SCP-2154-JP
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SCP-2154-JP

アイテム番号: SCP-2154-JP

オブジェクトクラス: Ticonderoga

特別収容プロトコル: SCP-2154-JPの収容は不要です。SCP-2154-JPに起因する行方不明者に関する特別な対応は基本的に必要とされませんが、大規模な曝露が発生した場合には架空の過激派組織や排他的宗教団体による大規模な犯行としてカバーストーリーが適用されます。

SCP-2154-JPの情報が一般社会に漏洩することを防ぐため、植物学や古植物学に関連する学問領域は財団植物学部門や古生物学部門による監視と検閲を受けます。SCP-2154-JPの異常性を暗示する刊行物は差し止められ、関係者には適切な記憶処理が実施されます。


説明: SCP-2154-JPはトクサ目に属する陸上植物の分類群です。現存するSCP-2154-JPに該当する生物は同目内唯一の現生属であるトクサ属(Equisetum)のみですが、進化生物学・古生物学的観点ではトクサ科およびロボク科を内包する最も排他的な分岐群の全体に異常性が存在したと見られます。

SCP-2154-JPの異常性は、基底世界に生育しながらも1個以上の並行世界とも同時に存在する点です。SCP-2154-JPは重ね合わせの状態を取りながら並行世界間に跨って存在し、世代交代を通して一方の世界から異なる並行世界へ移動します。この移動は古典力学的な物体の移動でなく、量子力学的な存在確率の再分配により実現されます。

SCP-2154-JPの存在確率の高低はヒト(Homo sapiens)をはじめとする大多数の生物から見て、植物体の体サイズ、特に茎の径と対応して認識されます。具体的には、基底世界における存在確率が小さい個体ほど茎の径が細く、逆に存在確率が大きい個体ほど茎の径が太く認識されます。

例として、後期石炭紀から前期三畳紀に生息したロボク科のArthropitysは既知の範囲内で直径最大約60 cmを超過する巨大な植物として知られます[1]。後期ペルム紀から後期ジュラ紀に生息したトクサ科のNeocalamitesは直径6 - 30 cm程度に達しますが[2]、現生のトクサ(Equisetum hyemale)は直径2.5 - 17 mm程度に終始します。当該傾向が継続すると仮定した場合、将来的なトクサ目の植物は極限まで径が細まり基底世界から消滅すると予測されます。こうした時代を経たトクサ類の小型化傾向、あるいは大型のトクサ類の消失は、SCP-2154-JPの異常性に対するヒトの認識の所産です。

SCP-2154-JPを消費した動物はSCP-2154-JPの持つ多元宇宙間遍在性により、並行世界へ転移する場合があります。イヌ(Canis lupus familiaris)をはじめとする愛玩動物やそれと同行するヒトが偶発的に世界間転移に巻き込まれたと推定される事例が確認されています。

以下はSCP-2154-JPに関する実験記録です。実験には過去に動物の世界間転移を誘発したことが有力視されている地点に自生するトクサ類が採用され、また実験に参加したDクラス職員にはGPS発信機および通信装置が装着されました。

実験記録2154-JP-01 - 日付2026/03/14

対象: D-191163

実施方法: SCP-2154-JPに素手で触れるように指示し、接触時の動向を検証する。

結果: 変化なし。

実験記録2154-JP-02 - 日付2026/03/14

対象: D-191163

実施方法: SCP-2154-JPを鎌で伐採するように指示し、破壊時の動向を検証する。

結果: 変化なし。SCP-2154-JPは正常に伐採された。

実験記録2154-JP-03 - 日付2026/03/14

対象: D-191163

実施方法: 加熱調理済みのSCP-2154-JPを摂食するよう指示し、消費時の動向を検証する。

結果: 変化なし。D-191163は卵とじ料理が非常に美味であるとコメントした。

実験記録2154-JP-04 - 日付2026/03/15

対象: D-191163

実施方法: SCP-2154-JPを生で摂食するよう指示し、消費時の動向を検証する。

結果: D-191163は消失した。消失と同時にGPS信号が途絶し、また通信も回復しなかった。

付記: D-191163の身柄は後日回収された。

補遺: D-191163はSCP-2154-JPの実験での使用以降消失扱いされていましたが、異世界跳躍を教義に含む宗教団体であるGoI-101"エルマ外教"内で2026/06/26に発見されました。当時GoI-101の日本国内における活動拠点「日本エルマ 関東支部」にて財団エージェントによる別件の諜報活動が行われており、その最中にDクラス職員と一致する服装の人物が確認されたことでエージェントの注意を引きました。D-191163はこの時点でGoI-101の教義に帰依しており、関東支部施設に間借りして生活していたと見られます。

