SCP-2082

コオリツクゾウ (Elephas cryophilus)

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アイテム番号: SCP-2082
レベル3
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
danger

mammoth.jpg

SCP-2082-1のクローン作製に使用された、SCP-2082個体の死骸。

特別収容プロトコル: SCP-2082の異常能力の証拠は、サイト-43の記録保存・改定セクションによって管理、収容されています。

SCP-2082-1はサイト-43の確保前哨基地11に収容されています。一次収容ユニットはSCP-2082-1の極低温特性に対応するように改装されています。


説明: SCP-2082はケナガマンモス (Mammuthus primigenius) の名称で知られる動物の絶滅した亜種です。生きていた頃は、平均肩高が約3m、体重は最大6,000kgでした。10,000年前に大半の個体が死に絶え、約4,000年前に絶滅しています。

SCP-2082個体の死骸の分析結果や、SCP-561の作用範囲内で繁殖した現代のゾウから収集された限定的なデータから、SCP-2082が異常な能力を帯びていたことを示す証拠が得られています。SCP-2082個体は常時、身体の周囲に極低温効果を発生させます。この影響範囲では温度が急激に低下し、通常は5分以内に-50°Cにまで達します。影響の範囲と深刻さは、SCP-2082個体が年齢を重ねるにつれて増大します。出生時の影響は僅か数センチメートルの範囲に留まりますが、個体が成獣となるまで拡大し続けるため、最終的に影響範囲は約250mまで広がり、平均気温は-100°Cまで低下します。この影響範囲では、SCP-649と類似する形式で、大量の氷と霙があらゆる固体表面から析出します。

SCP-2082-1は、SCP-2082の主任研究者であるチャールズ・アッシャー博士とマリア・レイエス博士が、サイト-43確保前哨基地で作成したSCP-2082のクローン個体です。このプロジェクトの目的は、実験的なクローニング技術と、それが各種の異常・非異常実体に及ぼす影響を研究・試験することでした。


2082%20equipment.png

前哨基地11の観察デッキ。

補遺 2082.1: 2019年6月16日、アッシャー博士とレイエス博士は、SCP-2082個体のクローニング試行における最初の成功を記録しました。

[記録開始]

アッシャー: 最終チェック。君の方は大丈夫そうか?

レイエス: ええ!

アッシャー: じゃあ始めるとしようか。2019年6月16日、試行43。これまでのところ、我々は青年期のSCP-2082個体の身体構造の完全な復元に成功している。ところが、生成された個体はいずれも最初のクローニング工程を生き延びられなかった。そこで新しい戦略として、SCP-2082個体の子宮を、我々の能力が及ぶ限り正確に再現する。これでクローニングされた卵子を安定させ、誕生まで生き延びさせ続けることができるはずだ。

レイエス: 私がやっても構いませんか?

アッシャー: どうぞ。

レイエス: 5… 4… 3… 2… 1… 0!

[レイエスが制御盤のスイッチを入れ、クローニング装置を起動する。彼女が装置の診断結果を読み取っている間、アッシャーは装置そのものに故障の兆候が無いかを監視している。数分後、レイエスが口を開く。]

レイエス: アッシャー。

アッシャー: うん? 何が見える?

レイエス: 生命反応が… [笑顔になる。] 安定してます。それだけじゃありません、成長の初期段階に入りました。

アッシャー: [安堵の溜め息を吐く。] そりゃあ良かった。だがまだまだ終わりじゃないぞ。

レイエス: [アッシャーに笑いかける。] もう! 落ち込んだりすねたりする合間に多少はしゃいだって良いじゃないですか。それにほら、この坊やを見てくださいよ! [胚のライブ映像が表示されたディスプレイを持ち上げる。] キュートでしょ?

アッシャー: ああ、まぁな。 [かすかに笑う。] ほら、見たろ? 笑顔もちゃんと俺の予定に入ってるんだ。

[アッシャーとレイエスは共に笑う。]

アッシャー: ともかく、あー、記録に残そう。クローンの生命反応は安定しているようだ。誕生までこぎ着けるかはまだ様子見だが、いずれにしても大きく一歩前進できたよ。

[記録終了]


補遺 2082.2: 2021年4月11日、最初のSCP-2082クローン個体が誕生し、後ほどSCP-2082-1と指定されました。

[記録開始]

アッシャー: 準備は良いか?

