SCP-2269-JP
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宍戸氏の自宅で3年間利用されたSCP-2269-JP付属の鍵

アイテム番号: SCP-2269-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2269-JPはサイト-8112の収容室にSCP-2269-JPに鍵を差し込んだ状態のまま、現在は3セットが保管されています。SCP-2269-JPのスペアキーは発見され次第、直ちに破棄されます。意図せずしてSCP-2269-JPから鍵が引き抜かれないようにするため、炭素繊維で編み込まれた紐で固定し、定期的に財団職員がSCP-2269-JPを固定する紐が緩んでいないか確認してください。SCP-2269-JPはいかなる場合においても、SCP-2269-JPから鍵が引き抜かれることは許可されません。SCP-2269-JPから鍵が引き抜かれる行為は収容違反と見做されます。

またSCP-2269-JPを発見するため、財団のフロント企業の不動産会社/警察機関を通じて、日本国内のアパートメントおよびマンションに設置された錠前を中心にSCP-2269-JPの捜索が続けられています。新たなSCP-2269-JPが発見された場合は取り外して輸送し、専用のスクラップ機を利用してSCP-2269-JPが先に破壊されないように破壊してください。

説明: SCP-2269-JPは面付シリンダー錠です。SCP-2269-JPに鍵が差し込まれた状態から引き抜かれることによって異常性が発生します。またSCP-2269-JPに異常性を発生させる鍵はSCP-2269-JPに差し込み、回すことが可能であれば如何なるものでもよく、SCP-2269-JPはディスクタンブラー錠の形態をとっていますが、ピッキングでは異常性が発生することはありません。

上記の事象が意図の有無に関わらず発生した場合、SCP-2269-JPが取り付けられているまたは存在する空間内部から、傷や汚れが見受けられなくなる現象が視認できます。傷や汚れとは、「老朽化している箇所」「散乱したゴミ」「腐敗した食材」などの明らかに人間に対して害のあるものから、「特定の人物が必要ないと考えている対象」などの主観的な要素も含まれます。また、この異常性は物理的な物体に留まりません。

SCP-2269-JPは異常性を発生するごとに使用した鍵が錆び付いていきます。利用回数が10、20回程度であれば目立たない程度ですが、100回を越え始めると明らかに錆びつく速度が上昇します。3000回以上利用すると鍵が錆に耐えきれなくなり折れてしまいます。このときSCP-2269-JPの異常性は顕在で、同形の鍵を利用すれば異常性を発生させることが可能です。

またSCP-2269-JPの異常性に曝露する空間の範囲は、SCP-2269-JPの使用者がSCP-2269-JPが存在していると考えている空間だと考えられています。また意図せずして異常性が発現した場合における異常性が暴露する空間の範囲に関しては現在調査中であり、SCP-2269-JP自身が存在する場所だと認識した空間全域に及ぶというのが有力な説です。

実験記録-2269-JP-1

対象: 財団が所有する廃墟

実施者: D-4001

実施方法: 廃墟のエントランスの扉にSCP-2269-JPを取り付けて異常性を発生させる。

結果: 廃墟全体が新築のように視認できた。新築の頃の写真と見比べたところ、家具がないなどの差異はあれど、ほぼ同じように思える。

分析: SCP-2269-JPの効果範囲は取り付けられた建物全体なのだろうか。また、実施者には悪影響はないようだ。

実験記録-2269-JP-5

対象: サイト-8112の収容室の一室。SCP-███-JPによって収容室の床や壁には切り傷やへこみが見られた。

実施者: ██研究員

実施方法: 収容室の扉にSCP-2269-JPを取り付け、SCP-2269-JPの異常性を発生させる。

結果: 収容室内のSCP-███-JPによる被害が見受けられなくなった。また部屋の隅などにあった埃や収容室のネジや留め具にあった錆なども見受けられなくなった。

分析: SCP-2269-JPの異常性は大抵の傷や汚れを落とすと考えられます。数回の実験をサイト-8112や他サイトで行い、SCP-2269-JPの安全性を確認した後にSCP-2269-JPの実験範囲を拡大することを申請します。- ██博士
申請を受理する。- サイト-8112管理官