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Australosomus

確保時において、D-191163の私物には異世界跳躍を経て拾得されたと推定される複数の物品が確認されました。特に財団の目を引いたものは冷蔵庫や密閉容器中に保管された食糧品でした。内容物は加工野菜や加工肉、および魚肉を主とするものであり、それらの食材となった生物のゲノム配列は財団が保有するデータベース内のいかなる生物とも一致しませんでした。特筆すべき点として、全身が保存されていた魚類の骨格構造は化石属であるAustralosomusとものと類似し、近縁な類縁関係にあると推測されています。

これを踏まえてD-191163を対象とするインタビューが行われ、D-191163がSCP-2154-JPによる転移先で未確認の知的種族と遭遇していたことが確認されました。以下は実施されたインタビューの内容です。

インタビュー記録2154-JP - 日付2026/06/30

対象: D-191163

インタビュアー: 森山博士


<抜粋開始>

森山博士: やあD-191163、ご無沙汰だな。

D-191163: ああ、先月にはこっちに帰ってきてたけどな。エルマで世話になってた。もうその辺の話は耳に入ってんのかな。

森山博士: 聞いてる。エルマはどうだった?

D-191163: 捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったもんだよ。あっちの世界でも、こっちの世界でも、志を同じくする同胞には何度も助けてもらった。食べ物や住居を恵んでもらえて。相互救済ってお題目を掲げてるんだぜ。

森山博士: なるほどな。報告を怠るほどあのカルトは居心地が良かったと見える。

D-191163: おいおい、通信機なんかとっくに捨てちまったよ。互換性が無いから向こうの世界ではクソの役にも立たねえしな。それにおたくらの連絡先なんて綺麗に隠蔽されてるんだし、一報入れようにも入れられるわけねえだろ。[沈黙] まあ、教団の居心地が良いのは否めないかな。女神エルマは救済へ続く道をご用意くださった。

[D-191163が聖印を結び、詠唱を開始する。]

D-191163: 試練を経て献身へ ⸺

森山博士: おいやめろ、御大層な説法を拝聴するためにインタビューをしてるわけじゃない。私が聴きたいのはお前が何を見たかだ。SCP-2154-JPを食べて、何を見た? 何を感じた?

D-191163: ああ、不味かったぜ! あんなゴリゴリの草を生で食わされてみろよ、たまったもんじゃねえ。鼻からアスパラ食う方がまだ ⸺

森山博士: 違う! お前の食味なんて今はどうだっていい。SCP-2154-JPの異常性でこの世界から消えて、その先で何を経験したか、それを聞きたい。あの魚はどこで、どうやって手に入れた?

D-191163: 街に辿り着いたんだ。脚が死にそうになりながら見窄らしい格好で放浪していると、灯が目に入った。恐る恐る歩いていたけど、空腹には勝てねえ。街の市場で恵んでもらえた。

森山博士: 街?

D-191163: 見たことのない街だった。一体どこまで伸びているかも分からない建物だって少なくはなかった。雑誌や映画なんかで見た香港やニューヨークの摩天楼とも違う。

森山博士: 具体的に、どんな街並みだった? どう違った?

D-191163: あちこちに丸みを帯びた ⸺ 円筒形の建物が天を衝くようにいくつも聳えてた。緑色の木材が金属の枠に組み込まれているような、むしろ金属が木部に取り込まれているような。樹木とテクノロジーとが、切れ目なく融合して一体化したような景色だった。都心にいながら森に囲まれている不思議な感覚だったよ。真ん中の塔には、なんというか、直行したパーツが輪を描くように生え並んでた。

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枝が輪生するE. pratense

森山博士: 輪生、か。

D-191163: 輪生?

森山博士: トクサやスギナを見てみれば分かる。茎のある一点から放射状に枝や葉の広がる配列様式を、輪生という。SCP-2154-JPをテクノロジーの意匠に取り入れてるのかもしれないな。

[沈黙]

森山博士: そして多雨林を思わせる巨塔ときた。それは本当にエルマの文明なのか?

D-191163: いや。エルマの教えは人口に膾炙してはいたようだけど、唯一の支配的な宗教とは呼べない。星の数ほどの宗教や宗派があるのに、よくやってる方だとは思うけどな。跳躍を是とする教義は、彼らの境遇と相性が良かったんだろう。

森山博士: 彼らというのは、その異世界人のことか。

D-191163: そうだけど、異世界人って言うのもちょっと違うかもしれない。彼らは元々ユニバース58、つまり俺たちの世界に居たそうだからな。彼らの先祖は大いなる脱出を果たして、この世界から向こうの世界へ跳躍したらしい。俺と同じ方法で、つまり、おたくらの言うSCP-2154-JPを使ってな。それに、おたくが想像するヒトの定義に当てはまるかも微妙だ。

森山博士: [沈黙] ヒトとは似て非なる存在だったのか?

