SCP-2230-JP
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SCP-2230-JP発生地域

特別収容プロトコル: SCP-2230-JPが発生した場合、SCP-2230-JP-A、B、Cの回収及び偽装プロトコル1「キャトルミューティレーション」が施行されます。回収されたSCP-2230-JP-A、B、Cは標準収容チャンバーに保管してください。SCP-2230-JP-Dは未収容であり捜索は現在も継続されています。追記-捜索は終了しました。

SCP-2230-JP-1と類似した内容の文書が発見された場合は回収を行い割り当てられた文書保管庫に保管してください。

説明: SCP-2230-JPは1967年から1980年の期間にわたりオレゴン州で発生した異常現象です。不定期的な動物の失踪と異常物体(SCP-2230-JP-A群と指定)の出現が確認されていました。

SCP-2230-JP-Aは動物をその構成要素に含む異常物体です。当初は自然発生した低現実領域との接触による物質混合事案の可能性が指摘されていたものの、発見地域でヒューム値の極端な変動が観測されなかったこと、全てのSCP-2230-JP-Aが何らかの機能性を有していた等の理由から、異常な手段によって製作されたと結論付けられました。

以下はSCP-2230-JP-A群の1例です。

アイテム番号: SCP-2230-JP-A-1

説明: ベル部分が除去され同じ個所に牛の頭部が取り付けられた目覚まし時計。セットした時刻になると牛頭部分から不明な男性の声で「起きろ」という音声が再生される。構造検査の結果、内部から再生機器は発見されなかった。

補遺1: SCP-2230-JP発生地域の住民へのインタビューの結果、SCP-2230-JP発生前に幾つかの事象が観測されているという共通点が確認されました。状況的にSCP-2230-JPプロセスの一部であるか関連していると考えられます。以下は殆どの証言で共通している観測された事象です。

  • 空中を不規則に飛行する発光体(レーダーは該当する飛翔体の存在を感知していないため、何らかのステルス性を保持していると考えられる)
  • 詳細不明の幻聴(失踪者が失踪直前まで同居していた人物に限定)
  • 未知の言語が記述されたプレート(構成要素の大部分が地球に存在しない物質であることが判明している)

補遺2: 地元警察に対し「連続失踪事件と関係しているかもしれない出来事を目撃した」という証言を行う人物が現れました。

対象: ジョーダン・サーブマン(Jordan Serveman) 30代イギリス人男性

インタビュアー: Agt.ケネス(保安官に偽装)

付記-対象の事前情報: アメリカには観光目的で訪れていた。本業はアーティストであり旅先で得たインスピレーションを元にオブジェなどを作りそれらを売ることで生計を立てている。


<録音開始>

インタビュアー: 早速ですが目撃した出来事についてお話頂けますか?

対象: 勿論です。しかし、実は今でも自分の見たものが本当に起きた出来事なのか半信半疑でして……それほど信じがたい光景だったのです。どうか笑わないでくださいね。

インタビュアー: 事件解決の為に今は1つでも多くの手掛かりが必要です。それに、どれほど荒唐無稽に見える出来事にもそこには必ず真実の欠片が含まれていて、それらをつなぎ合わせるのが我々の仕事です。どうか安心してお話しください。

対象: 解りました。では……私が体験した、目の覚めるような出来事についてお話します。

対象: あの日は朝から宿の近くの見晴らしの良い丘を散歩しつつ風景を目に焼き付けていました。町から一歩踏み出せば気持ちの良い風が地平線の向こうまで続く草原を吹き抜けていく様を直に見れるのです。そうしているうちに気が付けば辺りは真っ暗になっていて、慌てて宿への道を引き返しはじめました。その途中で突然流れ星のような光が空に見えたんですが、落ちて見えなくなったはずの光が空をジグザグに動き回って、私に迫ってきたと思ったら次の瞬間には大きな何かが頭の上を飛び去って行きました。

対象: 私は光を追って走り、何かが動きを止めたところでその正体を目にしました。あれ自身が発していた光の中に浮かび上がったのは空飛ぶ円盤、テレビで報道されていたUFOそのものでした。UFOの下には男がいましたが、彼はUFOから伸びている光の柱の中に閉じ込められていました。もがく彼をUFOは吸い込み、空の彼方に飛び去って行ったんです。その後のことはよく覚えていません。気が付いた時には宿のベッドで出掛けた時の姿のまま横になっていて、起きてからそのままの足でここに来ました。

インタビュアー: なるほど、ありがとうございます。UFOが男性を攫った具体的な場所についてお話しいただけますか?

