外部から撮影した映像資料。████ ██████████が未承認での接触中に誤ってSCP-2222内部に監禁される直前の様子を映し出している。宇宙服の現在の行方は依然として不明である。
アイテム番号: SCP-2222
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: ████ (█████ ████████ █████ █████████████) 内に配属された財団工作員が、ステーションの正規職員を装って軌道上ユニット-09 (訳註: Orbital Unit-09) に異動および配置されています。人員は4名 3名の財団工作員で構成されており、各員は航空宇宙工学、船外活動、閉鎖環境試験、専らSCP-2222の抑制を目的とする実験・分析といった多方面にわたる教育訓練を事前に受けています。████からの通信は、コマンド-2 (訳註: Command-2) で言語学および音声解析の教育訓練を受けた財団工作員により傍受・妨害が行われます。
SCP-2222を構成する気密扉は実験および/または分析目的を除き、常時封鎖されます。分析中はいかなる接触もSCP-2222内部では許可されません。しかし、映像および/または音響分析はSCP-2222外部から手動開放の後に行うことができます。実験には任意数のRattus rattusをSCP-2222内部に解放する必要があり、この備蓄は現在ユニット・ラボ内に配置されています。SCP-2222内部から現れた実体は適切な無菌区域に移送されます。終了の前に、結果として生じた行動学的、物理学的特性および異常特性に関する追加実験・分析が行われることがあります。実体はガス状殺鼠剤の散布によって終了されます。
事案 2222-REF#209を受けて、SCP-2222に対する陶酔または強迫観念の徴候がユニット職員にみられる場合はコマンド-2まで報告されます。このとき、当該職員の一時/常時隔離が執行されることがあります。SCP-2222に対する強迫観念が明らかな職員については、軌道上ユニット-09からの即時隔離を行います。このとき、武装即応宙域任務部隊-01 (訳註: Armed Rapid Response Spatial Task Force-01) が接触することがあります。追加の非常時応答部隊はコマンド-2に配備されます。この部隊はユニット職員の損耗が発生した場合に派遣されます (詳細は調査IIIを参照のこと) 。
説明: SCP-2222は2枚の不透明な気密扉および円筒形 (直径3.6m) の気密室から構成されたエアロックであり、████ ████████-█ 宇宙ステーション (軌道上ユニット-09に指定済) に内蔵されています。両側の気密扉が閉鎖した状況下でのSCP-2222内部の調査を試みるべく、気密室内に監視装置、圧力計または無線機の設置などを行いましたが、いずれも誤作動と思われる原因により失敗しています。結果として、電子制御による再開放以外にSCP-2222内部の調査を行う手段はありません。改訂: ██/██/████ - 詳細は事案 2222-REF#209を参照のこと。
生体がSCP-2222に進入した場合は即座に異常現象が発生します。軌道上ユニット-09内部から進入すると、直後に内側の気密扉が閉まり生体は監禁されます。SCP-2222は約3分間封鎖状態となり、その後扉は再開放されて生体が再び姿を現します。この間に気密扉の手動開放が試みられていますが、例外なく失敗しています。軌道上ユニット-09外部の宇宙空間からSCP-2222内部への進入については未実施の状態です。
再出現の時点で、生体は器質的かつ構造的に完全に翻転されています。生体は身体的形態に理論上致命的な変化が起きているにもかかわらず、生命活動を維持しています。影響の対象となった人間は各単語を逆に発音することで、コミュニケーションが可能です。事案2222-01の中で述べられたように、対象者はそうするよう促されない限り、通常の理解し易い形式で各単語を発音するのは身体的に不可能な模様です。結果として、その難解さから当座の意思疎通は明らかに不可能です。しかしながら、音声記録の逆再生によりそれぞれの発声内容の解釈には成功しています。なお、Rattus Rattusのような意識を持つ生体からの発声も同様の機能障害を示します。
事案 2222-01: ██/██/████: SCP-2222の初期捕捉後、最初に影響を受けた財団職員に対してインタビューを行いました (詳細は文書-2222-667Dを参照のこと) 。対象者は████ ██████████、元レベル4工作員であり技術士の有資格者でした。身体的変化が最初に確認されたのは、████ ██████████が接触後、SCP-2222内部解析中に誤って内側に監禁されてからのことです。理解のため、████ ██████████が発した各音声は逆転されています。なお特記事項として、Dr. █████はインタビューの間、████ ██████████の意図を理解できていませんでした。無編集の音声記録は以下で閲覧することができます。
回答者: ████ ██████████
質問者: █████博士
<ログ開始>
█████博士: エアロックで何があった?