レイエス: はい。始めましょう。

アッシャー: オーケイ。今日はこの装置の誕生プロセスを試験する。我々はこのスーツを着用し — [防護服を着用した自身とレイエスを身振りで指す。] — 予想されるSCP-2082個体の影響から身を守っている。

レイエス: 出てきます!

アッシャー: おっ! ちょうど良かった!

[レイエスが装置の開口部に両手を伸ばす。開口部を覆うフラップが開き、SCP-2082-1が現れる。レイエスはSCP-2082-1を掴み、抱きかかえる。レイエスのスーツに霜が降りる。]

レイエス: とっても小さい! 見てくださいよ!

アッシャー: 健常でない要素は?

レイエス: 異常性を除けば、今のところありませんね。 [バイタルモニターをSCP-2082-1に装着する。] 心拍数、呼吸、全て安定しています。

[数秒の沈黙。]

アッシャー: 信じられない。

レイエス: やりましたね! アッシャー、成功ですよ!

[レイエスがアッシャーを抱き締め、アッシャーは笑顔になる。]

アッシャー: まさか — ワオ。こいつは…

レイエス: 凄い事です!

アッシャー: ああ… もう- 本当にやってのけたぞ、レイエス。成功だ、全て上手く行った。

[レイエスがSCP-2082-1を腕の中であやしながら泣き始める。]

アッシャー: ちょ- ちょっとプロジェクト主任たちにメッセージを送って来るよ。ワオ。全く… ワオ。

[記録終了]

SCP-2082-1は無事に誕生し、大きな医学的問題は見つかりませんでした。SCP-2082-1はアッシャー博士及びレイエス博士の保護下で成長と発達を監視されています。なお、クローニング技術の長期的な副作用はまだ確認されていません。


補遺 2082.3: SCP-2082-1の発達の具体例として、様々な記録が当ファイルとサイト-43指導者層に提出されました。

[記録開始]

SCP-2082-1の年齢: 6ヶ月

[レイエス博士はSCP-2082-1の隣に座り、手で餌を与えている。]

レイエス: あのね、私はペットを飼ったことが無いの。母さんがイヌアレルギーで、父さんはネコに目を引っ掻かれたことがあったから、その2種類は問題外でね。

[レイエスはSCP-2082-1を撫で始める。]

レイエス: スナネズミとか、そういう小さな生き物を飼いたいって両親にお願いしたこともあったけど、いつだってすぐ逃げられてしまうだろうって言われるばかり。実は自分の家を持った時、モルモットを飼い始めたけど… 次の日には逃げられた。元気でやってると良いんだけどね。名前を付けてあげることもできなかった。

[SCP-2082-1は立ち上がって周囲をうろつき始め、やがて振り向いてレイエスを見つめる。]

レイエス: そんな目で見ないでよ、心配させてごめんなさい。大体、あなたに逃げられるような事があったら、それこそ大問題じゃない。それにあなたはとっても大きいし。ソファの下に隠れたりとかできないでしょ。

アッシャー: [収容ユニットの外から叫ぶ。] おーい、測定値はまだ出ないのか? プロジェクト主任たちが1時間以内に結果を欲しがってるんだ!

レイエス: [溜め息。] そうね。ごめん、あなたはペットじゃないの。あなたをペット扱いするのは止めにしなきゃ。

[レイエスは機材の電源を入れ、測定を始める。測定中、SCP-2082-1は彼女に歩み寄り、数インチ離れた場所で立ち止まる。しばらくして、SCP-2082-1はレイエスの腰に鼻を巻き付ける。]

レイエス: [笑う。] うわぁ! どうもありがとう。

[レイエスはSCP-2082-1を撫でた後、機材を片付ける。彼女は出口に向かって歩き始めるが、手前で立ち止まり、SCP-2082-1を振り返る。]

レイエス: また明日、会おうね?