対象: すみません、何分辺りがとても暗かったもので……ハーニー郡バーンズのホテルに泊まっているので、町の周りの何処かだとは思うのですが……。

インタビュアー: 解りました。捜査にご協力いただきありがとうございます。

対象: お役に立てれば光栄です。

<録音終了>


終了報告書: バーンズでの聞き込み調査の結果、発光体の目撃情報が複数取得されました。

この時点までに判明していた情報を統合した結果、当時のSCP-2230-JP研究チームはSCP-2230-JPの発生原因を地球外生命体にあると結論付け、その方面を重視した調査及び研究が進められました。

補遺3: プレートに記された言語の解読について

地球外生命体との交流2によって得られた知識を用いることで、SCP-2230-JP発生以前に出現するプレートに記述されている言語の解読が完了しました。

以下はプレートに記されていた文言(翻訳済み)です。

家畜/ペットが狙われています。気を付けて。私たちは直接干渉できない。法律によって。

この情報によってSCP-2230-JP研究チームは方針転換を議論することとなり、情報の再精査によって「地元住民の証言の内、UFO目撃情報は散見されたものの、人間が誘拐される現場を目撃したという証言を行ったのはジョーダン・サーブマン氏のみであること」が判明しました。この結果を受けサーブマン氏の捜索が行われたものの、氏の行方を突き止める試みは成果を上げていません。

補遺3: 1980年█月█日、「UFOから奇妙な物が降りてきた」という警察への通報を傍受した財団は偽装した職員を現地へ派遣し調査を行いました。調査の結果、以下の異常物体(SCP-2230-JP-Bと指定)と発光体の目撃情報を取得しました。

アイテム番号: SCP-2230-JP-B

説明: 地球外生命体を構成要素に含む機械構造。不明な動力によって稼働しており、組み込まれている生命体の1方が苦痛を感じるともう1方が快楽を感じるように電流が送られる仕組みになっている。コミュニケーションの試みは成果を上げておらず、機械構造自体が生命維持装置の機能を有していることが判明したため除去の試みは見送られている。

以降30年間SCP-2230-JP発生が観測されていないためSCP-2230-JPのNeutralizedクラスへの再分類が行われました。サーブマン氏の行方は依然として不明です。

補遺4: 2019年8月5日、人間を構成要素に含む異常物体(SCP-2230-JP-Cと指定)がオレゴン州シルヴィーズ・バレー牧場で発見されました。発見されたSCP-2230-JP-Cの全個体に以下の内容が記述された紙片がピン止めされていました。

目覚めは近い

Euclidクラスへの再分類が行われました。

補遺5: オレゴン州██████のカルト教団「黒き女神のカルト3」の複数の拠点に対する襲撃作戦の際にSCP-2230-JPに関連していると思わしき儀式手順が記された資料群(SCP-2230-JP-1と指定)が発見されました。

SCP-2230-JP-1には精神影響作用が存在し、閲覧者の倫理観を低下させます。捕縛した構成員はその殆どが精神影響に曝露していることが明らかになりました。精神影響作用は記憶処理によって除去可能です。

以下は儀式に関する判明した情報です。

第一段階: 蹄を持つ動物を使用した芸術品██点の創造

第二段階: 地球外生命体を使用した芸術品1点の創造

第三段階: 人間を使用した芸術品█点の創造

第四段階: 第二段階の副次現象として顕現する異常存在4(SCP-2230-JP-Dと指定)を使用した芸術品1点の創造

最終段階: [レベル4機密指定]