████ ██████████: まぶしい。めがくらむ。いたい。
█████博士: 何か異状に気付いたか?
████ ██████████: [首を振る] ああ。
█████博士: そうか。何が君をこのようにした?
████ ██████████: やつら。きた。さいた。さした。わらった。
█████博士: 何か聞こえたか?
████ ██████████: ああ。わらいごえ。いった。もろい。たりない。つたない。よわい。
█████博士: 君が何者か覚えているか?
████ ██████████: ああ。████。
█████博士: 君の名前をさかさまに言ってくれないか?
████ ██████████: ████ [原音のまま記載] 。
█████博士: ありがとう。他に何か異状はあったか?
████ ██████████: ああ。つれだした。わたし。たいよう。ほのお。いたい。
█████博士: 痛いのか?
████ ██████████: いたい。
█████博士: そうか。これで最後の質問だ、後で楽にしてあげよう。君がエアロックに接触していた間、中に何かがいたのか?
████ ██████████: ああ。いった。もう。おそろしい。ほか── [疲弊したように倒れる]
█████博士: おお、神よ── 。あぁ、よし、船員に告ぐ。彼を起こしてくれ。ラボまで連れて行くんだ。最終的な結論を出してから、彼を射出する。
████████調査官: サー、彼が何か言っています。
████ ██████████: ありがとう。あいする。うちゅう。 [昏睡状態となる]
<ログ終了>
████ ██████████は即座に終了され、後に別のエアロックから宇宙空間へ放出されました。なお特記事項として、████ ██████████のSCP-2222との接触は未承認でした。
補遺 2222-01: ██/██/████: 事案2222-01から5分経過後。████ ██████████の死体検案および解剖により、表皮層に難解な文字の刻印があることが判明しました。加えて同部位の複数の裂傷および挫傷から、陰部を起点として強制的に翻転されたことが示されました。刻印の内容は以下の通りです。
れあ は たっかしのた
いるしっげ もりよ いい
みずね は いならい
られわ は とひ が いしほ
ぎつ は れだ?
SCP-2222の異常現象に関する調査は、ユニット職員により再開されます。██/██/███付で分類を知性体に変更しました。
補遺 2222-02: 前述の事案記録に記載された内容を受けて、コマンド-2は精神衛生上の観点からユニット職員が毎月の検診および通話カウンセリングを受けられるよう正式な要請を送りました。
「却下。事前の訓練で十分なはずだ。もし精神上の問題が明らかになりそれが続くようならば、私が個人的に人員交代を管理する。」 - O5-█
事案 2222-REF#209: 以下の出来事は██/██/████から██/██/████までの期間に起こりました。これはハンドカメラが気密室内で誤作動を示さず、SCP-2222内部の監視に成功した後のことです。先述の情報によりSCP-2222内部の進入および調査が認められ、軌道上ユニット-09に異動した7名のDクラス職員により実施されました。彼らには事前に鎮静薬が投与され、さらにユニットの保守および保全を職務とする5名のレベル4-5財団工作員が同伴し、Dクラス職員との連絡を担当しました。現行のユニット職員については一時退避が許可されましたが、████全域に長期間の通信不良が発生しており、即応部隊による人員配属の状況を追跡できない状態が続きました。なお特記事項として、Dクラス職員はSCP-2222と接触する前に、SCP-2222の異常現象について周知されていません。
以下の文書はレべル4以上の職員に制限されています。
未認可および/または未承認でこの文書にアクセスしようとした場合、Order-06記憶消去の承認が実行され、Special Containment Procedures財団から即座に降任および/または免職処分されます。
下位のセキュリティクリアランスである場合は続行しないでください。
SCP-2222REF#209 臨時職員名簿:
ジョセフ ██████████ アイン調査官 (戦死) [LvLFour]
