███ちゃん! 昔よく遊んであげたじゃないの、もしかしておばちゃんのこと忘れちゃった?

SCP-2060-JP‐1: 私の親戚に、私と遊んでくれた人なんていません。人違いです!

SCP-2060-JP‐2: 悲しいわぁ、ほんとにおばちゃんの事忘れちゃったのね。███ちゃんが五歳くらいになる前までは、あなたが欲しがるものなんでも買ってあげたのよ? 人形もお菓子もおもちゃもね。

SCP-2060-JP‐1: だから知りません! もう帰って下さい!

SCP-2060-JP‐2: そうだ███ちゃん、せっかくだからウチに来なさいよ。十数年ぶりに会ったんだもの、いろんな話題があるはずよ。一緒に行きましょう!

(SCP-2060-JP‐2がSCP-2060-JP‐1の腕をつかみ強引に連れて行こうとする)

SCP-2060-JP‐1: やめてください!

(SCP-2060-JP‐1がその手を振りほどき、その場から逃亡する)

<録音終了>

録音記録-2 SCP-2060-JP‐2は十代の男性でSCP-2060-JP‐1は自宅から出た直後だった。

<録音開始,20██/05/19>

SCP-2060-JP‐2: あれ、もしかして███? ███姉さんだよな? 今までどこ行ってたんだよ!

SCP-2060-JP‐1: ……どちら様でしょうか? 

SCP-2060-JP‐2: とにかく帰るよ███姉さん、親父も心配してるからな。

SCP-2060-JP‐1: ……私に弟はいません、人違いです。

(SCP-2060-JP‐2が伸ばした手を振り払い、SCP-2060-JP‐1は逃亡する)

SCP-2060-JP‐2: おい、どこ行くんだよ███姉さん! ███姉さん!

(その後SCP-2060-JP‐2はエージェント水橋に確保されるまでの約一時間、SCP-2060-JP‐1を追いかけ続けた)

<録音終了>

録音記録-3 SCP-2060-JP‐2は二十代の女性でSCP-2060-JP‐1は深夜に帰宅中だった。

<録音開始,20██/05/22>

(SCP-2060-JP‐1は車の運転中に、不気味な雰囲気の女性が走ってくるのを確認したため、逃亡しながら録音を開始した。以下はその際に聞き取れたSCP-2060-JP‐2の呼びかけ)

SCP-2060-JP‐2: ███さーん、███さーん、早くおうちにかえってきてよー。

SCP-2060-JP‐2: みんな家で███さんのことを待ってるよー。

SCP-2060-JP‐2: ずっーと待ってたの、まだかえってこないの?

SCP-2060-JP‐2: ███さーん。███さーん。███さーん。███さーん。

SCP-2060-JP‐2: はやくかえしてよー。

(SCP-2060-JP‐1は当時、車での走行中だったにも関わらず、SCP-2060-JP‐2はその車に追いつくほどの速度で追跡してきた。録音開始から約三時間後、SCP-2060-JP‐2は突如消失した)

<録音終了>

映像記録-3のSCP-2060-JP‐2が身体に異常性を獲得していたことは、記録からも明らかです。ただ、こういったケースはSCP-2060-JP‐1にとっては始めてだったようで、SCP-2060-JPの引き起こす異常現象は発生のたびに強化されているのではないかと考えられます。次にSCP-2060-JPが発生すれば、SCP-2060-JP‐1がSCP-2060-JP‐2に連れ去られる可能性は高いといえるでしょう。よって財団に、SCP-2060-JP‐1の保護と外出禁止を要請します。
-エージェント水橋

要請を許可する
-サイト管理者 ████

以上の経緯によって、SCP-2060-JP‐1は本人の意思で財団に保護されました。SCP-2060-JP‐1は外出及びSCP-2060-JP‐2との再度の遭遇に強い恐怖感を抱いており、SCP-2060-JP‐1を外出させる行為は、現在禁止されています。