D-191163: 似ても似つかないかもな。まあ……2本脚で立ってて、腕が2本あって。頭が上についてて目も口も鼻もあると思うと、似てるのか? どうなんだろ。科学者サマの考える、似てる似てないの範疇を知らねえからな。

森山博士: もう少し具体的に説明してもらえるか。そうだな……それは動物なのか?

D-191163: 動物かそうじゃないかと言えば、明らかに動物だ。機械でも植物でもない。

森山博士: 目があると言ったな。それは複眼か? それとも我々のようなカメラ眼か?

D-191163: 俺たちと同じだ。瞳孔は横に広がってたけど。

森山博士: ヤギのようなか。SCP-2154-JPを利用していたことも踏まえて、植物食動物、あるいはそれから派生した種族ということになるか? 皮膚はどうだ、硬い外骨格に覆われているか、それとも体毛が生えている?

D-191163: 硬くてごつごつとしてはいるが、外骨格ってふうじゃないな。棘みたいな剛毛が一部には生えてるけど、大分部には無い。そう思うと、ゾウに近いかも。滑らかだけど小さな凸凹があって、感触としてはゴムや革に近い弾力がある。表面には折り畳まれた皺もある。

森山博士: するとほぼ無毛だが哺乳類に近い。他に外見的特徴は?

D-191163: ずんぐりしたブタにカメの嘴を付けたみたいで、変わった牙を生やしたイノシシって感じだ。いや、カバにも似てるかもしれないし、ひょっとするとブルドッグかも。

森山博士: カメのような嘴を持つブタで、イノシシで、カバで、ブルドッグ。

D-191163: 伝わってるか? これ。

森山博士: 肌の質感はゾウに近く、吻部前端に嘴と牙がある植物食動物。そしてトクサ類を彷彿とさせる文明都市、三畳紀の魚が流通するとなると ⸺ ディキノドン類か。リストロサウルスのような、インドゥアンのディキノドン類。SCP-2154-JPで壁を越えた向こうには、失われた世界が広がってる。

<抜粋終了>


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Lystrosaurus

付記: ディキノドン類は古生代の中期ペルム紀において地球上に出現した獣弓目の単弓類です。単弓類はかつて「哺乳類型爬虫類」という非公式名称で呼称されていましたが、現生の動物の中で哺乳類に近縁であることが判明しています。単弓類は恐竜や哺乳類が誕生する以前の地上において支配的な分類群でした。

ディキノドン類の1つであるLystrosaurusは中生代の前期三畳紀において繁栄しました。頭胴長は約1メートルにおよび、上顎に生えた発達した2本の犬歯を除いてほぼ全ての歯が退化・消失しています。吻と牙を使って水草を引き抜いて食餌とする半水棲の植物食動物であったと推測されており、当時の陸上生態系において主要な1次消費者でした。

Lystrosaurusの化石記録は現在のアフリカ、南極、アジア、ヨーロッパから汎世界的に得られており、当時の古地理においては超大陸パンゲアの南側に広く生息したと推定されています。大量絶滅事変を経て競合相手が減少した本属は生態系を優占しました。具体例として、南アフリカ共和国に分布するカルー超層群ビューフォート層では、本属がLystrosaurus群集帯において陸上脊椎動物化石の約95%を占めます[4]

D-191163が報告した異世界知的種族は、前期三畳紀においてSCP-2154-JPを消費して異世界転移を経験したLystrosaurusに起源を発する可能性があります。ただし、同属と同時期に生息しながら同所的に分布しなかった化石魚類Australosomusあるいはその近縁属が得られている点は、単なる植食者の異世界転移のみでは説明不能です。


追記: 財団エージェントによる「日本エルマ 関東支部」への諜報活動の結果、D-191163が報告した異世界知的種族は複数の世界においてGoI-101関連施設を定期的に来訪していることが判明しました。これは各世界のGoI-101信徒との交流や、また当該種族の宗派の啓蒙を目的とするものです。GoI-101の内部ネットワークに保管された情報から、基底世界の「日本エルマ 関東支部」への次回の来訪が2026/11/23に予定されていることが判明しました。

これを受け、当該種族を要注意種族SoI-101-JPに指定し、一般信徒を装った財団職員によるSoI-101-JPへの直接的聴取が計画されました。当初計画では財団エージェントによる潜入が想定されていましたが、当時の生態系や古環境に精通した人間が望ましいこと、またD-191163が数ヶ月間に亘ってSoI-101-JPの社会で生活を送った上で穏便に生還した事実から、森山博士が潜入に立候補し承認されました。

以下はSoI-101-JPに対する森山博士によるインタビュー記録です。

インタビュー記録2154-JP - 日付2026/11/24

対象: SoI-101-JP

インタビュアー: 森山博士


<記録開始>

[「日本エルマ 関東支部」の通路窓際に設置された椅子に1体のSoI-101-JP個体が着席している。森山博士が接近し、隣の椅子に着席する。]

森山博士: お休み中のところ申し訳ありません。お隣、よろしいですか?