████ ████-█████ ホワイト調査官 (戦死) [LvLFour]
██ █████████ カウフマン管理官 (戦死) [LvLFive]
O5-█ [LvLOhFive]
█████ ██████ ███管理官 [LvLFive]
D-82111 [LvLDisposable] (終了済)
D-72892 [LvLDisposable] (終了済)
D-02928 [LvLDisposable]
D-90123 [LvLDisposable] (終了済)
D-46400 [LvLDisposable] (戦死) [監督官クリアランスを持つ職員は文書 ████-REF#████の閲覧を推奨]
D-73714 [LvLDisposable] (戦死)
D-12935 [LvLDisposable] [監督官クリアランスを持つ職員は文書 ████-REF#████の閲覧を推奨]
SCP-2222REF#209 以前の常勤職員名簿:
ハンス ████ █████博士 [LvLFour]
████████ ████ █████ ダーデン博士 [LvLFour]
イメルダ ████ ████████調査官 [LvLThree]
████ ██-███ ██████████ [LvLFour] (終了済)
D-82111がSCP-2222内部に配置される。彼は持続型電灯1個とデジタルカメラ1基を装着しており、O5-█の承認下でユニット・コマンドまで直接配信を行っている。D-82111が指示に従いSCP-2222内部に足を踏み入れると、予想通りSCP-2222の内側の気密扉が自動的に閉鎖する。
<書取開始>
アイン調査官: では、トーチを点灯してください。
D-82111: ああ。
[SCP-2222の内部が照らされる。特記すべき異常な箇所は見当たらない]
アイン調査官: 追加の指示があるまで動かないでください。
[簡略化のため書取省略]
アイン調査官: 金属の擦過音を捉えています。確認してください。
D-82111: 何も聞こえねーよ。
アイン調査官: 了解。何か聞こえたり、見えたりした場合は直ちに我々に知らせてください。
[簡略化のため書取省略]
D-82111: 何だったんだ?
アイン調査官: 説明してください。
D-82111: 窓だよ。見ろよ。
[D-82111は頭部装着型カメラを再調整し、外側の気密扉の窓に焦点を合わせた。なお特記事項として、SCP-2222の外側の気密扉には窓は存在していない]
アイン調査官: 最初の視覚および/または空間異常を確認。窓に近づいてみてください。
D-82111: いや、冗談だろ。無理だよ。マジで──
アイン調査官: 窓に近づきなさい。
D-82111: あの窓の向こう側にいる奴なんか見たくないだろ。
アイン調査官: 何ですって?
D-82111: ああ。だやい。
アイン調査官: D-82111、あなたの今の状況を説明してください。
D-82111: だやい。ろめや。 [D-82111の声からは発話困難な様子が伺える]
[D-82111は頭部装備からデジタルカメラを手動で取り外し、その後カメラを回転させて彼自身に向ける。D-82111の相貌は激しい損傷を示しており、事例 2222-01で確認された内容と一致している。D-82111の頭髪は一見すると根元から無理矢理に抜かれたようだが、一方で頭部を覆う表皮層には掻破痕や裂傷があり、もともとの位置で表皮が翻転していることを示している。極度の身体的損傷からかD-82111がカメラを落とす。すると配信映像に先述の窓が映り込む。窓は開いている。窓を通して目視できるのは宇宙空間および地球の大気圏である。分析により、視界から外部の風景を瞬間的に遮る不定形物体の存在を確認している。逆再生の音声分析ではD-82111が嘔気を訴えているのを確認している]
アイン調査官: D-82111、カメラの位置に戻り、頭部装備に再接続してください。
D-82111: [以下逆再生により解析] 好きなだけ笑えよ。ほら、笑えよ。
アイン調査官: 注意。重大な異常現象を確認。私の声が分かりますか、D-82111?
D-82111: [以下逆再生により解析] やれよ。俺をズタズタにしてみろ。そうだ、笑えよ!なあ、このエイリアン野郎!殺せ。殺せ!今すぐ殺せ!連れ出せよ。さあ!
