アイテム番号: SCP-2210
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2210のウェブサイト、IPアドレスおよび電話番号は財団のプロトコルに従ってアクセスが遮断されています。SCP-2210が存在する集合住宅は、財団のフロント企業を通じて購入されています。集合住宅内のSCP-2210が存在していない部屋には、SCP-2210を知らないことが明白な現地の研究員を居住させてください。(居住者については、文書2210-2を参照してください。)
主要な要注意団体についての情報収集を容易にするため、D-18272を用いてSCP-2210と契約を結んでいます。保険契約No.40535に基づく現時点での保険料$1483と引き換えに、SCP-2210によって他の要注意団体の取引記録を、サイト-42のアーカイブウイングで財団の研究員が利用できるようになっています。
保険契約No.40535を維持するために、D-18272はSCP-2210付近の一時的な住居はもとより、SCPの実験および月例解雇からの猶予が与えられています。SCP-2210の所在地に割り当てられた研究員には、D-18272が機密目的の財団エージェントであると伝えてください。65/8/24現在、毎月の保険料は30日ごとにD-18272によってSCP-2210へ届けられることになっています。支払い後、D-18272を休眠ポッドを用いて保存してください。また、契約による支払いが必要な時にD-18272を蘇生し、文書-2210-Aを用いて簡単な指示を与えてください。
説明: SCP-2210は異常なオブジェクトおよびインシデントを特に専門とする保険会社です。会社の電話番号は内線番号「7-3i」で始まります。会社のウェブサイト「www.████████████.com」には、会社の住所が「郵便番号90001 カリフォルニア州 ロサンゼルス市 クォータニオン通り 4i番地」と掲載されています。また、ウェブサイトで閲覧できる行き方では、同じ住所の異常性のない集合住宅に到着することになります。SCP-2210とその利用目的について知る人物が集合住宅に入ると、現代のオフィスビルと似たSCP-2210が占める余剰次元空間に入ることになります。SCP-2210にいる人物(以下、SCP-2210-1と呼称)は、シャツに会社名を縫い付けた現代風のビジネススーツを着た人物のようですが、入室者と取るコミュニケーションは契約に署名をさせることのみです。
誰かがSCP-2210に入ると、コーカソイド系の人間の異性のようなSCP-2210-1実体が、その人物に関する具体的な情報を持って接近します。常に、各実体は自身の名前とSCP-2210についての軽い宣伝文句とともに入室者に挨拶をします。実体は入室者に契約プランを選ばせるのではなく、入室者を取り巻く状況に常に応じた1つの具体的な保険契約を提案します。提案される契約は「異常なオブジェクトの差し替え」から「形而上の四肢の再割り当て」、「存在平面からの超自然的存在の削除」に及びます。
SCP-2210は全ての契約を保険契約と区分していますが、SCP-2210は日常的な目的のために異常なオブジェクトやインシデントに保険をかけるだけでなく、異常なオブジェクトの購入および/または研究するための資金の提供や、非常に秘術めいた様々な機器の供給をも行います。また、何らかの形で異常なアイテムやインシデントに関係する限り、ほとんどの場合多種多様な業務を遂行し依頼を実行します。「異常諜報に関する保険契約40535」を通じて取得された文書によると、SCP-2210は「ワンダーテインメント博士」、「蛇の手」、「マーシャル・カーター&ダーク社(MC&D)」、「Are We Cool Yet?」などの様々なGoIへ定期的にサービスを提供しています。それにもかかわらず、入室者は、SCP-2210内にいる間はSCP-2210-1しか見かけることがなかったと報告しています。
契約が合意されると、SCP-2210-1実体は体から手書きの文書と、SCP-2210-1実体と入室者双方が文書に署名するために使う羽ペンを取り出します。文書とペンを取り出した後、実体は署名を含めて契約書の写しを作成し、保険契約者に渡します。個々の契約の詳細は異なるにもかかわらず、全ての契約で、署名者(以下、SCP-2210-2と呼称)は、署名から30日ごとに契約をした実体へ保険料を現金で支払うように要求されます。毎月の保険料も契約に依存しますが、常に素数です。保険料を支払う度に、SCP-2210-1実体はSCP-2210-2に契約を解除できることを知らせます。