[SCP-2082-1は鼻から大きな鳴き声を発する。レイエスは収容ユニットを退出する。]

[記録終了]


[記録開始]

SCP-2082-1の年齢: 9ヶ月

[アッシャー博士がSCP-2082-1の標準的な解析を実行している。]

アッシャー: よーし、いいぞ。全て正常のようだ。 [身震いする。] ポンコツ防護服め。それとも君かな。分からん。

[SCP-2082-1がアッシャーの片脚に鼻を巻き付ける。アッシャーは溜め息を吐き、それを外す。]

アッシャー: おいおい、止してくれ。俺はただ出入りしたいだけなんだ。 [記録を確認する。] 影響領域は現在… 15mか。

[SCP-2082-1が鳴き声を上げ、収容ユニット内を駆け回る。]

アッシャー: いいかい、レイエスは明日来るよ。俺は遊びたくないんだ、すまないね。

[アッシャーは機材を片付ける。]

アッシャー: それに、君に今後どう対処すべきか考え出さなきゃならないしな。収容ユニットの周りに半キロメートル幅の立入禁止区域を設けるのは、現実的な案かどうか分からない。

[SCP-2082-1はアッシャーに歩み寄り、脚に頭部を擦り付ける。アッシャーが金切り声を上げて飛び退く。]

アッシャー: それを止めてくれ! 冷たいじゃないか! いつも冷たいんだ… どうしてマリアは我慢していられるんだろう。

[アッシャーは出口に向かって歩く。]

アッシャー: …いつだって冷たすぎる。

[アッシャーは収容ユニットを退出する。]

[記録終了]


SCP-2082.jpg

収容ユニット内のSCP-2082-1。

[記録開始]

SCP-2082-1の年齢: 1歳

[レイエス博士が温度を測定している間、SCP-2082-1は彼女の周囲を歩き回っている。]

レイエス: ここはどんどん寒くなってきてるし、周りは何処もかしこも同じ。 [微笑む。] あなたをもっと広い部屋に移さなきゃね。でも、その前に…

[レイエスは部屋の隅に置かれたバッグを掴む。]

レイエス: サプライズプレゼントを用意したの!

[レイエスは赤いボールを取り出す。]

レイエス: お誕生日おめでとう! あなたへの贈り物! 特殊な封止剤を使った誂え物だから、こう、凍り付いて割れたりはしないはずだよ。これで、ええと… 遊んでほしいな、例えば… 蹴ったりとか… [短い沈黙] うん、まぁただのボールだけど、マンモスがどういう物で遊びたがるか正直よく分からないから、私たちが傍に居ない時用のおもちゃが必要かなって思ってね。

[レイエスはSCP-2082-1に向かってボールを軽く投げる。ボールはSCP-2082-1の頭に当たって弾み、SCP-2082-1はボールに向かって歩き始める。]

レイエス: ほら! 良かったらキャッチボールして遊ぼう。さぁ。

[レイエスは両手を広げる。一瞬の間を置いて、SCP-2082-1は鼻でボールを打ち、レイエスがいる凡その方向に転がす。彼女は手を伸ばしてそれをキャッチする。]

レイエス: その調子! [拍手する。]

[レイエスとSCP-2082-1は数分間、お互いにボールを転がし合って過ごす。やがて、アッシャー博士が収容ユニットに入場する。]

アッシャー: おやっ! 何をしてるんだ?

レイエス: ちょっとキャッチボールで遊んでたんです。一緒にどうですか?

アッシャー: 実を言うと君を探していたんだ、今週の報告書をまとめなきゃならない。それと、その、ボールは本当に大丈夫か? 何だか…

レイエス: ねぇ、いいじゃないですか! 独りぼっちの時に何かやる事があればと思ったまでです。それに、せっかくの誕生日なんですよ。

アッシャー: つまりだね… まず話し合って決めるべきだったと思うよ。大した事ではないとも。ただ — あいつは今でもSCPなんだぞ。

レイエス: ええ、知ってますとも。でもまだ正午でしょう、報告書に取り組む時間は後からたっぷりありますし、この子にも娯楽が必要です。それに、あなただってちょっと羽を伸ばしてもバチは当たりませんよ。 [自分の横の床を軽く叩く。] ねぇ、ちょっとぐらいいいでしょう? ね?

アッシャー: 分かったよ。 [軽く微笑む。] しかし、防護服を着ていても寒気がするんでね… あまり長居はしないつもりだ。

レイエス: ご心配なく! 3人で少しのんびりするのも良いものですよ。 [SCP-2082-1を軽く撫でる。SCP-2082-1は穏やかな鳴き声を発する。] ほら、まるで小さな家族みたい!