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] たえてみろ。
D-82111: [以下逆再生により解析] 待て。ああ、嫌だ!あそこは駄目だ。無理だろ!あそこだけは──
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] たえろ。かれをつれだせ。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] ああ。そのつもり。たえろ。
D-82111: 嫌だ。やめろ。俺は役立たずだ。お前らが言ったんだ。俺には価値なんてない。俺に構うな。放っとけ!いっそ殺せ!好きにしろよ、俺を切り刻めよ、頼むから!やめて──
[映像配信が途切れる]
<書取終了>
D-82111は従来観察された通りにSCP-2222から姿を現した。完全な表皮の翻転を示しており、全表皮層にはII度熱傷が確認された。出現後のD-82111は発話および視覚能力を持っておらず、適切に殺処分された後に宇宙空間に放出された。表皮上層の文字の刻印については以下に記載されている。
とっも とっも だ
とっも とひ が いしほ
とひ は みしのた に うよつひ
るえらわ とひ
先の調査と同様の手法でD-72892はSCP-2222内部に配置される。同じく持続型電灯1個とデジタルカメラ1基を装着しており、ユニット・コマンドまで直接配信を行っている。D-82111はさらに事前に用意された数件の質問を与えられており、これはSCP-2222の住人 (ら) に直接尋ねることで、SCP-2222が持つ異常特性の意図とその根源を解明することを目的としている。
<書取開始>
D-72892: ええと、私はこれを大声で読み上げればいいんだな?
カウフマン管理官: その前にトーチを点灯するんだ。それから、そうだ。そうしてくれ。指示通りに頼む。
D-72892: そうだな。すまない。
カウフマン管理官: では、質問1を読み上げてくれ。
D-72892: 「こちらはD-72892、SCP財団を代表して話しています。軌道上ユニット-09のエアロック内に居住するその理由を述べてください。」
[通常再生する限りでは、記載すべき音声反応はなし]
カウフマン管理官: [飛び退く] 何だ、あの耳をつんざくような音は? [ユニット・コマンドの観測者に向けて] あの音を拾い上げたか?ぞっとする。まだ耳鳴りがする。なんて耳障りなんだ。
D-72892: 私には何も聞こえないが。何を言っているんだ?
カウフマン管理官: 不快な音が音声配信で拾い上げられた。質問2を読み上げてくれ、72892。チッ。
D-72892: 「あなたは何者ですか。何を表明しているのですか?」
[通常再生する限りでは、記載すべき音声反応はなし]
カウフマン管理官: もし何か聞いたり、見たりした場合は我々に報告しろ。
[D-72892からの返答は無い。映像は微細なノイズの増加を示している]
カウフマン管理官: D-72892?
D-72892: [以下逆再生により解析] 奴らは楽しむためにここにいる。
カウフマン管理官: 何?
D-72892: [以下逆再生により解析] 聞こえなかったのか、この二枚舌野郎が?
カウフマン管理官: [ユニット・コマンド職員に向けて] 後でD-72892の各音声を逆再生するんだ。
D-72892: [以下逆再生により解析] 俺たちは皆、裏の顔があるだろ。一緒にこっちに来ないか。パーティーに入れよ。二つの顔を持てるぜ。お前も、俺も、あいつらも。6人全員な。
[D-72892の配信映像が不定形物体によって約2分間、一時的に遮られる。この間に聴取できるのは嘔吐きに一致する人間の発声である。先述の2分間の後、配信映像は痩せ細ったD-72892がSCP-2222内部で直立しているのを映し出す。 D-72892の相貌は半翻転を示しており、右鼻腔を軸に右耳まで達して、損傷した筋肉塊および頬骨が露出している。一方でD-72892の左側の相貌は無傷の状態である。D-72892がカメラに向かい話しかける。双方向の映像表示でないのにもかかわらず、彼はカウフマン管理官と直接視線が合う状態を保っている]
D-72892: [以下逆再生により解析] ほら。二つの顔を持つのがどういうことか分かったか?こっちに来いって、管理官さんよ。さあ。エアロックを開けなよ。できるさ、奴らが許可してるからな。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] いや。もっといい。かんがえ。
