アイテム番号: SCP-2186-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-2186-JPの発生予測は困難であり、完全な収容と発露者の把握は不可能です。日本全国の精神科から情報を収集し、SCP-2186-JP発露者と思われる対象を絞り込んでください。SCP-2186-JP発露者に対しては精神保健福祉法29条に基づいた措置入院との説明をし、サイト-8177の精神病院に偽装した収容棟に収容してください。SCP-2186-JP発露者には経口抗精神病薬物による薬物療法と称して継続的な記憶処理薬投与による進行遅滞措置が実施されます。
SCP-2186-JPに関連した死者の露呈を防止するため、各上下水道局、各都道府県警察の情報を諜報してください。マンホール内及び下水道内での変死体発見時に関する事案が確認された場合、警察内部のエージェントによる調査と情報収集が実施されます。調査によってSCP-2186-JPに関連していることが判明した場合、警察関係者及び周辺住民、報道関係者への記憶処理を実施してください。
説明: SCP-2186-JPは満17歳以上の日本人にのみ発露する原因不明の異常行動です。SCP-2186-JPは関東地方を中心とした日本全域で確認されており、年間1400-3000人程度が対象となると推測されています。SCP-2186-JPの発露した対象は台所や風呂、水洗トイレの排水口等に執着を示し、内部を覗き込む、耳を押し付ける等の行動を頻繁に行うようになります。対象は「内部から声が聞こえる」「誰かが話しかけている」と報告していますが、現在までそれらの音声は確認されておらず幻聴であると判断されています。これらの症状により、対象が精神科を受診して統合失調症と診断されるケースが多く確認されています。SCP-2186-JPは統合失調症とは異なり経口抗精神病薬を用いた薬物療法、認知行動療法等に効果は認められず、幻聴を軽減、治療することは出来ません。記憶処理薬によって排水口への執着を取り除いた場合、対象の病状は一時的に回復します。しかしその後は徐々に症状が再発し4週間ほどで再び幻聴を伴う排水口への執着を示すようになります。継続的な記憶処理薬の投与により持続的に症状を取り除くことは可能ですが、記憶処理薬の継続投与による副作用で悪性腫瘍や白血病等の病を誘発する可能性が高いことに留意してください。
1ヶ月から3ヶ月が経過すると、SCP-2186-JP発露者は排水口に対して話しかける等の行動が見られるようになります。対象は日常の殆どの時間を排水口等に話しかける事に費やすようになり、社会生活に支障をきたすようになります。この際の対象の言動は様々ですが、趣旨は一貫しており例外なく「下水道の中に行きたい」「もっと話したい」という言動を取ります。この症状が見られるようになると、対象は下水道への侵入に対して強い欲求を抱くようになると共に屋外の特定の汚水マンホール1に対しても異常な執着を示すようになります。この際「汚水(おすい)」の表記の有無に関わらず、対象が汚水マンホールか否かを直感的に判断し選択していることは特筆すべき点であり、五感以外の感覚によって識別されている可能性があります。
対象は排水口、汚水マンホールに対しての執着を示し続けた後、数日から数年の間に消失します。消失の前の対象に共通する行動として排水口に対して「これから行く」という旨の発言をします。発言から4秒後に対象はその場から瞬間的に消失し、執着を示していた汚水マンホール直下の下水道へと出現します。出現後、対象は内部に留まり続けて餓死、又は衰弱死します。現在まで脱出を試みた対象は確認されておらず殆どの場合で汚水に浸った状態で死亡するまで立ち続けています。またこの際も対象は幻聴に対して応答し続けています。
死亡後の対象は下水道内で腐乱、崩壊2する場合が殆どであり肉や皮膚、毛髪、骨、衣類等が下水道に詰まることで汚水の氾濫を招き、駆けつけた業者に発見される例も確認されています。殆どの場合、各上下水道局によって3年に1度の頻度で実施されるマンホールの定期点検の際に発見されています。
補遺: 2001年7月9日、SCP-2186-JP発露者となったDクラス職員(D-3771)が消失しました。D-3771は記憶処理を施された上で財団管理下の住居に居住しており、経過と行動を観察されていました。消失以前のD-3771の行動から移動先と思われる汚水マンホールは特定されていたため消失から49分後に現場に派遣された職員らによって回収されました。発見時D-3771は汚水に足を浸した状態で上を向いており、意味の不明な言葉を呟いていました。D-3771は職員の呼び掛けに反応を示さず、回収作業中も一切の抵抗や反応を示しませんでした。以下はD-3771の発言した言葉のうち、意味を有すると思われる単語の一覧を口にする頻度順に並べたものです。
- 暗い
- お金
- 狭い
- ヤマサキ トミオ3
- 悪い人
- 臭い
- 許してください
- 来い
- 開けて
- 白い虫
- 良いところ
- 痛い
- 閉めるな
- 観覧車
ヤマサキミドリが寂しがっている
その後の調査によりこれらの言葉は複数のSCP-2186-JP発露者の言動にも認められていることが判明しました。これらの単語が示す内容は不明であるもののいくつかの単語は下水道の環境を示しているとも解釈でき、SCP-2186-JPの異常性になんらかの関連性があるものと考えられています。