アイテム番号: SCP-2225-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2225-JPは低脅威度物品保管ロッカーに収容してください。
SCP-2225-JP-1は発見次第保護し、調査目的以外の個体は終了してください。
説明: SCP-2225-JPは刃渡り20cmの短刀です。柄には「猫」の文字が刻まれています。SCP-2225-JPを用いて小指を切断された人間は約30分の時間をかけてイエネコ(学名:Felis silvestris catus)の幼体と酷似した存在(以下、SCP-2225-JP-1とする)に変化します。
SCP-2225-JP-1は通常のイエネコの幼体と同じ見た目をしています。しかし、脳が頭部だけではなく、骨盤付近にも存在していることが確認されています。調査の結果、この脳はSCP-2225-JP-1の活動に関与していないと考えられています。
SCP-2225-JPは指定暴力団███会で使用されていました。███会では主に裏切り者や敵対勢力の処理以外にも、構成員への見せしめを目的としてSCP-2225-JPを利用していました。しかし、多数のオブジェクトを保有していると判明したことで███会は摘発され、その際、SCP-2225-JPは他のオブジェクトとともに回収されました。SCP-2225-JPの来歴に関して、███会以前は不明です。
補遺1: 以下は███会幹部だった██氏に行われたインタビューです。██氏は財団への協力を条件に、身の安全が保障されています。
インタビュー記録2225-JP
対象: ██氏
インタビュアー: 錦博士
<録音開始>
錦博士: おはようございます、██さん。本日はよろしくお願いします。██氏: ああ。よろしく。で、今日は何の話をすればいいんだ?
錦博士: このオブジェクトに関してお話しください。
(錦博士がSCP-2225-JPの写真を見せる)
██氏: ……これか。
錦博士: ご存じですか。
██氏: もちろんだ。よく使っていた。
錦博士: 具体的な使用方法を教えていただけますか?
██氏: ヤクザ映画とかでケジメだとか言って、小指を短刀で切り落とすだろ? それと同じ要領でどっちかの手の小指を切り落とすのさ。すると、そいつは子猫になる。どんなゴリラでも、見た目はかわいい子猫ちゃんに。
錦博士: 来歴はわかりますか?
██氏: 先代の組長が知り合いからもらったって話をしていた。それ以上は知らねえ。だが、同じようなやつの話は全然聞かないから、これだけじゃないか。
錦博士: なるほど。次にあなたはどのように使っていましたか?
██氏: 敵対する組の構成員や、裏切り者、邪魔な刑事さんを処分するために使っていた。それと見せしめだな。組を裏切ったやつがどうなるか新入りに教えるための。一応、言っておくが、組のやつらには使ってないぜ。仮にも杯を交わしたんだ。極道のしきたりで守ってやらねえとな。
錦博士: わかりました。その子猫はどうしましたか?
██氏: 処理だな。子猫だから捕まえやすいし、人間じゃないから生き埋めにしても問題ない。何せ、人間の死体が見つかるよりも騒ぎは小さくて済むから丁度良かったんだ。それに、そっちの方がまだ……、慈悲深い。
錦博士: 慈悲深い? 私からすれば、殺す方が残酷と思いますが。
██氏: 敵だったやつを飼ったり売り飛ばしたりするのが慈悲深い? おいおい。あんたも悪趣味だな。……いや。もしかして、見ていないのか?
錦博士: 何を、です?
██氏: 猫になるまでの過程だ。あれを見たら嫌でもな。
錦博士: どういうものですか?
██氏: ……この話の続きはまた今度にしよう。あれは見た方が早い。見れば俺の言葉がわかるはずだ。
錦博士: わかりました。次は実験後にしましょう。今日はありがとうございました。
<録音終了>
補遺2: 以下はSCP-2225-JPをDクラス職員に使用した際の映像記録です。
実験記録2225-JP
対象: D-52361(終了予定のDクラス職員)
実施方法: D-52361を裸にし、麻酔で眠らせる。この状態で右小指を切断し、経過を観察する。
<録音開始>
00:00:00: SCP-2225-JPでD-52361の右小指を切断する。
00:01:24: D-52361の左小指が床に落下する。
00:02:36: D-52361は麻酔をしているにもかかわらず目を覚ます。苦悶表情を見せていたため麻酔を追加で投与するも、効果は確認できなかった。
00:05:11: D-52361の体が縮小を始める。
00:08:49: D-52361の手足の向きが通常とは逆の方向に向く。
00:11:57: D-52361の口から歯が抜け始める。
00:16:03: 肛門が拡大を始める。この時点でD-52361の肉体は実験開始前の半分ほどになっている。
00:18:11: 肛門を中心に猫の顔が形成され始める。また、頭部から突起が形成され始め、首は縮み始めた。
00:24:39: D-52361の肉体が30cmほどになる。この時点で、顔だった部分はカメラでは確認できないようになっている。また、猫の顔も完全に形成された。肛門は口となっており、牙も確認できる。
00:25:28: 毛が生え始める。
00:28:47: 鳴き声を出し始める。
00:32:17: この時点で歩行を始める。D-52361は完全にSCP-2225-JP-1へと変化したと考えられる。
<録音終了>
分析: 実験終了時点で身長192cm体重108kgのD-52361から生後3か月のイエネコの幼体と同程度と思われるSCP-2225-JP-1が1体発生した。減少した分の体積は全て変化の過程でエネルギーとして使用されたと考えられる。また、発生したSCP-2225-JP-1の振舞いから、D-52361の記憶は存在していないように見える。この点に関してはさらに調査するべきである。
追記1: SCP-2225-JP-1を解剖した結果、肛門の周囲には味蕾と嗅細胞が存在し、骨盤近辺には脳がもう1つ存在していることが確認されました。これらはイエネコの遺伝子ではなく、人間の遺伝子であることから、人間だった頃の名残であると考えられています。先の味蕾と嗅細胞で得られた刺激はこの脳にのみ伝えられます。加えて、この脳の活動領域を調査した結果、音や触覚も感じていると考えられています。特筆すべき点として、人間としての意識が存在していると推測もされています。
追記2: SCP-2225-JP-1が持つ人間の遺伝子は全て異なりますが、イエネコの遺伝子は全て同一です。現在財団外のSCP-2225-JP-1は確認されていませんが、その子孫と思しきイエネコは確認されています。