実験記録-2269-JP-9

対象: サイト-8112

実施者: ██研究員

実施方法: サイト-8112のエントランスにおいて面付錠を利用する扉にSCP-2269-JPを取り付け、SCP-2269-JPの異常性を発生させる。

結果: サイト-8112内部の目立った傷や汚れが見受けられなくなった。

分析: SCP-2269-JPの異常性がサイト-8112全体に及ばなかったのは鍵を差し込んだ研究員が要因となっている可能性があります。- ██博士

実験記録-2269-JP-10

対象: サイト-8112

実施者: 清掃員(サイト-8112の清掃員。勤務期間9年目)

実施方法: 実験記録-2269-JP-9と同様。

結果: サイト-8112から傷や汚れがなくなった。現在残っている傷や汚れがないか調査中ですが依然として見つかっていない。

分析: サイト-8112を熟知していた██清掃員による清掃は完璧だったようです。隅から隅まで傷も汚れも見受けられません。サイトが清潔になったからか財団職員の心も洗われたような気がします。
ここはSCP-2269-JPの異常性について客観的評価を下す場です。感想などは記入しないでください。- サイト-8112管理官

実験記録-2269-JP-15

対象: サイト-8112が所有する運動場

実施者: ██研究員

実施方法: サイト-8112が所有する運動場にてSCP-2269-JPを扉などに取り付けずにSCP-2269-JPの異常性を発現させる。

追記: 予定されていた実験が全て永久凍結されたため、本実験は行われませんでした。

発見経緯: SCP-2269-JPは露店1で販売されていたSCP-2269-JPを購入した財団エージェントによってその異常性が発見されました。その露店には他にも商品があることがエージェントによって確認できたため、現在その行方を捜索中です。

補遺: 財団がSCP-2269-JPを発見し、幾度かの実験を行なっていたところ、財団のフロント企業の不動産屋に「アパートの賃貸を解約したい。それと同時にあの気色悪い鍵も外して欲しい」という連絡を受けました。

以下はその連絡を行なった宍戸██氏とのインタビュー記録です。

対象: 宍戸██氏(以下、宍戸氏と表記)

インタビュアー: ██研究員

付記: 宍戸氏はSCP-2269-JPを家族(宍戸氏、宍戸氏の妻、子供)3人で住むアパートのドアに3年間取り付けて使用していました。

<録音開始, [20██/██/██]>

███研究員: インタビューにご協力頂きありがとうございます。

宍戸氏: ああ、いや。気にしないでくれ。

███研究員: それでは質問を開始します。貴方があの錠前を手に入れたのはいつ頃ですか?

宍戸氏: 3年前だよ。女房と、いわゆるできちゃった婚をしちまってな。親からの仕送りもあったが生活が苦しくて、あの安アパートを借りたんだ。なかなか良い部屋だと思ったが、元々ついてた鍵がものの見事にぶっ壊れてて。そんで鍵だけは変えねえと、って思いながらぶらぶら歩いてたら……変な露店があってな。

███研究員: そしてその露店でこれを購入した、ということで間違いないですか?

[ここで███研究員が宍戸氏に対し、SCP-2269-JPの写真を提示しました。]

宍戸氏: ……ああそうだよ。[罵倒]!んなもん俺に見せないでくれ。気味が悪い。

███研究員: これを販売していた露天商について覚えていますか?思い出せる範囲で、出来るだけ仔細に教えて頂けると助かります。

宍戸氏: ああ。今でも覚えてるさ。長い髭をぼうぼうに生やして全身真っ黒な服着たヨボヨボで気色悪いジジイと、黒いスーツを着たOLみてえな若い女だった。ジジイの方はずっと奥の方にいて、女の方が接客をしてた。そんで、女の方に……あの鍵を勧められたんだ。“汚れも傷も綺麗さっぱり、家中の欠点をまるっと解決してくれる魔法の鍵”だとか言って。よくある押し売りかと思ったんだが、セールストークがあんまり上手いもんだからつい買っちまった。

███研究員: なるほど。覚えている内容はそちらが全てですか?

宍戸氏: んー…… [20秒程沈黙] あー、そうだ。そういや、ジジイの方がずっと変なことをブツブツ言ってたな。これが成功すればナンタラ重工だとかナンチャラファクトリーだかってところからヘッドハンティングがくるはずだ、とか……何とか。すまねえ、これ以上は覚えてねえ。

███研究員: ありがとうございます。…すみません、もう1つ質問をさせていただいてもよろしいですか。

宍戸氏: 何だよ?

