SCP-2068-JP
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ヒメアリクイ1

SCP-2068-JP

アイテム番号: SCP-2068-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2068-JPはセクター8103の中型生物収容セルに収容されています。収容セルは外部からSCP-2068-JPを直接視認できないよう遮蔽されています。餌付け、体調管理、清掃等の際はDクラス職員を入室させてください。担当Dクラス職員がSCP-2068-JPにストレスを与えていると判断された場合、即座に別の要員と置換してください。収容セル内には擬似的に中南米の森林の植物相が再現されています。温度、湿度はSCP-2068-JPの生育環境に適切な範囲を保ってください。その他、給餌方法や飼育員の対応など、SCP-2068-JPのストレスとなりうるものは可能な限り改善してください。

未収容のSCP-2068-JPは中南米諸国の野生動物関連団体に潜入中のエージェントらによって目下捜索中です。発見された場合は現地の構成員によって特別回収チームが組織されます。

説明: SCP-2068-JPは中南米諸国に生息するヒメアリクイ(Cyclopes didactylus)の一種です。SCP-2068-JPの生態は一般的なヒメアリクイと同様で基本的に樹上で生活しカタアリ亜科(Dolichoderinae)等のアリ類を主に捕食します。SCP-2068-JPは夜行性であり、日中は樹木の上部などで体を丸めて休眠します。特筆すべき点としてSCP-2068-JPは腹部から胸部にかけての毛の量が非常に多く、通常のヒメアリクイの4倍程度の毛量を有します。

ヒメアリクイ2

致死ミーム形象を展開するSCP-2068-JP(ミーム影響部編集済み)

SCP-2068-JPの異常性は威嚇時に発現します。SCP-2068-JPは威嚇時、上半身を起こして二足歩行のような体勢となり頭部を前足で隠しながら爪を見せる防御姿勢をとります。この際、SCP-2068-JPの腹部の毛皮が急速に様々な色から成る特定の模様に変化します。毛皮の変色メカニズムは未解明であり生体から脱落した毛、死骸から採取された毛皮自体に異常性は存在しませんでした。この模様は遅効性の致死ミームを内包する形象であり視認した対象は5~7分程度で死亡します。致死ミームに曝露した対象には次のような反応が現れます。

  1. 多幸感の増大
  2. 他者にSCP-2068-JPを視認させたいという衝動的欲求
  3. 知覚能力の低下
  4. 言語障害、呼吸困難、血圧降下
  5. 意識消失、心停止

これらの反応は劇的かつ段階的に曝露者に顕現します。SCP-2068-JPの致死ミームは曝露以前に既知の対抗ミームを摂取した場合であっても影響を及ぼします。クラスⅢ以上の認識阻害薬を用いた場合ではミーム影響を遅延させる効果が認められましたが、最終的に曝露者の死亡を阻止することは出来ませんでした。この致死ミームは原始的な意識活動に作用していると考えられ、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類にも影響を及ぼすことが確認されています(致死ミーム影響検証実験記録参照)。動物行動学的、生物進化学的な根拠からこの異常性はSCP-2068-JPが捕食動物や敵対的な生物に対する防衛手段として進化の過程で獲得したものであると考えられています。また、SCP-2068-JPは通常のヒメアリクイよりも外的ストレスに弱い事が判明しています。SCP-2068-JPにむやみにストレスを与える行為は威嚇行動を誘発し致死ミームへの曝露を招きます。この点からSCP-2068-JPの特別収容プロトコルは外的ストレスを与えうる要因を限りなく排除する方針で作成されています。

最初のSCP-2068-JP個体は2001年9月7日に東京都品川区の[編集済み]に位置するマンションの一室から発見されました。この個体は愛玩動物として飼育されていたと見られ飼育者の男性は致死ミームに曝露して死亡したと考えられています。またこの際、駆けつけた救急隊員4名、警察官7名、大家、近隣住民2名が致死ミームに曝露しました。これら計15名の連続不審死事件が警視庁内部の構成員を通じて財団に報告されました。これにより財団はSCP-2068-JPの発見に至りました。

部屋の状態からこの個体は極端に狭い檻の中で飼育されており過度なストレスに晒されていた事が推測されています。飼育者の男性の足取りを調査した結果、この個体は違法な動物販売業者がボリビア多民族国から密輸入した個体である事が判明しました。動物販売業者を尋問したところ、密輸入されたSCP-2068-JPは全部で12匹でありそのうち生存していたのは男性に販売された1匹のみであったことが判明しました。なお死亡していた11匹は投棄された死骸も含めて全て財団が回収しました。財団は直ちにボリビア多民族国にフィールドエージェントを派遣し野生下のSCP-2068-JPの調査を開始しました。調査は通常のヒメアリクイとの見分けが困難であるために難航しました。