儀式手順には神格存在及び霊素生命体との交信に使用される手順が組み込まれています。

複数回の襲撃作戦によって、オレゴン州に存在する黒き女神のカルト構成員98%以上の捕縛を完了したものの、第四段階に該当する異常存在は発見されていません。また、教団幹部及び教祖は儀式の実行に関して無関係であると主張しています。

異常存在が未収容状態であり、儀式完遂時に発生する現象及び付随する被害によってLK-クラス:捲られたヴェールシナリオが高確率で発生するとのシミュレーション結果を理由としたKeterクラスへの再分類が行われました。

補遺6: イギリス███州███にジョーダン・サーブマン名義の住宅が発見され調査が行われました。回収された絵画、彫刻、小説、日記は異常性を示していませんが、SCP-2230-JP-1と部分的に一致する内容の書籍が1冊回収されました。また、全ての芸術作品は1人の女性を一貫したテーマとして採用しています。容姿から推測される女性のモデルはジョーダン・サーブマンの妻であった故ジョーダン・エルミです。

ジョーダン・サーブマンはPoI-1205に指定されました。

回収された日記の抜粋

3/12 妻が死んでから私の時間は止まったままだ。もはや何をする気も起きない。彼女のいない世界をいくら見つめたところで、何も閃きはしない。

3/20 殆ど食事をとっていないせいか、幻が見えるようになった。長い黒髪の女性だ。後ろ姿しか見えていないが、背丈に見おぼえがある。

4/1 彼女の顔を見た。妻とうり二つだった。私の幻覚なのだから当たり前だ。妻と出会ってから、他の女性に心動かされたことなど無い。

4/11 幻覚が話しかけてきた。曰く、自分をモデルに何か作れば気が晴れるかもしれない、と。他にやりたいことも無いのだから、やってみても良いかもしれない。

4/21 彼女に出来上がった作品を見せると、昔のような笑顔を見せてくれた。気が付けば涙があふれていた。もっと笑顔が見たい。

4/23 作品の材料と食料を買うついでに寄った古本屋で気になる本を見つけた。黒魔術に関する本のようだが、表紙は裏表真っ黒で、来歴やタイトルは店主も知らないのだと言う──詳しく話を聞くと彼の先代から譲り受けたらしい。余りにも安かったのと、彼女が本を読んでいる構図を描きたくなったから買うことにした。

4/30 休憩ついでに買って来た本を読むことにした。幻覚は私の知っている事しか話さない。大半は面白みに欠ける血生臭い儀式や呪文のことが記されていたが、あるページは眼を引いた。「[判読不能]を現世に呼び戻す方法」何を呼び戻すのかは読めなかったが、こういうものは大体の場合、死者かその魂だ。

5/2 彼女に私がやろうとしていることを話すと、とても喜んでいた。当たり前だ。あの本に書かれていた儀式の内容はとても興味深かった。宇宙人の生贄が必要な黒魔術の儀式なんて聞いたことも無い。だからこそ、私は信じることにした。

6/10 地元で材料集めをすれば確実に足が付く。それに、私の暮らしている国ではあまりUFOや地球外生命体の話は聞かない。妖精の正体が宇宙人ということは無いらしい。どこで材料を調達すべきだろうか。

6/20 彼女が教えてくれた、アメリカに宇宙人が来ると。最近の彼女は私の知らないことを話してくれるようになった。余所者の土地なら足も付きにくいだろう。しかし、儀式の実行は確実な人殺しを意味する。私は分からない、幻覚で十分なのではないか?

6/21 彼女は言った「私とあなたは余りにも遠く離れてしまっている。あなたが呼んでくれさえすれば、すぐにでも目を覚ましてあなたに会いに行けるのに」幻覚が私の望みを話すならば、それに身を任せよう。彼女を呼び起こすためにアメリカへ行く。

補遺7: オレゴン州███で発見された不審な地下構造物を調査した結果、PoI-1205の拠点であることが判明しました。拠点内で発見された物品については調査報告書2230-JPを参照してください。

以下は拠点内で発見されたPoI-1205と調査に派遣されたAgt.ケネスによるインタビュー記録です。

回答者: PoI-1205

質問者: Agt.ケネス

前書: 発見時PoI-1205は衰弱状態であり、報告を受けて派遣された医療班が到着する以前に死亡しました。また、PoI-1205が発見された部屋内部は著しい破壊の痕跡が残されていました。


Agt.ケネス: 応急手当は済ませました。さて、ここで何があったのかお話しいただけますか?

