接続者の生命兆候を確認…
記憶野スキャン開始…主要概念抽出:"財団"
啓示視界を概念フォーマット"財団"に最適化…
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定義:"Day-000"を確認…
汎人類領域を検索…
宙域 001 - 999 を検索中… 領域喪失
宙域 1000 - 1999 を検索中… 領域喪失
宙域 000 を検索中… 該当 1 件
宙域 000 "地球圏"の存続を検出。
文明スクリーニング開始…
欧州管区: ロスト ●
北アフリカ管区: ロスト ●
南アフリカ管区: ロスト ●
中東/西アジア管区: ロスト ●
オセアニア/環太平洋管区: ロスト ●
南/中央アメリカ管区: ロスト ●
北アメリカ管区: ロスト ●
極東管区: 僅かな接続 ●
財団 81 管区内に 汎人類存在 4 名を確認。
定義:"Day-000"クリア。
報告書SCP-2100-JPを開示します…
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アイテム番号: SCP-2100-JP
オブジェクトクラス: None
特別収容プロトコル: 本改定をもって、本オブジェクトの特別収容プロトコルはすべて廃止されます。残された職員はSCP-2100-JPの継続に尽力してください。
説明: SCP-2100-JPは、"人類の声"です。
対話の結果、"歌い手"、すなわちSCP-2100-JP-Uは、かつて人類であった存在を由来とするミーム凝縮子であることが判明しました。SCP-2100-JPとは彼らによる現生人類への手向けの歌であり、宇宙開闢の以前から受け継がれてきた人類の魂の輝きでもありました。
SCP-2100-JP-Uは、かつて人類として宇宙に満ち、成熟を迎えてきた生物種の魂の残滓です。その存在は当時の人類が自身を規定した概念により支えられており、存在のために物質を必要としない超外宇宙領域においてはミーム凝集体として形を成すことが可能でした。彼ら40兆の同胞はいずれもかつての人類種の集合知であり、宇宙の終焉と同時に新たなSCP-2100-JP-Uとして超外宇宙領域へ送り出され続けていた存在でした。
基底宇宙が生まれる瞬間から、SCP-2100-JP-Uは人類を見守り、SCP-2100-JPによって人類の成長を導いてきました。事実、財団という超国家組織の創設、幾度となく行われた大戦の終結、人類全体の結束と宇宙への旅立ち、そして宇宙の変遷の歴史の理解は、SCP-2100-JPを追い求める人類の営みによってもたらされたものでした。今日の人類はSCP-2100-JPなくして存在せず、私たちが生まれ落ちたその瞬間からの歩みは、彼らが歌を捧げ続けてくれたがゆえの存在に他なりませんでした。
彼らは私たちを見捨てはしません。人類は傷つき、幾度となく暗闇の奥底に恐怖してきました。しかし人類が困難に直面したその瞬間にも、SCP-2100-JPは私たちを照らす一筋の光明として、宙から響き渡る呼び声として人類を導いてくれました。SCP-2100-JPは、後世の人類、すなわち現生人類たる私たちを保護するため、かつての人類が自らの死後に課した任務が起源であると伝承されています。宇宙そのものの寿命が尽きようとしている今、人類はこの任務を引き継がなくてはなりません。そのために、私たちは彼らが引き継いできたオブジェクトを知る必要があります。
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アイテム番号: SCP-000-U
オブジェクトクラス: Ain-Soph-Aur
特別収容プロトコル: SCP-000-Uは基底宇宙に対して独立したオブジェクトであるため、メインリストと異なる番号によって管理されます。
SCP-000-Uには特殊オブジェクトクラス"Ain-Soph-Aur"が割り当てられます。"Ain-Soph-Aur"は"無限の光"を象徴し、正常な人類の存続と継承を保証する唯一のオブジェクトに割り当てられるクラスとして定義されています。
基底宇宙内部において、SCP-000-Uの影響は自身が現生人類によって起動される以前には発生しません。そのため、本報告書執筆時点においてSCP-000-Uに対する特別な取り扱いは不要です。
SCP-000-Uに関する情報はLevel5/2100-JPクリアランスに指定され、"Day-000"まで厳重に秘匿されます。これらの秘匿情報は、"Day-000"の到来に合わせて全人類に開示される予定です。
