SCP-2078
評価: +18+x

アイテム番号: SCP-2078

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 機動部隊アルファ-3("副大統領候補")はSCP-2078収容に必要な権限を付与されています。; MTFアルファ-3の構成員はいかなる時点においても半数以上がアメリカ人とならないようにして下さい。SCP-2078の感染媒介物及び感染者を判別するために、MTFアルファ-3工作員はアメリカ合衆国内の全ての財団通信監視活動へのアクセスが認められています。またMTFアルファ-3はアメリカのニュースメディア、物理的通信、インターネット上の活動を定期的に調査しています。

確認された感染者はMTFアルファ-3構成員によって12時間以内に捕縛して下さい。失敗は収容違反に該当します。非致死性兵器で武装したMTFアルファ-3派遣隊はSCP-2078感染者の大規模集会が発見または予想された時点で襲撃を実施して下さい。全てのSCP-2078感染者の捕縛に失敗した場合は収容違反に該当し、致死性兵器の使用が認可されます。

MTFアルファ-3エージェントは連邦選挙委員会と各州政府に潜入し、SCP-2078-1が選挙の候補者として登録されることを阻んで下さい。MTFアルファ-3工作員は大統領選投票日の全ての投票所の監視を指揮して下さい。収容違反の際には一般市民の勾留と尋問だけでなく、記憶消去ガスの配備も許可されます。

SCP-2078の感染媒介物と認定された物は全て標準CogHaz-4収容処置と情報浄化プロトコルを受けます。(CogHaz-4プロトコルに関する書類はMTFアルファ-3全構成員が参照可能です。)MTFアルファ-3全構成員は対ミーム訓練を実施することが必要です。SCP-2078に感染した一般市民や財団構成員は記憶消去処置を受けます。初めの記憶消去処置が感染の除去に成功しなかった場合、研究員には該当する対象にクラス-█記憶消去処置を施しクラスD人員として再分類する許可が与えられます。

説明: SCP-2078は"████ █████"(以後SCP-2078-1と呼称)という名のアメリカ合衆国の全ての大統領選に立候補している個人について言及したメディアや口コミによって伝播するミームです。SCP-2078-1が実在するという証拠はありません。SCP-2078-1に関する唯一の情報源はSCP-2078に感染した者へのインタビューや彼らの作る物です。SCP-2078は自分をアメリカ合衆国市民だと自認しているものにしか効果を及ぼしません。感染媒介物へのある一定の割合(一日当り3~25分まで変動)の暴露により感染します。SCP-2078のミーム的性質に対する知識と対ミーム防御の実施は感染への対処に有効です。

SCP-2078-1の政治公約は非倫理的なものです。彼の綱領には以下のような主張が掲載されています。全ての夫婦に4人以上の子供を義務付ける"最低出産要求"を定める法律、防衛や福祉関係の基本的な政府計画に対する投資を中止し、食料関連産業への政府補助金を増やす法律、菜食主義を禁止する為の憲法修正。(文書-2078-██にSCP-2078-1の政治公約に関する全情報が掲載されています。)

SCP-2078に感染した個人の行動は著しく変化します。それまでの政治的傾向にかかわらず、全ての感染者はSCP-2078-1の主張に沿って行動します。多くの感染者はSCP-2078を広めようと努め、ソーシャルメディアに政治的宣伝を載せたり単純な口コミなどを利用します。更に、多くの感染者は劇的な食欲の亢進と同時に非衛生的な行為に対する嫌悪感の欠如を示します。実験によりSCP-2078の感染者は満腹に対する反応が欠如し、通常の人間の許容量を遥かに超える暴食が可能となっていることが明らかになっています。

SCP-2078の感染者はおよそ200人程を上限とする感染者の集会を企画することが観測されています。この様な集会は最長一週間続いた記録が残っています。食品業界に勤める感染者達は自らの立場を利用して大量の食糧を集会会場に運び込み、ほぼ継続的な食糧摂取を可能にします。不適切なごみ処理と感染者達の衛生観念の欠如から衛生環境は急激に悪化します。時に死に至る伝染病や病気が蔓延し、発生した死者の死体は大抵燃やされます。

