クレジット
タイトル: SCP-2064-JP - 蟲のこゑ
著者: ©︎indonootoko、
mC shrimp、
hyoroika09
作成年: 2020
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アイテム番号: SCP-2064-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2064-JPはエリア-81JHの異常生物収容園地下区画に収容されます。収容されるSCP-2064-JPの多くはSCP-2064-JP-Aであり、その正体を暴露したSCP-2064-JP-Aは廃棄されます。
SCP-2064-JPの収容区画への侵入は禁止されます。実験はDクラス職員を利用して行われます。SCP-2064-JPの生息に適した環境の維持は遠隔ロボットを用いて行われます。
説明: SCP-2064-JPはミーム的異常性を有する昆虫です。SCP-2064-JPはコオロギ科(Gryllidae)に属する昆虫との類似点が多く、同科の昆虫と同じく前翅をこすり合わせることによって発音しますが、その音はエンマコオロギ(Teleogryllus emma)・マツムシ(Xenogryllus marmoratus)・スズムシ(Homoeogryllus japonicus)等を含む6種の誘引歌を一定パターンで繰り返したものになります。
SCP-2064-JPによって発音される音信号はミーム的異常性を帯びています。音信号に一定時間曝露した生物は、SCP-2064-JPと同等の生物であると認識されます(この状態の生物はSCP-2064-JP-Aに指定されます)。この異常性は曝露した生物の重量と相関し、より重い生物ほど異常性の発現に必要な暴露時間は長くなります1。本異常性はSCP-2064-JPが発する音信号に曝露することによって発現するため、音声を受容する感覚器を有さない生物もSCP-2064-JP-Aに変化することが確認されています。また、この異常性はSCP-2064-JP-Aが死亡することで喪失します。SCP-2064-JP-Aの死因の多くはSCP-2064-JP-Aを小型の生物と認識した他の生物による外傷や、致死性の寄生生物2による寄生がほとんどです。
SCP-2064-JP-Aが発する音は、SCP-2064-JPの音信号と同等なものと認識され、SCP-2064-JPの音信号と同じ異常性を帯びます。その結果SCP-2064-JPのミーム災害は小型の生物を介して広域に伝播します。
補遺: SCP-2064-JPは新潟県に存在する、GoI-1958(夏鳥思想連盟)重要参考人の自宅から発見されました。当該参考人は現在消息不明となっており、死亡あるいはSCP-2064-JPの異常性に罹災したと推測されます。また、後に発見された資料から、SCP-2064-JPは当該参考人の依頼でGoI-8101(日本生類創研)によって作成されたことが判明しています。
以下は20██/█/██に行われた日本生類創研関連施設調査作戦の際に入手したSCP-2064-JPに関する資料の一部抜粋です。
発注書
概要: 懐古思想を満たす風流な虫
発注者: ██ ██様
納期: 20██/█/██
発注概要: 依頼主が所属する夏鳥思想に則した晩夏の夜を彩る風流な鳴き声の昆虫。現在一部地域で減少傾向であるスズムシ、カンタン、コオロギ、マツムシなど複数の鳴き声を発するものが好ましい。依頼主自らが飼育、放流を行いやすいようある程度繁殖力を持ち、環境に強いこと。
依頼者によるコメント: 私の小さい頃は虫の声がよく聞こえて風流なものでした。私の懐古主義に彼らの歌声はかかせません。お願いできますか?値段は言い値で結構です。
メモ: 注文された虫はどれも絶滅危惧種ばかりだ。そこに価値があるんだろうが、この種をいくら掛け合わせても強い種にはならないな。なんとか強い種類の生き物と合成して環境に強くしなければすぐに死んでしまう。
試験個体A

試験個体A
仕様:
- 良い声で鳴く
- 鳴く虫の中でも最も風流と呼ばれるカンタンをベースに改良。元の種が雑食性で飛翔能力も高いことから、飼育や環境への放散が容易
- ほんの少しゴキブリも配合。繁殖力に良い影響が確認できた
依頼者によるコメント: 声は良いのですが、外見がただのバッタみたいで風流ではありませんね。もっと雅な見た目にしていただきたい。
メモ: うーん外見にケチが入った。カンタンだってかわいいのに。直翅目のビジュアルで強くってのは難しいなぁ。とりあえずちょっとごまかす。
試験個体B
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試験個体B
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仕様:
- 良い声で鳴く
- 依頼者は少年時代の記憶を元に依頼してきたので、少年時代の記憶にマッチするカッコいい昆虫、カブトムシをベースに改良。発音機構の確立のため、飛翔用の後翅とは別に翅を新たに着けた
- 樹液の競り合いでも負けない。だってカブトムシだから
依頼者によるコメント: 私の注文は届いていないのでしょうか? あんなでかいカブトムシのどこが風流だというのでしょうか?
メモ: ワガママな爺さんだ。面倒だし、もうミーム作用でごまかしちまうか。ようは雅な外見とやらに見えれば良い訳だ。繁殖力を爆発させれば環境に殺されても個体数は維持できるっしょ。バレなきゃよかろうなのだ
もちろん"非常口"は用意する。俺は他の不用意な研究者とは違うのだ。何が起きても大丈夫だ
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解剖時に発見されたSCP-2064-JP-A群
SCP-2064-JPは「虫の鳴き声が異様に五月蠅い住宅がある」と報告されたことで発見されました。第一次探索で発見されたオブジェクトはSCP-2064-JP-Aであり、解剖した際にイエネコ(Felis silvestris catus)の外見が明らかになりました。このイエネコは夏鳥思想連盟の重要参考人が飼育していたイエネコと特徴が一致します。また、このイエネコの体内からはSCP-2064-JP-Aと化した寄生虫が大量に発見されています。
SCP-2064-JPの異常性は連鎖的にSCP-2064-JP-Aを作り出すため広範囲に伝播しやすく、財団に報告された住宅を中心に複数の影響を及ぼしています。代表的な影響は以下の通りです。
- コウモリなどのコオロギを捕食する生物は、周辺地域から誘引されることで一時的に増加しますが、結果的にSCP-2064-JP-Aへと変容するため、SCP-2064-JP及びSCP-2064-JP-Aを駆除するには至らず、生態系に大きな偏りが発生します。
- 周辺に住む民間人から複数名の行方不明者が発生しています。いずれもSCP-2064-JP-Aに変容したと推測されますが、SCP-2064-JP-Aに変容した民間人の特定は困難である上、SCP-2064-JPの異常性は不可逆的なものであるため回復は不可能です。
SCP-2064-JPには、日本生類創研の開発者が"非常口"と呼称する対処法が存在すると推測されていますが、具体的な内容は明らかになっていません。開発者当人を拘束する計画が立案されましたが、潜入エージェントにより、開発者が行方不明となっており、日本生類創研もその行方を把握していないことが報告されています。