SCP-2104-JP
評価: +31+x
blank.png

アイテム番号: SCP-2104-JP

オブジェクトクラス: Pending1

特別収容プロトコル: SCP-2104-JPは一定の有用性を有しますが、同時に副次的なデメリットを伴う事から現在収容の可否について議論が行われています。

説明: SCP-2104-JPは、攻撃的集合意識に対するオネイロイ・ウエストの防衛を目的として、2014/6/1よりオネイロイ・ウエスト中央政府が実施した政策です。以下に示す概要及び補足はオネイロイ・ウエスト内のインターネットにおいて得られた情報を根拠としており、一定の不確実性を有する事に留意して下さい。

SCP-2104-JP概要

オネイロイ・ウエスト表層に存在する過疎化した夢界に夢界主を移住させ、夢界の抵抗力を回復・維持する。移住は経済への影響等を考慮し段階的に実施されており、当報告書執筆時2016/3/15現在も進行中である。

補足: 夢界の抵抗力について(オネイロイ・ネットワーク上のサイトより引用)

夢界には本来、「意識膜」と呼称される夢素により形成された障壁が存在します。意識膜はその夢界が属する集合意識以外のオネイロイに対して、非常に強力なバリアとして働く様子が確認されています。さらに同集合意識下の意識膜を維持した夢界同士が隣接している場合、意識膜の密度は上昇しその強度を増す事が明らかになっています。この密度の上昇は表層の夢界に効果を集中させる傾向があると推測されており、例えば円形の集合意識の場合外縁部の意識膜が最も高い密度を持つとされます。

<中略>

意識膜を維持するためには、夢界主のオネイロイがその夢界内に滞在する事が必要となります。これまで長い間夢見2が自身の夢界から遠く離れるという事は滅多になかったためにこれは問題になりませんでしたが、近年都市化した一部の夢界に人口が集中する事により状況が変化しており、過疎化した夢界の意識膜の崩壊が大きな社会問題となっています。

SCP-2104-JPは現在まで、攻撃的集合意識によるオネイロイ・ウエストへの被害を実施以前の約16%程に減少させる事に成功しています。夢波探査法による調査によりオネイロイ・ウエストには現実に肉体を有するオネイロイの60%以上が所属していると推測されているため、オネイロイ・ウエストの防衛は現実への悪影響を防止する上で非常に有効であると判断されています。これを裏付けるデータとして、2015年に現実で観測された睡眠に関連する異常現象3の発生件数は、2013年のものと比較して約48%に減少しています。

SCP-2104-JPにより自身の夢界に移住したオネイロイ(以下、SCP-2104-JP-Aと呼称)の移住した夢界は、不明な要因により多くが「居住に適さない」環境に変化する事が確認されています。加えて、おそらくはオネイロイ・ウエスト中央政府により移動制限が行われている事により、SCP-2104-JP-Aの夢界には基本的にSCP-2104-JP-A、かかし形の実体、頭部がパトランプの形状を取った人型実体以外のオネイロイが存在しません。SCP-2104-JPの副次的な影響として、これらの要因によりSCP-2104-JP-Aの抱いたストレス・孤独感が睡眠時に現実の肉体に影響を及ぼします。現在SCP-2104-JP-Aの該当者は全人類の約12%にあたると推測されており、労働効率の悪化や生活面の堕落、健康問題を引き起こす有害性が憂慮されています。

以上の有用性とデメリットを有する事から、現在SCP-2104-JPの収容の可否について議論が行われています。

補遺: 調査経緯

SCP-2104-JPは当初前述の副次的影響がアノマリーとしてナンバリングされており、これらが睡眠時に発生する事から夢界にその発生原因が存在するとの予想のもと、調査が開始されました。夢波探査法による調査の結果SCP-2104-JP-Aの夢界がオネイロイ・ウエスト表層に集中している事が判明すると、それらの夢界を対象として探査計画が立案され、最外縁部の事前調査の後第一次探査が実施されました。当探査において探査チーム、及び外部で待機していた機動部隊オミクロン・ロー ("ドリームチーム")の隊員は、SCP-2104-JP-Aの夢界がいずれも活動する上で過酷な環境である事、各夢界につき1体の夢界実体が何らかの組織・団体により当該夢界内部に隔離されている事、当該夢界においてオネイロイ・ネットワークが遮断されている事、また当該夢界において何らかの開発が進行中である事を確認しました。[詳細な記録はアーカイブ化された過去リビジョンより閲覧可能です]

第一次探査の結果を受け、SCP-2104-JP-Aの夢界との比較及び客観的情報の入手を目的に、SCP-2104-JP-A以外の夢界を対象として第二次探査が実施されました。これにおいて探査部隊は、オネイロイ・ウエスト表層に存在する小規模都市への侵入に成功しました。部隊はその後第一次探査において入手したオネイロイ・ウエスト内の通貨を用いてインターネットカフェを利用し、SCP-2104-JPに関連する情報の収集を行いました。以下はオネイロイ・ウエスト中央政府により公開された、SCP-2104-JPの発表声明の抜粋です。

