SCP-2103-JP
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アイテム番号: SCP-2103-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2103-JPの一般家庭への配達を阻止するため、機動部隊ほ-4("クロヤギ郵便局")は全国の郵便物を検閲し、SCP-2103-JPを回収してください。回収されたSCP-2103-JPは、██博士が内容を確認した後に焼却処分されます。SCP-2103-JP曝露者の発生が確認された場合、現地フィールドエージェントによって直ちに身柄を拘束してください。

説明: SCP-2103-JPは普通郵便にて日本国内の一般家庭宅に不定期に送付される、赤い便箋です。SCP-2103-JPには毛筆で1つの単語だけが書かれています。SCP-2103-JPを宛先の人物が読んだ場合、その人物はSCP-2103-JPの異常性に曝露します。曝露者はSCP-2103-JPに書かれている単語に異常な執着を持つようになり、殺人・暴力等を忌避しない反社会的な思想を抱きます。多くの曝露者は人格が変化しますが、仕事・学業などは円滑に行うため、曝露者の早期特定は困難です。また、郵便局員や財団職員など、SCP-2103-JPの宛先でない人物はSCP-2103-JPの影響を受けません。SCP-2103-JPは異常性の無い一般的な封筒に封入されていますが、差出人の情報は記載が無く、差出人を特定する試みは現在までに成果を得られていません。

19██年█月██日、沖縄県西表島における連続飼い猫殺傷事件の犯人宅より「イリオモテヤマネコ1」と書かれたSCP-2103-JPが発見されたケースが、財団が把握するSCP-2103-JPの最初の事例です。当初、この事件は財団の興味を引きませんでしたが、同年██月██日、沖縄県国頭村にて漁船12隻が破壊された事件の犯人宅より「アカウミガメ2」と書かれたSCP-2103-JPが発見された事で2つの事件の共通点が明らかとなり、現地フィールドエージェントによって異常性が解明されました。

20██年█月██日、███博士によりSCP-2103-JP曝露者へのインタビューが行われました。曝露者の主張の典型的な例が記録されているため、SCP-2103-JP担当者は必ず録音記録を確認してください。

インタビュー記録: 20██/██/██

対象者: ████氏

インタビュアー: ███博士

概要: ████氏は19██年から20██年にかけて北海道で発生した連続新生児誘拐事件の犯人として逮捕・収監されている。████氏の自宅からは3歳から9歳までの合計6人の児童が発見・保護されたが、全員が日本語会話能力を持たず、当初████氏は教育を放棄していたと判断された。しかし、その後全ての児童がアイヌ語3による会話能力を持つ事が判明。再度の家宅捜索により「アイヌ語」と書かれたSCP-2103-JPが発見され、████氏の身柄は財団に移された。インタビューは財団言語学チームの███博士が担当。


<録音開始>

███博士: こんにちは。いくつか質問をさせて頂いてもよろしいですか。

████氏 : 構わんよ。

███博士: 何故あなたは、6人もの新生児を誘拐し、アイヌ語による教育を行ったのでしょうか?

████氏 : 何度説明させるつもりだ。文化保護のためだ。

███博士: 文化保護?

████氏 : 知らんのか。アイヌ語という文化は今、消滅の危機に瀕している。明治時代には北海道全域にアイヌ語の話者がいた!それが、[編集済み]の無能どものおかげで、今じゃ母語話者はほとんど0人だ!誰かがやらなければならんのだ。誰かがやらなければ、この世からアイヌ語という文化は無くなるのだ。

███博士: 私も、そういった事実は把握しています。しかし、何故このような非合法かつ暴力的な手段に出る必要があったのでしょうか。あなた以外にも、アイヌ語保存活動を行っている人は沢山いますよ。例えば、多くのNGOがアイヌ語の勉強会を主催しています。そういった活動に参加される選択肢は無かったのですか。

████氏 : 呆れた能天気さだ!お前にとっての言語とは、週に一度の勉強会だけで使うものなのか。違うだろう。他の言語の話者が、保護とお勉強のためだけに学ぶようになった時点で、その言語は滅んだも同然だ。お前たち偽善者も、本当は分かっているだろう。試験管の中でだけ存在する文化に、価値など無い。わしがやった事以外に、本当の意味でアイヌ語を残す手段は無いのだ。お前らはそれを分かっていながら、行動する勇気が無いのだ。だから、わしがやった。誰かがやらなければならんのだ。

<録音終了>


付記1: ████氏は20代の女性であり、SCP-2103-JPによって大きく人格・口調が変わっています。
付記2: 「誰かがやらなければならない」という語句は、曝露者の多くが好んで繰り返し使用しています。

補遺1: 20██年以降、国内のほぼ全ての手紙が財団職員によって検閲可能となり、SCP-2103-JPが一般家庭に配達される事例は殆ど無くなったと見られています。北海道連続新生児誘拐事件の重要性を鑑みて対策人員が増員された事と、日本国内で手紙を送る習慣が衰退し手紙の数自体が減りつつある事が主な要因です。これを踏まえ、██博士よりSCP-2103-JP送付元特定プロジェクトの予算減額が提案されました。

補遺2: 20██年█月██日、財団宛にSCP-2103-JPの発送者からと思われる郵便物が届きました。内容は1つの単語では無く通常の手紙となっており、異常性は無い事が確認されています。内容については下記を参照してください。

偽善者どもへ

貴様らには失望した。政治家や警察の無能どもとは違うと、少しでも期待したわしが馬鹿だった。

貴様らのやる事とわしのやる事と、何が違うというのだ。地球と人類のため、大きな目標のためには、人権や法律など多少無視しなければならんのだ。本気で何かを保護するというのは、そういう事だ。財団とやらはそれを分かっていると、少しは期待していた。

だが、貴様らは自分と似たような事をやる者がいるのは気に入らんらしい。貴重な文化や、気の毒な動物たちも見殺しにする気のようだ。残念だ。しかし助けを求める者がいる限り、この活動が終わる事は無い。

今後、貴様らの妨害が同じようにうまく行くと思うな。誰かがやらなければならんのだ。

補遺3: 補遺2を受け、██博士の予算減額提案は撤回されました。

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