SCP-2104-JP
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SCP-2104-JP担当チームより通達

現在閲覧中の文書は該当ファイルの過去リビジョンであり、SCP-2104-JPの調査経緯としてアーカイブ化されたものです。


アイテム番号: SCP-2104-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現時点でSCP-2104-JPの異常性を抑制する方法は発見されていません。収容の放棄が即時に致命的な人的・物的損害、及び正常性の崩壊に繋がる可能性は低い事から、SCP-2104-JP-Aの強制的な収容は行われません。現在夢界において、SCP-2104-JPの発生原因について調査が進行中です。

説明: SCP-2104-JPは、対象者(以下SCP-2104-JP-Aと呼称)に対し恒常的に発生する睡眠時ストレス値の増加現象です。これまでの記録からはSCP-2104-JP-Aとなる人物に関して人種・性別・居住地等の法則性がないことから、世界中からランダムに発生すると考えられます。睡眠時に増大する性質上、SCP-2104-JP-Aはこれらの現象を睡眠に関する障害の一種として認識します。

財団がSCP-2104-JPを異常現象として認知したのは2014/11/6ですが、正確な発生開始時期は不明です。最新の調査結果からSCP-2104-JP-Aは全世界人口の約6%を占めると推測され、今後も増加傾向を示すと予想されています。1 SCP-2140-JP発見の大きな要因として、「寝起きの悪化」に関するインターネット上の書き込みや医療機関への相談が異常な増加を見せた事が挙げられます。

SCP-2104-JPが異常と判断される理由として、上記の恒常性に加えストレス値の増加量が睡眠回数に比例して増大する事、また増大の上限値が概ね全ての対象に共通している事が挙げられます。加えて特筆すべき点として、8割以上のSCP-2104-JP-Aは起床後に「漠然とした孤独感」を感じたと報告しています。その性質上SCP-2104-JPが致命的な問題へと発展する可能性は低いものの、一部のSCP-2104-JP-Aの労働効率の悪化や生活面の堕落、健康問題を引き起こす有害性が憂慮されています。

補遺: 夢界における調査

SCP-2104-JPがSCP-2104-JP-Aの睡眠時に発生する事から、その発生原因が夢界2に存在する事が予想されました。

この仮説に対する第一調査として、SCP-2104-JP-Aの共通点を探るべく、無作為に選択された5000名のSCP-2104-JP-Aについて、各被験者の夢界の位置が夢波探査法3を用いて調査されました。その結果、全てのSCP-2104-JP-Aの夢界が観測されている中で最大の集合意識であるオネイロイ・ウエストの領域内に存在している事が明らかになりました。また傾向として、これらの夢界がオネイロイ・ウエストの深層から離れた表層地点に集中していた事は特筆すべき点です。

この結果を受けてSCP-2104-JPの原因がオネイロイ・ウエストにおいて発生した何らかの事象である事が有力視され、探査計画が立案・実施されました。財団が保持する現実の意識を保有した状態での夢界降下方法は、他意識の干渉を受けていない安定した夢界の保持者にヨーク/アイヒェル空間接続機を使用する事により現実と夢界を接続、携帯型SRA4を装備し侵入するというものでした。携帯型SRAの持続時間が約20時間であるため長期間の夢界滞在は不可能であるものの、前述したSCP-2104-JP-Aの夢界分布傾向よりオネイロイ・ウエスト表層の探査のみでSCP-2104-JPの発生原因特定は可能であると判断されました。このため探査は、オネイロイ・ウエスト周辺の安定した夢界と現実を接続し部隊を投入、その後外縁部からオネイロイ・ウエスト内部へ侵入する方法で行われる事が決定しました。

