SCP-2221
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POP-192-2221-Aのメンバーによって描かれた絵画。2221-A個体が作成する宗教芸術には、頻繁に絞首縄のイメージが組み込まれている。この絵では、イエス・キリストの磔刑が絞首刑に置換されている。

アイテム番号: SCP-2221

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2221実例を有すると考えられるWebサイトは検査のため隔離し、民間ユーザーはウェブサイトからブロックされます。Cクラス職員のチームは、ソフトウェア利用許諾契約に同意することをユーザーに要求するWebサイトやソフトウェアの継続的な検索を維持し、そのような契約にSCP-2221の徴候が無いかを徹底的に検査します。

2221-Aの全個体を収容するのは不可能と考えられることから、代わりにフィールドエージェントは効果の相殺に焦点を当てます。エージェントは超法規的暴力の急激な増加を監視するために、世界中の法執行機関との接触を維持する必要があります。エージェントは2221-A系列団体に関する情報を、その政治的・社会的影響を軽減するため、各国の国家安全保障機関と共有することが奨励されています。財団の政治不介入ポリシーは、この脅威に対応するため一時的に放棄されています。

説明: SCP-2221実例は、一般的にソフトウェアを使用するために消費者が合意する類の利用許諾契約(EULA)です。SCP-2221実例は通常、インターネット上で利用可能な無料または安価なソフトウェアに添付された状態で発見されます。これらはEULAとしては異常に長く、恐らくは消費者が最後まで読むのを阻止するためと思われます。契約の終わり近くに、それぞれ位置が異なるものの、関連性がある異常効果を齎すと考えられる3つの条項があります。

条項189
“貴方は、全ての礼拝・祈り・敬意・犠牲・誓約・導きおよび/または介入の要求・その他の付録H.viiに記載されている神格に向けられる神への祈願が、代わりに正義の友セリーン・トリビューン(Serene Tribune, Friend of the Righteous)、これ以降アミカス(Amicus)と呼称、へ向けられる事に同意するものとします1。加えて、貴方はこの条項が、前述した神への祈願に関する意図的な試みに取って代わる事に同意するものとします。”

条項191
“貴方は、アミカスの友.LLC2が、1週間あたり72時間を超えない範囲で、潜在意識の感化および/または意識の一時的制御目的で貴方の意識にアクセスする事に同意するものとします。”

条項216
“貴方とアミカスの友.LLCは、本契約の条項への違反または改変、ならびにアミカスの友.LLCに対する訴訟提起の試みが、穏やかなる法廷(Serene Tribunal)での仲裁裁判によって解決されねばならない事に同意するものとします3。”

実験はSCP-2221が情報災害ではないことを示唆しています ― SCP-2221実例を読むまたは見る行為は、読者が契約に同意していなければ影響がありません。このような契約が既知の司法制度における法的強制力を伴うとはとても考えられません。しかしながら、SCP-2221の影響は、未知の当事者による本契約の条項の強制から生じていると考えられています。

特定身分の人物(精神的無能力者・前思春期の子供・奴隷など)は、恐らく契約に同意する法的能力を欠いているために、同意した場合も影響を受けません。契約内容を理解できない人物(記載してある言語を話せない人物・契約に同意するボタンを押させられた睡眠中の人物など)も、同じく影響を受けません。これらの制限はSCP-2221を研究する試みに対して極めて厄介なものと証明されました。契約の影響は、明らかに法的能力を欠き、契約を強制されているDクラス職員には及んでいません。

SCP-2221がDクラス職員に影響を及ぼす事が出来ない為、直接実験は困難ですが、財団はSCP-2221の影響を受けていると想定される人口集団の広範な分析を行いました。SCP-2221実例を有するWebサイト上でアカウントを作成した、あるいはソフトウェアをダウンロードした人物は2221-A個体と想定されています。2221-Aおよび2221-Aの数が多い集団内では、以下のような行動の変化が観察されています。

  • 投票率や政治的行動の大幅な増加。非民主主義または半民主主義国家の2221-A個体らは多くの場合、抗議運動や破壊的政治団体に参加します。2221-A個体は、極右・極左の両方に関連する党などの、政治的主流から外れたポジションに特に惹かれるようです。
  • 宗教と宗教的アイデンティティの問題に対する関心の大幅な増加。礼拝の出席率は、大規模な2221-A集団を擁する地域では明白に高いです。イスラム諸国の2221-A 個体は多くの場合イスラム主義運動に参加し、アメリカ国内の個体は公的生活の中でキリスト教の役割を増加させることを提唱するなどします。
  • 宗教的実践の変化。2221-A支配地域では、宗教法を逸脱した者に対する共同体内での罰が、多くの場合は晒し刑という形で、一般的に見られます。これらのコミュニティの宗教芸術には、絞首縄あるいは絞首縄に類似するパターンが異常な頻度で組み込まれています。例として、キリスト教美術ではイエスを磔刑ではなく絞首刑として描写する傾向があり、ヒンドゥー教美術の場合はしばしば罪人を吊るし首にするヤマ(閻魔)に焦点が当たります。条項189の”アミカス”崇拝に関する言及にも拘らず、SCP-2221-A個体は一般的にはこの名称の存在を崇拝しているのが観察されていません(一つの例外であるPOP-044-2221-Aについては後述します)。
  • 犯罪者の疑惑がある人物に対しての頻繁な超法規的暴力。