D-72892: [以下逆再生により解析] 何だそりゃ?あいつらに── うお。凄いじゃん、<[不明:Oudjn?/Oodjin?/Oudgin?]>、天才かよ。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] よし。はなせ。
D-72892: [以下逆再生により解析] りょーかい。おい、カウフマン。ああ、お前はもうパーティにお呼びでないってさ。奴らはお前のためにもっと良いものを用意してる。今は俺たちだけで楽しむぜ。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] ちがう。およびで。ない。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] つれだせ。ほし。およびで。ない。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] そう。つれだす。
D-72892: [以下逆再生により解析] いや、いや!待て!待てよ、あんな ― [D-72892が窒息している様子が数分間にわたり観察され、その後配信音声および映像が誤作動を示す]
<書取終了>
D-72892がSCP-2222から再出現したときには、生命活動を維持した、炭化および黒色化した人体組織の集塊となっていた。規定の殺処分後に行われた死後検案により、例のごとく完全な表皮の翻転が判明した。文字の刻印は記されておらず、D-72892は規定に則り適切に宇宙空間に放出された。記録音声の逆再生は文書化され、その後カウフマン管理官は通信士としての地位を自ら放棄した。
D-02928がSCP-2222内部に配置される。調査IIから3日が経過していたが、その間に臨時ユニット職員が調査IIIのため事前対策の計画および準備を行っていた。D-02928はSCP-2222の住人 (ら) の視覚的証拠を記録するという任務を与えられており、これは彼らが持つ行動学的、物理学的特性のさらなる確立を目的としている。D-02928のカメラ付頭部装備にはさらにもう1基のデジタル写真機が装着されており、20秒ごとに1枚の写真を撮影するようプログラムされている。
<書取開始>
ホワイト調査官: 追加の指示があるまで待ってください。
D-02928: ああ、そうかい。
[最初の写真が記録される。調査後分析の結果ではSCP-2222の内部に特記すべき視覚/空間異常は見当たらない]
ホワイト調査官: トーチを消灯して、カメラのフラッシュを上手く活用できるようにください。
D-02928: どうしても消さなきゃいけないのか?
ホワイト調査官: はい。これは予定内の行動です。
D-02928: そうかい。ああ、そうかよ。
ホワイト調査官: まだSCP-2222の内部を視認できますか?
D-02928: いや、真っ暗だ。
ホワイト調査官: 良いでしょう。それでは──
[D-02928とユニット・コマンドとの間で通信障害が発生する。予備の通信バックアップが稼働するまでに2分経過するが、その間D-02928はSCP-2222内部にいる状態であると推定される。通信が復帰した後、D-02928の配信映像はSCP-2222の内部が炎に包まれている様子を映し出し、D-02928の姿はどこにも確認できない。SCP-2222の外側の気密扉が開いているのが観察される。しかし軌道上ユニット-09の外部監視モニターはこの時点で扉が明らかに閉鎖している様子を映し出している。気密扉の奥側に目視できるのは現時点で記録されているどの宙域にも一致しない宇宙空間であり、星雲に類似した不定形、ほぼ線形の恒星様実体も視認でき、それは紫色を呈している。D-02928がSCP-2222の外部から姿を現す様子が観察される。理論上致命的な空間の状況にもかかわらず、彼はSCP-2222に進入する。D-02928は急いだ様子でカメラを拾得し、ユニット・コマンドに向けて直接話しかける]
D-02928: あれが見えるか?
ホワイト調査官: 嘘でしょ。ええ、見えます。あれは一体?
D-02928: あれは── あれは……見ろ、奴らは準備中だ。おかげで俺はまだ死んでない。出たらすぐに説明する。
ホワイト調査官: 何ですって?駄目です、今説明してください。
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] だめ。せつめい。なし。
D-02928: お── お── 俺に近づくな!