[アッシャーが笑う。レイエスはボールをアッシャーに転がし、彼はそれをSCP-2082-1に転がす。数分後、アッシャーは立ち上がって退出する。]

レイエス: さてさて。彼も楽しんでくれたと思う。あの人には絶対息抜きが必要だもの。 [SCP-2082-1の耳の裏を掻く。] 仕事熱心すぎる… 私が怠けているだけかもしれないけど。 [沈黙。] 私もそろそろ行かないと。確かにここ最近は少しルーズになってきてる。

[レイエスが立ち上がる。SCP-2082-1は穏やかに鳴き、彼女の脚に鼻を巻き付ける。レイエスはSCP-2082-1の鼻を優しくさすり、脚から外す。]

レイエス: 分かってる、私も寂しい。でも楽しかった! 必ず戻って来るからね、これは約束!

[レイエスはSCP-2082-1を撫で、ドアに向かって歩き、SCP-2082-1に手を振りながら退出する。SCP-2082-1は鼻を振って挨拶を返す。]

[記録終了]


[記録開始]

SCP-2082-1の年齢: 1歳4ヶ月

[SCP-2082-1がボールで遊んでいる間、アッシャー博士が定期解析を行っている。彼は目に見えて震えている。]

アッシャー: オーケイ。入って、で- 出る。さっさとしてくれ、バ- バイタルサイン、温度…

[アッシャーは呟き続けている。SCP-2082-1が歩み寄り、アッシャーの脚に鼻を巻き付けようとする。]

アッシャー: [悲鳴。] 冷たい! 冷たい!

[アッシャーは荒々しく身を振り解き、SCP-2082-1を突き放す。彼は脚を両手で庇い、SCP-2082-1に顔を向ける。]

アッシャー: それを止めろ! 痛いと言ったはずだぞ!

[SCP-2082-1は部屋の隅に退却する。]

アッシャー: 俺は仕事をしに来ただけだ! ここだけでなく、今じゃた- 建物中がどこもかしこも冷え切ってるだけでもやりきれないのに、自分から凍傷を負わせようとしなくたっていい!

[SCP-2082-1は弱々しく鳴き、アッシャーから顔を背ける。アッシャーは溜め息を吐く。]

アッシャー: いや。すまなかった。ちょ- ちょっとな。 [座り込み、測定結果を確認し始める。] いいかい、レイエスとだったら、好きなだけじゃれてくれて構わないんだよ。彼女があくまでプロトコルに違反して、君をペット扱いする気なら、勝手にすればいいさ。でも俺には仕事がある。だから—

[アッシャーは新たに編纂されたデータを注視し、時折SCP-2082-1を横目で見る。]

アッシャー: そんな…

[アッシャーは独り言を呟きながら行ったり来たりし始める。]

アッシャー: 良性ならいいんだが、そうは見えない… 失敗したと管理官に伝えるべきか? もう一度やり直すのか? 3年以上かけた仕事だ、レイエスだって— [立ち止まり、SCP-2082-1を見る。] マズいな。彼女はきっと… どうしたら—

レイエス: [収容ユニットの外から] 大丈夫ですか? 叫び声が聞こえましたよ!

アッシャー: 大丈夫! ちょ- ちょっと転んだだけだ! [腕組みをして呟き続ける。] こうなったら — いや、ダメだ。彼女が納得してくれるわけがない、しかし… [SCP-2082-1が先ほど触れた脚を擦る。] どうにかしなきゃならない。

[記録終了]


補遺 2082.4: 以下はアッシャー博士が招集したプロジェクト会議の関連議事録であり、記録管理のためにこの文書に掲載されています。

[記録開始]

レイエス: 嘘、嘘、嘘! 信じられない!

アッシャー: マリア、いいか—

レイエス: いったい何を考えてるんですか? そこら中に霜が張ってるから全てをやり直したいと? このプロジェクトを始めた時、どんな事が起こるか正確に分かってたはずでしょう!

アッシャー: そういう話じゃ—

レイエス: 実習生があなたにコーヒーをこぼしたりしなくて本当に良かった。もしそんな事があったら、きっとあなたは考える暇も与えずにその実習生をKeter任務送りに—!

