アイテム番号: SCP-2194-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2194-JPの発生を予測することは現状困難です。SCP-2194-JPの発生が確認された場合、目撃者にはクラスA記憶処理を施し遺体を回収、収容してください。遺族へは、変容前の外見を模した複製の遺体が引き渡されます。
説明: SCP-2194-JPは、群馬県で毎年確認されている縊死事象です。SCP-2194-JPは2005年3月18日に初めて確認され、現在までに計16件のSCP-2194-JPが確認されています。また、1年に2回以上SCP-2194-JPが観測された例は確認されていません。
SCP-2194-JPの被害者(以下、SCP-2194-JP-A)は死亡時に、財団管理下のDクラス職員であるD-2194に酷似した形状へ変容することが確認されています。この際、骨格や肌の色なども変容しますが、DNA情報は変容しません。また、SCP-2194-JP-Aの変容を目撃した人物はこれに違和感などを抱きません。そのため、変容及び通報前にSCP-2194-JP-Aを発見することはほぼ不可能です。SCP-2194-JPの発生原因は、事件や事故、自殺など一貫性はみられません。SCP-2194-JPは当初、D-2194に酷似した縊死死体が発見される事象として財団に注目されましたが、監視カメラの分析などを行った結果、SCP-2194-JPの異常性が明らかになりました。
D-2194は████████殺人事件(以下、事件2194-JP)の犯人として2001年に逮捕され、2004年にカバーストーリー「死刑執行」が流布された後、現在も財団に雇用されています。また、SCP-2194-JP-AはいずれもD-2194と関係が無かったことが調査により判明しています。
補遺1: 2004年11月14日、群馬県前橋市で一家心中事件が発生しました。この一家は、事件2194-JPの被害者遺族でした。当時は異常性の無い事件として処理されていましたが、現在はSCP-2194-JPの発生に関与していると考えられており、調査が続けられています。以下は、事件発見当時の物品及び状況です。
- 事件2194-JPの被害者の遺骨が入った骨壺1個。和室の中心に置かれていた。
- 首を吊った被害者遺族4人1。骨壺に向かって囲むように吊されていた。
- 事件2194-JPについて書かれた新聞記事。和室の壁全面に貼られていた。
- D-2194の死刑執行について書かれた新聞記事。骨壺の下に敷かれていた。
インタビュー記録: 以下は、心中事件の唯一の生存者である榊 明美氏に行われたインタビュー記録です。明美氏は事件2194-JPの被害者の姉であり、心中事件以降寝たきりの状態になっています。
対象: 榊 明美
インタビュアー: 藤城博士
付記: 有力な情報を得るために、SCP-2194-JPの一部情報を開示する許可が出ています。
<録音開始(2007/3/17)>
藤城博士: それではインタビューを開始します。よろしくお願いします。
榊 明美: よろしくお願いします。
藤城博士: 早速で申し訳ありませんが、心中の動機についてお伺いしてもよろしいですか?
榊 明美: [3秒間沈黙]許せなかったんです、たった1回死んだだけで罪を償ったことにされるなんて。あいつは、妹を殺したことの謝罪を1回も言わずに死んだって思うと、怒りと悲しみでぐちゃぐちゃになったんです。それで、お父さんが「心中しよう」と言い出しました。もともと、あいつの死刑が執行されたら自分たちも死のうと話していたので、誰も反対しませんでした。復讐することができないなら、せめて妹と同じ所に行こうと思って……
[明美氏が泣き出す。落ち着くまで約4分間インタビューを中断する。]
藤城博士: 落ち着きましたか?
榊 明美: はい、すいません。大丈夫です。
藤城博士: では次に、あのような部屋の状況にした理由を教えてください。
榊 明美: それは、私には分かりません。気付いたらお父さんとお母さんが全部準備してました。ただ、あのようにする必要があるって、私も兄も何故か納得してました。そのくらい、あいつのことが許せなかったんだと思います。あれが、私達があいつに対して最後に出来る唯一の復讐だと思ったんです。
藤城博士: 実は、心中事件が発生した翌年から██さん2の絞殺死体が複数見つかっています3。私達は、この件と心中事件は何かしらの関係があると考えています。
榊 明美: そんなこと言われても、私達のせいか分かりませんし、もしそうだとしても今更どうしようもできません。ただ、あいつが何度生まれ変わっても呪ってやると思って首を吊ったのは確かです。泣いて謝ろうが何回死のうが許すつもりはありません。そのくらい、妹を殺した罪は重いんです。
<録音終了>
終了報告書: インタビュー後、明美氏にはクラスA記憶処理を施しました。
補遺2: D-2194には定期的に、SCP-2194-JPによる影響の確認とSCP-2194-JP-Aとの関係の確認を兼ねたインタビューを実施していますが、現在までに有力な情報は得られていません。また、事件2194-JPの被害者及び遺族に関しては「そんなどうでもいいことは覚えていない」等の発言をしています。