SCP-2182-JP
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確保直後のSCP-2182-JP

アイテム番号: SCP-2182-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2182-JPはサイト-8101の人型オブジェクト収容室に収容されます。終了済人型オブジェクトの衛生管理基準に則り、定期的に体表面の洗浄を実行してください。

SCP-2182-JP-Aはサイト-8101の小型収容セルに収容されます。特筆すべき収容手順は存在しません。

説明: SCP-2182-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。真桑友梨佳氏の死因は河川への入水に伴う水死とされていますが、SCP-2182-JPは水死体に典型的な肺や胃への水の侵入は見られず、財団の解剖では死因の断定に成功していません。SCP-2182-JPは腐敗が進行せず、不明な作用で死亡時点での外見的特徴が維持されています。一般的な死体と異なり、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)等の木材腐朽菌が体表に付着しやすい傾向が確認されています。これら事象の原因は明らかになっていません。

SCP-2182-JPは7歳から8歳程度の女性児童の外見的特徴を持ちますが、両親や居住地の特定に成功しておらず、行政の取り扱い上存在しないはずの人物とされています。財団の調査では真桑友梨佳氏と接点をもつ人物は後述する北見悠人氏のみであり、真桑友梨佳という呼称も北見悠人氏の証言を根拠にしています。北見悠人氏も真桑友梨佳氏の生活実態を完全には把握しておらず、真桑友梨佳氏の人物像については不明な点が多量に存在します。

北見悠人氏は、真桑友梨佳氏が北見悠人氏の居住している地域の何処かに居住していると証言していますが、真桑友梨佳氏の住居を特定できていません。また、財団は調査に際して、北見悠人氏から提供された真桑友梨佳氏の情報を元に、該当地域での聞き取り調査を実施しましたが、真桑友梨佳氏は地域住民から一切認知されていませんでした。真桑友梨佳氏の社会的な生活実態の欠落を財団は不審視しており、継続した調査が実施されています。

SCP-2182-JP-AはNINTENDO64専用ソフト「スーパーマリオ64」のROMカートリッジです。ROMカートリッジ背面には「真桑友梨佳」と楷書で記入されており、真桑友梨佳氏が生前に所有していた物品だとされています。

SCP-2182-JP-Aはゲーム起動開始時から操作不能であり、セーブデータAが自動で選択され、ゲームが開始されます。ゲーム開始後も操作が不能であり、不明なプロセスで自機キャラクター「マリオ」が自律行動します。マリオの行動には一定の規則性が存在し、ピーチ城を正面から見て左側の水堀を目指して移動し、水堀に入水後はそのまま溺死するまで潜水を継続します。溺死後、ゲームが再開すると再びピーチ城左側の水堀を目指し、入水を繰り返します。残機を消費し、ゲームオーバーとなった場合も継続して操作が不能であり、再びセーブデータAが自動で選択され、水堀への入水を繰り返します。

チートコードを内蔵した中継機を介してSCP-2182-JP-Aを起動し、マリオのヒットポイントが減少しない状態で自律行動を観察する実験が行われました。その結果、自律したマリオはピーチ城左側の水堀の水底に存在する金網を目指して入水していることが判明しています。

補遺1: 民間人 北見悠人氏は埼玉県ときがわ町に在住する10歳の男子児童であり、真桑友梨佳氏と同じ地区に居住する知人を自称しています。北見悠人氏は真桑友梨佳氏と2人で都幾川へ訪れたと証言しており、財団諜報員に発見された時点で両者共に岸に打ち上げられており、真桑友梨佳氏は死亡していました。北見悠人氏も意識不明の重体でしたが、財団の医療処置により蘇生に成功しています。

インタビュー記録 #003
20██/██/██

付記: 北見悠人氏は財団により保護され、治療を受けている。体力が十分に回復した後にインタビューを実行している。



<再生>

インタビュアー: 真桑さんとの関係を聞いても良いかな?

北見氏: ユリちゃん1は近所に住んでる子で、よく公園に居るから一緒に遊んでるんだ。

インタビュアー: 近所に住んでるってことだけど、真桑さんがどこに住んでるかは知ってる?

北見氏: 知らないや。近くに住んでるっていうのは、ユリちゃんが自分で言ってたことだからさ。

インタビュアー: なるほどね。ところで君は川で溺れてた訳なんだけど、川で何をしてたの?

北見氏: ユリちゃんが話があるからって呼び出されたんだ。

インタビュアー: 話? 川でかい? どんな話をしたの?