2003年5月14日にボリビア多民族国のサンタクルス県の中規模森林で発生した密猟者19名の連続不審死事件によって野生下のSCP-2068-JPが2匹発見されました。ヒメアリクイの生息実態把握の名目で財団傘下の一般研究団体が綿密に調査をした結果、同森林内で47匹のSCP-2068-JPが発見されました。またこの調査によって他の地点よりも脊椎動物の死亡率が高い地点には高確率でSCP-2068-JPが生息しているという傾向も判明しました。

2003年8月9日にはチリ共和国のアリカ・イ・パリナコータ州で、2004年4月27日にはエクアドル共和国のモロナ・サンティアゴ県で、2004年11月7日にはペルー共和国のマードレ・デ・ディオス県でそれぞれSCP-2068-JPの生息が判明しました。SCP-2068-JPの生息域は通常のヒメアリクイとほぼ同様と考えられており中南米に広く分布している可能性があります。

補遺1: SCP-2068-JPの有する致死ミームの解析を目的として研究が行われました。以下は致死ミームに関する実験、検証の記録です。

これらの研究から、SCP-2068-JPの有する致死ミームは爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類等の脊椎動物の意識活動にのみ作用することが判明しました。また、影響を及ぼす生物が多岐に渡ることから、このミームは脊椎動物の極めて原始的な意識活動に作用していると考えられています。SCP-2068-JPの腹部の模様はヒトとは色覚の異なる生物にも影響を及ぼすことから、フラクタル図形的要素によってミーマティックな影響を生み出していると考えられます。ですが毛皮が様々な色に変色する点を考慮すれば毛皮の色自体も何らかのミーマティックな効果を有している可能性があります。色彩が有するミーマティックな影響についての研究は未だ初歩段階ですが現時点の仮説としてヒトに近い色覚を有する生物ほど曝露後に知覚能力の低下などの要素が現れることから、変化後の毛皮の色には大脳真皮質の機能を阻害する効果があると考えられています。




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    適切なクリアランスレベルが確認されました

    ようこそ 担当職員



    補遺2: SCP-2068-JPの有する致死ミームをミーマティックメディア深層学習済自動フィルタリング画像解析人工知能を用いて解析した結果、致死ミームの図形的、色彩的パターンが財団の保有する"ベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェント"に極めて類似しているということが判明しました。SCP-2068-JPの有する致死ミームは原始的意識活動に強力なミーム的影響を及ぼすという点と、心停止に至るまでに若干の時間を要するという独自の特徴を有していますが、その他の多くの特性は"ベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェント"とほぼ同一です。致死ミームと該当エージェントの図形的観点からの一致率は98.97%、色彩的観点からの一致率は89.99%であり数値的にもその類似性が確認されています。

    もし敵対的な要注意団体が未収容のSCP-2068-JPを捕獲、研究し致死ミームを克服する技術を発見した場合、それを"ベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェント"を克服する技術に応用するのは非常に容易なことと想定されます。もし"ベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェント"が克服されれば、財団の高等機密保持能力は大幅に低下します。こうした事態を防止するためにも、他の組織にSCP-2068-JPの存在を認知される以前に早急に未収容のSCP-2068-JPを全て確保する必要があります。既知のSCP-2068-JPの生息域は限られており、把握されている生息域の多くでは既にSCP-2068-JPの確保はほぼ完了していると見積もられています。しかしながら通常のヒメアリクイが生息している範囲が広域な以上、中南米地域に未発見のSCP-2068-JP生息域が存在している可能性は否定できません。これらの懸念を受けて、SCP財団日本支部理事会は中南米諸国全域でのSCP-2068-JPの捜索と確保を、野生下の個体が絶滅したと判断されるまで継続することを決定しました。

    なおSCP-2068-JPと"ベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェント"の関係についての情報は、財団内部に潜入している敵対的組織の工作員による情報漏洩の可能性を考慮して機密指定されました。これらの情報はセキュリティクリアランスレベル4以上のサイト管理者、セキュリティ責任者、機動部隊指揮官等の要員にのみ開示されます。














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