アイテム番号: SCP-211
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-211は郊外に所在するため、行政区分の再編成と公害をもたらす産業の誘致により"NIMBY"精神1を喚起して近隣住民を退去させました。加えてSCP-211周囲の土地を財団の管理下におき、ビル内には武装したガードが配備されます。許可を受けていない侵入者は即時の終了対象となります。
SCP-211内には複数の爆発物が設置され、██日ごとに点検されます。SCP-211が明らかに敵対的になるか無力化が必要になるかした場合、これらの爆発物を同時に炸裂させることで無力化が行われます。
SCP-211防御機構の偶発的な活性化を避けるため、SCP-211-1の除去は1時間あたり█枚までに抑えられなくてはなりません。
説明: SCP-211はアイオワ州███████の放棄された地区に存在する、2階建てのビルです。███████の公文書記録の調査により、このビルはもともとG██████ S████████████(自然死済み)所有の中流階級向け住宅であったことが確かめられました。この人物の死後、ビル内の家具は備え付けの照明機器とラジエーターを除きすべて消失しました(上記写真参照)。ただしいくつかの照明はスイッチが発見されていないため、使用できません。加えてビルの壁はおよそ███,███枚の紙片でほぼ覆われつくしています。この紙片はSCP-211-1に指定されました。
この状況ゆえに、SCP-211のコンディションは非常に悪いです。多量のカビと汚染が2階の大部分を侵食しており、また5/4に行われた取り壊し(文書211-01参照)の試みによりビル南側の壁に大きな穴が空いています。
回収したSCP-211-1のサンプルはそれぞれが異なる特徴と起源を示しています:白紙、様々な絵、書籍(多くは百科辞典か小説)から取り外されたページ、インターネット上のWEBサイトを印刷したもの、他。紙片の色は多岐にわたっており、上記写真の廊下のみが白色の紙片で統一されています。無傷の紙片の山がビルの地下室で発見されましたが、個々の紙片は互いにほとんどあるいは全く関連性が見られませんでした。この紙片が示す特異な性質は、ふちが異常に鋭いことと、SCP-211-1を取り除くと新たな紙片が(未知の発生源から)補充として出現するという点のみです。研究は保留されていますが、SCP-211-1紙片は[編集済み: 補遺211-01参照]や防衛以上の意思をほとんど示していません。
文書211-01
SCP-211のSCP指定は、当該ビルが放棄され2███年5月4日に取り壊しが決定され、作業員がビルから”攻撃された”(以後、これをインシデント・ゼロと呼称)ことで為されました。以下は生き残った作業員4名のうちの1人E████ R████████に対してスピノザ(Spinoza)博士が行ったインタビューです。
<ログ開始>
スピノザ博士: あなたの名前と職業をお答え下さい。対象: E████ R████████、███████建設(███████ Construction)で働いてる。あ、いや、働いてた。この脚じゃもう仕事は続けられないからな。
スピノザ博士: そうでしょうね。あなたが[データ削除]を取り壊す際に起きたことについて話してください。
R████████: わかった。俺たち――███████建設のことな――はそのビルを壊す仕事を請けて、どうやるかを現地で調べていたんだ。理由はわからんが、絶対に傷を付けるなと言われていたな。やったことといえばいくつかの[データ削除]。主としてウチの経営者が地ならし用にブルドーザーを2台ばかし使えばいいって決めたからだが。
スピノザ博士: 解体前にビルで何かおかしなことはありませんでしたか?
R████████: 別に無かったな。ビルに入って各種の検査、カビが生えてんの見つけたり、貼りまくられてる紙にジョークかましたりで。あったのは取り壊しを始めてからで……うん、地下の辺りに行った時に、誰だったかが壁の紙を剥ぎ出したんだ。カビがどのくらいあるのか調べるためだったか?そしたら、そいつの上に山ほどの紙が天井から、いやどこからともなく降ってきやがった。そいつは紙の山に埋もれちまった。どうなってたと思う?奴さんの着物持ち物ぜんぶがズッタズタにされてたんだ。服、帽子、眼鏡、その他全部だ。ぞっとしたのは、そいつの眼鏡にノミで彫ったみてえなでかい傷が残ってたことだ。つまり、眼鏡をしてなきゃどうなってたことやら、ってこった。
スピノザ博士: その後は?