30日目に支払いが行われなかった場合、SCP-2210は契約の維持を直ちに中止し、提供したサービス(機器、人員、差し替えたアイテムなど)を直ちに消失させます。保険契約者は、SCP-2210-1実体が遠くから契約者をじっと見て「これ以上の延滞手数料を避けるためにできる限り早く契約を解除してください」という言葉を言っているように見えると報告しています。署名者はまた時間の経過に伴い、署名者に宛てられた全ての電話あるいは手紙が、先述の督促であるかのように知覚し始めます。
支払いが失敗した後、保険料に相当する財産が30日以内に署名者の所有物から消失します。この金額は回を追うごとに倍に増え、公共料金の請求書に「████████████保険延滞料金」として表示されます。加えて、「延滞金申請」というタイトルの用紙が保険契約者の前に現れます。この用紙には申請のために用紙へ記入した上で、SCP-2210へ用紙を提出するよう指示が書かれています。保険契約者が延滞金を支払うのに十分な金銭を持たない場合、同等の価値を持つ物品が契約者の家や本人の元から消え始め、その物品があった場所に「延滞料金申請」用紙が現れます。監視用のハイスピードカメラによって、未知の人物が住宅に入って申請書を残し、延滞料金と同等の価値のあるオブジェクトや所有物を持ち去っていることが明らかになっています。保険契約者が所有物や金銭を持ち合わせていない場合、契約者はビジネススーツと仮面を身につけた未知の人物に声をかけられます。続いてその人物は契約者を拉致し、最も近い出入口へ運び、そこを通ると契約者ごと消失します。この一連の過程を経た犠牲者がSCP-2210で働いていることが確認されていますが、会話の試みは全て無視されます。
署名者が契約の解除あるいは延滞料金申請書を提出した場合、解除規定情報用紙を渡され、完全に記入した上で集合住宅内にある別の部署にいる他のSCP-2210-1実体へ持っていくように要求されます。解除規定情報用紙では、署名者の父方の曾祖母の血液型、飼い犬の雄親の犬種、および電話のトランジスタが製造された国など、難解で一見役に立たないような個人情報を署名者に要求するために様々な知的職業由来の複雑な専門用語と学術用語を用いています。質問はある程度署名者に関連したものですが、大抵の質問はランダムに選択されているようにみえます。用紙のいずれかの質問に完全な回答ができなかった場合、用紙は2人目のSCP-2210-1実体に承認されず、用紙を全て完全な状態にするよう実体に要求されます。
用紙を提出できた場合、用紙を受け取った実体は、用紙の処理に8週間を要すると主張し、8週間後に再び来るように要求した上で退出します。8週間後、実体は官僚的な出来事によって用紙は無効とされたと主張し、署名者へ前回と異なる質問の載った同様の用紙を渡し、再び手続きをするように要求します。用紙に正しく記入する他、どのようなことをしても、同様の結果となります。契約解除をしようとする試みもSCP-2210の入っている空間が持つ性質によって妨げられています。その空間は一般的なオフィスビルと似ていますが、ユークリッド幾何学も基底時間にも従わない、広く入り組んだ場所です。数ある空間的パラドックスの中でもとりわけ、部屋の出入りを同時に起こすことや、天井や床の上を歩くこと、そしてペンローズの階段を昇ることが可能な場所です。
補遺: 保険契約 No.40535:異常についての諜報
SCP-2210を様々な面から調査した後、SCP-2210に割り当てられた主任研究員のT█████博士は、諜報を容易にする手段としてSCP-2210を利用することを提案しました。提案はO5評議会からの8-5の投票を受けて承認され、財団の資産へのリスクを最小限に抑えた上で、できる限りの契約を得るための措置が取られました。[削除済]を使用して、D-18272は財団エージェント███████ ██として自己を確立させられ、SCP-2210から異常についての諜報に関する契約の提案を受け取るように命じられました。D-18272は「保険契約 No.40535:異常についての諜報」を提示され、それを受諾しました。受諾後すぐに、多数の文書が未知の人物によってサイト-42のアーカイブウイングのサーバーへ追加されました。追加された文書は、他の要注意団体がSCP-2210と取り交わしたと思われる保険契約についての抄録です。抄録は週ごとに未知の過程を経て消失し、新しい抄録に置き換えられます。
次のリストには、今週中に提供された保険契約の要約が含まれています。以前の抄録のコピーはサイト-42のアーカイブウイングにあります。