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SCP-213-JPの外観 |
アイテム番号: SCP-213-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-213-JPはサイト-8181の収容ガレージにて保管されます。SCP-213-JPのエンジンキーは同サイト内の収容ロッカー07にあります。人間を使用した消失実験を行う場合は人事部とSCP-213-JP研究担当主任の許可が必要です。
(更新)担当職員は3日に一度、発炎筒、水やレーションの入ったサバイバル・パックと新品の平バールをSCP-213-JPの後部トランクに入れて消失させて下さい。この行程に使う車両はSCP-213-JPだけに限定されています。
(更新)財団はSCP-213-JPと同様の異常性を持つ自動車が他にもあるとし、その全てを確保するために警察と協力して捜索を続けています。現在までに、それぞれ車種の違う48台の車両の押収に成功しています。
説明: SCP-213-JPはその後部トランクに異常性を持つクライスラー社製のセダン、クライスラー・300Cです。SCP-213-JPの後部トランク以外は、通常のクライスラー・300Cのものと性能的な差異は全くありません。しかし、後部トランクを開け、その中に物体を入れた後に閉めてから再度開けると、内容物は全て消失します。
SCP-213-JPの後部トランクより消失したものは、恐らくは異次元に存在すると思われる施設(以降、SCP-213-JP-1と分類)へと転移することが明らかになっています。SCP-213-JP-1はある種の収容所・保管庫の様な機能を果たしているものとされていますが、その目的は不明です。SCP-213-JP-1には敵対的な人型SCPオブジェクト(SCP-213-JP-2)が複数存在し、施設を運用しているものとされています。詳しくは下記の "文書213-JP-A" 、もしくはインタビューログを参照してください。
SCP-213-JPは日本国内で起きた一連の誘拐・失踪事件に深く関与した疑いがあるため、警察によりマーキングされていました。警察が令状をとり容疑者宅を捜査する際、その容疑者自身がSCP-213-JPの後部トランクに逃げ込み消失したことで、財団はSCP-213-JPの調査及び確保に踏み切りました。
実験記録213-JP-01 - 20██/09/01
被験者: なし
目的: SCP-213-JPの転移先の無人調査
実施方法: GPSロケーター付きの遠隔探査ドローンをSCP-213-JPの後部トランクに入れて閉めた。
結果: ドローンが消失した。通信は途絶し、GPS装置はその機能を失った。
実験記録213-JP-02 - 20██/09/02
被験者: D-0442(自身の妹の暴行殺人に関与した6名の人物の殺害により起訴、過去4度にわたる刑務所及び拘置所からの脱獄・逃走歴あり)
目的: SCP-213-JPの転移先での有人探査及び可能であればドローンの回収。元の所有者が自らトランクに入り消失したことから、転移先は比較的安全であるはずだと判断。
実施方法: D-0442にサバイバル・パックと音声通信装置、記録用カメラを持たせ、SCP-213-JPの後部トランクに入れて閉めた。
結果: D-0442が消失した。音声通信は途絶し、その機能を失った。
それ以降の実験では、何ら有力な成果は得られませんでした。
文書213-JP-A: 手書きのメモ
20██/09/06、SCP-213-JPの後部トランク内に、差出人不明のメモが落ちているのを担当職員の1人が発見しました。内容は以下の通りです。
アンタらにとって、重要だと思うことだけを書いておく。あのトランクの転移先は刑務所みたいな場所だった。32階立てでおそらくは十字型の建物だ。トランクを閉められ、次に蓋が開いた時、俺は棺みたいな箱の中に横たわっているのに気付いた。そこは5m四方の監獄だった。ここじゃ1人につきひとつ監房が割り当てられてるみたいだ。監房と監房の間は1mで、それが端から1000mくらいの長さで十字の中央にまで続いている。十字の中央には吹き抜けがあって、そこから緑色の曇り空が見えるが、外がどうなっているのかは分からない。監房の中には人が入っていることが多いが、たまにたくさんの麻薬や銃とか、明らかにSCPオブジェクトだろうモノが入ってることがある。注意しろ。
ここじゃ顔に触手のついたデカい人型の化け物が、看守みたいな役割を果たしている。奴らは賢くないが、あなどるな。挟み撃ちや待ち伏せくらいはできるし、力強く足も速い。俺の次に送られたあのエージェント、あいつが撃った弾は全部化け物に当たってはいたが、まるで効果はなかった。
ここからは特に重要だ。監房にはひとつ、必ず例の箱が置いてある。つまりあの車以外にも同じ性質を持つヤツが他にもたくさんあるはずだ。そのトランクがこちらの世界への『入り口』みたいな役目を果たしている。で、監房の箱には鍵穴が付いてる。箱の中に何かモノを入れて鍵を回すと、今度はそいつが『出口』になるようだ。
監房からうまいこと出た後、俺はここから何とか出られないか観察してみた。見回りの隙をついたり、時には別の監房に逃げ込んで、あたかもそこに元から居たように振る舞ったりして、脱出手段を探した。そして、俺は鍵を見つけた。化け物の1匹から奪った。この鍵はどの箱の鍵穴にも合う。もし万が一、他に誰か送るならまずは鍵を探させろ。それが唯一、ここから出る手段だ。忘れるな。
文書213-JP-B: 紙の切れ端
20██/09/14、SCP-213-JPの後部トランク内に以下の内容が書かれた紙の切れ端が落ちているのを担当主任の1人が発見しました。
定期的にサバイバル・パックをトランクに入れてくれ
それと新品のバールがあると助かる
インタビューログ: 213-JP-001
インタビュアーとして女性のエージェント・████が、22歳女性の生存者017へ質問を行いました。
(重要度が低い部分は省略済み)
エージェント・████: だいぶ落ち着いてきたようですね。では、あの場所について覚えていることをもう一度、出来る限りで構わないので話していただけますか。
生存者017: ええ……ホント最悪な場所だった。私はほとんど監房で過ごしてたの。ただ、監房って言ってもトイレもベッドも無かったわ。あそこの壁は砂で固めたみたいな素材だったけど、実際はもっと固い何かだった。ドアには格子が斜めに入っていて、そう、明かりはどこにもなかったのに常に明るかったわ……。
エージェント・████: あなたの他に監禁されていた人はどれ位いたか、分かりますか?