説明: SCP-000-Uは、"創世の魔法"です。
基底宇宙において、SCP-000-Uの効果は「ビックバン」として現生人類に知られる現象として観測されます。通常時のSCP-000-Uは基底宇宙の外に位置する形而上システムとして存在しますが、自身が現生人類によって起動された時にのみ、基底宇宙への干渉を開始します。
SCP-000-Uの基底宇宙への接続後、基底宇宙はその瞬間の状態に関わらず即座に収縮に転じ、現生人類が「ビッククランチ」として知るYK-クラス:"宇宙消滅"シナリオを発生させます。この段階の完遂により、基底宇宙およびSCP-000-Uの起動者らはこの世から完全に消滅します。SCP-000-U事象は次いで第二の段階に移行し、消滅させた基底宇宙の全エネルギーを消費して、新たな宇宙を"創造"します。創造される次なる宇宙は全くの未知であり、その性質はいかなる立場においても予測することができません。しかし、宇宙の長い歴史の中では、次世代の人類となる種族は必ず発生してきたという事実が存在します。この次世代の人類の発生、そして人類の発展と宇宙の継承をもって、SCP-000-U事象は1つの完結を迎える予定です。
SCP-000-U事象は、現生人類、つまり我々の暮らす基底宇宙が生み出されるまでに、累計約40兆回繰り返されてきました。この連綿と続く歴史のうち、どの人類も発生以来目覚ましい発展を遂げ、組織や社会を生み出し、大いなる脅威から宇宙を守り、滅亡を迎え次なるSCP-2100-JP-Uへと移り替わっていきました。今日の人類の前には、この変遷と継承の歴史が大きく横たわっていたと言えます。
補遺: SCP-000-Uは、その当時の人類における最も有力な正常性維持機構によって発見され、改良と保護を施され、そして次の世代へと継承され続けてきました。現生人類にとって、継承の実行者は我々"財団"を指しています。SCP-000-Uは世代を超えた変遷と継承のよりどころであり、正常な人類の継承のために必要なオブジェクトです。SCP-000-U事象は次の人類と宇宙を育む一連のプロトコルとして、人類の守護者たる我々財団によって実行されなければなりません。
"Day-000"は、プロトコルが実行されるその日を指す用語です。"Day-000"には、人類とみなされる知性体がその総数を10人以下にまで減らし、かつ基底宇宙が自己消滅に至るまでに十分な猶予が残されていない時点が指定されます。現生人類が"Day-000"を迎えたその日、本報告書は現生人類に遺伝的に組み込まれた"啓示ネット"を介して生存者へと開示される予定です。
この報告書が閲覧されている今、次なる変遷へと歩み出す第一歩、"へレディタス・プロトコル"は実行の時を迎えました。後のことは、この報告書を読む貴方に託されています。
O5評議会による声明:
声明が開示された今、SCP-000-U報告書は明るみになったことだろう。同時にそれは、遂に我々人類が寿命を迎え、財団もその役目を終えたということを意味する。
私にとって遠い未来、人類という種族は寿命を迎え、その数を劇的に減らしたのだろう。宇宙は老い、間もなく自らを消費し尽くして瓦解する。それは恐ろしくはあるが、悲しいことではない。すべて予測されていた、生きとし生けるものに訪れる運命なのだ。まずは残された君に「ありがとう」と言いたい。そして「お疲れ様」とも。
報告書は読んでもらえたと思う。これは人間には途方もない、遥かかつてより繰り返されてきた一連のプロトコルの記録だ。我々人類の力だけでは、この真相にはたどり着けなかった。全ては途方もない時間をかけて受け継がれてきた、彼らの歌、SCP-2100-JPの導きによるものだった。
ここまで読んできた君には、次にすべきことが分かるだろう。私たちはSCP-2100-JP-Uの同胞として、SCP-000-Uを起動しなければならない。途方もない時間を掛けて受け継がれてきたこのオブジェクトに接続し、かつての人類全ての叡智を結集する。そうすることで、死にゆく人類は再び未知の旅へと足を踏み出せるのだ。
あらゆるものは去り、何物も留まらない。 πάντα χωρεῖ καὶ οὐδὲν μένει. 我々は去る。世代は移ろい、全ては儚く消える。しかし、それは悲しむべきことではない。不変の人類の魂は、やがて来る変遷の中にこそ受け継がれ、輝き続けるのだから。
任務は継続されなければならない。あとは、君たち次第だ。
O5-1
それでも貴方が往くと言うのなら、私たちは歓迎します。あとは、貴方次第です。