SCP-2244-JP
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SCP-2244-JP-1

アイテム番号: SCP-2244-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 一般人による██市立北中学校の旧校舎内への立ち入りを禁止してください。██市立北中学校の旧校舎の周囲をセンサー付きのフェンスで覆い、██市立北中学校の用務員に財団職員を派遣して24時間体制で監視し侵入者を排除してください。

説明: SCP-2244-JPは██市立北中学校の旧校舎内の3階男子トイレの個室(SCP-2244-JP-1に指定)内で確認されるクラスA霊体です。SCP-2244-JPは死亡時の外見的特徴を有していると推定されており、全身に重度の火傷を負った状態で出現します。

SCP-2244-JPは人間がSCP-2244-JP-1に侵入し、火気を起こした際に実体化します。SCP-2244-JPは大便器のフラッシュバルブに腰かけ、大便器に屈むような体勢を取ります。大便器への給水は停止されていますが、SCP-2244-JPから流れる体液1により大便器内は液体で満たされた状態となっています。

対象はSCP-2244-JPの出現時に精神影響を受けます。対象は自身が起こした火気が爆発的に燃え広がり、自身の頭部に燃え移ったと認識します2。対象は苦痛を訴え、あらゆる手段で火を消そうと試みます3。この精神影響を除去する手段は存在しませんが、SCP-2244-JPの体液に浸している間は一時的に火が消えたと認識されるようになります。対象は火から逃れるため大便器内に溜まった体液に顔を埋めるようになり、最終的にSCP-2244-JPの体液による窒息で死亡します。

SCP-2244-JPは、██市立北中学校の生徒が旧校舎内で肝試しを行い、トイレ内で変死体となり発見されたことをきっかけに財団に捕捉されました。その後の財団の調査により、SCP-2244-JPは埼玉県██市に在住していた河合和也氏(享年34歳)が霊体として出現したものと推定されています。河合氏は中学2年生4の頃に同級生からいじめを受けてうつ病となり、自室から出ない生活を続けていました。河合氏は2021/██/██に自宅で発生した火災5により死亡しています。

SCP-2244-JPは一般的な霊体と比較した際に物質的な性質が強く、死亡時の形態に近い形を取っている事から、異常性が生前の感情6に影響を受けていると考えられています。異常性の解析のため、河合氏の関係者を中心にその動機について調査が進められています。


インタビューログ2244-JP-A

本インタビューは、SCP-2244-JPとの関連性を疑われている河合和也氏の母親に対して行われたものです。

Agt.姚: 和也さんがどのようないじめを受けていたのか教えて頂けないでしょうか。

河合氏の母親: いじめの内容は教えてもらえませんでしたが、怪我らしい怪我は無かったですね。

Agt.姚: なるほど。いじめを受けた相手を恨んでいる様子はありましたか?

河合氏の母親: はい、何度かいじめた相手を罵倒しながら壁を殴っている所を見ました。これはあの子の部屋にあった卒業アルバムです。

[中学校の卒業アルバム内の一部人物の顔と名前が黒く塗りつぶされており、罵倒や呪いの言葉で埋め尽くされている]

Agt.姚: 和也さんはいじめた相手だけでなく、自分の顔写真も塗りつぶしていたのですか?

河合氏の母親: そうなんです。前に「色々やりたい事があったのに、外に出るのが怖い。何も出来ない自分が嫌だ」って言って泣いていた事がありました。

Agt.姚: 変わりたいと言う気持ちはあったんですね。

河合氏の母親: そうなんです、あの子は本気で変わろうとしていたんです。何か助けになればと思ってこの名刺の方に協力をお願いしました。

[名刺にはNPO法人社会復帰支援████ 代表者 黒滝信二と書かれている]

河合氏の母親: 実績のある所らしいですし、代表者があの子と同年代で頑張っていたのでお任せしようと思いまして。

Agt.姚: カウンセリングは上手くいったのですか?

河合氏の母親: 順調でした。あの子が部屋に人を入れたのは黒滝さんが初めてです。ですが、これからと言う時に[10秒間の沈黙]

Agt.姚: 火災でお亡くなりに、と言う事ですか。

河合氏の母親: はい。

Agt.姚: では最後に、ショッキングな内容となりますが、こちらの写真見て頂けないでしょうか。

[Agt.姚は鞄からSCP-2244-JPを撮影した写真と異常性の性質を簡単にまとめた文章を渡し、河合氏の母親に渡した]

河合氏の母親: かずちゃん7!?この写真、火事の時の写真とは別ですよね。何ですかこれは?

Agt.姚: 和也さんが亡くなられた後に撮影された、いわゆる心霊写真です。和也さんに似ていると思いませんか?