SCP-2078の感染媒介物はインターネットやマスコミを通じて未知の情報源より頒布されています。更に、財団の介入にも関わらずSCP-2078-1の名前は時折いくつかの選挙区の候補者名簿に登場します。

補遺-2078A: 20██/██/██、MTFアルファ-3工作員がインターネットを通じて拡散されようとしていたSCP-2078の感染媒介物を含んだ動画ファイルを傍受しました。特筆すべきは、この宣伝映像がSCP-2078-1との直接対話を収めていると思われる初めてのものだったことです。内容を以下に示します。

回収ドキュメントログ 2078-23

カメラが農地や家畜の静止画を連続で映していく。穏やかなピアノ曲がBGMとして流れている。静止画は白い柵と家が共に映っているリンゴの木で終わり、スーツに青いネクタイを着た男性が右側から映像に入ってくる。彼の顔はモザイクが掛けられ、人相の確認は出来ない。彼は使っていた爪楊枝を素早く投げ捨てた。彼はSCP-2078-1本人、またはその代理人と推定される。

SCP-2078-1: 私は大変な幸運によって本日ここに立っています。これを実現するために大変な努力をして私をご支援下さった方々はそのことを誇りに思われるべきです。私は私の信念をあなた方と共有させて頂きたいと思います。

SCP-2078-1は立ち上がって拍手をする観衆に演説しようとしているように見える。SCP-2078-1の声は続けて語る。

SCP-2078-1: 私は人々の力を信じております。私はアメリカ市民達が一つになれば驚くべきことを成し遂げられると信じております。私は大統領に立候補すると決心しました。何故なら私はアメリカは必ずや正しい選択を成すと確信しているからです。

子供達が鶏に餌をやっているシーンが映される。

SCP-2078-1: 私はアメリカのルーツにまで戻って考えてみたいと思います。ご存知のように、他の政治家はアメリカの基盤となった事実を認めることを嫌います。しかし我々が禁欲主義への道から逃れるためにはそれらの基盤が必要なのです。

SCP-2078-1が幼児を運ぶのを手伝うシーンが映される。SCP-2078-1の声は時折母親の出す声で不鮮明となる。

SCP-2078-1: 私は過去6000年に渡ってこの国を掌握してきた軍隊から我々の潜在能力を取り戻すために、アメリカが正しい選択をすると固く信じております。

鶏が再び映される。子供たちは消えている。一羽の鶏は布の切れ端を爪の隙間に挟んでいる。SCP-2078-1が再び画面に戻る。

SCP-2078-1: 想像してみて欲しい。我々が生き、血がそのやわらかで滑らかな四肢に流れていると安心できるよういつでも心臓の鼓動を聞くことのできるアメリカを。独立宣言によれば、我々は幸福を追及するための侵されざる権利を有しています。しかし我がアメリカは惨めだ。考え、感じ、行動し、自由な人間であることは哀れなことなのです。取るべき選択肢は明らかです。考えてみてください。服を脱ぎ、あなたの腰から香りが漂う中あなたの内臓が厚く、重く成長していくとどう感じるでしょうか。何も求めず、何も知らないということが何を意味するのでしょうか。想像してみて下さい。狭くて薄暗いすえた臭いのする場所に皆が詰め込まれる世界を。すし詰めの大衆を通じてあなたはアメリカ市民の暖かさ、汗、肌や柔らかい脂肪を感じ取ることになるのです。あなたは彼らの叫びが壁から壁に反響するのを聞くことになるでしょう。そして世界はこの国の暗い脈動する心臓を知ることになるでしょう。

画面が暗転する。"[編集済] 20██"の文字が画面に現れる。画面の下に細かい文字が書かれており、"お前の脂肪が骨から焼け落ちる臭いがするぞ"と読める。

SCP-2078-1: おお神よ、それはとても美しいことではないですか?

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。