補遺-2060-1: 20██/06/24、SCP-2060-JP‐1の意思により一時的な両親との面会が許可された際、(両親には、SCP-2060-JP‐1は精神病への治療中であると説明されている)対面した両親についてSCP-2060-JP‐1は、彼らは見覚えのない人物であり、さらに自分のことを███と呼んでいると訴えました。その後の財団の調査によって、両親の過去および経歴に対する調査が行われましたが、一切の異常は見られませんでした。その他のSCP-2060-JP‐1の親族や兄、弟、妹に対しても同様の調査が行われましたが、両親と同様にSCP-2060-JP‐1には見覚えのない人物であるにもかかわらず、過去および経歴に異常は見られませんでした。ただし、財団の調査に応じた親族との会話の中で例外なく、「SCP-2060-JP‐1のことを心配していて、早く家に帰ってきてほしいと思っている」というニュアンスの発言が含まれていたことは、特筆すべき事項です。

補遺-2060-2: インタビューログ

補遺-2060-1に対する調査のために、SCP-2060-JP‐1へのインタビューが行われました。

対象: SCP-2060-JP‐1

インタビュアー: エージェント水橋

付記: エージェント水橋はSCP-2060-JP‐1との面談を円滑に行える人物であると評価されたため、インタビュアーとして選ばれました。

<録音開始, 20██/07/10>

エージェント水橋: それではあなたの親族について、覚えている範囲で説明してください。印象に残った思い出とか、彼らをどう認識していたかなどで結構です。

SCP-2060-JP‐1: …あの人たちの思い出は、そこまで多くないんです。私は急に生まれた子供でしたし、兄の方が大事にされてましたから、疎外感を感じる時もあるくらいですよ。

エージェント水橋: しかし彼らは今、あなたの帰りを待っていると言っています。

SCP-2060-JP‐1: …私の知っているあの人たちならきっと、そんなことは言いません。私の両親だって本心からは言わないと思います。でも、彼らが私の家族なのも確かです、たとえ完全に幸せだったと言えないものでも、私は以前のような日常に戻りたいんです。

エージェント水橋: あなたと親族の方々に起きたことについては、我々が出来る限りでの全力を尽くして捜査しています。

SCP-2060-JP‐1: ありがとうございます。今のあの人たちは、絶対に私の両親じゃありません。どうかお願いします、私は早くいつもの家に帰りたいんです。

エージェント水橋: 大丈夫ですよ███さん、少なくともあなたの身の安全は財団が…

SCP-2060-JP‐1: ……今、私をなんて呼びました?

エージェント水橋: ███です。本当は番号名で呼ぶべきなんですが、今回は本名で呼ぶことが許可されているんです。

(SCP-2060-JP‐1はうつむいたまま震え始める)

SCP-2060-JP‐1: ………そんな、そんなはずないのに……どうして、私が…

エージェント水橋: …███さん? 落ち着いてください、どうしましたか?

SCP-2060-JP‐1: ……子供のころからおかしな気がしていたんです。両親は私のことをよその家の子のように見るし、家にいてもずっと違和感を感じてきました。

エージェント水橋: 何を言っているんですか███さん。どういう意味ですか?

(長い沈黙)

SCP-2060-JP‐1: ……誤解していたのは私の方でした。今はすべてが元に戻っていってるんです。███が家に帰ろうとしているんです。

エージェント水橋: ……とりあえず落ち着いてください。心配しなくても、 ███さんは███さんですよ。

SCP-2060-JP‐1: ………じゃあ、私は、誰なんですか?

<録音終了>

終了報告書: エージェント水橋とその会話を傍聴していた職員全員は、当時上記の会話に一切違和感を感じなかったと証言しています。その後の調査によって、SCP-2060-JP‐1の正しい名前は███であると全員が認識しており、SCP-2060-JP‐1の元の名前を、本人以外は認識出来なくなっていることが判明しました。

補遺-2060-3: 20██/08/20、現在SCP-2060-JP‐1本人も、自分の元の名前を認識できなくなっています。現状の収容プロトコルに改定はありません。

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