SCP-2216-JP
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成長したSCP-2216-JP-αの1例。その外観・構成は、一般的なバンクシア・グランディス(Banksia Grandis)と一致。

アイテム番号: SCP-2216-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2216-JPを内包するホストの捜索を目的に、専用Webクローラーは世界各国の医療機関の心療内科受診者情報を検索します。新たに発見されたSCP-2216-JPホストは最寄りの財団施設へと移送・収容された上で、常に監視下へと置かれなければなりません。

SCP-2216-JPに起因する火災事案が発生した場合、カバーストーリー"漏電鼠"に基づいた偽装情報の流布・隠蔽工作が実施されます。その際、火災調査と偽る形で、周辺地域に飛散したSCP-2216-JP-α群の回収を実施します。また、回収されたSCP-2216-JP-α群は、その一部が研究用の試料としてサイト-81██にて栽培・管理されています。

説明: SCP-2216-JPは、不特定多数のヒト潜在意識間の接続で構成されたノウアスフィア内部に潜伏していると推定される、敵対的な形而上存在/夢界実体群の総称です。これら存在は、ヒトが睡眠時に経験する夢見を介する形で、自らの宿主となる対象(以下、ホスト)に干渉を行うと知られています。

ホストへの干渉に際し、夢の中におけるSCP-2216-JPの外観が目撃されたケースは、現在までに報告されていません。全ての報告例において、SCP-2216-JPは"背後から絶え間なく反復/反響する不快な囁きや呟き"を発する存在としてのみ認識されます。しかしながら、覚醒後のいずれのホストも、夢の中で自身が耳にした囁きや呟きの内容について、正確に記憶していませんでした。

上記のような干渉を受け始めてから数日以内に、ホストは不明な理由から自らの居住家屋へと放火を行います。そして、この住宅火災の過程にて、その大半が焼死するか、生き残ったとしても重篤な後遺症を負う結果となります。特筆すべき要素として、焼死したホストの頭部には毎回、延焼に由来しない激しい損傷が確認できる点が挙げられるものの、関連性は不明です。

ホストが焼死した場合、事案後の火災家屋周辺からは、複数種の出自不明なヤマモガシ科バンクシア属(Proteaceae Banksia)の植物種子(以下、SCP-2216-JP-α)が発見されます。回収されずに放置された場合、SCP-2216-JP-αは通常通りの過程を経て成長し、種子を生成しない点を除けば、外観・構造的にも異常はありません。

一方で、観察者は稀に笑い声の幻聴や、"それが笑っている"と説明される漠然とした印象想起等を経験します。中でも、地面やプランターから引き抜かれる際に観測される、悲鳴に酷似した幻聴報告例は顕著です。しかしながら、いずれの現象も地面やプランターから取り除かれた後のSCP-2216-JP-αでは発生しません。

なお、現在までの調査では、SCP-2216-JPホストとなった人物の共通点として、疾病や生活環境、人間関係等の問題を理由に、知人や掛り付け医、カウンセラーに対して漠然とした自殺願望を長期的に告白していた事実が確認されています。その一方で、これら願望自体がSCP-2216-JPの干渉に由来するものであるのか、もしくはこれら願望を持つ人物をSCP-2216-JPが干渉対象と定めているのかについては、現在も解明されていません。

補遺: バンクシア属植物の多くの種が有する生態1を考慮した上で、SCP-2216-JP-α群が発見された位置から、その飛散元となった可能性がある地点を割り出すシミュレーションが実施されました。その結果、SCP-2216-JP-α群の飛散元であると算出された地点は、火災家屋の内部、特にホストの遺体が発見された火元となった部屋の位置であることが判明しました。

それにもかかわらず、現在までに火災家屋内の残留物からバンクシア属植物の痕跡が発見されたケースや、ホストによってバンクシア属植物が購入されたことを示唆する証拠が発見されたケースがない点には留意する必要があります。

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事案中のSCP-2216-JP-α果実の1例。袋果は自然的に裂開しており、その部位を"口"のように動かす形で発声を行う様子が観察される。

事案報告: 20██/██/██、サイト-81██にて栽培されていた全てのSCP-2216-JP-α群の袋果が突如として裂開し、不明瞭な悲鳴に酷似した発声と、それに続けて甲高いアラート音が発される事案が発生しました。

このアラート音は30秒程度で終了しましたが、僅かな間を置いて、不明な人物によるメッセージが1体のSCP-2216-JP-αより発され始めました。なお、この声は特徴性がない坦々とした機械的なものであり、声紋分析からも性別・年齢・国籍や心理状態等の断定には成功しませんでした。

また、メッセージは英語・ロシア語・韓国語・中国語等の合計14ヶ国語で同時に発されており、いずれの言語も同一の人物による発声であったと推定されています。以下は、日本語によるメッセージの転写文です。

バンクシアン・コレクティブ殿

まず最初に、我々は気が進まないながらも、貴殿の受肉・複製体に対して緊急バックドアを通じ、その管理権及び所有権を強制的に差止めざるを得なかったことをここに通知します。

貴殿がご利用中の夢界-現実間の物質転写手法は、我々が保有する特許範囲に抵触する技術を、ノンクレジットの上で実施していると判断しております。それに加え、特許技術利用時における禁則事項第15-A条"ヒトを含む、あらゆる現実生物を媒体・触媒とした転写を禁ず"に違反しているとの報告も受けております。

更には、貴殿が実施された"ヒト頭部の内容物を自身の転写複製へと置換した上で、散布装置として同時に用いる"という試みと、"永続的な大地にて枯れ朽ち果てる"という身勝手な目的と心中願望が、複数の現実顧客の致死的被害を引き起こしたことは明白であり、我々としましては、それらが我々の現実-夢界資産並びに信用へと重大な損害を与えたものと判断せざるを得ません。

以上から、上記技術の転用行為は、特許権の侵害に該当するものと思料いたします。貴殿に対しては、ただちに特許のクレジット表示及び規定に違反する形での利用を中止するようことを強く求めます。

以上の理由により、誠意あるご回答がいただけない場合、誠に遺憾ながらも、上記侵害行為の差止め、損害賠償請求及び不当利得返還請求等の法的措置を講じざるを得ず、複製体の管理権及び所有権の返却も永続的に行われませんことをご承知ください。貴殿が再び夢界の非永続的な大地にて根を張り、予期せぬ末日に怯えて過ごす生涯をお望みでないのであれば、誠意あるご回答をお待ちしております。

以上、オネイロイ・コレクティブ法務部
イェノレーマ・マイオール


上記の事案以降、新たなSCP-2216-JPによる被害及び、SCP-2216-JP-α群への新たな異常は確認されていません。

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