アイテム番号: SCP-2247
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2247はサイト-17の、防音壁を備えた改良済のヒト型生物収容室に収容されます。収容室の外にいる時のSCP-2247には口枷をはめます。SCP-2247と接する職員には、ノイズキャンセリング・ヘッドホンの着用と、(好ましくは)スペイン語を余り/全く理解していないことが求められます。
SCP-2247へのインタビューはスペイン語を話せるDクラス職員を経由して行われます。SCP-2247が関与するインタビューの音声録音には、レベル1-4/2247のセキュリティクリアランスを持つ職員のみがアクセスできます。アストラハン・プロトコルに則り、O5評議会のメンバーはSCP-2247の声の録音にアクセスすることが禁じられます。代わりとして、発言内容の転写へのアクセスが認可されています。
説明: SCP-2247は明るい色の肌をした成人男性です。身長・体重はそれぞれ1.83mと75kgです。SCP-2247はスペイン語を話すことが可能ですが、スペイン語の書き言葉は理解できません。MRIスキャンでブローカ野に損傷は無いことが示されています。SCP-2247の左大腿部には、製薬会社のアボット・ラボラトリーズによって製造された製品のシリアルナンバーと一致するバーコード型の痣が刻印されています。
SCP-2247の生理機能は異常性のないヒトと一致します。SCP-2247から摘出された生物学的素材は、本体から少なくとも3分間連続的に引き離された場合、元々抽出された素材と等しい質量を有する以下の物質に変換されます。
生物学的素材 |
変換後の物質 |
頭部から抽出した髪と皮膚 |
ポリプロピレン |
身体・首・手足から抽出した毛・爪・皮膚 |
ポリエチレン |
体液と皮下組織(筋肉など) |
チオペンタールナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物からなる溶液 |
注目すべき点として、体液サンプルをSCP-2247の頭部から抽出した場合、変換を受ける溶液の量は身体の他の部位から採取した場合よりも一貫して少なくなります。一度変換された物質をSCP-2247に再導入しても、逆転は起こりません。
SCP-2247の口頭のコミュニケーションは疑問文に限られています。財団が知る限り、SCP-2247は質疑形式以外の言葉を発声する様子が観察されていません。SCP-2247の発声を知覚・理解した人物(以下、“対象者”とする)は、SCP-2247の質問に影響を受け、問題の話題に関する対象者の事実的知識および/または誠実な意見に基づいた答えを返すことを強いられます。
SCP-2247は1985/██/██、ブエノスアイレスにあるアルゼンチン国立図書館の外部にて、近隣の財団施設へ向かう道を民間人に尋ねている様子が目撃されたことをきっかけに回収されました。セキュリティ違反疑惑に対応し、機動部隊アルファ-7(“セキュリティ・ブランケット”)がSCP-2247を捕獲するために派遣されました。
SCP-2247は、自身の異常性質を用いてMTF A-7隊員が財団に所属していることを確認した後、問題なく降伏しました。対象は後日、医療検査で異常な特徴が検出された時点でSCP-2247に指定されました。地元のメディアチャンネルを通じて、SCP-2247は精神科病棟から逃走した患者であったとするカバーストーリーが流布されました。
補遺2247-1: アルゼンチン政府から回収された記録は、1978年から1982年にかけて、SCP-2247と同一の身体的および異常的特徴を有する人物が投獄されていたことを示しています。対象は、ブエノスアイレスの海軍技術士官養成高等学校(ESMA)の薬品庫へ侵入した罪で起訴されていました。SCP-2247がESMAへ侵入した手段は不明です。
SCP-2247の逮捕後に行われた在庫品調べで、チオペンタールナトリウムと炭酸ナトリウムの溶液が入った500mg容量のガラス瓶が1本紛失していることが確認されています — 瓶の行方は不明のままです。
獄中生活を送る中で、SCP-2247はESMAに拘留されていた囚人からの自白の聞きだしを支援していたことが判明しています。SCP-2247は1982/██/██、正体不明の侵入者2名に付き添われて独房から姿を消しました。
補遺2247-2: SCP-2247が関与するインタビューの抜粋
回答者: SCP-2247
質問者: エージェント ペドロ・デ・スーザ
序: このインタビューはSCP-2247の正体および目的の特定を意図したものであり、元々はスペイン語で実施された。まだ対象の異常特性が理解されていなかったため、非Dクラス職員が質問役を務めている。
<記録開始>
エージェント デ・スーザ: 記録のために、まずは君の名前を述べてもらえるかな?
SCP-2247: 代わりにあなたの名前と地位を教えてもらえますか?
エージェント デ・スーザ: ペドロ・デ・スーザだ。機動部隊エージェントであり—
[エージェント デ・スーザは部屋を退出する。SCP-2247は尋問室を見渡す。]
SCP-2247: 看守さんジェイラー、このデモンストレーションはお気に召しましたか? 私はオーディションに合格しますか? あなたたちはこれを何処から見ているのですか?
<記録終了>
結: インタビューは機密情報漏洩の可能性があるため中止された。SCP-2247の異常効果を踏まえ、機密情報漏洩を最小限に絞るために、Dクラス職員のみが交流を認可されるべきと提案されている。SCP-2247の発言は疑問文に限定されていると思われる。これが故意か、本質的に不随意的かを断定する必要あり。SCP-2247は自分が財団の従業員候補だと思い込んでいるように見受けられる。
回答者: SCP-2247
質問者: D-2214
序: Dクラス職員を介して行われた最初のSCP-2247インタビュー。D-2214は過去に████████で尋問官を務めていた経歴ゆえに抜擢された。D-2214はインタビュー前にSCP-2247の異常性質に関して説明を受けている。インタビューはSCP-2247との安全な相互作用の手段を特定することを目的として、スペイン語で実施された。
<記録開始>
D-2214: こんにちは。君が2247かな?