SoI-101-JP: 構わんよ。して、何用かね?

森山博士: 私、佐藤と申します。最近になって入信したばかりでして、いろいろ見分を広めたいと申しますか。あなたは ⸺ 先日このユニバースにいらっしゃったと。あなたのご出身がどのようなユニバースなのか、そしてどのように跳躍を果たしたのか、お聞きしたく思いまして。

SoI-101-JP: なるほど、新しい方か。そうだね……

森山博士: あなた方のユニバースにおける住民は、こちらのユニバースにルーツがあるとお聞きしましたが、それは真ですか?

SoI-101-JP: うむ、真だ。とはいえ我々と君たちとでは時間の流れ方が異なるから、君たちからすれば想像を絶するほどの昔の存在ということになろうがね。ええと、この惑星の暦では ⸺ どのくらい遡ることになるかな。

森山博士: 約2億5000万年前と聞いています。地質学者はその時代を三畳紀前期と呼ぶそうですよ。

SoI-101-JP: なるほど、三畳紀。そんな名前と分類がされているとはね。

森山博士: ドイツという欧州の国の地層にちなんだ命名だそうです。何にせよ、遠い遠い昔の話ですね。私はその数字を引っ張り出すことこそできても、その長さを実感することはとてもとても。遡りきることのできない長大な時間としか。

SoI-101-JP: しかし、我々とて当事者ではないからね。歴史時代ならばともかく、文字も言葉も持たない原初の祖先が、何を思って跳躍の第一歩を踏み出したかも分からん ⸺ きっと、何も考えていなかったんじゃないかとも思う。目の前にある植物を食むうち、後々我々のユニバースとなる宇宙へ偶然迷い込んだ……というところだろう。伝説の始まりとは往々にしてそのようなものだ。

森山博士: 植物。植物を使って跳躍を?

SoI-101-JP: 然り。この教団に所属するなら当然ご存じだろうが、宇宙は1つでなく無数に存在する。その宇宙と宇宙との隙間に存在するどこでもない世界、そうしたところに芽吹く生命がある。それが絶え間なく揺れ動く世界の狭間で、虚空に揺蕩う。我々の祖先はそうした幽世の草本に舌鼓を打ったということだ。

森山博士: 故レオ・レオニを思い出しますね。

SoI-101-JP: そちらのユニバースで名のある者か?

森山博士: ええ、そういう植物の本を著した人物です。空想を扱った書籍として有名ですが。

SoI-101-JP: ならばその者も同じ境地に辿り着いたのかもしれんな。興味深い。[沈黙] そうだ、ついこの前も、このユニバースから我々のユニバースへの流浪者がやってきたところだ。名前を持たない、番号か座標のような何かを冠した者だったが。そのように迷い込む者も存外少なくはないのかもしれん。

森山博士: ああ、それはお聞きしました。なんでも……偶発的な跳躍に巻き込まれて生活に困窮していたところ、そちらのユニバースの食べ物をいただいていたとか? 我々の世界には居ない奇妙な魚を持ち帰ったと耳にしています。

SoI-101-JP: ほほう、そうかね。素晴らしい相互救済の賜物だな。

森山博士: その魚は学術的な興味深さがあったとも聞いています。既にこのユニバースから姿を消した古の魚に似ていると。単なる2系統の収斂では片付かない解剖学的共通性に裏打ちされた、確かな連環を見出すことができたと。[沈黙] なぜそのような類似が起こるのでしょうかね?

SoI-101-JP: 何を不思議がっておるのかね?

森山博士: あなた方の祖先は草食動物だったのでしょう? 魚を狩る肉食動物ならばまだしも、なぜ魚も跳躍に参加しているのでしょうか? 魚を養殖していたわけでも、常に獲物として持ち歩いていたわけでもないでしょうに ⸺

SoI-101-JP: なんだ、そんなことかね。それは時系列の齟齬というものだ。

森山博士: [沈黙] 詳しくお聞かせ願えますか。

SoI-101-JP: 私はこう言ったね。歴史時代ならばともかく、文明を持たない原初の祖先が、何を思って最初の跳躍を行ったか知れたものではない ⸺ と。逆を取れば、我々の先祖が文字と言葉と文化を獲得して以降、その思想や思索の内実や変遷は明瞭な道程でもって辿ることができるということだ。

森山博士: 文明を獲得してから、魚をそちらの宇宙へ持ち込んだと?

