SCP-2140-JP
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アイテム番号: SCP-2140-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2140-JPは現在サイト81██の人型実体収容施設に収容されています。SCP-2140-JPに関連する実験は、SCP-2140-JPを現在使用されていないサイトもしくは財団傘下の民間施設に移送した上で行なって下さい。現在SCP-2140-JPに関連する実験は禁止されています。SCP-2140-JPにパリ市についての情報を与える事は例外なく禁止されます。

説明: SCP-2140-JPは姓名を三田 ██という、30代の日本人女性です。SCP-2140-JPの身体的特徴等には何ら異常性は見られませんが、特定の行動下において後述の異常現象(以下、SCP-2140-JP-1と表記)を発生させます。

SCP-2140-JP-1はSCP-2140-JPがパリ市内への移動を試みた際パリ市内の観察を試みた際、その妨害として発生する異常現象です。SCP-2140-JP-1は多くの場合において異常性のない一般的な事象として現れますが、一部の事例では明らかに異常な事象も見られます。詳細は実験記録を参照して下さい。SCP-2140-JP-1の最初の発生は収容時のインタビューより、SCP-2140-JPが21歳の時であったと考えられています。

SCP-2140-JPはSCP-2140-JPがSNSに行った複数の書き込みにより、財団の注目を受けました。その後実施された複数回の実験において全ての事例でSCP-2140-JP-1が発生したため、SCP-2140-JPは正式にオブジェクトとして登録、収容されました。

以下はSCP-2140-JP発見以前に発生したとされるSCP-2140-JP-1事例とその回数です。

交通機関のアクシデント: 8回
SCP-2140-JPの体調不良: 7回
学校・会社からの呼び出し: 5回
親族の死亡及び重大な体調不良: 3回
パスポートの紛失: 1回

以下はSCP-2140-JPの実験記録です。

実験記録001 - 20██/█/██

実験内容: SCP-2140-JPを財団の航空機を用いてサイト81██からパリ市内へ移送する。

目的: SCP-2140-JP-1の発生確認

結果: 移送当日サイト81██において原因不明の停電が発生した。予備電源は正常に稼動しサイト内の収容状況に問題は発生しなかったが、航空機格納庫のみ電力が回復せず電動シェルターを開く事ができなかった。移送は中止された。

通達: 今回のような収容違反の可能性のあるSCP-2140-JP-1の発生を考慮し、今後の実験はSCP-2140-JPを他オブジェクトが収容されていない施設に移送した上で行うものとします。ー ██サイト管理者

実験002〜005は現在使用されていないサイト81██で実験001と同様の条件で行われ、全てにおいてSCP-2140-JP-1が発生しました。またこの結果を受け、SCP-2140-JPは正式にオブジェクト認定がなされました。

実験記録006 - 20██/█/█

実験内容: SCP-2140-JPを睡眠状態にして他実験と同様の方法でパリ市内へ移送する。

目的: SCP-2140-JPの意識がない状態でのSCP-2140-JP-1発生の有無の確認

結果: SCP-2140-JP-1は発生せず、SCP-2140-JPはパリ市内に侵入できた。しかし、パリ市内にてSCP-2140-JPは睡眠から覚醒せず、睡眠時間が40時間を越えたところで健康上の観点からパリ市外へ航空機で移送された。SCP-2140-JPはベルサイユ上空で睡眠から覚醒した。また覚醒後にSCP-2140-JPがベルサイユ上空から窓越しにパリ市内を観察しようと試みたところ、航空機の周囲に濃霧が発生し観察を妨害した。

分析: SCP-2140-JP-1が妨害しているのはSCP-2140-JPのパリ市内への侵入ではなく、直接的な観察によるものだという仮説が立てられました。さらにこれらがSCP-2140-JPの認識に基づいていると仮定すれば、SCP-2140-JPが意識を保ったままパリ市内に侵入できる可能性はあります。
ー ██博士

実験記録007 - 20██/█/██

実験内容: SCP-2140-JPの視覚・聴覚をアイマスクと耳栓を用いて遮断し、他実験と同様の方法でパリ市内へ移送する。SCP-2140-JPには次の実験のためにスペイン王国に移送されると事前に通達する。

