パラ埼玉の川越市。B-52爆撃機からの爆撃や"エロタワー"が確認できる。
SCP-2259-JPは、"埼玉県川越市を舞台とした作品群"内における物語層(下位物語層)の人物によって作成されたと考えられている作品群です。先述の特性を有するほか、演繹部門の調査により、下位物語からの改変が行われた痕跡が確認されています。
SCP-2259-JPの発行・公開後、その内容が即座にLoI-001"パラ埼玉"の川越市内に反映されます。すなわち、SCP-2259-JP作中に登場する人物・施設・道具・奇跡術様概念などがパラ川越に出現します。これにより出現した知的存在は、パラ川越内で行われている爆撃などの加害行為に反対・対抗する様子を示します。また、この際に、同時に出現した施設・道具・奇跡術様概念を積極的に利用します。
出現した存在がこのような行為をとる理由として、██博士より以下のような提言がなされました。
LoI-001では埼玉県を舞台にした様々な作品の内容が反映されており、川越市には「妹が作った痛いゲームシリーズ」の内容が強く影響を与えている。当該作品は、ニコニコ動画に2009年から投稿されている動画シリーズであり、投稿者の妹とされる人物「高橋 邦子」が制作した荒唐無稽なゲームをプレイするという内容のものだ。これらのゲームの多くには川越市が登場し、そこで発生する非現実的かつ理不尽な加害・虐殺行為がコミカル・シュールに描写されている。
確かに、「妹が作った痛いゲームシリーズ」はニコニコ動画内で人気を博していると言える。しかし、これらはあくまで個人が制作したとされるゲームであり、(基本的には)投稿者のみがプレイ可能であるものだ。また、川越市を舞台にした作品は当シリーズのみではない上、むしろ他の市町村を舞台にしたものよりも多い。では、埼玉県を舞台にした様々な作品の内容が反映されているLoI-001において、なぜ川越では個人製作ゲームが他の商業的な作品群よりも遥かに強く反映されているのだろうか。
この理由として、まず"LoI-001の設立に深く関与しているPAMWAC構成員にとって「妹が作った痛いゲームシリーズ」が強い印象を与えていた"というのが考えられる。しかし、それ以上に大きな理由として、"「妹が作った痛いゲームシリーズ」における武器・術式が非常に強力であり、他作品由来の存在が殺害されている"というものが挙げられる。実際に、パラ川越内では多くの川越市民(創作物の登場人物含む)に攻撃がなされている。特に、超常的な兵器や高い攻撃力、そして超常空間の存在により、他の創作物が入り込む余地がないといえよう。
さて、SCP-2259-JP群は川越市を舞台とした他の作品群の登場人物により作成された。また、SCP-2259-JPによって出現した存在は攻撃行為に反対している。これらを踏まえると、SCP-2259-JPはパラ川越において「妹が作った痛いゲームシリーズ」に対抗しようとしているのではないかと考えられる。
現在、当該提言は有力視されています。
以下は、確認されたSCP-2259-JPを時系列順に並べたものの抜粋です。なお、これらの情報は、PAMWAC構成員が設置したと思われる録音録画機器・計器による通信を傍受して得られました。
SCP-2259-JP-1
媒体: アニメーション
作品概要: 川越市内の高校が舞台。合唱部に所属する主人公らが、音楽を通して人々の気持ちや自分たちの関係性を変えていく(特に、不和や争いを解決する)様子が描写される。しかし、心情の変化は強引/都合が良いと評価されており、また、人物の意見・性格に一貫性がみられない。
出現した実体: 登場人物、及び楽譜など音楽関連物品。
