SCP-2236-JP
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アイテム番号: SCP-2236-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2236-JPは現在エリア-81██にて常時監視体制の上で限定的なEクラス職員として雇用されています。SCP-2236-JPのエリア-81██外への移動は原則として禁止され、必要な場合は管理官他3名以上の許可を必要とします。SCP-2236-JPの富士山登山及び海洋への移動は完全に禁止されています。

説明: SCP-2236-JPは、20██/██/██時点で26歳の日本人女性である松寄 ██氏です。

SCP-2236-JPの異常性は日本国における山梨県から移動できないことにあります。この"山梨県"の範囲は国土地理院の刊行する地図と大まかに一致していることが確認されています。

SCP-2236-JPが山梨県境を越境し、他県への移動を試みた場合、自然災害や機器の故障、親族の急逝などのイベントにより行動が制限されます。この異常性により、SCP-2236-JPを強硬的に移送する試みは財団職員及び機器の損耗を引き起こす可能性が推測されるため停止されています。

このイベントを無視して徒歩等の外的要因が発生しづらい方法で移動した場合、山梨県境に接近するに応じてSCP-2236-JPは自身の移動方向に不明な障壁が発生していると主張します。この障壁は同行する人員には確認されずSCP-2236-JPのみに生じているものであると推測されます。SCP-2236-JPの証言から障壁は繊維質の物体であり、高い熱を帯びているとされます。

障壁が発生したと証言する状態で移動を強行した場合、SCP-2236-JPの表皮に熱傷と類似した外傷が発生します。外傷は県境に接近するごとに悪化するため、財団研究下における接近地点は県境からおよそ1kmの地点で中断されています。

SCP-2236-JPの異常性は生後間もなくから発生していたと推測されますが、両親に同様の異常性は存在せず、親族や血縁者にも確認されていません。

インシデントレポート2236-JP-01 - 日付 20██/██/██

20██/██/██、SCP-2236-JPの初期収容態勢における移送中、不明な集団(以下、集団)の襲撃を受けSCP-2236-JPが拉致されました。インシデント後の調査から集団はGoI-2722"鉄錆の果実教団"及びGoI-834"無尽月導衆"の混成部隊であったことが確認されています。

インシデント発生から27時間後、集団が山梨県の北口本宮冨士浅間神社から吉田口登山道へ向かい、そのまま閉山期間中の富士山登山を開始したことが確認され、近隣のエージェントが確保のため派遣されました。集団は派遣されたエージェントチームによって富士山六合目付近で一旦捕捉されましたが、一部構成員が囮となることで強硬な突破を許し、確保には至りませんでした。その際、SCP-2236-JPは拘束されているものの、該当地点では発生しているはずの障壁の存在を訴えておらず、拘束している構成員も問題なく移動可能であったことが確認されています。また、確認された"六根清浄"の掛け声やSCP-2236-JPが拘束されていたと推測される祭壇の存在から、集団は民衆信仰における富士講1と同様の宗教的行為を実践しようとしていたと推測されます。

エージェントチームの作戦失敗を受け、臨時部隊の招集が決定され、突破した集団に対する追跡が試みられましたが、集団が七合目を超えた時点で部隊の移動方向に不明な障壁が発生したことにより追跡は失敗しました。この際発生した障壁はSCP-2236-JPの証言した障壁と類似することに留意してください。

また、これ以降インシデント終了時点まで国土地理院刊行の地図を始めとした日本地図において本来存在しない富士山山頂付近の山梨-静岡県境が記載される改変現象が発生したことに留意してください。

約30分後、富士山全体において非常に高いアキヴァ放射が約0.02秒観測されました。この際富士山観測カメラ等は一切の知覚可能な異常を観測していませんでしたが、目視していた職員への調査及びインシデント後の市井調査において"富士山が噴火したように見えた"、"富士山の位相自体にズレがあった"、"富士山の厚みが消えホログラムのように見えた"、"富士山全体が桜色に染まった"などの証言が確認されています。

放射確認後、障壁が消滅したことを受け、富士山頂上付近の調査が行われました。その結果、SCP-2236-JPはインシデント終了後、富士宮口近辺で発見、保護されました。回収されたSCP-2236-JPに形質的な異常は確認されませんが、該当事案の記憶を喪失しています。また、浅間大社奥宮付近にて複数名のGoI-2722構成員が死傷していることが確認されました。これを以って当インシデントの終了が宣言されました。

死亡した構成員は体の一部がバラ科の植物と融合する形で死亡しており、生存していた構成員も体の一部が置換されていました。これらの死亡した構成員の中にGoI-834構成員は確認されず、後述のインタビューも含め、当該インシデントに対し何らかの知識を持っていると推測されています。

以下は生存していたGoI-2722構成員に対する聞き取り調査です。

音声記録2236-JP-01 - 日付 20██/██/██

担当者: 楠木博士

対象: 阿蘇 ██氏 (GoI-2722"鉄錆の果実教団"構成員。脚部がヤマザクラに置換されている)

«再生開始»

[事実確認のため省略]

楠木博士: あなたの団体はSCP-2236-JPを拉致して何を行おうとしていたのですか?

阿蘇氏: それを聞かれると、正直なところ困るんですよね

楠木博士: 困る、とは?