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] むだ。
D-02928: ああ。ああ、そうかよ、消えろ、クソッタレ!この──
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] しずかに。
<書取終了>
その後、D-02928は結果として身体的損傷がない状態でSCP-2222から姿を現した。しかしながら、D-02928は口述、筆記またはその他の様式による他職員とのコミュニケーションが完全に不可能となっていた。D-02928は軌道上ユニット-09内の臨時Dクラス居住区域まで適切に移送され、そこでユニット職員との同行期間の残りを過ごした後、Sector-19に異動となった。D-02928がSCP-2222と接触中に計9枚の写真が撮影され、うち8枚はハードウェアの損傷のために破損を示していた。残存した写真は以下に添付されている。
D-90123は指示に従い、先述のものと同様の装備を身に着けた状態でSCP-2222内部に配置される。特記事項として、D-90123はSCP-2222に対する強い陶酔を示しており、この陶酔は彼女の前任者らがSCP-2222の影響を受けた後に飛躍的に増長した。また特記事項として、D-02928 (詳細は調査IIIを参照のこと) を除く先述の前任者の消息についてD-90123は周知されていなかった。D-90123に生じたSCP-2222に対する陶酔はさらにD-46400にも発生した(詳細は調査VIを参照のこと) 。ただし、前述の陶酔よりも軽度の徴候であった。追加の特記事項として、SCP-2222と接触中にD-90123の語彙は著しい増加を見せた。
<書取開始>
[D-90123とO5-█の間で生じた齟齬のため、音声配信のみが起動している]
D-90123: そんな── 信じられない。止め処なく溢れる美を前にして言葉が出てこないわ。私には──
O5-█: 映像配信を起動しなさい。
D-90123: ええ、勿論です。これを見て。
[D-90123の映像配信が起動され、それによりユニット側の映像受信が実行される。例のごとくSCP-2222の内部を映し出すが、特記すべき視覚/空間異常は見当たらない]
O5-█: 異状は見当たらないが。
D-90123: それはあなたがこの場にいないからです、[データ削除済] [D-90123がどのようにしてO5-█の姓を知り得たのかは不明]。普通のカメラではここの本当の姿を記録できないのね。
O5-█: ならば、D-90123、SCP-2222とは何だ?
D-90123: SCP-2222は2枚の不透明な気密扉および円筒形、直径4.6メートルの気密室から構成されたエアロックであり、████ ████████-█ 宇宙ステーション、軌道上ユニット-09に指定済、に内蔵されています。両側の気密扉が──
O5-█: もういい。公文書を復唱するのはやめなさい。
D-90123: サー、その通りです。復唱。復唱とは何かを繰り返して言う行為であり、特により明確かつ詳細なかたちで反復します。あなたが私に許可しなかった行為、[削除済]、は終えるべきでした。お願いだから、私に復唱を許可してください。
O5-█: 馬鹿な── なぜそれを──
D-90123: [以下逆再生により解析] SCP-2222はSCP-2222じゃない。共通音声翻訳による名前は<[不明:Mesh-murnans-cord-butoom-fort-hosben-vee-seven?]>、本来はテレビジョンなのよ。だから、笑って。今あなたはカ──
[音声配信が誤作動を起こし、停止する。映像配信は正体不明の媒体に惹起された結果として著しい歪みとテアリングを示すものの、映像は判別可能な状態である。D-90123の頭部カメラが不意に取り除かれ、SCP-2222の内部を別の角度で映し出し、D-90123の胴体が視界に入る。D-90123の両腕は広げられ、彼女の両手は不明なジェスチャーを形作る。D-90123 は突如として激しい力で横向きに突き飛ばされ、機械の突起部や部品などに衝突し、それらが彼女の腹部と左前頭葉を同時に貫いた後、6秒の間に完全な表皮の翻転が生じる。D-90123が自身の身体から両方の貫通物を力づくで引き抜く様子が観察され、未知の存在に向けて話しかけ始める。D-90123は約30秒間話し続け、やがて音声バックアップが稼働する]
D-90123: [以下逆再生により解析] ──ばらしいわ。私は準備万端よ。もっと欲しい?楽しんでる?
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] イエス。
D-90123: [以下逆再生により解析] 久々に最高のショーじゃない、ねえ?
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] イエス。
D-90123: [以下逆再生により解析] もっと欲しい?
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] ほしい。
D-90123: [以下逆再生により解析] じゃあ連れ出して。私をあそこに連れ出して。絶対良くなるって約束するわ。そして次のゲストはもっとね。
<書取終了>
D-72892と同じく、D-90123は炭化および黒色化した肉塊となって再出現したが、唯一の特記すべき相違点として運動能力の欠如が見られた。その状態にもかかわらず、D-90123は呼吸機能および心収縮力を保持していた。対象者は即座に終了された後、宇宙空間に放出された。
アクセスは拒否されました。この開閉可能ブロックを30秒以内に閉じなかった場合、即座に空気媒介型の記憶消去が承認されます。アクセスは拒否されました。
先述のD-46400に関する出来事の後、D-73714は誤ってSCP-2222内部に監禁され、配置される。O5-█の補助避難後から約3時間後のことであった。D-73714はD-46400に与えられたものと同様の装備を身に着けている。
<書取開始>
[D-73714はD-46400の軟化した残渣を見つめている]
D-73714: これは誰だ?もう一人のDクラスは何処なんだよ?一体何が起こってんだ、おい?どうなってんだ、お前ら何で俺に説明しないんだよ?
