アイテム番号: SCP-2076-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2076-JPの直接的な収容は困難です。しかし、SCP-2076-JPの対象となった人物の大半はスシブレードおよび闇寿司について認知していると推定されるため、特別な処置は不要です。スシブレードについて認知していない人物にSCP-2076-JPが発生していたことが判明した場合、記憶処理または適切なカバーストーリーの適用が実施されます。
説明: SCP-2076-JPは、20██/██/██ごろに確認された現象です。SCP-2076-JPの対象となった人物は、後述の文章および画像(SCP-2076-JP-A)の認識を獲得します。この認識について、対象者はしばしば「脳内に直接情報が伝達されたような」と形容します。SCP-2076-JP-Aを認識させられる原理として、SCP-2076-JP-Aにおいては「精神酢飯接続を応用している」旨の記述が確認されますが、財団は当該原理を解明できていません。
SCP-2076-JP-Aには、「新鮮コンテスト」の表題およびその他の文章・画像が含まれています。その内容より、SCP-2076-JPにはGoI-8134"闇寿司"が関与していることが確実視されています。
以下は、SCP-2076-JPの対象となった職員らの証言より再現された、SCP-2076-JP-Aの内容です。
新鮮コンテスト
Sushiblade Challenger Promotion
概要
闇寿司は新人コンテスト「新鮮コンテスト」を開催する。これは、第1回の「新人スシブレーダーコンテスト」、第2回の「新茶シンチャーコンテスト」、第3回の「スーシーコンテスト」、第4回の「わかめコンテスト」に次ぐ15回目の開催である。
闇寿司は、実力・戦績を問わず、新たな闇の回し手を歓迎する。闇のスシに興味のある者は、積極的に参加して欲しい。
開催期間
参加申請期間 20██/██/██~20██/██/██
スシ作成期間 20██/██/██~20██/██/██
トーナメント開始 20██/██/██
参加資格
スシブレードへの興味関心ないし適性が高く、かつ闇寿司へ著しく敵対的感情を抱いていない初心者が参加資格を有する。実は、精神酢飯接続を応用した技術により、コンテストに参加できる者(と闇寿司の運営側)にのみこの情報が送信されている。したがって、この情報が伝達されている時点で、あなたには参加資格があるのだ。せっかくチャンスが回ってきたのに、これを逃すのは勿体ない。
参加受付
参加希望者は、参加申請期間中に、以下のいずれかの場所にて手続きを実施すること。なお、超常技術を用いて移動する場合には、会場に直接転移するのではなく、付近へ移動した後に公共交通機関を用いて来場することが望ましい。
[場所の一覧は財団により編集済]
表彰
参加者は、自身が作成したスシを用いてトーナメント対戦を行う。上位3名が表彰される。
スシを作成する際には、先輩にあたる闇寿司メンバーによる指導・アドバイスを受けることが可能である。これらは、良いスシを握る上で鍵を握るものである。残念なことだが(そして仕方ないことだが)、普段、先輩方は、自分のスシを回すのに精一杯で、新人へのアドバイスにまで手が回らないことが多い。しかし、新人コンテストにおいては指導が活発化し、アドバイスが非常に受けやすくなるといえる。多くの先輩方がサポートに回ってくださるので、ライバルの後手に回るのではないかと気を回す必要はない。
主催者より
こんにちは。第5回新人コンテストの主催を務めさせていただきます、菜刀ながたなのイザナと申します。
さて、皆様は、"正道"なスシばかりを回してらっしゃいましたか? あるいは、スシブレードは架空のものだとお考えでしたか? もしかしたら、そもそもスシブレードをご存じでなかった方もいらっしゃるかもしれませんね。闇寿司なんて、どういった風の吹き回しで? とお考えでしょう。
皆様をお呼びした理由、それは"スシの可能性"の開拓です。皆様を制限している様々な事物から解放し、自由な"スシの可能性"の追求を可能にするのが闇寿司です。
我々闇寿司は、どのようなスシも受け入れます。我々の中には、肉を回す者、洋食を回す者、甘味を回す者、非食品を回す者、非実体的なものを回す者、何でも居ると言っても過言ではありません。あなたのスシが強く、興味深く、他者を著しく加害しないものである限り、何を回しても構わないのです。一応、破門というのもなくはないですが、よっぽど非常識的なことをやらなければ起きないでしょう(御蓮寺恋治は知りません)。
闇寿司への加入は、認められればいつでも可能です。しかし、このような新人コンテストのタイミングは、加入に最適といえるでしょう。先輩方の指導を積極的・中心的に受けられますし、トーナメントへの初の出場という目標が存在しています 目標というのは、スシを完成させる上で、結構大事なのです。更に、同じ新人コンテストに参加した"同期"との仲間意識が芽生えることも少なくないようですね。このように、新人コンテストは、闇寿司の一員としてのデビューに非常に適しているといえます。
我々は、新人の皆様の発想・熱意・自由を尊重します。闇寿司で、あなたの考えるスシの可能性を追求してみませんか?
