最初の既知の放送に続く12/04/16、SCP-2160の異常性質は、複数の財団サイトがSCP-2160の“ファン”を自称する人々からの訪問を受け始めたことによって明るみに出ました。更なる尋問によって、影響者たちは問題のWebキャストをダウンロードし、本来のソース外で視聴したことが判明しました。
この活動によってSCP-2160は財団の注目を集め、当問題に関する研究が始まりました。やがて、SCP-2160を放送元のサイトからダウンロードまたは録画して別のプログラムで再生した場合、当該実例の映像部分は通常通りに機能することが明らかになりました — 映像において、バディ保安官はO5-6に容姿の似たカウボーイスーツのマリオネット人形として登場し、他の人形は番組音声と一致しない振舞いを改めて開始することが確認されました。
再演される出来事の機密性のため、SCP-2160に関連する転写その他のデータの閲覧はレベル4クリアランス以上の職員に制限されています。
12/06/27におけるWebキャストの転写から抜粋
00:04:29 - [バディ保安官はベッドに縛られた女の子のラグドールの近くに立っている。部屋は清潔な白色であり、ラグドールのベッド横には点滴用スタンドがある。]
00:04:31 - バディ保安官: じゃあみんな、誰かが怪我をした時はどうすればいいのかな?
00:04:33 - [“大人を呼びまーす”という子供たちの唱和が聞こえ、6つのドアがスライドして開き、他6体の人形が入って来る。これらの人形はオレンジ色の囚人服を着用している。ラグドールは顔を持ち上げ、怯えているような表情を見せる。]
00:04:50 - バディ保安官: その通りだよ、みんな! 友だちが怪我をしたら、まず大人を呼んで助けてもらおうね!
00:05:10 - [6体の新しい人形はベッドに接近し、ラグドールはその場でもがく。この時点で機動部隊ミュー-4は配信を強制的に遮断したため、当該実例の以降の展開は視聴できない。]
転写終了
上記のSCP-2160実例を受けて、この問題に注力するため、機動部隊ミュー-4は他全ての重要でない課題からの再配属を受けました。放送内容の分析は、作者が財団の活動に関する内部知識を持っていたことを示唆しています。これは、映像が一部視聴者に及ぼしたミーム効果と合わせて、現在収容されているSCPによってこれら放送が引き起こされている可能性も示唆するものです。更なる調査が進行中です。
13/02/10におけるWebキャストの転写から抜粋
00:00:05.9 - [バディ保安官は大きく、清潔な見た目の白い部屋の上に渡したキャットウォークに配置されている。彼の下には巨大な機械装置があり、綺麗な白衣を着た他5体の人形がそれを取り囲んでいる。完全に黒のタクティカルアーマーとアサルトライフルを身に付けた別の4体の人形がドアから突入し、発砲を開始する。]
00:00:06.3 - バディ保安官: 今日はね、みんな、春節についての話をするとしよう!
00:00:07.2 - [発砲に合わせて爆竹の破裂する音が聞こえる。5体の人形のうち、茶色の髪の女性人形がテーブルの下に飛び込み、茶色の髪の男性人形が頭部を2回撃たれる。]
00:00:07.8 - [別な男性人形が倒れて視界から見えなくなる。撃たれたと思われるが、角度の都合上、断言できない。]
00:00:08.0 - [3体目の男性人形が肩を撃たれて床に倒れ、装置の後ろへと転がってゆく。]
00:00:08.1 - [最初にいた5体のうち最後の人形が、胸を3回撃たれて倒れる。]
00:00:08.2 - バディ保安官: 中国の素敵な人たちからのハッピー・ニュー・イヤー!
00:00:11.3 - [中央の装置が明るい光を発し、番組がやり直される。このループはタイムスタンプ00:04:07にWebキャストが遮断されるまで継続する。]
転写終了
この送信内容が放送されて間もなく、SCP-176の監視データの見直しが行われましたが、無認可アクセスの兆候は検出されませんでした。
13/07/04におけるWebキャストの転写から抜粋
00:01:03 - [バディ保安官は前景にいる。後ろにはアジア系の若い女性に見える人形と、より背の高い、白衣を着ている禿げた男性の人形がいる。]
00:01:06 - バディ保安官: 今日はね、みんな、ルールを守ることの大切さについての話をしよう。
00:01:38 - [白衣を着た男性人形が1枚の白紙を掲げ、女性人形がそれに触れる。紙は紫に変色する。]
00:02:10 - バディ保安官: 大人たちは君たちが安全でいられるようにルールを作るんだ。安全な方が良いだろう、みんな?
00:03:00 - [“はーい、バディ保安官”という子供たちの唱和が聞こえ、女性人形はジャンプして空中を登り始める。]
00:03:10 - バディ保安官: いいかいみんな、先生たちが言うことは聞くように。君たちのためだからね!