ホワイト調査官: 我々にその権限はありません。落ち着いてください。従わない場合は終了を執り行います。
D-73714: んなこと知るかクソが!
ホワイト調査官: その場で待機しなさい。暴れるのは止めなさい。
D-73714: 暴れるのは止めなさい? 好きなだけ「暴れて」やるよ。俺を2週間も閉じ込めて、不味い飯を食わせやがって── ガキの頃は宇宙飛行士に憧れたさ、でも今は── 今はな、お前らのせいで、俺はクソみたいな気分だよ。最悪だ。お前らの幸福を祈るよ。お前らが
[簡略化のため書取省略]
D-73714: 聞こえたか?俺の声が聞こえたのかよ?くたばっちまえ!お前ら全員!お前も、アインも、カウフマンも、あの逃げちまった腰抜け野郎もな!
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] おまえ。くたばる。ほしい?
D-73714: [D-73714が見えない存在に話しかける] な── 何だ?
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] いった。くたばる。ほしい?
D-73714: 俺は──
[UNKNOWN]: [以下逆再生により解析] あいつら。くたばる?
D-73714: そう。そう、あいつらにくたばってほしいんだよ。
[データ削除済]
[データ削除済]
[データ削除済] 即応宙域任務部隊-01。影響を受けたその他の臨時ユニット職員は焼却処分後に宇宙空間へ放出され、そしてD-73714は致命的な敵対行為および越権行為のため拘束後に終了された。D-12935は任務部隊員により拘束されたが、突如としてエアロックに対する強迫観念を見せ、即座に拘束を逃れてSCP-2222へ故意に進入した。この症状はD-46400およびD-90123にみられた陶酔と類似しており、また彼はD-73714の廃棄済みカメラ機材を装着していた (詳細は調査VIIを参照のこと) 。
アクセスは拒否されました。この開閉可能ブロックを30秒以内に閉じなかった場合、即座に空気媒介型の記憶消去が承認されます。アクセス繧サは拒拒否繧さ後&繧れま_ま_した。
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見えますか?
Meschk-Mernanschordbtoum-VordhosbnV7。
あそこです。
子どもたち、私たちは彼らを永久に観ることができます。私たちも観衆に入りましょう。この紫色の雲に座って。ヒトを見て笑いましょう。
あの場所で起きたことを簡単に説明しましょうか、長きにわたり、Meschk-Vordhosbnで起きたことを。
最初は植物でした。あれはつまらなかった。
次にやって来たのはあの忌々しい齧歯類どもです。
そして、ついに、最初のヒトがやって来ました。
私たちはヒトで楽しみました、だから私たちは彼らについて理解を深め、そして彼らはもっと送ってくれました。
新しいヒトは最初の3人は無能でしたが、4人目は面白かったですね。5人目は失望ものでした、4人目が約束してくれたのに。6人目はイカれてましたね。そして7人目が今、私たちのそばにいます。彼の声が聞こえるでしょう。
彼は12935と呼ばれています。
彼はここを嫌がっています。
感動的ですよね?
良いでしょう。君たちはこれに入る仕事を高く評価しなければなりません。執り行うには大変なものなのです。何せたった4人のチームなんですよ、知っていましたか?
ここへ辿り着くまでに彼らはどれだけの距離を旅してきたのでしょうね。いつか君たちが彼らに敬意を払う日が来るといいですね。
子どもたち、私たちも笑えるんです。
私たちは楽しめるんです。ヒトの宇宙飛行士の群れという群れを見物し、ひっくり返し、彼らの話し声をさかさまにすると、爆笑ものです。
彼らの血塗れの残りカスがEpmnに連れ出され、そこで炙られて、軽く焦げつき、ヒトの丸焼きのように焼き上がる様子を観られます。とっても面白いですね。
そうでしょう?
その通り。
座りなさい、子どもたち。これは良きエンターテインメントなのです。