その後2015/1/20に実施されたオネイロイ・ウエスト最外部事前調査では、7ヶ月前の定期調査と比較し顕著な変化として以下の2つが確認されました。

・特定夢界への集中的な警備配置(警備集中対象の夢界に共通して見られた特徴として、他の夢界との境界5が比較的曖昧である事が確認された)。

・悪夢集団等攻撃的な集合意識によるウエスト侵略の明らかな停滞(侵略面積、被害程度等から算出した独自の侵略ペース値は、7ヶ月前と比較し約42%程に減少していた)。

特定夢界への集中的な警備配置によりその対象となっていない夢界の警備は手薄であったため、探査箇所を限定すれば表層探査は可能であると結論付けられました。SCP-2104-JP担当チームは前述の夢波探査法による調査においてSCP-2104-JP-Aの夢界が集中していた地域を対象として、第一次探査を2015/3/10に実施しました。当探査は隠密性が不可欠であったため、機動部隊オミクロン・ロー ("ドリームチーム")の隊員3名で構成された小規模部隊が投入されました。以下はその際撮影された映像記録の書き起こしです。

第一次探査映像記録2104-JP

部隊構成
・ルロイ = ウォルター [指揮]
・トーマス = ブランク [撮影]
・アラキナ = クイン [物資携行]


<記録開始>

カメラは霧のかかった樹海と、レンズを覗き込む隊員3名を写している。オネイロイに擬態するため着用した認識災害能力を有するヘルメットにより、隊員達の頭部はいずれも巨大な花弁の様に見える。

ブランク: OK、記録開始。ではこれより、ウエスト表層の探査を開始する。隊列はウォルターが先頭、俺が真ん中、クインが後ろだ。

3人は1列になり、樹海の奥へと進んでいく。移動を開始してから約15分後、霧の奥にぼんやりと壁の様なものが見える様になる。

ウォルター: 2人は待機。俺が様子を確認してくる。

ウォルターは単独で奥へ進んでいく。約10分後、ウォルターより奥へ進むよう通信が送られ、待機していた2人も移動を再開する。奥に進んでいく内に壁の様に見えたものはフェンスであった事が判明し、樹海がそこで途切れておりその奥には丈長の草原が広がっている事も確認できる。特筆すべき点として、草原地帯では相当な強さの突風が吹き荒れている。また少し離れた地点に、茶色の小屋が1つ確認できる。約5分後、フェンスの前で部隊は合流する。

ウォルター: ここが境界だな。フェンスは突破できそうか?

クインはバックから小型チェンソーを取り出し、フェンスの切断を試みる。これはチェンソーの刃が欠ける結果に終わる。

ウォルター: 破壊はダメか。他には?

クインが自身の携帯型SRAをフェンスに近づけると、その部分のフェンスが消失する。

クイン: 低ヒューム空間特有の素材だったようです。

ブランク: 通りで、普通の道具じゃ切れないな。

ウォルター: 防護服があるとはいえ、歩行も容易でないレベルの風だ。用心しながら行くぞ。

切断により生まれた穴をくぐり、部隊は金属フェンスの内側に侵入する。その後約10分間低姿勢で草原に体を隠すようにして(風の影響を最低限に抑えるためでもある)、先程確認された小屋へ移動を行う。道中部隊はポール状のカメラを複数確認しており、その都度レンズに写る事を回避している。

ウォルター: 止まれ、何かいる。

部隊から少し離れた地点で、草を刈っているかかしの形状を取った実体が2体確認出来る。突風により作業は非常に困難に見える。部隊は彼らから遠ざかるようにして移動を再開し、約5分後小屋に到着する。小屋の表面はコンクリートに類似した不明な物質で構成されており、一階建で窓が複数存在する。また唯一存在するドアの前には、前述のものと同様のカメラが配置されている。一つの窓から、スプーンの形状を取った実体が外を眺めている。

クイン: どうしますか?

ウォルター: 多少リスキーだが、侵入するぞ。

クインはバックからミーム性フラッシュ6を取り出し、スプーン形の実体に対し発光させる。実体は意識を失い、窓にもたれかかるようにして倒れる。その後部隊はカメラの死角になっている窓へ向かい、破壊による突破を試みる。結果これも携帯型SRAにより消失させる事が可能であったため、鍵部分のみを消失させ小屋内部に侵入する。部隊は内部の調査を開始する。

ウォルター: パッと見で不審な点やものは特に無いか。おい、そこのダンボールの中身はなんだ?

