飛行中のSCP-2129。実体は20██年██月██日、ブラジル軍[編集済]基地に於いて記録された。
アイテム番号: SCP-2129
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2129は1メートルのコンクリートで裏打ちされた厚さ10センチメートルのタングステン製の防壁を持つ特殊設計の真空密封コンテナ内で、休眠状態を維持させなければなりません。収容室は不活性ガス式防火システムによる酸素自給型調節システムを必要とします。コンテナは常時例外なく、6台以上のサーモカメラによって監視されなければならず、モールス信号でのコミュニケーションが取れるよう、拡声器が1台備え付けられなければなりません。設備は全て厚さ5センチメートルの耐爆積層ガラスで覆われねばなりません。長さ10メートルの廊下が収容室へと繋がっていなければならず、廊下も収容室と同一の仕様で設計されなければなりません。
SCP-2129の収容室が脱酸素化されていない間は如何なる場合であっても、職員の立ち入りが禁止されます。立ち入りの際は密閉耐爆スーツを着用しなければなりません。
収容違反の発生時は、プロトコル・ペルケレ-1が遅滞なく発動されます。
サイト-██の付近に、SCP-2129の収容室壁と同様のタングステンやゼティックスで補強され、鉄製の真空気密ドアで密閉された深さ150mの井戸が、周囲の植物によって隠匿された場所に掘削されました。当井戸の底面にはおよそ20トンのANFO爆薬が設置されています。SCP-2129は大量の爆発物に誘引され、衝動に駆られたように井戸の内部へと降下します。その際、井戸にはポンプ一式及び訓練を受けた財団職員を充分に配置します。無力化及び従順化が一度確認されたSCP-2129個体は、当該個体をその条件下で回収するための特別な訓練を受けた3名の職員から成るチームにより、井戸の下底から回収されます。
説明: SCP-2129は間断ない連続爆発を伴って出現する不可視の実体です。当該実体は三次元空間内を浮遊及び飛翔する能力を有し、時速152キロメートルに達することが可能です。当該実体の移動中には、毎秒およそ2回の頻度で絶えず爆発が発生します。爆発で放出されるエネルギーは5ギガジュールに匹敵する、あるいはTNT爆薬1.2トン分に相当するものと見積もられています。爆発はエネルギー生産の手段というだけでなく、その副作用でもあると理論付けられています。同様に、当該実体の飛行パターンの研究により、飛行方向の転換と爆発との相互関係が証明されています。
爆発していない瞬間を熱カメラで撮影したところ、楕円形かつ、体長約1メートルのヘビ型の体が認められ、それ以外の認識可能な特徴はありませんでした。実体の物理的な本体の特徴を発見するための実験は現在考案中です。
SCP-2129は爆発に気体を必要とします。当該実体は接触可能な気体を全て消費するまで、間断なく爆発を引き起こします。SCP-2129が気体を消費し尽くした後は休眠状態に入り、酸素の供給が可能となった時に活動を再開します。SCP-2129による爆発には通常の痕跡が残らないため、当該実体が爆発を発生させるためにいかなるプロセスを経ているのかは不明です。当該実体は爆発物や爆発性物質に誘引されるようであり、硬質面を隔てた爆発物を未知の手段により感知する能力を示しています。
SCP-2129は知性をも有しているとみられます。これは、SCP-2129が爆発の威力と長さを調節し、粗雑で時折不正確なモールス信号の形式によるポルトガル語でのコミュニケーションを図る能力を有することに裏付けられています。SCP-2129はこの方法により短文でのコミュニケーション及び同様の方法によるメッセージの理解が可能です。
長期にわたる会話により、SCP-2129は概して協力的ではあるものの気鬱症的な様子を示しており、大抵の場合収容に対するフラストレーションを顕わにし、解放と自由な放浪を要請します。
SCP-2129は20██年██月██日にブラジル連邦共和国の[編集済]沿岸の都市にて死者██名及びけが人██名の住民被害を引き起こした破壊の後に捕獲されました。当該インシデントは公には爆弾テロ攻撃によるものだとされ、事実を裏付ける証拠を偽造する試みがなお進行中です。全生存者には標準的クラス-3記憶処理が施されました。当該エリアは調査中との名目のもと封鎖されます。市民及び可能性上の一般調査員はいずれも当該エリアから何としてでも遠ざけるべきです。
序文: 本記録はSCP-2129に対し実施された7度目のインタビュー記録です。これ以前のインタビューにてSCP-2129のコミュニケーション能力が確認され、███博士に本インタビューを通して自身の仮説を検証することが許可されました。
<記録開始 20██年██月██日 14時23分>
███博士: ご機嫌よう、SCP-2129。こちらを注目していただいてよろしいですか?