PoI-1205: ああ、構わない。しかし……全てを語るには私に残された時間は余りにも短すぎる。

Agr.ケネス: 貴方の衰弱の原因をお話しください。

PoI-1205: 神の怒りだよ。私は、途中で辞めたのさ。儀式を。

Agr.ケネス: どのような理由で辞めたのですか?

PoI-1205: 彼女に引き留められたんだ。

Agt.ケネス: もう少し具体的にお願いします。

PoI-1205: 解った。あれは儀式の最終段階だったと思う。私の前に現れた御子を使って作品を作り終え、それを祭壇に捧げれば儀式が完了するというところまで来て、幻聴が聞こえ始めたんだ。

PoI-1205: 聞こえる声は明らかに妻の声で、でも私の側にいる彼女が喋っていない時にも幻聴は聞こえた。そのことを話すと、幻覚の彼女は完成した作品を早く祭壇に捧げるよう迫った。彼女の気迫に押されて、私は祭壇に作品を捧げようとしたのだが、その時に妻の声でハッキリと聞こえた。「ダメ!」と、私を制止する声が。

PoI-1205: 私は戸惑い、後ろに居るはずの彼女に質問しようとしたが、そこに居たのは最早私の知る彼女では無かった。[表現災害を含むため検閲済み]。そういうわけで、辛うじて人の形をした何かが、妻の顔をした化け物が私を睨みつけていたんだ。

PoI-1205: だがその怪物の声は未だに妻のそれで、私に語り掛けてきた。「祭壇に捧げなさい」「私を呼びなさい」「貴女が起こすのです」その声を聞くと手足の力が抜け、意識が朦朧とした。言われるがままに祭壇に作品を置こうとすると、何かが私の手を強くつかんで止めた。

PoI-1205: 妻の声がまた聞こえた。「アレは私じゃないの。どうかお願いだから、そんなことをしないで。私を信じて」それを聞くと意識が鮮明になり、祭壇に作品を捧げるよう迫る声は最早妻のそれとは別物になっていた。アレは、肉の蒸発するような音を発していた。

PoI-1205: 完全に原型を留めていない黒く煮えたぎる怪物は私に向かってゆっくりと近づいてきた。後ずさりしていると祭壇にぶつかってしまい、それ以上下がることが出来なくなった。目の前に怪物が来た時、妻の声が聞こえた。「叩きつけて!」私はその通りにした。

PoI-1205: 作品を叩きつけると同時に、腹の辺りに強烈な痛みと熱を感じて、気を失った。そうして君に起こされたというわけだ。

Agt.ケネス ……解りました。その他に特徴的な出来事はありましたか?

PoI-1205: [吐血する]はあ、そうだな。ああ、そういえば、気を失う直前に、彼女が言っていたな。

Agt.ケネス: 何と言っていましたか?

PoI-1205: [不明な呟き]

[呟きの直後にPoI-1205は意識を失ったように見える]

Agt.ケネス: PoI-1205、応答してください。[Agt.ケネスはPoI-1205を揺さぶる。無反応]PoI-1205[無反応]、インタビューを終了します。


備考: 室内から回収された物品の中にSCP-2230-JP-1で描写されているSCP-2230-JP-Dと一致する外見的特徴を示す破片群が存在しました。回収された破片群はあらゆる刺激に対して反応を示さず、生体反応が確認されなかったことからNeutralizedクラスに分類されました。

PoI-1205の死亡後SCP-2230-JPの再発生が確認されず、財団によるSCP-2230-JP-1の再現実験では異常現象の発生が観測されなかったこと、SCP-2230-JP-1の精神影響作用が消失していたことからSCP-2230-JP、SCP-2230-JP-1はNeutralizedクラスに再分類されました。

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