アッシャー: レイエス、あいつは死にかけているんだ

レイエス: だから銃で頭を撃ち抜くのが解決策だと? 感傷的な言い訳は止めてください! あなたがどれだけあの子を嫌ってたか、お互いによく分かってます! これは倫理や効率の問題じゃなくて、あなたが身勝手で意気地なしなだけです。

アッシャー: 俺がただあいつを死なせたいからこれを提案したと言いたいのか? 俺をそこまで浅ましい人間だと思ってるのか? 君の心を傷つけるだろうと気付いて、最新情報を明かすのにどれだけ苦悩したか — どんな対策が正しいと考えているか、君に伝えるのがどれだけ心苦しかったと思う?

レイエス: 部屋が寒いとか何とか、あの子に対する文句は色々と耳にしました。自分で殺したくはないのかもしれませんが、別な解決策を探したいと感じるほどの関心は全く持ち合わせてない。

アッシャー: もし心臓外科医をマイナス50度の環境に派遣できると、ましてや承認されるとでも思うのなら—

レイエス: じゃあ諦めるんですか? あの子を見殺しにする?

アッシャー: 俺がこんな成り行きに満足してると思うか? 3年間のプロジェクトを白紙に戻すんだぞ?

レイエス: 今ははっきりそう思います。あなたにとってはプロジェクトが全てなんですね。

アッシャー: そうとも。それが我々の職務だ。

レイエス: 私たちの職務は調査と、研究と、それらを倫理的に行うことです。もしかしたら私は感情移入し過ぎているかもしれません。でも少なくとも、私には思考力を持つ生きた動物を、ただの過剰なゴミの山のように殺処分しないだけの分別があります。

アッシャー: 君は確かに感情移入し過ぎだ! こんな事を言うのは残念だが、誰かが周りに気を配る必要がある! あいつを救おうとすれば、余りに多くのものを危険に晒す。

レイエス: 何を危険に晒すって言うんですか? 本当に、本当に最悪の事態があるなら、それは手術の失敗です。そんなのは嫌です、とてもとても嫌です、でも少なくとも私たちは試みることができる!

アッシャー: だったら手術を担当する外科医たちはどうなる? あんな低温環境での作業が可能だとしても、危険すぎる。そして仮に、どうにか全てが完璧に進んで、あいつの命を救えたとしようか。すると我々は歩き回り、成長する吹雪がいずれ収容違反する日を待つことになる!

レイエス: 他所に移すとか、どうにかできるでしょう! 何故そう熱心に諦めようとするんですか?

アッシャー: 誰にも怪我をしてほしくないんだよ! 君に怪我をしてほしくない!

[短い沈黙。]

アッシャー: [溜め息。] じゃあ、こうしよう… この問題を他の誰かに委ねるのはどうだ? 我々はお互いに自分のやり方に固執し過ぎてる、中立の第三者に介入してもらうべきだ。我々は—

レイエス: あなたがやってください。

アッシャー: 分かった。俺はこの件から手を引き、解体処分要請を出す。君は反論を提出してくれればいい。

[長い沈黙。]

レイエス: いいでしょう。ただし1つ条件があります。

アッシャー: 何だ?

レイエス: もし解体部門があなたの要請を受理せず、私たちがあの子を救うことができたら… あなたにはこのプロジェクトを降りてもらいたい。私が全権を握れるように。

[短い沈黙。]

アッシャー: いいだろう。分かった。でも俺は、この件で君と対立し続けるつもりは無い。もし俺の要請が受理されたとしても… 君を追い出したくはない。君に去ってほしくない。

レイエス: 関係ありません。受理されたら、私は自分でプロジェクトを辞めます。結果がどうであれ、もうあなたと一緒には働きたくありません。

[記録終了]


補遺 2082.5: 以下はアッシャー博士が解体部門に提出した要望書と、レイエス博士が添付した反論です。

SCPオブジェクト解体提言フォーム


アイテム番号: SCP-2082-1

オブジェクトクラス: Keter

主任研究員: C. アッシャー博士、M. レイエス博士

支持する職員*:

  • H. ブランク管理官 - サイト-43運営代表
  • K. サムソン博士 - サイト-43プロジェクトマネジメント代表

あなたの提言を提出する理由に関して、該当するボックスにチェックまたは書き込んでください:
☑ 捲くられたヴェールシナリオの過度に高いリスク
☑ 過度な危険度
☐ 解体可能なApollyonクラスオブジェクト
☐ 費用
☑ 必要な収容に関する倫理的懸念
☐ 法的懸念
☐ K-クラスシナリオの高いリスク (該当する場合、どのタイプか(複数可)を記入してください:____)
☑ その他 (記入してください):

概要: SCP-2082-1の異常性の影響領域は着実に拡大しており、成獣に達する頃には最大半径250mに至ると予測されます。影響範囲が物理障壁に妨げられないため、この効果は抑制・隠蔽が難しく、収容体制の完全性と監督職員の双方を危険に晒します。

加えて、SCP-2082-1はクローニング工程の欠陥に起因する大動脈瘤を発症しています。収容違反のリスクに関係なく、倫理的な懸念から、SCP-2082-1を終了処分すべきであると勧告します。SCP-2082-1の外科手術も検討しましたが、その異常性は手術を試みる職員にとっての障害となり、また危険でもあります。

究極的には、危険を伴う医療手術の実行や、将来的な収容違反の可能性を残すよりも、収容リスクを削減し、SCP-2082-1が苦痛なく死ねるように、できるだけ早急に終了するのが望ましいと考える次第です。 - C. アッシャー博士

付記: SCP-2082プロジェクトの対等なパートナーとして、私はSCP-2082-1を終了するという同僚の無分別な勧告に反対します。リスクはアッシャー博士が主張するほど重大なものではありません。また、収容は時間と共に多少困難になるかもしれませんが、SCP-2082-1は如何なる敵意も示しておらず、収容下から逃走する意欲を持たないため、潜在的な脅威となる可能性は更に低いと見做すことができます。SCP-2082-1の苦痛を放置することは倫理に反しますが、他の選択肢があるにも拘らず終了するのもまた非倫理的です。

SCP-2082-1の手術は、彼の異常性を考えると例外的な処置でしょうが、この状況への最も好ましい対処法でしょう。この部門と財団全体において、意図的な終了処分は常に最終手段と見做され、膨大な時間と資金が異常存在の維持と介護に注ぎ込まれてきました。SCP-2082-1が例外扱いされる理由は何も無いと考えます。 - M. レイエス博士

*レベル3以上のクリアランスが必要です。

1週間後、解体部門は本件への公式な裁定を下しました。以下はその書き起こしです。

C. アッシャー博士及びM. レイエス博士へ、

この提言が提出された経緯は異例のものだった — 解体提言を巡る監督職員たちの意見の相違はよくあるが、通常は提出前に解決している。今回の論争は君たち2人の信用を損なうものではなく、我々は喜んでこの議論の解決に協力する所存である。本件については双方の観点から徹底的に検討したので、安心していただきたい。SCPオブジェクト、とりわけ生命と知覚力を有する実体の終了は軽々しく実行できるものではなく、なるべく避けたい行為だ。確かに、問題の実体は悪意を持たず、収容下の他の多くのオブジェクトと違って、現状に留まることに完全に満足しているように思われる。

しかし、それはアッシャー博士の懸念事項を否定しない。SCP-2082-1は、その意図とは関係なく、近接する職員にとって極めて危険な生物だ。無論、このリスクは軽減可能であり、普通の状況でさえあれば、SCP-2082-1が呈する危険性は当初の主張ほど高くないというレイエス博士の意見に、我々も同意する。しかし、今回の状況は例外である。SCP-2082-1は現在深刻な健康問題を抱えており、このまま放置すれば死に至る可能性が高い。残念ながら、その極低温特性は、手術がほぼ不可能であることを意味する。手術の実行は担当職員にとって重大なリスクであり、防護装備の量も手術の精度と有効性を大きく制限するだろう。このリスクと、手術が失敗する公算は、我々には受け入れ難い。

従って、次のような選択肢が残される。実体を今すぐに終了するか、自然死を (恐らく苦痛と共に) 迎えるのを待つか。これを念頭に置いて、我々はSCP-2082-1の解体処分こそが適切な行動であると厳粛に判断した。終了措置はちょうど1週間後の2022年9月6日に執行される。