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Lystrosaurusの群集(奥)と、その捕食者である基盤的主竜形類Proterosuchus(手前)

SoI-101-JP: 魚だけではないさ。植物の種子や菌類の胞子、爬虫の卵、祖先自身の血脈を脅かした天敵に至るまで、全ての遍く生命をこちらのユニバースに運び込んだ。愛しき故郷の生態系をかの素晴らしき恵みの大地の上に可能な限り再現し、そしてそれをこの上なく栄えあるものへ拡充せんがために。

森山博士: リバイバルブームのようなものですか?

SoI-101-JP: その側面もあるだろう。望郷の思いに駆られ、曾祖父の暮らした世界を自らも味わう。そうした魅力に取りつかれた者も居たはずだ。[沈黙] しかしそれは、今こうして私がこの惑星にやってきて君と対話していることも含め、我々の種族が弛むことなく続けてきた営みの本質ではないよ。

森山博士: では本質とは? 何が本質なのですか?

SoI-101-JP: 君たちがリストロサウルスと呼ぶ我々の祖先は、大いなる脱出の道へと続く、小さくも偉大な1歩を踏み出した。破滅に向かう世界から跳躍し、遥かな別次元へ。そして我らの先祖は慈悲を示した。沈みゆく難破船に乗った遭難者たちを我らの祖は見捨てず、そして我らも悠久の時を超えてその意志を継ぐ者なり。女神エルマの相互救済の教えは、母なる地球とその乗組員たちに恩恵を与う。

森山博士: 破滅?

SoI-101-JP: 無知蒙昧とした民草と異なる、我らの祖に関心を持つ君なら、察しが付くのではないかね? 2億5000万年が過ぎ去ったこの時代でも、過去の遺物を掘り起こしてつぶさに観察し、洞察し、空想する君たちなら。きっと伝説や神話として語り継いでいるのではないかな。

森山博士: それは、まさか ⸺

[SoI-101-JPが自身のこめかみに指を触れさせる。]

SoI-101-JP: もう時間だ。また会おう。失礼する。

[SoI-101-JPが消失する。]

<記録終了>


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溶岩と凝灰岩および火砕岩起源の再堆積岩の分布を示すシベリアの地図。体積にして約4×106km3に達し、その大部分が溶岩流で形成されている。

付記: SoI-101-JPが言及した「破滅」とは、古生代のペルム紀末に発生した約2億5200万年前の大量絶滅事変を指すものとして解釈されます。当該の地球史イベントは海洋動物種の約95%が絶滅に至っており、顕生代の約5億4100万年間で最大規模の絶滅事変とされます。

ペルム紀末の大量絶滅事変は当時のパンゲア大陸における洪水玄武岩の噴出に起因することが有力視されています。当該の大規模火成活動は大部分が100万年以内に進行した劇的なものであり[5]、噴出したマグマは約7×106km2の範囲を被覆し、体積にして4×106km3に達しました。これにより形成された巨大火成岩岩石区はシベリア・トラップとして知られ、陸上に現存する火成岩地形として最大規模を誇ります[6]

シベリア・トラップの火成活動は3.9×103 - 1.2×104 Gtの炭素を海洋-大気系に放出し、地球大気の二酸化炭素分圧を6倍以上上昇させたと推定されています[3]。低緯度海域の表面海水温度は約40℃に達し、また海域と比較して温度変化への感受性が高い陸域はより高温に晒されました。これにより低緯度地域では多くの動植物が絶滅し、テチス海では魚類相が一掃され、陸上では単弓類の大部分が絶滅しました[7]

ペルム紀に壊滅した陸上生態系は十分な回復までに約3000万年を要しており、後期三畳紀に入るまで各群集における生物多様性は低水準で推移していました[8]。前期三畳紀の最初期であるインドゥアン期では、パンゲア大陸における高緯度地域にはLystrosaurusをはじめとする動物が生息可能な湿潤環境が存在したものの、低緯度から中緯度地域は過酷な環境が分布したと推定されています。湿潤または季節性バイオームでは植物相の多様性がペルム紀から激減し、亜熱帯砂漠バイオームでは植物の化石記録が欠如しています[9]

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推定されるインドゥアン期のバイオーム

Lystrosaurusはペルム紀末の大量絶滅を生き延び、またその後に急速かつ一時的な繁栄を見せた数少ない動物の1つです[8]。同属は残された湿潤環境でのSCP-2154-JPの継続的な摂食により世界間を往来し、ペルム紀末の環境変動の影響を軽減し、三畳紀に入って知的種族としての進化を遂げた可能性があります。

森山博士により、SoI-101-JPはこうした環境変動や過酷な環境の回避のため動植物の移入を行ったと予察されました。ただし、SoI-101-JPの活動が現在も規模を縮小しながらも世代を超えて継続している点は疑問視されており、今後の聴取が予定されています。

インタビュー記録2154-JP - 日付2026/12/03

対象: SoI-101-JP

インタビュアー: 森山博士


<記録開始>

森山博士: まだこの世界にいらっしゃいましたか。

SoI-101-JP: おや、先日の。奇貨かな。先ほど戻ってきたところだよ。いかがしたかな?