R████████: ああ、こんなナイフだらけの建物ン中にいられるかってんで、そいつを連れ出した。その後は知っての通りだろうが、なんもなかったぜ。
スピノザ博士: 5月4日についてもお願いできるかな。
R████████: 準備を整えて、2台のブルドーザーでビルに突撃しようとした時だ。いきなり壁中の紙が――外壁だぞ?――ひとりでに落ちたんだ。誓って言うが、あの日は風なんて吹いてなかった。だから、もしかしてこのビルはビル自身と紙を処分したがってんじゃねえのか?なんて思ったんだ。んで、そいつを手助けしてやろうと。そしたらすげえ音が響いた……ブルドーザーの上でも聞こえるような音がだ!そして紙がひとりでに飛びあがって、目の前のもの全部ぜんぶ切り刻みやがったんだ!
[インタビュー終了部分編集済]
<ログ終了>
文書211-02
インシデント・ゼロを受け、SCP-211の反応を調べるための実験が行われました。Dクラス職員にビデオカメラを持たせ、SCP-211に対してさまざまな干渉を行わせました。
ビデオログ1
被験者: D-19905、SCP-211に接近して探索するよう命じました。
結果: 反応なし。D-19905は脅威を受けることなく干渉を終えました。カメラの軌跡から1階の地図が作成されました。ビデオログ2
被験者: D-19905、SCP-211に接近してSCP-211-1を1枚取り去るよう命じました。
結果: 反応なし。紙片は[編集済]であるようでした。ビデオログ3
被験者: D-19905、SCP-211に接近して入り口近くからSCP-211-1を1束取り去るよう命じました。
結果: 紙片を取り去る前に、D-19905は立ち止まって壁のポスターを調べ始めました。問いかけると、そのポスターは彼が[編集済]で収監される以前に描いた絵であると答え、異常なくポスターを取り外しました。D-19905が紙片の束を取り去ると、多数のSCP-211-1が彼に降りかかりました。D-19905は腕・脚・顔に切り傷を負った状態で這い出しましたが、それらの紙片をSCP-211内から持ち出すことに成功しました。
ビデオログ4
被験者: D-19905、SCP-211に接近してSCP-211-1の2階を探索するよう命じました。
結果: D-19905はインシデント・ゼロの穴から問題なく侵入しました。汚染された区画に侵入した時、D-19905が床の脆くなった部分に踏み込み、床が崩れました。D-19905は足を骨折してビルから退出し、[編集済]。
ふむ、つまりその気になれば壊すことは可能なんだな。 - スピノザ博士ビデオログ5
被験者: D-21938、マッチ一箱を持たせてSCP-211内のSCP-211-1に火をつけるよう命じました。
結果: [データ削除]。残骸はドアから回収されましたが、SCP-211のメインエントランスが塞がれたため、侵入口はインシデント・ゼロの穴のみとなりました。
もう試さないように、いいな?絶対だぞ? - スピノザ博士
補遺211-01
SCP-211-1の回収を始めて以来、いくつかの特定の書籍がそれらの起源であることが確かめられました。以下はその例です:
- 19██年に印刷された、ヒトラーの我が闘争、████████公共図書館で発見。
- 19██年に印刷されたJavaデータ構文解説書、サイト-17付近の中古書店で発見。
- [編集済み]、現在アメリカ議会図書館で保管中。
- 第二次世界大戦当時のMAGIC暗号解読プロジェクト2により解読した日本の報道内容の印刷3枚。
- 手書きの文書211-02。
- その他。
現在財団の文書が再度発見された事例はありません。しかし、警戒レベルは緩やかな情報セキュリティ脅威にまで引き上げられました。
補遺211-02
SCP-211に関わる未解明の現象が今後の研究課題として持ち上がってきています。████/3/28、3枚のSCP-211-1紙片がSCP-211の”エントランス”で発見されました。調査したところこれらの紙片は財団のプロトコルに関するスピノザ博士(先のE████ R████████へのインタビュアー)宛の提案書であることが判明しました。スピノザ博士(当時はサイト-17におり、他のプロジェクトに携わっていました。)は調べに対し、書かれていた内容はそれらを受け取ってすぐに消えてしまったと述べ、さらに[データ削除]。
この時点よりさらなる█件の情報侵害がSCP-211-1に現れ、そのいくつかはSCP-211を対象として含むものでした。Euclidへの再分類は保留されています。