……この数十年間で我々オネイロイ・ウエストは著しい発展を遂げた、それは素晴らしい事です。今や世界最大の集合意識体であり、技術・文化等においても他の集団より優れていると胸を張って言えます。特にその中心、都市部の発展は目覚ましく、多くの人がそこに集まるのは当然のことでしょう。

しかしこの都市部への人口集中は、今我々に看過できない問題を引き起こしています。ここ最近物騒な話題が続いています — 頻発するテロ、一部夢界の異常な変質、住民の失踪 — これらはもはや日常になろうとしています。そしてこれらを引き起こしているものは何か — 敵対的なコレクティブ4です。彼らもこの数十年間で大きく発展しています。規模、種類、資源……多少の進歩は許容する他ないでしょう、それは仕方のない事です。ですが近年の彼らの影響拡大速度は以前のそれとは明らかにレベルが違います。何が彼らを手助けしたのでしょうか?結論を言いましょう、彼らの一部は主が去り意識膜の崩壊した夢界を住処にしています。要するに、地方の過疎が問題なのです。今都市部に住んでいる夢見は、ほとんどが地方出身でしょう。彼らは自身の夢界を何年もの間放置しています — それの境界が曖昧になるには十分な時間を。

夢見も都市部の発展に寄与してきた我々の仲間である、それはもちろん理解しています。ですが手遅れになる前に何か手を打つ必要がある、それもまた事実です。オネイロイ・ウエストを守るため、当局は一つの決断をしました — 我々はこの問題を解決すべく、指定区域の夢界のホストである夢見に対し、自身の夢界へ移住する事を要請します。もちろん、一生過疎地で孤独に暮らせと言っているのではありません。これを機に我々も過疎地を有効活用すべく、段階的にそれらの夢界の開発を進めていきます。意識膜の問題がなくとも都市部の過密は社会問題ですし、ある程度の開発が進めば穏やかな暮らしを求めて移住してくるオネイロイも多いはずです。ですので最初の数年間は不自由な事とは思いますが、数年の内に快適な暮らしが手に入ると約束します。また移住後の生活に関しては、我々から必要なものは全て支給させて頂きます。具体的には……

財団による調査結果との一致点の多さから、当声明は一定の信憑性を有すると判断されています。しかしながら、その後オネイロイ・ウエスト中央政府により発表されている定期通信においてSCP-2104-JP-Aの夢界の環境変化、開発状況について現状と異なったポジティブな報告がなされている事が確認されており、またメディア等においても中央政府によるものと類似した報告がなされている事、加えて第一次探査においてSCP-2104-JP-Aの事実的な監禁並びにSCP-2104-JP-Aの夢界のインターネットの遮断が確認された事から、SCP-2104-JPについて何らかの情報統制が行われていると推測されています。

夢界の環境変化の原因、並びにSCP-2104-JPに関する情報統制については、SCP-2104-JP研究チームより以下の考察がなされています。

夢界学部門定期研究発表会からの抜粋

……SCP-2104-JP-Aの移住が行われていない夢界では、このような環境変化は起こっていません。この事から、環境変化の要因は意識膜には関連せず、SCP-2104-JP-Aの移住に由来すると考えられます。となると、最も有力な説は夢界と現実の相互作用による悪感情の循環です。

移住してきたSCP-2104-JP-Aは、ほとんどの場合において最初から一定のストレス・孤独感を抱いている事でしょう。あらかじめ了解の上来たとはいえ、都市での生活に慣れていればそれが自然な反応です。

ここで発生するのが、夢界と現実の相互作用です。オネイロイの感情が現実の精神に影響を与えるように、現実の感情は夢界の環境に影響を与えます。初期段階において発生したのは雨や気温の微々たる変化のみだったかもしれませんが、刺激のないSCP-2104-JP-Aにとってはそれだけでストレスを増大させるには十分だったのでしょう。そうして双方の悪感情は時間と共に増大していき、結果第一次探査において確認されたような夢界環境が生まれたのだと推測します。

この推論が真実であると仮定した場合、我々は中央政府の声明に虚偽は無かったのではないかと予想しています。彼らは発表した計画通りに物事が運ぶと思っており、実際前述の悪循環が無ければ何の問題もなかったのでしょう。我々が夢界について無知であるのと同様、彼らも現実については無知だったのです。環境の悪化は第一次探査で確認されたように、整備作業の進行を非常に困難なものにしていました。あれでは他のオネイロイが進んでやって来るような環境を作るのに、想定の数倍の期間を有すると思われます。そのような現状が世に知られては政府の信用も危うくなりますし、まだ移住していないオネイロイの抵抗を招く事にも繋がるでしょう。そういった事情から、彼らは情報統制の実施に至ったのではないでしょうか……

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。