森山博士: よろしければ続きを拝聴したく。差し支えございませんか?

SoI-101-JP: やぶさかではないな。

森山博士: ありがとうございます。我々がペルム紀と呼ぶ時代を生きたあなた方のご先祖は、時空の狭間に生えた植物を齧り、偶然にも次元の壁を潜り抜けた。そして当時の地球を襲っていた未曾有の大厄災を回避し、新時代の黎明を彩る機会を得た。[沈黙] そうした理解でよろしいでしょうか?

SoI-101-JP: 正しい理解だ。それで?

森山博士: しかし、ペルム紀が終わって生命が眩しさに目をしばたかせてなお、まだ世界は生きも絶え絶えだったはず。大森林が姿を消し、トクサのような植物が生える多様性に乏しい植生が広がっていたのでしょう。天敵も姿を消し、あなた方の祖先は短期間で異常なほどの爆発的な繁栄を見せ ⸺ そしてその稀な進化の道筋を歩んだ一握りの者たちから、文化を持ち、知性を持ち、そして宗教を持つ者が生まれた。神を生み出して崇拝し、己が理想を追求して研鑽する者たちが現れた。

[SoI-101-JPが無言で首を縦に振る。]

森山博士: あなた方はまだ文字を持たない古代の先祖を襲った激甚なる環境変動を知り、そしてその爪痕が露骨に今もなお大陸を蝕んでいることに気付いた。それを抗いがたい呪縛や乗り越えがたい障壁として解釈し、自分たちにはそこから遍く生命を逃す術があるという天命を感じ取った。救済という大義名分の下に、乾ききった不毛のパンゲアや、そこに鎮座する灼熱の無い、新たな理想の新地球を創世しようとした。宇宙船地球号の乗組員を全て載せた、新天地での再出航。

SoI-101-JP: 然り。生命の本質とは連環だ。全ての生命は一様に連環の中にある。連環とは何も単純な血縁関係や祖先-子孫関係を指すものではなく ⸺ 間接的な関係や神霊的な繋がりをも包含するものだ。その連鎖を徹底的に途絶えさせてしまうことは、避けなければならない。

森山博士: ゆえに三畳紀の生態系を再現しているというわけですか。そして2億年以上を隔てたこの瞬間に元の世界へ回帰したのも、救済のため。我々にとって見果てぬ世界へ導くためだと?

SoI-101-JP: その通りだ。平穏無事な世界。乾きの無い世界だ。

森山博士: それは理解しました。しかし不思議です。

SoI-101-JP: 何がだね?

森山博士: パンゲアなんてもう存在しません。とっくの昔に分裂して、今や地球上で散り散りになっているんですよ。そこの壁にかかっている世界地図はご覧になりましたか? 世界はいくつもの大陸に分かれ、パンサラッサでさえ3つの大洋に隔てられています。

SoI-101-JP: そのようだ。その指摘の一部は正しい。[沈黙] しかし驚くことではない。我々のユニバースでも大陸は移動する。同じような惑星進化を辿ったならばそうもなるだろう。

森山博士: では ⸺ なぜまだパンゲアの幻影を追い求めておいでで?

SoI-101-JP: 君の誤りはそこだよ。

森山博士: そことは?

SoI-101-JP: パンゲアはもう存在しないのではない。まだ存在しないのだ。

森山博士: まだ、ですか?

SoI-101-JP: 我々は未来を見ている。君たちの時代を飛び超えた未来。こちらでは5億年、そちらでは2億5000万年の彼方で、我々の懸念は収束する。我らの祖先が暮らした超大陸がその形を永劫には保てなかったように、君の指した大陸や大洋もまた、いずれは変貌を遂げるのだ。そこでほぼ全ての被造物が死に果てる。

森山博士: 2億5000万年後? それは ⸺

SoI-101-JP: 君達の言葉を借りるなら、パンゲア・ウルティマ1と呼ぶべきものだろう。


1.

パンゲア・ウルティマ補足資料

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パンゲア・ウルティマ超大陸の存在する未来の地球

地球上の大陸はプレートテクトニクスによって絶えず運動している.組成別の観点では,地球は内側から順に内核,外核,マントル,地殻で構成されている.このうちマントルの最上部と地殻とを合わせた剛性の高い領域はプレートと呼称され,厚さが101 - 102kmオーダーに達する岩盤として存在する.このプレートは地球表層を被覆するように複数枚存在し,大陸や海底といった地形を積載したまま運動している.