目的: 実験006にて得られた仮説の検証

結果: SCP-2140-JP-1は発生せず、SCP-2140-JPはパリ市内に侵入できた。その後SCP-2140-JPのアイマスクと耳栓を外したところ、それと同時にSCP-2140-JPは視覚・聴覚を一時的に喪失した。SCP-2140-JPがパリ市外の視覚・聴覚共にパリ市内を知覚できない地点に移動した時点で、SCP-2140-JPの視覚・聴覚は実験前の状態まで回復した。

分析: SCP-2140-JPの意識の有無に関わらず、SCP-2140-JPが直接パリ市内を知覚する事は不可能と考えるのが妥当と思われます。
ー ██博士

補遺1: SCP-2140-JP-1により紛失していたSCP-2140-JPのパスポートがSCP-2140-JPの両親の自宅より発見されました。パスポートの記載情報によりSCP-2140-JPは19歳の時にパリへの旅行経験がある事が明らかになりましたが、SCP-2140-JPは収容時のインタビューではパリへの旅行経験はないと発言しており、またパスポート発見後再度実施されたインタビューにおいても同様の主張をしました。この事実とSCP-2140-JPの異常性との関係性は不明です。

実験記録008 - 20██/█/█

実験内容: パリ市内にカメラ付き遠隔操作自立歩行ロボットを配置し、SCP-2140-JPにVRヘッドセット及び運動トラッキング機器を用いてそれを操作させる。SCP-2140-JP-1はSCP-2140-JPがパリ市内を映像等の記録媒体によって確認した際には発生しないことが事前に確認されている。

目的: SCP-2140-JPのパリ市内の疑似的な直接的知覚の可否

結果: ロボットとの通信状況等は全て良好であり、SCP-2140-JPがVRヘッドセットを着用した際にもSCP-2140-JP-1は発生しなかった。SCP-2140-JPは初めこの結果に満足し強く興奮している様子だったが、実験開始から3分程で落胆した様子ですすり泣き始め1、実験開始から10分程でパニック症状を起こした。SCP-2140-JPの強い希望により実験は13分で終了した。SCP-2140-JPは大きく疲弊している様子であり、それを考慮し1時間の仮眠の後行われたSCP-2140-JPへのインタビューではSCP-2140-JPが本実験に関する記憶を全て失っている事が確認された。SCP-2140-JPの覚醒時の言動より、この記憶喪失はSCP-2140-JPの仮眠中に発生したと推測されている。

分析: 新たに確認された記憶喪失事象は、実験でSCP-2140-JPが受けた精神的ショックから考えるに自己防衛反応であると推測されます。パリ市内を知覚した際のSCP-2140-JPの精神状況について、さらなる実験が必要です。
ー ██博士

実験記録009 - 20██/█/█

実験内容: 実験008と同一のものを実施し、実験後すぐにSCP-2140-JPに対してインタビューを実施する。

目的: 実験後のSCP-2140-JPへのインタビュー

結果: 実験直前に予備も含めたVRヘッドセットが故障し、実験は中止された。

実験009の後、実験010〜013において実験009と同様の実験を実施しましたが、いずれも様々な原因によって実験は中止あるいは失敗しました。これらの原因となった現象は、SCP-2140-JP-1ではないかと推測されています。

補遺2: SCP-2140-JPより実験008以降、以前からSCP-2140-JPに娯楽品として与えられていた、パリで行われた旅番組のDVDが読み込めなくなったとの訴えがありました。担当職員が新たにDVDを支給しましたが、支給されたDVDも同様に読み込む事ができませんでした。現在まで、SCP-2140-JPに対する正常に再生可能なパリを撮影した映像記録の支給には成功していません。またこれに関連して、██博士より実験008においてSCP-2140-JP-1の発生範囲が映像記録まで拡大したとの意見が提出されました。この仮説を根拠としてSCP-2140-JP-1の発生条件の拡大を防止するため、SCP-2140-JPに対する実験及びSCP-2140-JPにパリ市についてのいかなる情報をも与える事が禁止されました。

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