SCP-2129: ここさむい。息、くるしい。
███博士: 我々があなたを捕らえた町のことを覚えていますか?
SCP-2129: まち。うん。もっと酸素、もっと広いとこ。
███博士: 我々はそれ以前のあなたを写した写真を所持しています。あの軍事基地に覚えはありますか?
SCP-2129: 火、武器、うん。でもおうちじゃなかった。
███博士: 「お家」?
SCP-2129: 火のおへそ、母君のお胎の中。
███博士: その「母」とは何です?それがあなたを創ったのですか?
SCP-2129: そのためにいるの。業火を見つける。再生。わたしが選ばれたの。
███博士: あなたの代わりがいるのですか?
SCP-2129: ただの、仲介者。
<記録終了>
SCP-2129-1は、アマゾン熱帯雨林南部の地下に生息するヘビ型実体です。SCP-2129-1に到達するための安全な手段はサイト-██の職員により目下考案中です。SCP-2129-1の上方に位置するシンクホールが、現在知られている唯一の到達手段です。
起源不明の極めて複雑な坑道網(以下、SCP-2129-2と呼称)がSCP-2129-1の上部及び周囲に張り巡らされています。これは侵入者となり得る者のSCP-2129-1への接近を止めさせる目的があると仮定されています。何百人ものヒトの骨格が坑道内で発見されています。
SCP-2129-1は多量の熱を発しているとみられています。広範囲にわたる地熱の分析調査により、熱の発生パターンは地下の火山活動におけるホットスポットの位置と一致することが判明しました。地理学的見地において、当該実体は10キロメートル近い体長を有すると見積もられます。
SCP-2129-2は常時3名の武装警備員により警護されなければなりません。
補遺: インシデント2129-01の発生以後、SCP-2129-2の半径50メートル以内に生育する植物は全て焼却されることとなりました。また、警備員数は4倍に増員されました。
インシデント2129-01: 20██年██月██日0時52分、刃物で武装した4名の男たちが、当該エリアの密集した植生を偽装として利用し、SCP-2129-2への侵入を試みました。4名の侵入者達は警備員1名を殺害、さらに1名を負傷させました。侵入者のうち2名は射殺され、1名は鎮圧の上捕縛されましたが、残る1名はSCP-2129-2へ入り遂せました。
増援部隊が侵入者の追討のために召集され、捕縛済の侵入者を財団施設に拘留しました。探査チームがSCP-2129-2に派遣されましたが、侵入者の捕獲には失敗しました。当時、探査チームはSCP-2129-2へと続くシンクホールの警備を課せられていたためです。
当インシデント以後、SCP-2129-1の熱的活動の活性化が記録されています。
拘留者に対してはその拘留後ただちに主な一般病のワクチンが接種されました。
序文: 当該拘留者は20〜25歳ほどのアメリカインディアン男性で、身長181センチメートル、体重64キログラムです。彼はそれまで自身の氏名や出自の公表を拒否しており、ブラジルポルトガル語とシャバンテ語に類似した未知の言語に由来する複合言語を話します。
<記録開始(20██年██月██日19時53分)>
██博士: こんばんは。お名前を教えてくださる気にはなっていないようですね。
拘留者: ならねえよ。
██博士: 結構です。では、今回の本題に入りましょうか。何故貴方はあのシンクホールに入ろうとしたのですか?
拘留者: あんたの口からそれを聞くとはな。あの死んじまったヤツのことで俺を憎んでるんだろう。俺たちだって殺りたくはなかったんだ。けどあんたらがあそこにいて、武器持ってて、俺たちをへその中に入れさせないつもりだと分かったから。だから襲ったんだ。で、俺の弟がやらかしちまった。
██博士: 適切な回答ではありませんね。何故、貴方はあのシンクホールに入ろうとしたのですか?
拘留者: へそ、だ。ご先祖の仲介役がいなくなっちまってな。彼女には代わりが要るんだ。
██博士: 失礼。…「仲介役」とは?
拘留者: 炎の蛇。あんたにゃ俺の言ってることが分かんねえんだろうな。
██博士: 実を申せば、理解していると思います。あの[編集済]という街を破壊した実体のことですね。まさに今研究しております。…ですが聞かせてください。あれの目的は何なのでしょうか?
拘留者: 大地の奥底に火の水が流れてて、それが場所を変えていくのさ。それは命の源、暖かさの始祖。火の水なしにはどんな命も生きていけねえ。でもな、男の種が無けりゃ女は命を産み出せないだろ。大地も同じなんだよ。兄貴はな、そのやり方を探すつもりなんだ。
<記録終了>
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