プレートテクトニクスはマントル対流に駆動されている.マントルの上昇域ではプレート境界が拡大し,下降域ではプレート境界が収束する.花崗岩質の大陸地殻は玄武岩質の海洋地殻よりも密度が低いため,収束境界での沈み込みを避け,数億年に亘って大陸を保ち続ける.プレート運動が継続すれば,大陸はやがてほかのプレートの大陸と衝突して融合する.

プレート運動はマントル対流に駆動されており,対流が正常に機能する限り停止することがない.シミュレーションによる短命の推定においても,マントルの自然冷却によるプレートテクトニクスの終焉は約14.5億年後と予測されている[10].マントル対流とプレートが静止するまでの間,大陸は従来の地球史と同様の法則に従って離合集散を繰り返す.

パンゲア・ウルティマ超大陸は直近の将来的超大陸候補の1つである.パンゲア・ウルティマ大陸の形成過程において,北上するアフリカ大陸はヨーロッパ南岸に接近して地中海を閉塞し,オーストラリア大陸は東南アジアや中国の南部に衝突する.海洋底拡大を続けている大西洋はプエルトリコ海溝やサウスサンドウィッチ海溝の延長に伴って収束に転じ,両岸に存在する南北アメリカ大陸とアフロユーラシア大陸が合体する.こうして現在から約2 - 3億年後に,実質的なパンゲア超大陸の再形成が起こる.

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約2.5億年後の地球の最暖月平均気温

沿岸域で成立する湿潤な大気が大陸の内陸部まで到達しないため,パンゲア・ウルティマ超大陸はその規模ゆえに現在の大陸配置で実現可能なものよりも遥かに乾燥した環境を成立させる.太陽放射が現在から約2.5%増強されること、また大気の二酸化炭素分圧が変化することを考慮したシミュレーションでは,地上のほぼ全域で最暖月平均気温が35℃を超過し,また60℃に到達する地域も散見される[11]

恒温動物である哺乳類にとって当該の温度条件は生存に不適である.二酸化炭素分圧を1120ppmと仮定した場合,哺乳類の生息可能圏域は10%未満に縮小すると推定される[11]


森山博士: 理解しました。つまりはあなた方と同じたった1本のみの側頭弓を持つ存在 ⸺ 血脈を分かち合う同胞たちの系譜の末端に位置する、我々哺乳類の未来が脅かされている、ということですね。その回避を至上の使命として、あなた方は次元を股にかけ奔走している。

SoI-101-JP: いかにもだ。2億5000万年前の生命は厄災に喰らい尽くされ、その多くが命脈に幕を下ろした。我らの祖先のような一握りの末裔は、滅びを乗り越えた先の安寧を見出した。そしてその福音は故郷を同じくする者たちに、少なくとも同じく霊長の神霊を持つ者たちに開かれていなければならない。

[SoI-101-JPがSCP-2154-JPを懐から取り出す。]

SoI-101-JP: 君もこちら側へ来たまえ。跳躍のための道標は、日に日に矮小なものへ姿を変えていく。植生そのものが悲鳴を上げ、この世界から飛び立たんとしている。いずれ時空の窓は閉ざされ、この地球は無防備のまま孤立する。脱出の糸口を徐々に潰され、徐々に緩慢に、しかし確実に、決定的な道程で、苦痛に満ちた煮え滾る灼熱の惑星へ辿り着く。

[SoI-101-JPがSCP-2154-JPを差し出す。]

SoI-101-JP: ここが岐路だ。残り数百万年という短い時間のうちに、この植物はこの世から摩滅する。君たちの観測が届かない世界へ逃奔する。エルマの御名と神性の下に、安らかなる巡礼の道を歩め。

森山博士: それは、いささか傲慢ではないでしょうか?

SoI-101-JP: 傲慢とな?

森山博士: 生命は必ず道を見つける。仮に地球の広域で極限環境が成立したとしても、幾億年の時が経とうとも ⸺ 抵抗性を持った生命が必ず進化する。それはオルドビス紀、デボン紀、ペルム紀 ⸺ これまでに生じたあらゆる絶滅事変で同様でした。そしてあなた方の祖先が地球を去った後も、大規模噴火や巨大な小惑星の衝突を受けてなお、生命は生き延びてきたのです。

SoI-101-JP: しかしそのたびに死滅と衰退を含む変遷を遂げてきた。

森山博士: その代わりに繁栄と発展を遂げてもきました。

[沈黙]

森山博士: 未来に生きる者は、我々の子孫でなくてもいい。それだけ遠い未来なら、既に我々の知る所ではないし ⸺ それよりは今あるこの現在を大事にしたい。時間は何億年もある。我々の世代に差し迫った近未来の脅威ではありません。そこに至るまで尋常の生物が何万世代も何億世代も重ねられるほどの未来なんて、我々に絶望を与えるにあたわない放恣な幻想に過ぎません。

SoI-101-JP: それが、君が骨を埋めんとする教義かね?