北見氏: 変な話だったな。何もしてないのに、やっぱり友達にはなれない〜みたいなことを言われてさ。僕が「なんで?」って聞いたらいきなり怒り始めて、すごい酷いことを言われたんだ。

インタビュアー: それは理不尽な話だね。それを聞いて君はどうしたの?

北見氏: 凄く悲しくなったんだけど、それ以上にムカついてさ。そのまま帰ろうとしたんだ。そんで、自転車に乗って走り出そうとしたら、川の方から大きい水音がした。嫌な予感がしたから急いで引き返したら、ユリちゃんは居なくなってた。

インタビュアー: 居なくなってたって、川に落ちたってこと?

北見氏: うん。水底にユリちゃんが着ていた服の色が見えて、僕は何も考えないで飛び込んだんだ。

インタビュアー: 服を着たままあの深さの川にか……。よく岸まで戻ってこれたね。

北見氏: 僕は何も出来なかった。自分の力で戻れた訳じゃない。

インタビュアー: どういうこと?

北見氏: 底に沈んでいるユリちゃんの所までは行けたんだけど、服が重くなっちゃって上がれなくなったんだ。着衣水泳の授業を思い出して急いで服を脱ごうとしたけど間に合わなくて。

インタビュアー: そのまま溺れたと。

北見氏: うん。でもユリちゃんが助けてくれたんだと思う。

インタビュアー: 助けてくれたって、その状況で?

北見氏: だと思うんだよな。苦しくて意識がなくなりかけた時、ユリちゃんに抱きつかれたような気がする。そしたら、ユリちゃんと僕が水に沈めたビート板みたいに浮き上がり始めて……。

インタビュアー: それで岸まで辿り着いたと。なんだか不思議な話だね。

北見氏: うん、だからユリちゃんにお礼を言いたいんだ。[数秒沈黙]ねえ、ユリちゃんは無事なの? 

インタビュアー: ああ、真桑さんは無事だよ。水に落ちた時に少し怪我をしてるから、治療は必要になるけどね2

北見氏: 良かった。ユリちゃんとはこれからも遊びたいしお礼も言いたい。借りてたゲームだって借りっぱなしになっちゃうし、やっぱり友達をやめるなんて嫌だよ。

インタビュアー: 君は友達思いだね。ちなみに借りてたゲームってのは? どういうゲームなの?

北見氏: スーパーマリオ64っていうゲームで、ユリちゃんが一番好きなゲームだからって貸してくれたんだ。だけどウチにはそれが動かせるゲーム機本体がなくて出来なかったんだ。お父さんはお祖父ちゃんの家にならあるって言うんだけど。 

インタビュアー: ちょっと古いね。ロクヨンは僕が子供の頃のゲーム機だよ。君は見たこと無いかもしれないね。

北見氏: そうそう、なんかデカイし……。だから今度ユリちゃんにロクヨンを家から持って来てもらって、ウチで遊ぼうって約束してたんだ。本当は僕がユリちゃんの家に行くのが早いんだけど、なんかそれは難しいらしくてさ。

インタビュアー: うんうん。真桑さんの家庭はちょっと難しい事情があるのかもしれませんからね。

北見氏: まあいろいろだよね。あ、そうだ。誰かに聞こうと思ってたんだ。ユリちゃんはあのゲームを又甥? に貰ったって言ってたんだけど、又甥ってなに?

<終了>


終了付記:示唆された又甥の存在については補遺2を参照。

北見悠人氏の身柄は、有効な情報資料の獲得に成功するまで拘留を継続する。流布されるカバーストーリーはフィールドエージェントに一任する。

補遺2: SCP-2182-JP-Aの裏面に楷書で書かれた真桑友梨佳氏の文字について、7歳から8歳の児童が記入した文字にしては不自然であると評価されており、SCP-2182-JP-Aに文字を記入した人物が存在している可能性が指摘されました。また、カセットROMの起源についても真桑友梨佳氏にSCP-2182-JP-Aを与えた人物の存在が指摘されています。ただし、北見悠人氏へのインタビューで示唆された人物は又甥とされており、7歳から8歳の時点で又甥が存在するケースは極めて珍しく、北見悠人氏の証言には一定の疑問が生じています。

日本国内に真桑友梨佳という氏名/通り名を持つ人物は死者を含めて325146名存在し、何れも当該オブジェクトとの関連性を認められません。そのため、財団のデータベースに網羅されていない人物の関与が指摘されています。