███研究員: なぜ貴方はあの鍵を忌避して手放そうとしたのですか?確かに奇妙な能力こそありますが、部屋は勝手に綺麗になりますし……有益なもののような気がしますが。

[大きな物音。宍戸氏が立ち上がり、テーブルを叩いたことによって発生したと思われる]

宍戸氏: んなわけねえだろうがっ!何だって、そんな!あんな、あんなもんが有益だと!?

███研究員: お、落ち着いてください。どうしたんですか?

[1分ほどの沈黙]

宍戸氏: 最初は俺だって、あの露店の女が言ってたように、家中を綺麗にしてくれる便利グッズだって思ってたさ。

███研究員: はい。

宍戸氏: ボロくなってたアパートの壁も新居かと思うくらい綺麗になって、床のシミとか汚れも全部消えて、仕事でガソリンまみれになった服とかも買ったばっかみたいにまっさらになって。アイラ2が漏らしたおむつも勝手に無くなって。少し割高だったが、すげえ良い買い物したなって思ってたんだ。

███研究員: ええ。それがあの鍵の能力なのでは?

宍戸氏: [数秒の沈黙] けどな。ついこの間ショウタ3と久しぶりに居酒屋に行ったときに気づいたんだよ。あいつ、こう言いやがったんだ。『お前たち夫婦は仲が良くて羨ましいな。おしどり夫婦みたいだ』ってな!…おかしいだろうが!お互い忙しくて、ショウタと会うのも話すのも数年ぶりだった。夫婦仲が良いだなんて、あいつに話したことは1度もなかった。……それに、そもそも女房との関係も良くはねえんだよ!アイラがいるからどうにか成り立ってる家庭なんだ。なのに、なのにあいつは…。…ああ![罵倒]!

███研究員: 宍戸さん、落ち着いてください。貴方には一体何がわかったというのですか?

宍戸氏: [数秒の沈黙] 俺、車の整備士だからよ。時々パーツのサビ取りもやるんだ。だから知ってんだよ、サビは取ろうと思わなきゃ取れないもんだって。勝手に取れてくれるような簡単なもんじゃない。

[大きな物音。宍戸氏が再びテーブルを叩いたと思われる。]

宍戸氏: [罵倒]がっ!正月、数年ぶりに俺の両親のとこに行った時だってそうだ。あいつら、アイラと女房のことを徹底的に無視しやがった。アイラにお年玉も用意してねえし、アイラたちが使う食器も出さねえで、おせちを食べて暢気に特番を見始めやがる。そんなんだから、俺らは……単に機嫌が悪いんだろうなって思って、いつもなら1週間は泊まるところを1日とかで帰ったよ。でも本当は違ったんだ。俺らは周りから…見たやつにとって都合よく見える、透明人間みたいなもんになっちまってたんだ!

[数秒間続く大きな物音と、███研究員の短い悲鳴。宍戸氏が███研究員の肩を掴み揺さぶったものだと思われる]

宍戸氏: なあ、あんた、俺の服がどう見える?

███研究員: き、綺麗な服だと思いますよ。清潔で、柔軟剤のいい匂いだってします。

宍戸氏: [数秒の沈黙] そうかよ。なら、俺自身のことはどう見える?

███研究員: …品行方正そうで、良い人そうです、ね?

宍戸氏: [数秒の沈黙] ああ、ちくしょう、どいつもこいつもおんなじこと言いやがる。アツシ4すらそう言いやがった。一緒にヤンチャして、ハッパとか吸って、ちょっとしたことで殴り合いのケンカしてた仲だ。何が“お前は真面目だな”だよ。 [数秒の沈黙] …いいか、教えてやる。この服は仕事着で、ここには丸1日オイルまみれで仕事した後に来たんだよ。最後に洗濯したのだって何日も前だ。清潔なわけ、ないだろうが。

<録音終了>

終了報告書: このインタビューを経て、実施を予定していたSCP-2269-JPの実験は永久凍結されました。また、サイト-8112に収容中のアノマリーの中でSCP-2269-JP関連の実験後に従来と異なる挙動を見せたものは一時的に他サイトに輸送し、その状態の経過観察を行なっています。

またSCP-2269-JPの異常性に曝露した空間及び物品、人間は全て現実改変部門及び幻覚部門が調査中です。

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