森山博士: 私見です。雑然とした個人的な思いに過ぎませんが ⸺ 果てしない未来に対しては、毅然とした態度であるという自負があります。

SoI-101-JP: では尊重しよう。君の信念の気高さを。我々よりもさらに先へ進化の道を歩んだ、絶望を撥ね退ける霊長の持つ誇り高さを。しかし ⸺

森山博士: しかし?

SoI-101-JP: 躍動する束の間の歴史に少しでも触れた者の一欠片として、私は残念でならないよ。自らが知覚することもできない緩慢とした苦痛の中で同胞が死に果てる様は。そしてこの美しい世界が、石礫と砂のみに占められた荒涼とした無味乾燥の終焉を甘受し、その後のずっと長大な時間の流れの中を無言で漂い続けるというのは。

[SoI-101-JPが腕を下げる。]

SoI-101-JP: この惑星が恒星の周囲をたかだか100周するわずかな時間でさえ、君たちの多くはその生涯を費やしても届かない。豪速で回転する地表が3万回も回れば、君たちは肉体や精神に途方も無い不調と劣化を痛烈に覚えるはずだ。君が生涯で見聞きし触れたものの多くも近いうちに瓦解するだろう。君が同胞と言葉を交わすなら、その輩も君とそう離れていない時期に土に還る。君が子孫を抱きしめるなら、その童も同様の変異を蓄積して後を辿る。今視界に入る堅き建造物もやがては時間に蝕まれ、瓦礫と化して塵に帰す。

[SoI-101-JPが右腕を広げ、掌を上に向けて水平に回す。]

SoI-101-JP: それだけの繰り返しをさらに幾重にも積み重ねた時間の層が、我らの消え去った後の地上に横たわる。血筋、言語、物質。あらゆる連環を持った者々たちが絶えた後に静寂が訪れ、沈黙がこの地上の全てを覆う。高潔な子孫を残そうとも、絢爛な文明を築こうとも、全ては至極暗沌として混迷を極める未来の中で失われ、無に還る。砂は太陽に焼かれ、雨は数世紀にわたって降ることがない。死に覆われた星だ。

[SoI-101-JPが懐にSCP-2154-JPを仕舞う。]

SoI-101-JP: 君は誇り高くも絶望を撥ね退けてみせてくれたな。しかし残念ながら、私が感じているものは、君の言う利己的な絶望と似て非なるものだ。

森山博士: 似て非なるもの?

SoI-101-JP: もっと遥かに根源的だ。無意識のうちに心の奥底から忌避する恐怖であり、それでいて神霊への拭い去り難い侵食だ。

森山博士: 具体的にそれは、何なのです?

SoI-101-JP: 我々は永劫と続く世界に現れた矮小で刹那的な存在に過ぎず、宇宙を漂う無限の星々は1つとして我々のために用意されてはいない。君も私も決して主役ではない。私が思うに、宇宙に発生し拡大し蔓延したあらゆる宗教は、その視座に対する誤魔化しに端を発している。逃れようのない真実の直観を麻痺させ、究極的情動に甘美な逃げ道を与えるため。

森山博士: [沈黙] その、真実とは? 究極的情動とは?

SoI-101-JP: いずれ来たる、虚無だ。

<記録終了>

Bibliography
2. Wang, Y., Kuang, H., Liu, Y., Zhao, F., Peng, N., Chen, X., … & Li, Y. (2025). Enhanced global terrestrial moisture from the Early Triassic to the Late Triassic: Evidence from extensive Neocalamites forests in North China. Geological Society of America Bulletin, 137(3-4), 1239-1253.
3. Wu, Y., Chu, D., Tong, J., Song, H., Dal Corso, J., Wignall, P. B., … & Cui, Y. (2021). Six-fold increase of atmospheric p CO2 during the Permian–Triassic mass extinction. Nature communications, 12(1), 2137.
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5. Augland, L. E., Ryabov, V. V., Vernikovsky, V. A., Planke, S., Polozov, A. G., Callegaro, S., … & Svensen, H. H. (2019). The main pulse of the Siberian Traps expanded in size and composition. Scientific Reports, 9(1), 18723.
6. Ivanov, A. V., He, H., Yan, L., Ryabov, V. V., Shevko, A. Y., Palesskii, S. V., & Nikolaeva, I. V. (2013). Siberian Traps large igneous province: Evidence for two flood basalt pulses around the Permo-Triassic boundary and in the Middle Triassic, and contemporaneous granitic magmatism. Earth-Science Reviews, 122, 58-76.
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9. Nowak, H., Vérard, C., & Kustatscher, E. (2020). Palaeophytogeographical patterns across the Permian–Triassic boundary. Frontiers in Earth Science, 8, 613350.
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