クイン: 食料などの生活必需品ですね。側面にシールで「定期支給品」とあります。

ウォルター: 支給か、となると目的は不明としても、何らかの組織の管理下にある訳だな。

ブランク: ウエストの端っこも端っこですし、開拓かなんかなんじゃないか?

クイン: (引き出しの中を指差しながら)おそらくウエストの通貨です。有用性が見込めますし、いくらか回収しておきます。

ウォルター: バレない程度にな。

ブランク: おい見ろ、パソコンがあるぞ。

ウォルター: ロックは?

ブランク かかってない。

ウォルター: ラッキー、こりゃ思ったより早く帰還できそうだな。近年のニュースを漁れ。

ブランク: ちょっと待て……クソ、ネットに繋げないぞ。

ウォルター: 何?

ブランク: この付近には現実の電波に当たるものがないみたいだ。単純に場所が場所だから整備が行き届いてないか、この風で通信が妨害されてるかとかだろうな。にしてもこんな所に住んでネットも出来なくて、こいつは普段何して過ごしてるんだ?

クイン: 隣接する夢界に何かがあって、ホストの睡眠時はそこで過ごしてるのかもしれません。

ウォルター: ともかくここで得られるものはもう無いらしいな。出発するぞ。

部隊は先程鍵を消失させた窓より小屋から退出し、再び低姿勢で深層方向へ移動していく。約10分後、部隊は進行方向にフェンスがあるのを発見する。

ブランク: クソ、ここは収容区か何かかよ。

ウォルター: 仕方ない、速やかに破壊して突破する。

約5分後、部隊は金属フェンスの付近に白色の小屋を確認する。小屋に接近した部隊は、小屋付近のフェンスが扉になっている事に気付く。またフェンスの奥には、起伏の激しい岩地が広がっているのが確認できる。常に目視で確認可能なレベルの地震が発生しており、一部ではマグマらしきものの噴出も確認できる。

クイン: 環境変化から判断するに、フェンスが夢界の境界のようですね。あの小屋の中には門番がいるのでしょうか?

ウォルター: その可能性が高いな。こんな場所だから門の利用者は皆顔見知りだろうし、堂々と正面から行くのは不可能と言って良いだろう。一旦このフェンスは避けて、右方面に移動できないか調べるぞ。

部隊は右に方向転換し移動を始める。約15分後、部隊は再び正面にフェンスを確認。さらに5分後、フェンス付近に先程同様の小屋と扉を確認する。

ウォルター: この夢界は完全に封鎖されているようだな。

クイン: 一度ウエスト外へ退却しますか?

ウォルター: いや、おそらく小屋内の門番はフェンスを越えるには扉を使うしかないと思い込んでいる。小屋から離れた地点のフェンスを突破すればおそらく気付かれないだろう。

ブランク: 進行方向は?

ウォルター: 最初の深層方向に向かうルートに戻す。

部隊は左に方向転換し移動を始める。約5分後部隊はフェンス前に到着し、小屋から離れた位置のフェンスを突破、速やかに次の夢界の岩陰に隠れる。

ブランク: セーフ。

ウォルター: 探査を続けるぞ。


[その後部隊は約4時間かけ、岩地の夢界を含め深層方向に4つの夢界を探査した。これらの夢界の共通点として、先程の夢界と同様茶色の小屋一棟・3体の夢界実体(1体は形状・行動共に様々であり、もう2体は何らかの作業を行うかかしの形状を取った実体である)・フェンス・フェンス付近に複数の白色の小屋が存在していた。また1.2.の夢界においては茶色の小屋内部の調査が行われ、いずれにおいても草原の夢界の小屋と同様支給品の存在と、コンピュータがオネイロイ・ネットワークに接続不可能である事が確認された。その他に特筆すべき発見は無かったため、以下に夢界の構成要素・夢界の環境・かかし形の実体の行動・その他に確認された夢界実体の特徴を列挙し映像記録自体は省略する。]

