
1740年に描かれたSCP-2103-JPとみられる絵画
アイテム番号: SCP-2103-JP
オブジェクトクラス: Keter Euclid
特別収容プロトコル: 担当職員は海上自衛隊及び海上保安庁と連携し、SCP-2103-JPが存在する海域にいかなる潜水艇も近付かないよう監視を行ってください。海上の封鎖に関しては現在不要とみなされています。SCP-2103-JPから半径1km以内の海域には深海探査ロボットを配置し、SCP-2103-JPが活動を開始した場合には即座に近隣のサイトへ出動要請を行ってください。また、「沈没船サン・セルバンド号」及び「ホセ・デヘスース船長」に関する情報は財団の監視対象とし、特にサン・セルバンド号に積まれていた財宝に関する情報が流布された場合にはそれが虚偽であるとする旨の情報操作を行ってください。
説明: SCP-2103-JPは体長約150mの頭足類です。サイズ以外の外見的特徴はほぼ通常のイカと同様ですが知能は高く、人間に近い知能を持つ事が分かっています。また餌をほとんど必要とせず、最低でも300年以上の長い寿命を持つなど現代の生物学では説明不可能な特徴も有しています。SCP-2103-JPは1719年にアルゼンチン沖250kmの地点で沈没した大型帆船「サン・セルバンド号」に異常な執着を見せており、サン・セルバンド号が沈んでいる海域に侵入した船舶に対して攻撃を行ってきました。1921年に財団がSCP-2103-JPの存在を知るまでに、少なくとも5隻の船舶がSCP-2103-JPによって沈没させられています。

ホセ・デヘスース(José DeJesus)氏の肖像画
サン・セルバンド号の船長であったスペイン人のホセ・デヘスース氏は異常な能力を有していたと思われ、「イカやタコと楽しげに話していた」「大きなイカを意のままに操った」等の逸話が複数残っています。1719年の沈没事故の際にどのような問題が起きたのかは不明ですが1、その際にホセ・デヘスース氏は死亡し、「船の積荷を誰にも触らせるな」とする旨の命令をSCP-2103-JPに下したと思われます。また、沈没時のサン・セルバンド号には現在の価格にして30億円相当の貴金属・美術品等が積まれていた事も分かっています。
サン・セルバンド号の財宝及び大イカの噂は沈没事故の直後から囁かれていましたが、当時類似の噂や迷信の類は大量に存在したため財団の調査対象とはなっていませんでした。しかし1921年にアルゼンチン軍の軍艦がSCP-2103-JPによって沈没した事がきっかけとなり、SCP-2103-JPは南北アメリカのメディアや冒険家・生物学者らの注目の的となりました。当時の財団が適切な隠蔽工作を行ったため現地を一般人が訪れる事はありませんでしたが、アルゼンチン政府の関係者や要注意団体の構成員がSCP-2103-JPの調査・確保・殺害などを目的に発生地域を訪れ、結果的にSCP-2103-JPによって船舶3隻と94人の人命が失われました。軍艦の沈没事故から4日後、財団の関係者が沈没事故のあった場所を訪れましたが、既にSCP-2103-JPは姿を消していました。財団による大規模な捜索作戦にも関わらずSCP-2103-JPは発見されず、その潜在的危険性からSCP-2103-JPは暫定的にKeter分類を受けました。
SCP-2103-JPの再発見は1961年7月、日本国の沖ノ鳥島付近にて別任務に従事していた財団の潜水調査艇によって為されました。発見時のSCP-2103-JPは目を閉じて深海に横たわっており、生命活動は継続しているものの殆ど身動きをしていない状態でした。担当チームの分析結果では、SCP-2103-JPは近代社会においては自身の存在が世界中の好事家・マスコミ・異常調査団体らの注目の的となり、自身が沈没船のそばにいる事で却って財宝を危険に晒してしまう事を理解したのではないかとされています。現在、SCP-2103-JPは沈没船から見て地球の反対側に位置する日本近海にて、ただ寿命を待っている模様です。確保作戦はSCP-2103-JPを放置した場合に発生するリスクと確保の困難さを比較検討した結果不要とみなされ、存在の隠蔽と関連情報の秘匿を主とした現在の特別収容プロトコルが策定されました。オブジェクトクラスは危険性の低下を鑑みEuclidに変更されています。