生存者017: さぁ……。でも、私の右斜め前の女の人は外国人みたいだった。言葉は通じなかったけど、お互いに励まし合ってた。でもある日、看守に連れられて行って、それから戻ってこなかったわ。
エージェント・████: では、その "看守" について聞かせて下さい。
生存者017: 看守は、前にテレビで見た、ホシバナモグラってのにそっくりの毛のない化け物だった。でもアイツらと会うのは1日に2度、焦げてる見た事もない虫みたいのを食事として差し入れられる時くらいだったわ。もっと酷かったのは人よ。
エージェント・████: ……人、ですか?
生存者017: ええ。たまに看守に守られるようにして男が何人かやってくるの。で、私に……ひどいことを。
エージェント・████: はい……大丈夫です。そこは省きましょう。どうやってこちらへと戻ったのか教えて頂けますか?
生存者017: ある日、男が来た。外の廊下の天井裏からよ。作業着みたいなのを着てた。彼は格子を開けると、私に箱の中に入れと言ってきた。有無を言わさぬ口調だった。私はその時にはもう抵抗するのを止めていたから、大人しく従ったわ。するとその男は、ここから出たら警察に行って何があったのかを全部話せと言ってきた。警官はその話を信じないだろうけど、その後にやってくるスーツを着た人は私の話を詳しく聞きたがるだろうって。で、箱の中に横たわって蓋を閉められると、鍵が回る音を聞いたわ。次に気付いた時は、もうこっちの世界にいた。車のトランク越しに、クラクションと鳥の声が聞こえたの。で、戻ってきたんだな、って。私は大声で開けてと叫んだわ。その後は知ってるでしょ?
エージェント・████: ええ。ご協力、ありがとうございました。
インタビューログ: 213-JP-012
男性のエージェント・███が27歳男性の生存者059へと質問を行いました。
(重要度が低い部分は省略済み)
生存者059: で、たまに数人の男がやってくるんだ。そいつらは怪物に襲われないみたいだった。男たちは俺の監房にもう1人、男を突っ込んできた。で、俺にそいつを殺して食えと命令してきた。最初は従わなかった。でも、最後には、お、俺はやらざるを得なくなって……。
エージェント・███: 一旦、中止しますか?
生存者059: いや、大丈夫だ。ああ。俺は結局、言われた通りにした。男たちは笑ってた。俺も最後の方には慣れたもんで、何も感じなくなってた……。
エージェント・███: 男たちはどのような人物でしたか?
生存者059: 身なりが良かった。日本人以外にも外国人らしき奴らなんかもいた。でさっきは男たち、って言ったけどたまに女も混じってた。奴らについてはそれ位しか知らない。そうだ、そういえば俺が助け出される少し前から、あそこの雰囲気が何て言うか、おかしくなってた。
エージェント・███: というと?
生存者059: 俺の監房の外の廊下で、例の男たちが怪物に何か怒鳴ってた。英語じゃないどっかの言葉だったから何とも言えないが、何かについて怒ってた。怪物たちも何だかイラついてたみたいで、その怒鳴ってた男を引き裂いたんだ。あんなのを見るのは初めてだった。引き裂かれた男は後で怪物たちが持ってった。
エージェント・███: なるほど……。では、あなたを助けたという人物について詳しく聞かせてください。
生存者059: ……ある日、誰かにゆすり起こされたんだ。変な服を着た男で、いつの間にか俺の監房の中にいた。彼はここから出してやるから箱に入れと言ってきた。俺はどうやって出るんだと尋ねた。そしたら彼は、鍵があってそいつで外から箱を閉めるとそれが『出口』になるんだと言った。……で、俺は彼に、あんたはどうやって出るんだと聞いた。彼は出るつもりはないし、外に居て鍵をかける人間、そしてこの箱を壊して回る奴がまだ必要なんだと言った。そして気付いたら俺は外に居た。ここ最近の車は中からもトランクを開けれるって聞いてたから、それを探して……出たんだ。外に。
エージェント・███: はい……では、もうお話は結構です。隣の部屋でお待ちください。
補遺213-JP-01: 現在までに、SCP-213-JP-1から生還したと思われる行方不明者は日本国内だけで91人にまでのぼりました。彼らには情報を得るための質問を行い、それが終わった後でならCクラスの記憶処理を施してから解放しても構いません。
補遺213-JP-02: 財団の押収した48台の車両の内、45台は既に後部トランクで消失が発生しなくなっている事が判明しました。担当研究員はその45台に引き続き消失実験を行い、完全にその異常性が失われていることを確認して下さい。
ページリビジョン: 13, 最終更新: 10 Jan 2021 15:57