アイテム番号: SCP-2203
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2203は標準的なロッカーに保管し、実験中以外は電源を切ってください。SCP-2203の使用は実験のみに限定されており、他の目的では使用が禁止されます。SCP-2203から収集した全ての情報は実験録に記録しなければならず、主任研究者の同意を受けずに作動させてはいけません。SCP-2203のアドバイスに従うような雇用決定・休暇要請・転任要求は却下されます。研究者らは、従業員間の人間関係についての財団の方針に関する職員用ガイドを実験前に確認することを期待されます。
説明: SCP-2203は標準型の”ラブテスター”娯楽遊具です。高さ1.9mで、アメリカグリ(Castanea dentata)の木材・真鍮・ガラスから構築されており、正面には真鍮製のグリップ、その上には縦長のライトボックスが設けてあります。SCP-2203のグリップの横には、以下のように刻まれた真鍮の板があります。
君に相性ピッタリの人を見つけよう! 君の愛をテストして、君と一緒に人生の残りを過ごすように運命付けられた、特別な誰かさんを見つけるんだ! 君の愛する人が待ってるよ!
機械背面には、製造元として”グレェト・アミュウズメントロジィ社 (The Great Amusementology Company)”の名を記した小さな銘盤があります。
他のラブテスターと同様に、作動するとビープ音のメロディが流れ、ライトボックスはそれぞれのスコアライトを順に光らせます。グリップを保持している対象者の測定された皮膚の導電率に基づいて、ライトボックスは対象者のロマンチックな魅力に想定される”スコア”を表示します。発生する結果は、Please Try Again (もう一度試してね)、Clammy (じっとりしてる)、Harmless (無害)、Mild (穏やか)、Naughty but Nice (イタズラだけど素敵な人)、Wild (野生的)、Burning (燃えるような)、Passionate (情熱的)、Hot Stuff (アツアツ)、そしてUncontrollable (制御不可能) です。
他のラブテスターと異なり、SCP-2203はある人物の名前と住所、そしてこの人物へアプローチするための方法をアドバイスする幾つかの単語が記された1枚のメッセージカードを発行します。全てのケースで、前述の人物は存在することが証明されています。SCP-2203の内部機構の調査では、氏名住所の情報源も、名前を選択している手法も確認できていません。
カードに記載された人物に接触した対象者は、まるで対象がその人物のことを暗黙の内に理解しているかのように、両者の間に軽い結び付きが生まれる事を報告しています。接触を受けた人物への後のインタビューでも、対象者へのポジティブな感情的接続が交わされている事が示されています。インタビューにより、対象者と相手の間の性的な・ロマンチックな・あるいはその他の親密な関係は長く続く事が判明しており、これには結婚と、通常の結果として訪れる幸せな生活への完全な期待が伴います。絆が継続している場合、対象者と相手は低いコルチゾール値と、高いオキシトシン値およびバソプレシン値を示します。
実験は、この絆が本質的に異常性を持たず、断絶可能であると示しています。最初のアプローチ戦術が接触する相手側の安全を顧みないような行為だった場合、その人物は対象者との更なる相互作用を通常通りに思い留まります。絆が確立された後の非難や裏切り行為でも、結び付きを解くことが出来ます。SCP-2203の異常性質は、対象者の性格に肯定的に反応する人物を選び出すという点にあり、結び付きを強化するための追加能力を付与することはありません。
回収ログ: SCP-2203は1973/2/14に、カリフォルニア州サンフランシスコの███████████ █████から回収されました。切っ掛けは、同じような娯楽遊具と共に部屋の隅にあったオブジェクトの前で喧嘩を始めた2名の人物を引き離して逮捕するために警察が呼ばれた事です。警察に潜入していた財団エージェントは、オブジェクトによって一方のガールフレンドが他方の運命の相手として選ばれたという当事者たちの主張を調査しました。エージェントはSCP-2203を操作し、ミズーリ州セントルイスに住んでいる元・ガールフレンドの氏名と現住所を記載したカードを与えられました。彼はこの出来事を財団に報告し、休暇を要請しました。
補遺2203-A: 実験ログ