2221-A集団は密にクラスタ化される傾向があり、一部の共同体は完全に2221-A個体で構成されている一方で、影響を受けた国家が2221-A人口を0.05%以上抱え込む事は滅多にありません。最も注目すべき例外は█████国のPOP-044-2221-Aであり、2013年までは国家人口の2%を占めていました。

POP-044-2221-Aに関するイベント

2012年10月、サイト-614はO5評議会に接触し、█████にある財団施設を攻撃している武装暴徒について報告した。これらのグループは、財団に関する内部情報を持っていることが直ちに明らかになった。暴徒らはSCP-███、SCP-████、SCP-████、SCP-████、および34名の財団職員を裁判に掛けるためと称し、財団に対して引き渡しを要求していた。

サイト-614への10月の攻撃は、当初は知識人コミュニティ”Republic of Letters”に起因していると考えられ、このコミュニティも攻撃を招いた情報リークに責任があるとすぐに認めた。この時点では、財団は█████の大規模な2221-A集団について認識しておらず、Republic of Lettersの主張が信じられていた。

しかしながら、サイト-614のコンピュータを検査したところ、多くの職員がSCP-2221実例を有するソフトウェアを使用している事が発覚。財団の総意は、情報リークがアミカスの友によって堕落した財団職員によるものであると変化した。このSCP-2221実例の発見・報告に失敗したのは過失によるものか、それとも故意の妨害行為であったのかは未だ不明のままである。

サイト-614の職員は検査のために勾留され、サイト-115およびサイト-621のフィールドエージェントが、サイト管理者スーザン・プリチャードの指揮の下、地元の2221-A集団であるPOP-044-2221-Aを監視・報告するために█████へ派遣された。地域における継続的な政治的混乱のために、財団は完全な防御スタンスを取り、財団施設に対し手を変え品を変えて続いている攻撃を撃退した。

地元の刑務所に対する攻撃も注目されている。地元の治安部隊はこれらの攻撃の大部分を撃退したが、██████および████████████にある刑務所は暴徒に占拠された。両刑務所の囚人らは外部へ引きずり出され、器物損壊などの軽犯罪しか犯していない者も含めてリンチに掛けられた。

続く4ヶ月の間に、地元のスンニ派イスラム教徒の大多数において宗教的実践の変化が観察された。地元モスクの多くは、礼拝の呼びかけを従来の1日5回に変わり、8回伝え始めた。装飾的な絞首縄が、多くの場合は精巧なパターンのカラフルな布で飾られた状態で、戸口に下がっている。2221-A個体と考えられる一部のイマーム(イスラム教指導者)は、伝統的なイスラムの預言者リストに”サディク(Sadiq)”という人物を追加しているのが観察される4。サディクの詳細について問い詰めると、これらのイマームは混乱し、サディクについての知識を否定した。

2013年4月、影響された共同体は、礼拝の呼びかけを1日あたり30回まで伝え始めた。他の活動に充てる時間が少ししかないため、財団施設への攻撃は止む。POP-044-2221-AはSCP-2221の印刷版を配布し、これによって共同体のほぼ全ての成人を2221-A個体へと変換した。財団は既に防衛体制を取らなくなっていたため、フィールドエージェントはPOP-044-2221-Aが住む街を封鎖し、影響を受けていない民間人を財団の勾留下へと退避させた。

2221-Aが礼拝を呼びかける頻度は、祈りがPOP-044-2221-A全体で休みなく繰り返される状態になるまで増加し続けた。5月24日から6月6日にかけて、POP-044-2221-Aの既知の全構成員は疲労と脱水により死亡した。█████政府は財団と協力し、これらの死を政治的暴力に起因するものとした。

フィールドエージェントは、他の場所で同様の発生を防止するため、財団の政治不介入ポリシーを放棄することが推奨されている。

補遺2221-i: 最近発見されたSCP-2221実例は、追加として条項217を有しています。”この条項を読む事によって、付録K.ivに記載されている全ての組織の構成員はとっととくたばる事に同意するものとします。” SCP財団は、連邦捜査局やRepublic of Letters、その他の一部要注意団体および政府機関と共にリストアップされた組織の一つでした。条項217を読んだ職員は隔離され、検査が行われました。追加文には、少なくとも目に見える範囲には、識別可能な影響を有していませんでした。条項217は文書に情報災害や法的な拘束力を付加するものではなく、単なる嘲りであると考えられています。しかしながら、監督者は条項217修正版を読んでいる財団職員の行動について毎週報告書を作成する事になっています。

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