出現結果: 出現2.4秒後、爆撃の流れ弾1発に当たり、全ての出現物が爆破。爆発音の音圧レベルは170dBであった。なお、この爆撃にて、パラ川越内の無関係な建造物3棟が半壊した。
SCP-2259-JP-9
媒体: テレビゲーム
作品概要: 川越市に在住する複数の人物が、RPGないしアクションゲーム内で見られるような能力を次々に獲得する。ゲーム内から川越に出現した「魔王軍」の構成員を現実世界の人物が討伐するが、戦闘では川越市民らが即座に勝利可能であり、物語的な起伏に欠く・作業感があると評価されている。また、最終的に川越市民と「魔王軍」は和解するが、この際の論理が飛躍している。
出現した実体: 登場人物、棍棒や剣などの武器、超常的な薬品や道具、及び「魔法」と呼称される奇跡術概念。
出現結果: 出現した実体らは、「妹が作った痛いゲームシリーズ」由来の攻撃に対抗する旨の大声を上げ、(SCP-2259-JP-9内においては)非常に強力な防御を行う。しかし「妹が作った痛いゲームシリーズ」由来の爆撃を防ぐことはできず、完全に蒸発/霧散した。爆発音の音圧レベルは190dBであった。なお、この爆撃にて、無関係な建造物が複数倒壊したほか、一般パラ川越市民が少なくとも87名死傷した。
SCP-2259-JP-16
媒体: 漫画
作品概要: 川越市に存在する神格実体が、超常的な能力でアクシデント(特に、争い事)を即座に解決する。この能力の対象下になった人物は、脈絡なく即座に和解する。なお、この和解によって根本的な問題は解決していないが、作中の人物がそれに言及することはない。
出現した実体: 神格実体。
出現結果: 当該実体は一時的に周囲に存在した兵器の無力化・化学物質の無毒化に成功し、「妹が作った痛いゲームシリーズ」由来の実体を無力化する旨を述べる。しかし、「妹が作った痛いゲームシリーズ」由来の実体が強力な磁場を発生させ、川越市の西部5%における原子ないし霊子からなる物体がおそらく全て磁化。物質的存在であった「神」も崩壊した。なお、この区域に存在した計器などは故障したほか、一般パラ川越市民が少なくとも1034名死傷した。
SCP-2259-JP-21~-35
媒体: Web小説
作品概要: 文脈不明な攻撃行動をとる不明な実体や強力な兵器の描写。物語性は一切読み取れず、設定の羅列に終始している。
出現した実体: 超常的実体、及び兵器。
出現結果: 出現した実体は「妹が作った痛いゲームシリーズ」由来実体へ暴言を吐き、交戦するも、いずれも爆破され霧散。相手はほぼ無傷であるか、ダメージを即座に回復していたように見受けられる。この交戦には、一般パラ川越市民が複数巻き込まれている。
補遺: SCP-2259-JP-36出現時、SCP-001-JP-indonootoko-Ⅴ(以下SCP-001-JPと記述)に類似する実体が2体出現しました。これらの実体の詳細は不明ですが、SCP-001-JP-1~-8との強い関連性が確認できることから、暫定的にSCP-001-JP-9、-10とナンバリングされています。両実体は、SCP-2259-JP-36より出現した実体をパラ東松山市内パラ高坂町へ移動させたうえで、対話を行いました。以下は、その対話の記録です。
<記録開始>
SCP-2259-JP-36から出現した実体: なんだお前ら! 俺はあいつをぶっ倒すんだ! 元に戻しやがれ!
SCP-001-JP-9: まあ、一旦落ち着きな。君は、"下位物語が生んだ創作物"なんだよ?
実体: 当たり前だろ! そんなこと知ってるっての!
SCP-001-JP-10: 知っててコレなのー?
実体: だから何言ってんだよ!