以上より、闇寿司が新人を勧誘・育成すべく当該コンテストを開催していることが推測できます。
補遺1: スシブレーダーである財団職員の一部は、SCP-2076-JPの対象となっていました。ただし、当該事象は、対象職員の財団への忠誠レベルが低いことを意味していないことに留意してください。例えば、「闇寿司へ積極的には干渉せず、何か問題を起こした場合にのみ対処すべきだ」と考えている場合や、「確保された闇寿司構成員の内、有用な人材は財団職員として採用しても構わない」というような思想を有している場合でも対象になりうると推測されています。
補遺2: "新鮮コンテスト"によって闇寿司の発展・脅威度の上昇が危惧されるため、"新鮮コンテスト"の規模や状況によっては、財団が干渉・妨害を行う必要があります。一方、当該コンテストに対して露骨な妨害を行った場合、闇寿司との関係悪化や、告知手段の複雑化(すなわち、このようなコンテストを発見することの困難化)の可能性があります。以上より、「財団エージェントが秘密裏に"新鮮コンテスト"へ潜入し、その実状を調査する」ことが計画されました。潜入した職員より報告された内容によっては、何らかの干渉が行われる予定です。
以下は、エージェント・伊藤による"新鮮コンテスト"への潜入時の映像ログです。なお、Agt.伊藤は、機動部隊と-6("シャリん眼")の隊員であり、かつSCP-2076-JPの対象者でした。
映像ログ2076-1
<記録開始>
[Agt.伊藤は、SCP-2076-JP-Aにおいて示された場所へ向かって歩いている。道は細くて薄暗く、人の気配は感じられない]
不明な男性: すみません!
Agt.伊藤: [軽い叫び声]
男性: あぁと、驚かせちゃってすみません。あのー、あなたも、"新鮮コンテスト"に参加する人ですか?
Agt.伊藤: はい、そうですが……
男性: あぁ、良かったです! 僕しか居なそうだったので、道を間違えちゃったのかも、って思ったんです。
Agt.伊藤: ……なるほど。道はこちらで合っている筈です。
男性: ありがとうございます! 僕、地図とか苦手なんですよね……まあ、それ以外の勉強も苦手なんですけどね……[苦笑する]
Agt.伊藤: ええと、あなたは、学生の方でいらっしゃるのですか?
男性: はい! スシアカデミアの1年生でした。 でも、もう通いません! 闇寿司のメンバーになるって決めましたもんね!
Agt.伊藤: ……となると、あなたは、"正道"のスシブレードを知っていて、ある日急に"新鮮コンテスト"の情報が脳内に流れ込んできた、という経緯をお持ちでしょうか。
男性: そうです! あなたも、脳内に……何というか……バーンと来た、感じですか!?
Agt.伊藤: そうですね、バーンと。
男性: いやぁ、僕だけじゃないかって思ってたので、安心しました。急に、憧れの闇寿司から何か連絡? が来たので、ひょっとしたら何かおかしくなっちゃったっていうか、ちょっとそんな気もしてたんですよね。
Agt.伊藤: "憧れの闇寿司"?
男性: はい! スシアカデミアに入って2か月後くらいから、闇寿司はずっと憧れでした。 アカデミアでは悪いものだって教わるんですけど、僕は大好きになりました! 僕も闇親方みたいにラーメンを回したいです! 四包丁になったら、"筋引き包丁のリーク"って名乗るんです! あ、"リーク"っていうのは、僕の闇寿司メンバーとしての名前なんですけど
Agt.伊藤: リークさん、それは、少々気が早いかもしれませんね……
<記録終了>
映像ログ2076-2
<記録開始>
[Agt.伊藤およびリーク氏は、道を歩き続けている。リーク氏は、Agt.伊藤に積極的に話しかけている]
リーク: いや、でも、本当に伊藤さんが居てくれて良かったですよ! もし居なかったら、会場に着けなくなっちゃったかもですから……
Agt.伊藤: ……まあ、道のりは長いですが、あまり複雑ではないですから、大丈夫だったと思いますよ。
リーク: そんなことないですって! 僕は、ちょっとの分かれ道でも迷っちゃうんで
[リーク氏が、前に居た男性に衝突する。男性はコーカソイドであり、過度の肥満体系である。]
リーク: あっ、あ、ごめんなさい! ごめんなさい! ええと、ごめんなさい!
肥満男性: ……まあ、ぶつかったことは構わないが それより、お前たちは、"新鮮コンテスト"の参加者か?
Agt.伊藤: はい。
リーク: え、あ、闇寿司の人でしたか! あなたは……
肥満男性: 俺は、"俺" もとい、"ピザカッターのデイビット"だ。
リーク: 四包丁!? 本物!? 本物ですか!?
デイビット: 本物だ。
リーク: 本物! お会いできて嬉しいです! 僕は、リークと言います! よろしくお願いします!
Agt.伊藤: 伊藤と申します。"新鮮コンテスト"の参加手続きを行いたいのですが。
デイビット: 例の酢飯接続は来てるんだな?