河合氏の母親: はい、見れば分かります。霊と言う事は何か心残りがあったのでしょうか。

Agt.姚: 恨みなどのネガティブな感情の可能性が高いと考えています。何か分かる事があれば教えて頂けないでしょうか。不明な点は可能な範囲でお答えします。

河合氏の母親: この霊が出た場所を教えて頂けますか。

Agt.姚: 和也さんが通っていた██市立北中学校の、旧校舎3階の男子トイレ個室ですね。この場所からは動いていないようです。

河合氏の母親: ウチの子は何も出来ないって言いたいんですか。

Agt.姚: どういう意味ですか?

河合氏の母親: 和也はこんな子じゃありません!良く調べてください!

(河合氏の母親がこれ以後の対話を拒否したため、インタビューを終了した)


インタビューログ2244-JP-B

本インタビューは、河合氏への引きこもり支援を行っていた黒滝信二氏に対して行ったものです。

Agt.姚: 黒滝さんは和也さんにカウンセリングを行っていたそうですが、和也さんはどのような方でしたか。

黒滝氏: このままではいけないと言う気持ちの一方で、外に出る事への恐怖を持っていましたね。それから、長年外出していないためか考え方や精神面に幼稚な所がありました。最初の内は全然心を開いてもらえませんでしたが、色々と彼の事情を聞くことが出来るようになりましたね。

Agt.姚: 彼の事情と言うのはどう言った内容でしょうか。

黒滝氏: 実はその、彼が引きこもる原因を作ったのが私と言う事が分かりまして。私が中学生で不良だった頃、ちょくちょく彼をたまり場に呼び出していじめていたようです。こう、顔にタバコの火を近づけたりとかですね。

Agt.姚: いじめた相手の事を覚えていなかったのですか?

黒滝氏: 特別彼を意識してターゲットにしていなかったのと、大きい怪我はさせていないのでよく覚えていなかったんですよ。

Agt.姚: よくお互い気付きませんでしたね。

黒滝氏: 20年も昔の話ですからね。私も昔は荒れていましたが色んな人の支えがあって更生しましたし、結婚して苗字も変わりました。あの頃の面影なんて残ってないですよ。

Agt.姚: 和也さんに対して申し訳ないと思った事はありませんか。

黒滝氏: まあ、彼もだいぶ繊細な所があったとは思いますが、私が傷つけてしまった事に変わりはありませんので申し訳ないと思っています。

Agt.姚: 謝罪はしましたか。

黒滝氏: はい。先ほどの話のような形で、そんなに傷付けていたとは思わなかった、申し訳ないと伝えました。過去に囚われ続けても仕方ないですし、立ち直っていけるよう、全身全霊でサポートしていくのでどうか許してもらえないかと言いましたね。

Agt.姚: 和也さんは謝罪に対してどう反応していましたか?

黒滝氏: 何度も謝っている内に分かった、とだけ。その少し後に火災で亡くなったと言う連絡が来まして。本当に残念です。

Agt.姚: そうでしたか。では最後にこちらの写真を見て頂きたいのですが。

[Agt.姚は鞄からSCP-2244-JPを撮影した写真と異常性の性質を簡単にまとめた文章を渡し、黒滝氏に手渡した]

Agt.姚: こちらは黒滝さんが通っていた中学校の校舎のトイレで撮影された危険な悪霊です。何か見覚えはありますか。

黒滝氏: 酷い火傷の男性と、私が昔たまり場にしていたトイレですね。

Agt.姚: この火傷の男性、和也さんに似ているとは思いませんか?

黒滝氏: 言われてみるとそう言う気もしますが、火傷が酷くて判断付かないですね。と言うより、亡くなった彼を危険な悪霊扱いするのは失礼でしょう。

Agt.姚: 和也さんから恨まれていたと言う話ですし、あり得ない話ではないと思いますが。

黒滝氏: 私は別人だと思いますね。仮に彼の霊だとしても私への恨みとは思えません。彼には許してもらえましたし。

Agt.姚: そうは言いますが、それが本心かは分からないですよね。

黒滝氏: だとしても、私への恨みが原因なら私が行きそうな所に出ますよね。例えば名刺だって渡してますし、私が行きそうな所なんて少し考えればいくらでもあるじゃないですか。

Agt.姚: まあ、それはそうですが。

黒滝氏: 常識的に考えれば分かるでしょう。子供じゃないんですから。


再調査の報告

2名のインタビューを受け、SCP-2244-JPの再調査が行われました。従来の調査結果からの変更点はなく、SCP-2244-JPは河合和也氏の霊体として結論付けられました。

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