財団は調査の過程で、過去に真桑友梨佳と呼称される心霊現象と接触したと自称する元霊媒師の民間人 平井真長氏を発見しました。平井氏は異常性を持たない一般的な民間人であり、霊媒師稼業は根拠の無い霊感商法であったことを認めています。

平井氏は財団に対し協力的であり、金銭と引き換えに情報を提供しています。以下はインタビューの抜粋です。情報資料としての信頼度は、現在研究チームによって評価が進められています。

インタビュー記録 #007
20██/██/██

付記: 平井真長氏は新潟県長岡市在住の81歳男性。19██年から19██年の間、霊感商法で生計を立てていたが、暴力団構成員とのトラブルが原因で廃業している。



<再生>

平井氏: 何から話したもんかな。真桑さんだっけか。

インタビュアー: かなり昔の話かとは思います。覚えているでしょうか。

平井氏: ええ、覚えていますとも。メチャクチャに気味が悪かった案件でしたからね。まあ、あの稼業は気色悪い話に付き合わされることばかりですが。

インタビュアー: 真桑さんの件はどのような案件だったのでしょうか? 随分と記憶に残った案件だったようですが。

平井氏: 呪いの人形ってヤツですわ。勝手に動くだの、妙な物音がするだの、それ自体はよくある感じのやつで。

インタビュアー: 確かに動くとか音が出るという話はありふれてますね。どの辺が記憶に残ったんでしょうか。

平井氏: 現地に行った時ですわ。真桑さんのお宅は中々の豪邸だったんですがね、アタシは初めて見ましたよ。座敷牢3ってヤツですわ。いやあ、実物は迫力がありますよ。

インタビュアー: 座敷牢ってことは、中身は人間ですか? 人形では無く。

平井氏: いや、人形といえば人形ですわ。人形と言っても、いい感じの形の材木に着物を着せただけの物でしたがね。

インタビュアー: 材木に着物を着せた? ちょっと容姿の想像がつきませんね。

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提供された写真

平井氏: アタシの古い荷物を漁れば写真が出てくるかもしれませんわ。現場に落ちていた人形の写真をパクったやつですけどね。物珍しかったんで何かと理由を付けて持ち帰ったはず……。

インタビュアー: 是非お願いします。

平井氏: じゃあ、終わったら探しますわ。……つまり、座敷牢に人形がブチこまれとる訳ですわ。名前を付けられて、着物を着せられて、その時点であの人形がどういう用途の人形なのかは想像に難くないですな。そら妙なことも起きるかもしれませんわ。

インタビュアー: 妙なこと……。ところで、人形の心霊現象といいますか、その"妙なこと"というのは実際のところどんなものだったんでしょうか?

平井氏: いやいや、アタシはパチモンですよ。あの人形が本当にヤバい人形かなんてわかりませんでしたね。アタシは「騒ぐのは寂しいからだ。年頃の子供に与えるような玩具やゲーム機でも与えれば良くなる」だとか適当なこと言って、金だけもらってサイナラって感じですわ。気味悪いもんと同居してるから気がやられてるだけで、気の持ちようだろうって思った訳です。

インタビュアー: なるほど。それで話は解決したのですか?

平井氏: いいや、まぁどうだか……。ある程度たってからまた真桑さんから連絡がありましてね。「アンタに頼んでから酷くなった。人形が牢から出るようになった」って苦情が来たんですよ。そん時、アタシはヤクザの親分相手に失敗しちゃってて、それどころじゃなかったんで苦情は無視しちまいました。そんでそれっきりですわ。そっからはなんも分かりません。

<終了>


終了付記: 平井氏から受けた情報提供を元に再度調査を実行したが、真桑友梨佳氏の特定には成功していない。平井氏が示唆した座敷牢の存在から、忌子のような扱いで戸籍登録が行われず、存在が隠匿されていた可能性が考えられる。

平井氏の証言を元に、平井氏が訪れた真桑氏邸を捜索したが、19██年に発生した土砂崩れの影響で家屋は倒壊/撤去されており、住民も全員が死亡している。



追記: 北見悠人氏による証言の信頼度を評価するため、北見悠人氏の周辺調査が実施されました。

その結果、北見悠人氏と親交の深かった友人からの証言を獲得しています。約半年前から北見悠人氏は、北見悠人氏が不明なルートで拾得した古材木に向って独り言を発するようになり、この奇行が原因で証言者を含める友人グループから疎遠になったことが明らかになりました。

証言に登場した材木の特定/確保が試みられましたが、該当する材木の発見に成功していません。

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