Agt.伊藤: はい、エス……例の酢飯接続は受け取らせていただきました。
リーク: 僕もです!
デイビット: なら、参加資格はある筈だ。じゃあ、2人とも手続きを
不明な女性: お待ちなさい!
[仮面を装着し、脚部に異常な改造を施した女性が歩いてくる。]
デイビット: 誰かと思えば、暗黒卿のサヨリじゃないか、一体何が
リーク: サヨリって、あのサヨリさんですか!?
女性: 如何にも。わたくしが、闇寿司探偵のサヨリですわ。
リーク: 闇寿司探偵!? 本物!? 本物ですか!?
サヨリ: 本物ですわよ。
リーク: 本物! アカデミアの寮で、こっそり、『闇寿司探偵サヨリ 解体ショーを駆ける』、読ませていただきました!
Agt.伊藤: ところで、探偵の方が何故ここに
[サヨリ氏はカリフォルニアロールを構え、Agt.伊藤に向ける。]
Agt.伊藤: えっ。
サヨリ: あなた、財団からの"回し者"でなくって?
[Agt.伊藤が、隠し持っていたイクラ軍艦を構え、臨戦態勢をとる。]
リーク: え、どういうことですか!?
デイビット: 待つんだ、確かに闇寿司探偵の推理は信頼している。だが、根拠はあるのか?
サヨリ: 根拠 ええ、そうね。いくつか怪しい点がありましたわ。わたくしは、伊藤様のことを尾行していましたのよ。
サヨリ: まず、リーク様はスシアカデミアについて言及しましたが、伊藤様はそれについてご存じでしたでしょう? スシアカデミアについて知っている者は、超常社会でも少数ですわ。なぜなら、スシアカデミアは財団によって隠蔽されているからよ。
リーク: 確かに! 気づきませんでした!
サヨリ: そして、あなたは"例の酢飯接続"について、「エス……」と言いかけましたわ。財団では、酢飯接続が"エスシーピー何とか"と呼ばれてるんじゃあないかしら?
デイビット: なるほど、うっかりSCP番号で呼んでしまった、と。
サヨリ: 最後に、このスシの構え方 財団の機動部隊がとる体勢にそっくりですわね。
[サヨリ氏が、財団のスシブレーダーを写した写真を取り出す]
サヨリ: ここに、財団のスシブレーダーの写真があるわ。あなたと見比べてみても宜しくて?
リーク: ……わぁ、信じられないくらい同じですね!
デイビット: お前、まさか、"新鮮コンテスト"を収容しに来たのか? コンテストへの妨害は許せないぞ……!
[デイビット氏が自身をスシとして回転させるべく、戦闘態勢をとる。]
[Agt.伊藤が、臨戦態勢のまま後退する。一般的に、イクラ軍艦ではデイビット氏に対抗不可能であると判断できる。]
リーク: ……ちょっと、ちょっと待ってくださいよ! 伊藤さんは、"元財団職員"というだけなのではないでしょうか? 僕だって、スシアカデミアという"反闇寿司"みたいな組織に属していました。でも、スシアカデミアが嫌になって、闇寿司に入ろうとしました。伊藤さんも、財団が嫌になって、闇寿司に入ろうとしたんですよ、そうですよね!?
[Agt.伊藤が臨戦態勢を解除する。]
Agt.伊藤: ……は、はい。私は財団を辞め、闇寿司構成員になろうとしたのです。その際に、元財団職員というのを隠しておきたかったのです。
リーク: 僕は知ってますよ。闇親方は、回らない寿司協会の元構成員ですら受け入れてくれるんです! だから、元財団職員の伊藤さんでも問題ないはずです! お願いします!
Agt.伊藤: ……お願いします。闇寿司に入れてください。
[デイビット氏が戦闘態勢を解除する]
デイビット: ……そういうことなら、俺は歓迎する。過去を掘り返してしまい、申し訳ない。
サヨリ: わたくしは、まだ伊藤様のことを信頼していませんわ。本当に参加を認めて宜しくて?
デイビット: 闇寿司には、様々なバックグラウンドを有する者が居る。財団を辞めたんだろう? だったら、お前はもう闇寿司の仲間だ。
Agt.伊藤: ……ありがとうございます。
サヨリ: ……伊藤様、ひょっとして、スパイとして潜入しようとしているんじゃあないかしら?
デイビット: 万一スパイだったとして、財団より闇寿司の方が魅力的に感じるようになるだろう。
リーク: そうですよ! 財団なんかより、闇寿司の方がずっといいですもんね!
Agt.伊藤: ……はい。闇寿司の方がいいですからね。
<記録終了>
この後、Agt.伊藤は問題なくコンテストへの参加手続きを完了させました。なお、Agt.伊藤は、当該記録で述べた辞意は全て虚偽であると主張しています。先述したように、SCP-2076-JPの対象者であることは、財団への忠誠度が低いことを意味しない点に留意してください。
今後、Agt.伊藤には、秘密裏に"新鮮コンテスト"の情報を送信させることが予定されています。財団対策本部によって状況の確認・評価が実施され続けます。
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