阿蘇氏: いや、単純に富士山山頂の静岡と山梨の境目をハッキリさせようとしただけなんで……

楠木博士: 富士山山頂の県境を明確にしようとしたということですね。それはあなた方に何かメリットがあるのでしょうか?

阿蘇氏: メリットというか、富士山山頂に県境がないってのは、要するに富士山が霊地だからですよね? そんなとこの県境がハッキリしたってなれば、かなり世間的にもそういう界隈的にも話題性があるじゃないですか。ほら、最近教団が落ち目だってのは私でも分かりますし。新規の会員は減っていってるし、それぞれの地区も活動できてないって言い始めたとこもあるとかですし。私自身も2世ですから、正直教義とか御神木とか本心から信じてるかと言われると、ね。まあ、今回の件で上の人がほとんど木になっちゃったってことですし、少なくともうちの地区はもうダメかなあ。ここって身体の安全は保障してくれますよね?

楠木博士: それに関しては協力次第であるとだけ。……つまりもう一度権威を取り戻そう、ということでしょうか?

阿蘇氏: そういうことになりますかね

楠木博士: 理由については理解しました。では、なぜ無尽月導衆に協力の依頼を? そして何故彼らはあなた方に協力したのでしょうか

阿蘇氏: 協力ってのは違いますよ、そもそもあの忍者たちがこっちに話を持ち掛けてきたんです。聞いた話ですけどね

楠木博士: 無尽月導衆の方から持ち掛けてきた、と

阿蘇氏: そうですそうです、詳しいことは死んじゃった上の人が知ってるんでしょうけど、あっちの方からこういう奴がいるからそれを利用してみてはどうか、と。情報提供と人員を出すからこっちの技術も欲しいってことだったって聞いてます。業務提携みたいなもんですかね。なんか神社の禰宜ってんですかね? そういう人との渡りをつけてくれたのもあの忍者って話で

楠木博士: 無尽月導衆の目的が本当にあなた方に語ったものだったとお考えですか?

阿蘇氏: 分かりませんね。ただ、途中で忍者と話す機会があって、そのときに軽く聞いたのは、忍者たちにとってこの富士山ってのはわりと強い意味があるんですって。どうも富士講? それの開祖が何かしら関係してるらしいってことでした。もしかしたら修験道関係かなとは思いましたけど詳しい話は出ませんでしたね。こうなってみりゃそりゃそうだって感じですけど

楠木博士: ありがとうございます。では、私たちがあなた方を見失った後、何が起こったのかを教えていただけますか?

阿蘇氏: 記憶が曖昧なんですけどね……、私が覚えている限りは、何とか待ち伏せを抜けて忍者たちが八合目に到着したと叫んだんですよ。それが合図だったのか分かりませんけど、女を背負っていた忍者が一気に頂上まで走っていったんです。驚きましたけどね、やっぱり山なんか上ったことないからこっちはバテバテで。で、気が付いたら周りに忍者がいない、嫌な予感がしてたら頂上の方から何かがすごい勢いで流れ込んでたんですよ

楠木博士: どういったものが流れてきたのでしょうか

阿蘇氏: 説明はしづらいんですよね。報道とかで見る火砕流のような気もしますけど、多分実体はなかったんじゃないかな。色は黒とピンクの中間くらいで……、なんかめっちゃ怒ってる感じがしましたね

楠木博士: 怒っている、ですか

阿蘇氏: 個人的な感想ですけどね。拳骨の嵐というか、すごい暴力的な一方的な何かだったように感じました。私は本気でビビッて、動けなかったのが良かったのか、脚を持っていかれるくらいで済んだみたいなんですよ。他の人は逃げようとして転んだところを飲み込まれてたんで。うーん、呑み込まれるってイメージがあるならやっぱり火山の噴火か何かが想起されてるのかな……? ただ、そのあと一気に山頂まで引っ張られたんですよね。最初の一撃よりそっちの方が……、怖かったなあ

楠木博士: 恐怖を感じたのですか?

阿蘇氏: ええ、自分が死ぬんじゃないかって怖さは最初の一撃なんですけど、そのあと引きずられて、火口がどんどん見えてきたときに……、どう表現したらいいのか分からない、何かとても大切なものが変わってしまうような。足元がグズグズに崩れるような、そんな、そんな

楠木博士: 無理をして話す必要はありませんよ

阿蘇氏: いや、無理をするというよりも。……あの、ホントに今ここは私がいた場所ですよね? 何かがどこかズレてる気がしてならないんですよ。右手が左手に変わってるような、絶対に変わってはいけない何かが狂ってるような。そんな怖さがずっと付きまとってるんです。ねえ、私たちって一体、何をしようとしてたんですかね? それが分からないのも嫌なんですよ。あの忍者、何がしたかったんですか?

«再生停止»

この調査を受け、当該事案はGoI-2722を利用する形でGoI-834が主導、決行したものであると推測されます。また、GoI-834が関与したと推測される北口本宮冨士浅間神社及び富士山本宮浅間大社への調査が行われましたが、関係者は関与を否定し、GoI-834の存在自体を把握していないことが判明しています。ここからGoI-834は富士信仰を中心とする何らかの異常コミュニティにコネクションを持つ可能性が示唆されています。

補遺: インシデント後、SCP-2236-JPの異常性における対象が山梨県から静岡県に変化していることが確認されています。海洋に対する異常性の有効範囲を探る実験は該当事案と同様の事態を引き起こす危険性が指摘され、凍結されています。

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