SCP-2247: あなたたちは私をそう呼んでいるのですか?
D-2214: ああ。エージェントからはそう聞いているよ。
SCP-2247: エージェントの皆さんはオーディションが気に入っていましたか? 私は雇ってもらえますか?
D-2214: 私はオーディションのことや、君が何かのために雇われることに関しては何も聞かされていない。 [沈黙] だが頼む、順番を無視して話さないでくれるか。私は君についてもっと知るために来たんだ。
SCP-2247: 何故あなた方はプロセスの皆さんと同じように新しい血を受け入れないのですか?
D-2214: プロセスについては知らないが、ここの人たちにとっては、君は職員より被験者に近い存在だ。
SCP-2247: 被験者はどういった類の仕事をするのですか?
D-2214: 君はここに留まり、彼らが君を研究する。
SCP-2247: [眉を顰める] あなたはそれが独善的なアホどもによって退屈な図書館の中に解放されることよりも良い事だと思いますか? アホどもと言えば、いったい蛇というものには手が存在するのでしょうか? どういう類の放浪者が図書館を所有するものなのでしょうか?
D-2214: 個人的には、自由は何であれ最高の物だと思うね。刑務所は最低だ。それと生物学的に言えば、蛇に手は無い。あとは多分、拠点が必要な放浪者なら図書館が要るんじゃないか?
SCP-2247: やるべき事が全く無くなってしまえば自由も最低になり得ますか? ある者が遂にこなせるようになった仕事にこだわるのは最高だとは言えないでしょうか?
D-2214: ああ、それもまた最低だ。それと、君がもし仕事を気に入っているのなら、勿論最高だろう。 [沈黙] ともあれ、その退屈な図書館についてもう少し話してもらえるかな? 君がそこで過ごした時間は楽しかったか? イエスなら首を縦に、ノーなら横に振ってくれ。
[SCP-2247は首を横に振る。]
D-2214: オーケイ、何故楽しくなかったかを教えてほしいんだが、できるだけ君には細かく説明してもらいたい。君の質問が詳細なほど、私たちの役に立つ。私たちの役に立ちたくてここにいるんだろう?
[SCP-2247は首を縦に振る。]
D-2214: 始めようか。何故だ?
SCP-2247: 文字が全く読めない私にとって図書館や本に何の意味がありますか?
D-2214: 君が読めないのなら意味は無いだろうな。 [沈黙] 出だしとしては悪くない、だがこれから話すときは詳細をしっかりするように努力してくれ。博士たちもそのほうが嬉しいだろうと思う。
[SCP-2247は首を縦に振る。]
D-2214: それで、君は図書館に価値は無いと考えた。何故、“看守”のところに来ようと思った?
SCP-2247: 何故看守たちは図書館に集う人々の間で人気の話題なのでしょうか?
D-2214: 一般的に言えば、看守を話題にするのはいつだって、彼らと関わりを持ってしまった囚人たちだ。 [沈黙] 成程、それじゃ君はもう一度現役に復帰したかったんだな? イエスなら縦、ノーなら横に。
[SCP-2247は首を縦に振る。]
D-2214: そして君は、プロセスでやってきた仕事を続けるには、財団が相応しいと考えたわけだ。
SCP-2247: プロセスと財団の間にはどの程度の違いがありますか?
D-2214: 私の意見としては、そう違わない。 [沈黙 — D-2214にインタビューの終了を知らせる信号が送られる] オーケイ、今日はここまでにしておこうか。いや、話さなくていい。今日はよくやってくれたよ。
<記録終了>
結: SCP-2247に情報を求めるにあたり、質問者は極性質問を用いることが推奨される。SCP-2247には、発言にあたって詳細まで述べることを奨励すべきである。また、聞き手はSCP-2247の質問に対する知識の無さを表明することが可能である。
回答者: SCP-2247
質問者: D-2214
序: インタビューはSCP-2247から抽出された生物学的素材の異常性質に光を当てることを目的として、スペイン語で実施された。
<記録開始>
D-2214: やあ、今日も私だよ。
[SCP-2247はD-2214に右手を振る。D-2214も右手を上げて挨拶する。]
D-2214: オーケイ… 博士たちが先週、君に幾つか試験をして、君の一部がプラスチックやチオペンタールに変化することを発見した。何かこれについて言いたいことはあるか? 詳細まで言うのを忘れないように!
SCP-2247: [眉を顰める] あの女性の魔法が解けたのはいつの事ですか?
D-2214: 博士たちのメモによると、3分程度だったらしい。だが、女性とは誰のことだ? 彼女についてもう少しはっきりした特徴を述べてくれ。
SCP-2247: ターコイズ色の髪をした人のことを知っていますか?
D-2214: うーん、ジュニアータが昔、髪をターコイズ色に染めていたな… あとは“ピノキオ”の小説に出てくる妖精が… [沈黙] おい、冗談だろ! 君は自白剤の瓶だでも言う気か?
[SCP-2247は首を横に振る。]
SCP-2247: [溜息] あなたはチオペンタールが自白剤だと本当にそう思いますか?
D-2214: ああ… そうだろ?
[SCP-2247はD-2214を見つめ、顔を手で覆う。]
D-2214: その、君はチオペンタールなのか?
[SCP-2247は首を横に振る。]
D-2214: まぁ、冗談だがね。
SCP-2247: 私は今もチオペンタールのように見えますか?
D-2214: いいや、人間に見えるよ。
[SCP-2247は微笑む。]
<記録終了>
結: SCP-2247の出自に関するD-2214の主張は、さらなる調査の対象となる。