敬具、解体部門 カルヴィン・ボールド管理官


補遺 2082.6: SCP-2082-1に関して申し立てられた要請のログ。

要請: SCP-2082-1の終了の再考。

提出者: M. レイエス博士

ステータス: 却下

要請: SCP-2082-1が必要とする医療措置を行い、成功した場合は解体処分を再考する。

提出者: M. レイエス博士

ステータス: 却下

要請: SCP-500を用いたSCP-2082-1の治療。

提出者: M. レイエス博士

ステータス: 却下

要請: SCP-2082-1が終了前に一時的に収容ユニットを離れる許可。

提出者: M. レイエス博士

ステータス: 却下

補遺: レイエス博士にサイトの認可を受けたセラピストを割り当てることが推奨される。


補遺 2082.7 (事案報告書): 2022年9月4日の1:00 A.M.頃、SCP-2082-1は収容違反しました。以下は、サイト-43各所を映した複数の監視映像から編纂された当該事案の要約版ログです。

[記録開始]

[場所はSCP-2082-1の収容ユニット。SCP-2082-1が眠っているところへ、防護服を着用した人物が入場してくる。照明が点き、バイザー越しにレイエス博士の顔が見える。レイエスはSCP-2082-1に近付き、優しく揺さぶる。]

レイエス: [囁く] ほら、良い子。起きる時間だよ。

[SCP-2082-1が目覚め、立ち上がる。SCP-2082-1は微かに鳴き声を発し始める。]

レイエス: シーッ!

[SCP-2082-1は静かになる。]

レイエス: 今日は他所に引っ越さなきゃいけないの。でもすごく静かにしてないとダメ、分かった?

[レイエスはSCP-2082-1を出入口へと案内し、観察室に入る。SCP-2082-1はテーブルの上の皿に残ったチップスを食べようとするが、レイエスがそれを引き離す。]

レイエス: ご飯の時間は後でちゃんとあるよ、約束する。あなたのためだけに、おやつをたっぷり用意するからね。

[レイエスとSCP-2082-1は前哨基地を出て、特に何事もなくサイト-43を囲む外周フェンスへと向かう。到着すると、レイエスはワイヤーカッターを取り出し、金網フェンスを切断し始める。]

レイエス: あともう少し、もう…

[近くの監視塔のスポットライトがレイエスとSCP-2082-1を照らす。数秒後、収容違反警報が鳴り響き、サイト-43職員に彼女らの居場所を知らせる。SCP-2082-1が大声で鳴く。]

警備員: [拡声器で] 止まれ! 身を引いて投降し、アノマリーを引き渡せ、さもないと撃つ!

レイエス: ダメダメダメ、さぁ早く!

[レイエスはフェンスを切り終え、SCP-2082-1をその向こうへ誘導する。彼女とSCP-2082-1は走り始める。近場の警備員らが発砲するが、命中しない。間もなく、保安職員が収容違反の現場に到着する。]

[記録終了]

サイト-43職員が追跡を開始しましたが、SCP-2082-1は発見されていません。上記の事案報告書は速やかに提出され、動員可能なエージェントが周辺領域の捜索を開始しました。


補遺 2082.8: 事案後の11:13 A.M.、エージェントらはサイト-43から約2マイル離れた森林地帯で、SCP-2082-1の死骸の前に跪いているレイエス博士を発見しました。レイエスは捕縛され、死亡が確認されたSCP-2082-1は確保されました。死後、SCP-2082-1の異常性は失われていました。

レイエス博士は懲戒審査を受け、1年間の無給停職とレベル2への降格処分を科されると共に、サイト-43所属精神科医とのカウンセリングを義務付けられました。当初はより厳正な処罰が検討されましたが、本件以外では潔白な経歴と、当時明らかに精神的苦痛を受けていたことに鑑みて、最終的に却下されました。

SCP-2082-1-DのオブジェクトクラスはDecommissionedに更新されました。死骸の検死解剖で、SCP-2082-1-Dは動脈瘤破裂によって死亡したと結論付けられました。破裂の理由は推測の域を出ないものの、収容違反を試みた際の極度のストレスによる異常な高血圧が原因となった可能性が高いと考えられます。

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