1.
夢界の構成要素: 岩石・砂

夢界の環境: 前述の通り。

かかし形の実体: 岩石を削り地面を平らにする事を試みていたが、地震により頻繁に転倒を繰り返していた。

その他に確認された夢界実体: 頭部がパラボラアンテナの形状を取った人型実体。小屋の床に座り込み絵を書いている様子が確認された。

2.
夢界の構成要素: 土・岩石・苔

夢界の環境: 激しい雷雨が発生していた。

かかし形の実体: 鉄筋に類似した物体を用いて何らかの建造物の建築を試みていたが、雷雨の影響により作業は困難に見える。

その他に確認された夢界実体: 巨大なカエルの形状を取った実体。小屋内のベッドで睡眠を取っている様子が確認された。

3.
夢界の構成要素: 砂浜、湖(夢界中央に存在、水は多量の塩分を含んでいた)

夢界の環境: 湖では常に激しい波が発生しており、時折陸地にもそれらが押し寄せていた。

かかし形の実体: 湖の岸に土嚢に類似した物体を用いて堤防を築こうと試みていたが、度々波により転倒・流される様子が確認出来た。

その他に確認されたオネイロイ: 半透明なスライムの形状を取った実体。波の影響の及ばない地点で不明な運動(ストレッチの様なものであると推測される)を行っている様子が確認された。

4.
夢界の構成要素: 雪・氷・林

夢界の環境: 吹雪が吹き荒れており、降っているもののほとんどは大粒の氷であった。

かかし形の実体: 木の伐採を試みていたが、吹雪とそれに伴う積雪により作業は困難に見える。

その他確認されたオネイロイ: 一般的なリトルグレイの形状を取った実体。小屋の床に座り食料を食べている様子が確認された。


4.の夢界を探索中、夢界全体に警告音のようなサイレンが響き渡る。

ブランク: 何だ?

ウォルター: 俺たちの痕跡が発見された恐れがあるな。ここまで5つの夢界に特筆すべき差異は見られなかったし、これ以上の探査続行は得られる成果がリスクに釣り合わないだろう。侵入時の夢界から離れた地点より撤退する。

部隊は侵入時のルートから離れるようにして、表層への帰還を開始する。この道中、部隊は草原の夢界の方向へ向かう頭部がパトランプの形状を取った人型実体を複数体確認する。約2時間半後、部隊は8つの夢界を通過し、最終的に高温乾燥の砂漠の夢界より脱出する。短期突破を目的としたため調査は行われていないものの、この際通過した夢界においても前述の夢界群に共通した特徴がみられた。また一帯の夢界に警報が鳴ったと推測されるにも関わらず、部隊が帰還時に通過した夢界では警備の強化がなされていなかったのは留意すべき点である。

<記録終了>

補足事項: サイレンの作動の約10分後、オネイロイ・ウエスト外部で待機していた機動部隊オミクロン・ロー ("ドリームチーム")の別部隊が以下の映像を記録しました。

映像記録2104-JP

付記: 以下の書き起こしは、複数の映像記録の情報を統合したものです。


<該当箇所のみ抽出>

樹海より、スプーンの形状を取った実体(第一次探査映像記録で確認された実体と同一であると推測される)が出現する。実体は樹海から離れるように走っている7が、相当に疲弊している様子である。その約5分後、樹海より頭部がパトランプの形状を取った人型実体(同様に、第一次探査映像記録で確認された実体と同一であると推測される)が複数出現する。実体群は何かを探しているような動きをしながら移動しており、物陰や洞窟等、死角になるような地点も丁寧に確認している様子が確認できる。スプーンの実体は移動を続けている。同様の状況が約30分続いた後、パトランプ形の実体の1人がスプーン形の実体を発見する。スプーン形の実体は逃走を試みるものの、疲弊による速度の低下からすぐにパトランプ形の実体に捕獲される。その後周囲のパトランプ形の実体が合流し、実体群は樹海内部へ戻っていく。追跡の結果、最終的に実体群は第一次探査において部隊がフェンスに開けた穴よりオネイロイ・ウエスト内部へ入っていった。

当探査の結果を受け、現在これらの夢界との比較及び客観的情報の入手を目的として、SCP-2104-JP-A以外の夢界を対象とした追加探査が予定されています。


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