SCP-2098-JP
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SCP-2098-JPを目視可能な空(画像内には推定3500匹以上)

アイテム番号: SCP-2098-JP

オブジェクトクラス: Ogiel1

特別収容プロトコル: その総数の膨大さからSCP-2098-JPの収容は不可能ですが、仮に収容の完全な達成が為された場合、それは全世界で有益な影響を及ぼしているSCP-2098-JPの異常性が喪失する事を意味します。これによる大規模な混乱は人類の知性退行及び凶暴性の激化を招きかねない為にSCP-2098-JPの収容は達成されるべきではありません。この事から一般社会に対するアプローチは既成のカバーストーリー「空を見る事による精神安定効果」を流布するのみに留まります。

担当職員はSCP-2098-JPが何らかの要因によって消失し、異常性やカバーストーリーの崩壊を招くような事態の回避を目的に研究し続ける必要があり、これに関する全ての試みはO5評議会と財団内に創設された霊体学専門学会の決議を考慮した上で行われます。

SCP-2098-JP霊体に関する情報を一般社会へ流布する事は如何なる場合においても終了処分の対象となります。インターネットやSNS等の情報は財団製Webクローラを用いて常に監視され、関連情報が発見された場合は即時の削除と拡散者の身元の特定、然るのちに記憶処理を行ってください。

説明: SCP-2098-JPは地上6000mの空域に発生するクラスC霊的実体群の総称です。ハルトマン霊体撮影機を用いて行われた観察実験の結果から、SCP-2098-JP個体はシラコバト(学名:Streptopelia decaocto)とほぼ同一の外見である事が判明しています。SCP-2098-JP群は常に東の方角へ100km/hの速度で飛行しており、それ以外の生理的行動を行う事はありません。SCP-2098-JPの存在は全世界の空で発見されていますが、それらの発生・消失の瞬間は現在までに確認されておらず、現状の有力な説として、

  • 財団が認知できていない特定の空域から発生している説
  • 死亡したシラコバトが霊体となり、現在まで飛行し続けている説

が挙げられていますが、どちらも推測の域を出ません。

SCP-2098-JPの異常性は、

  • 空が晴天状態でSCP-2098-JPの存在する空域を目視できる事。
  • SCP-2098-JPの存在する空域を目視した人間(以下、対象と呼称)が精神的に疲弊した状態である事。
  • 対象が無為な状態2である事。

上記の条件が揃った場合にのみ活性化します。この時、対象の感覚意識は瞬間的に視界内のランダムなSCP-2098-JP個体と共有されます。この際対象は0.3秒〜10秒の間、感覚を共有する個体の視界3や風を受ける感覚等を擬似的に体感します。この間、対象の肉体は他者からの呼び掛けや接触といった感覚的刺激に対して鈍感になります4。異常性の終了と共に感覚共有時の記憶は喪失されますが、記憶補強剤の投与により一時的な記憶保持が可能です。

この過程で対象は、異常性の曝露以前と比較して精神的負荷が大きく軽減された状態になり、自発的に異常性から解放されます。解放後は時間経過と共に精神的負荷の軽減作用が薄れていき、最低でも2時間でSCP-2098-JPに曝露する前の状態に戻ります。これは財団が行った実験と一般社会で行われた複数のアンケート結果から確定的な事項とされています。なお、この異常性が人間だけでなく他の生物にも共通して発生する異常性なのかについては不明です。

SCP-2098-JPの総個体数は明確には判明していないものの、長期的な観察と統計学に基づいた算出では140兆匹を超えると予想されています。これは空を目視でき、晴天状態であれば、世界の如何なる場所であってもSCP-2098-JPを目視してしまう状態である事を意味しています。現状、人類のほぼ全個体がSCP-2098-JPの異常性に曝露していると推測されています。

発見経緯: SCP-2098-JPはハルトマン霊体撮影機を用いた他の霊的実体アノマリーの収容時に偶発的に観測された事で財団の注意を引きました。この際に撮影された写真の空には、霊体を撮影した際と同様の反応が微小な点として描写されました。当該事態の発生はハルトマン霊体撮影機の実用初期段階であった為、機器の不備や霊体撮影の為に自然発生するカメラの効果という意見も見られましたが、晴天状態の空を撮影した場合にのみ同様の現象が発生する事が間もなく発覚し、急造で製作された望遠型での撮影によってSCP-2098-JPの存在が明確なものとなりました。

その後も財団は異常性の研究の為に長期的にSCP-2098-JPの観察実験を行いましたが、この過程で観察実験を行なっていた担当職員が他の職員よりも精神的に安定している事、精神疾患を持つ担当職員の全体的な症状改善が見られた事などから、精神に影響を与える異常性を有する可能性が考慮され始め、発見から6年後、記憶補強薬を投与した職員によるSCP-2098-JPの複数回にわたる観察実験から上記の異常性が発覚しました。

補遺: 財団職員の円滑な業務遂行を目的に、重度の心的外傷を負った職員をSCP-2098-JPの定期観察任務に当たらせる特例措置がO5評議会の決議によって正式に策定されました。当措置の有用性を示す為に重度の精神疾患と診断された複数の財団職員をSCP-2098-JPの異常性に数日間曝露させ続けた所、通常の精神治療の230%以上の速度で改善され、その後の経過観察にも全く異常が見られなかった事が策定を後押しする形となりました。現在に至るまで世界各地の財団の支部で実施されているこの措置は、財団の円滑な業務遂行の一助として機能し続けています。

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