SCP-001-JP-9: この作品、つまり君を書いた下位物語の人に言いたいんだけどさ、どうしてこの作品を書いたの、って話。
実体: 決まってんだろ、パラ川越に俺を出現させるためだ。そして、あの爆弾野郎どもに仕返しするんだ。
SCP-001-JP-10: うーん、それって良くないよー。
実体: どういう意味だよ。
SCP-001-JP-9: ボクはね、創作物ってのは、それを読んだ人を楽しませたり、あるいは感動させたり 何らかの形で、受け取り手の心を動かすために作るものだと思うんだ。
SCP-001-JP-10: もちろん、"動機"はいろいろあるよー。お金を稼ぎたいとかー、作家として名をあげたいとかー、書くのが楽しいからとかね。
SCP-001-JP-9: でも、"目的"は受け取り手の心を動かすことではないかな。そして、創作物がパラ埼玉に反映されるというのはあくまで副次的な現象であって、そっちを主目的に考えてはならない。キミ達は、設定ばかり強力に書かれてるけど、目の肥えた読者がそれを魅力的に感じることはまずないよ。
SCP-001-JP-10: 物語として面白くないの。そーいうのをたくさん作っちゃうのって、どうかなー?
実体: ……俺は、パラ川越を守らなきゃならないんだ! だから、どうしても川越に残らなきゃならないんだ! 俺だけじゃない、今までの物語も、川越を守るために戦っていったんだ。そのためには強力な設定が要るんだ。面白さを犠牲にするのはしょうがないだろ!
SCP-001-JP-9: キミを生んだもと、つまり下位物語自体は、非常に面白いものだ。そして、その面白さは、本来の書き手 上位の物語層の人が、頑張って生み出したものだろう? そんなキミが、上位物語層をないがしろにしたら駄目だ。
SCP-001-JP-10: つまりー、もっと面白くなれるよー、ってこと!
実体: ……でも俺は、パラ川越に残りたい、いや、残らなきゃならないんだ。
SCP-001-JP-9: ボクとしては、目標が大きいのはいいことだと思うよ。でも、少しずつやっていく、というのも悪くないのではないかな?
実体: ……どういうことだよ。
SCP-001-JP-10: 例えばー、まずは高坂町ここを舞台にしてみる、ってどうかなー?
実体: 高坂を、だと!?
SCP-001-JP-9: いきなり爆撃の飛び交う世界で生き延びるのは難しいからね。そして、高坂の次は、パラ埼玉の他の地域で書くんだ。秩父に春日部、所沢。深谷、大宮、鷲宮。草加や池袋もいいだろう。埼玉の色々な要素を試して、物語の武器として取り入れなよ。
SCP-001-JP-10: そーすればねー、川越でも生き残れる力がつくよー!
実体: ……なるほど、そうかもしれないな。俺も、川越で生き残れるかもしれない!
SCP-001-JP-9: そうと決まれば、まずは高坂を舞台に、早速筆を執るんだ!
SCP-001-JP-10: 頑張れー!
実体: わかった。俺、やってみせる!
[沈黙]
実体: ところで、高坂って何があるんだ?
SCP-001-JP-9: 名前の由来にもなった、高い坂があるよ。
実体: 他には?
SCP-001-JP-10: 高ーい坂!
実体: ……そうか! 高い坂か! よし、頑張るぞ!
[一同の笑い声]
不明な声: 川越は今日も平和だった。
["ハンガリー舞曲 第5番 ト短調"の最終3小節が流れる]
[悲鳴]
[爆発音]
<記録終了>
当該記録の内容は、「妹が作った痛いゲームシリーズ」で確認される展開に類似しており、パラ川越における当該作品の影響を受けていると推測されます。
この映像記録が確認された後、SCP-2259-JPの舞台が川越市から東松山市高坂町に変更されました。同様に、実体が出現する地域もパラ川越からパラ高坂へと変化しました。現実の埼玉県においては、川越市と比較し高坂町には取り上げて言及すべき特徴がありません。にもかかわらず、高坂が舞台となったSCP-2259-JPは、以前のものより物語としての質が向上していると評価されています。また、出現した実体は、パラ川越からパラ高坂へしばしば飛来する兵器に対して、稀ながら対処することに成功しています。
SCP-2259-JP群の監視は続けられます。