00:03:33 - [女性人形はジャンプで5m相当の高さまで到達した後、床に落下する。激突時に人形の両脚は折れる。]
転写終了
参照された事案の内容を鑑み、SCP-2599が容疑者の可能性はあるかどうかを確かめるための実験が行われました。意識的には実現できない行動を潜在意識では実行可能かどうかを確かめるために、放送時の出来事を再現する目的で、SCP-2599の精神に後催眠暗示がかけられました。彼女は放送内容の再現を行えましたが、バディ保安官はO5-6ではなくO5-8に似た姿になりました。結果として、SCP-2599が一度もあったことの無い人物の似姿を再現できたのは何故かを特定する新たな実験も実施されました。
放送を見て財団サイトを訪れる民間訪問者の数は、抜本的な対策が必要と見做される域に達していました。機動部隊ミュー-4はSCP-2160の送信が終了した時点で放送元Webサイトの制御権を掌握し、視聴者がSCP-2160を見たことを忘れさせるための後催眠暗示を放送しました。財団サイトへの観光に訪れる民間人は、以降の放送では大幅に減少しました。
13/12/22におけるWebキャストの転写から抜粋
00:37:16 - [カメラはパンして1体の大きな人形を映し出す。この人形は、Hazmatスーツを着た背丈半分の人形たちに囲まれている。大型人形の体色は暗赤色で、腹面は灰白色である。頭部と背部には棘が生えており、口の先端には吻がある。バディ保安官は前景に見える。]
00:38:02 - バディ保安官: いいかいみんな、煙探知機みたいな物は、大きな音を立てて君たちに危険を知らせてくれる。だからいつも気を配っていようね。
00:38:34 - [煙探知機のそれに似た、大きく耳を劈くような音が聞こえる。音の発声に合わせて大型人形が痙攣を始め、他の人形たちは耳を手で覆う。音は数秒間にわたって音量を増大させ、ピークに達する。音量が最大になった時点で、大型人形を除く全ての人形たちが液化し、Webキャストは唐突に終わる。]
転写終了
この回のWebキャストは番組自体での出来事が原因で遮断されたため、他の回よりも際立って放送元サイトの発見が困難でした。放送の性質上、Webキャストの配信されていた地点はコロラド州██████の一軒家の地下と断定されました。機動部隊の到着時、家は既に空き家であり、全ての窓が割れた状態でした。侵入時に家の内部は空でしたが、例外として白く塗装された地下室から、無傷の大型人形と他の人形たちの液化した残骸が見つかりました。加えて、デジタルカメラが三脚に設置され、ケーブルで近くのテーブルにあるデスクトップコンピュータに接続されていました。コンピュータのモニターは割れており、コンピュータ本体もまたハードドライブを取り外したうえで破壊されていました。テーブルの上には黒インクで何度も“彼女を起こせ”とだけ書かれたメモが残っていました。このメッセージの意味については研究が進行中です。
14/12/31におけるWebキャストの転写から抜粋
00:00:01 - [この放送の開始シーンは前回までのものと大きく異なっており、屋外である。太陽が照り付ける中、カメラは大きくパンしながら数メートル幅の巨大な穴を映している。幾つか玩具のトラックが見えるが、その大半はコンクリートミキサー車である。]
00:00:05 - バディ保安官: やぁみんな! 私の名前はバディ保安官、ハッピー・プレイスへようこそ! 今日は秘密についての話をしよう。
00:00:55 - [カメラがパンして、Hazmatスーツを着た少なくとも12体の人形を映す。そのうち8体がバディ保安官であり、それぞれが違う声で一斉に話している。]
00:01:15 - バディ保安官: 秘密を持ち続けるというのは決していい考えじゃない、特に大人に対しては。秘密は悪いことだ。
00:01:47 - [カメラはパンし続け、7つの死体袋が映る。Hazmatスーツ姿の人形たちが数体、死体袋を穴に投げ入れ始める。]
00:02:22 - バディ保安官: 秘密はいつだってバレてしまうんだよ。どんなに隠そうと頑張ってもね、みんな。だから嘘をついたり他の人に隠し事をしないようにしよう。
00:02:41 - [全ての死体袋が穴に投げ込まれると、ミキサー車が位置につき、コンクリートを穴に流し込み始める。送信が唐突に終わる]
転写終了
この実例は過去の放送内容から逸脱し、現時点までに財団の記録上にある出来事を映したものではありませんでした。これが直近かつ最後の既知の放送であり、更なる研究が続けられています。
Date: 15/01/04
To: 全サイト管理官
From: O5-6
この問題は、ケイシー・プロトコルに従って特定・対処されている。更なる照会を防ぐために録画は削除し、文書記録を置く。機動部隊ミュー-4はプロトコルに則った表向きの活動を維持するため配属されたままとなるが、配備したローカライズ版の手順に合わせてもらいたい。
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