初期のDクラスによる安全試験によりSCP-2203からの特異な危険性はないことが確かめられた(安全試験ログ2203-1参照)。主任研究員アンドリュー・カリファノ博士はレベル3クリアランス以上のよく社会に適合している対象による試験を要請した。要請は承認された。
実験2203-A-1
日付: 1973年2月17日
対象: アンドリュー・カリファノ博士
注記: カリファノ博士はシルヴィア・カリファノと結婚しており、マイケルおよびジョセリンの2児に恵まれている。彼は幸せな家庭生活を報告している。
スコア: Mild (穏やか)
カード:
~
シルヴィア・カリファノ
██、██████、███・モンテ・ヴィスタ
でも、君はもうそれを知ってるね。
~
結果: シルヴィア・カリファノを実験のために呼ぶことが要請された。
実験2203-A-2
日付: 1973年2月18日
対象: シルヴィア・カリファノ
注記: アンドリュー・カリファノ博士の妻である。
スコア: Naughty but Nice (イタズラだけど素敵な人)
カード:
~
アンドリュー・カリファノ
██、██████、███・モンテ・ヴィスタ
君たち2人、一緒にいるとすごく素敵だ。
~
結果: 実験により、相互の完全な一致が可能であると確認された。
実験2203-A-14
日付: 1984年8月9日
対象: エージェント ロン・タウソン
注記: 対象は独身であり、交際相手はいない。
スコア: Uncontrollable (制御不可能)
カード:
~
オリヴィア・スカボロー
リーズ、██ ████████ ████
忍耐が大事なのさ、友よ。
~
結果: エージェント タウソンは1984年12月15日にAWOL(無断外出)と報告され、失踪した。対象は発見されず、雇用終了前の適切な記憶処置を受けていなかった。財団の戦術と侵入術に長けていたため、エージェント タウソンの追跡は高優先度であると看做された。1984年12月25日、スカボロー女史の家における騒擾と侵入者1名に関する通報がリーズ警察に入り、犯人は逮捕された。当時のイギリスと財団の間における政治的条件に起因し、逮捕者の名が公表されることはなかった。
収容プロトコルは更新され、雇用決定・転任要求・休暇計画を含むSCP-2203の使用が禁止された。
実験2203-A-26
日付: 1986年10月24日
対象: キャシー・ミルナー研究員
注記: 対象は独身であり、交際相手はいない。
スコア: Wild (野生的)
カード:
~
オスカー・ハミルトン
デンバー、████ ██████████ ██████
彼は完璧な紳士になるだろう。
~
結果: ハミルトン氏は、それぞれ異なる対象に一致する相手として3回選出されている。対象3名は全て、女性の異性愛者で、25~30歳の間で、似たような身長・体格で、開放性および内向性の人格特性において高い数値を記録しており、Wildのスコア・パラメータを出していた。
ハミルトン氏と財団との間には繋がりが無かった。実験のため彼に接触することへのO5承認が要求され、承認された。最初のインタビューで、ハミルトン氏は既に婚約している事が判明し、SCP-2203を用いて実験するという申し出を断った。彼は、自分の婚約者を愛しており、どんな機械よりも自分の心に耳を傾けるつもりだと返答した。
ハミルトン氏は自発的にクラスB記憶処理を受け、実験を受けることなく解放された。
実験2203-A-45
日付: 1997年5月11日
対象: ミサキ・オオタ博士
注記: 対象は独身であり、交際相手はいない。無性愛者であり、ロマンチックな関係にも興味を持たないと報告されている。
スコア: Harmless (無害)
カード:
~
カレン・シュミット
ニューヨーク市、███ ██████ 459号室
リラックスしなよ、彼女のアートは君の心に響くはずだ。
~
結果: その後のシュミット女史との接触は、今日までポジティブなものである。オオタ博士はシュミット女史の芸術作品に対して少なからぬ援助を行っており、彼女を親友の一人として数えている。
いずれのケースにおいても、対象者の性的またはロマンチックな志向は保たれたままである。全ての特定されたパートナーは、対象者と馬が合う事が証明されている。
実験2203-A-67
日付: 2003年4月18日
対象: D-72234
注記: 対象は独身であり、交際相手はいない。家庭内暴力歴ありと指摘を受け、SCP-2203の実験が要求された。
スコア: Uncontrollable (制御不可能)
カード:
~
待っているべきだったね。
~