
SCP-2091-JP
アイテム番号: SCP-2091-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-2091-JPの発生条件を満たした催事には、クラスW記憶補強薬を服用した監視員が観客に扮して派遣されます。
SCP-2091-JPの発生が確認された場合、発生地から最も近いサイトに駐留する機動部隊から催事の規模に合わせて5名から10名選抜し、現場での鎮圧および目撃者への記憶処理/撮影記録の抹消に当たって下さい。選抜される機動部隊員は馬術の心得がある者を優先して下さい。
隠蔽部隊-に-3(“花蟷螂”)はWeb上の掲示板/SNS/動画サイト/ファイル共有サービスを周回し、SCP-2091-JPが記録された画像/映像のアップロードおよびSCP-2091-JPの存在についての発言が為されていないか監視します。該当する案件が確認された場合、削除ならびに適切なカバーストーリーの流布・発信者の特定および聴取が実施されます。
説明: SCP-2091-JPはレベルVII-α-動物霊型実体1です。馬齢3歳ほどの、月毛のスタンダードブレッド(Equus caballus)の形態をとります。SCP-2091-JPは世界中で行われる、最低でも50名以上の集客が見込まれた、ウマ科動物(以下、馬)を利用する催事2に不規則に出現します。SCP-2091-JPは本来その場に存在する筈であった馬と未知の手段で瞬時に入れ替わる形で姿を現しますが、本来であれば別の馬に騎乗予定であった騎手を含め、現場に居合わせた人間は一切の疑問を感じません。出現の際、当該の馬が身に付けていた鞍やゼッケン、遮眼革などの装備はSCP-2091-JPに移ります。
SCP-2091-JPは自身の背にヒト(Homo sapiens sapiens)が騎乗した状態で競技が始まると高い攻撃性を発露し、激しく嘶きながら急加速/急停止を繰り返す、飛び跳ねる、壁に衝突する、後脚で立ち上がるなど、あらゆる手段を用いて騎手を振り落とそうとします。これにより騎手は転落し、大抵の場合は致命傷を負うか死に至ります。202█年の時点で死者██名、高次脳機能障害/半身不随などの後遺症を伴った重傷者██名が報告されています。
騎手を振り落とし終えたSCP-2091-JPは攻撃性を失い、約1〜2分間ほど闊歩した後、雲散するように消失します。SCP-2091-JPが消失した後、入れ替わりで消失していた馬は会場内の厩舎に消失時と変わらない状態で出現します。また、競技への出場が阻害された場合も、SCP-2091-JP/消失していた馬は同様の方法で即座に消失/出現します。SCP-2091-JPが消失した段階で現場に存在する人物への精神影響は失われ、本来出走する筈の馬が別個体に入れ替わっていたことを理解します。
収容以前のSCP-2091-JPの発生事案はしばしば“凶暴な殺人馬の霊”として一部の馬上競技関係者や競馬ファン、心霊マニア等の間で噂となっていました。財団フロント企業である出版社/放送局を利用した情報統制により、収容プロトコルの確立後は極めて信憑性に欠けたオカルト話として収束しています。以下、当時オカルトライターとして活動していた人物に聴取を行った際の記録です。
発見経緯: SCP-2091-JPは2012年12月、日本・██県の████競馬場において、現場に居合わせたフィールドエージェントからの報告により初めて財団に観測されました。騎手が落馬により死亡し、またSCP-2091-JPの消失を目撃したことでパニックに陥った観衆には応援で派遣された隠蔽部隊-ふ-10(“草蜉蝣”)によって標準野外用-クラスG記憶処理薬4が霧状散布されました。騎手の死亡は通常の落馬事故として処理されました。
補遺: 2019年█月、アメリカ・アーカンソー州の██████競馬場にSCP-2091-JPが発生した事案において、SCP-2091-JPを指して「たまげた、ありゃ俺の馬だ!」と観客席から声を上げた男性に対しインタビューが実施されました。
事件記録-2091-█: 2021年█月██日、フランス・カルヴァドス県の███にて開催された馬術競技会においてSCP-2091-JP、およびSCP-████-FRの収容違反が発生しました6。競技の開始と同時にSCP-2091-JPは従来と同様に暴れましたが、3分ほど経過すると突如静止し、困惑/動揺しているような素振りを見せました。その後SCP-2091-JPはゆっくりと横たわり騎手を地面へ下ろすと、消失しました。機動部隊は消失から15分ほど遅れて現場に到着しましたが、SCP-████-FRの持つ異常性により会場内の人間は競技開始から2分ほど経過した段階で深い睡眠状態に入ったため、この事案においては記憶処理を行わず設置された定点カメラの映像を消去することで対処されています。