SCP-2294-JP
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非破壊検査装置によりモデル化されたSCP-2294-JP

アイテム番号: SCP-2294-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2294-JPはサイト-8194内の地下310mに設置された加圧型高レベル放射性廃棄物用キャスク1に収容されます。キャスク保管室は厚さ3メートルのコンクリート壁で全体を覆うようにして設計され、その他の装備としてキャスク冷却用循環水保持システムや放射線防御隔壁を備えています。キャスク内にアクセスする際には放射線防護服を着用し、個人線量計を装備した上で出来る限り短時間のみの開放にするよう留意して下さい。原則として本施設での作業に従事する全職員は1年毎に交代となり、その後5年間は同サイトに配属されることはありませんが、例外として装備する個人線量計における年間被曝線量が規定値を超えた場合はその時点で別サイトへ異動となります。

説明: SCP-2294-JPは宮城県██市██山に飛来した、重度の放射性を持つ1.2m程の金属製の多面体です。その後サイト-████に移送され、██博士の研究チームにより精密調査が実行されました。その結果、SCP-2294-JPの外殻はオガネソンの297同位体2で構成されており、内核には致死レベルの放射線と高温を発する物体(以下SCP-2294-JP-1と記載)が格納されています。SCP-2294-JP-1は昇華によって空気中の酸素と高分子の酸化化合物を形成し、外呼吸に必要な酸素ガスを固形化させます。また、外殻部分には未解明の言語で書かれたロゴマークの様な刻印がなされています。財団は現在までに計6つのSCP-2294-JPを収容しています。

記録001-日付2017/05/01

すばる観測所からの報告

現地時間22時30分にスペースガード計画3によるNEO4定期走査において本施設より34万5000km地点に新規流星体を観測しました。現在、臨時対応チームにより軌道予測シミュレートが行われていますが、98%の確率で東北地方付近に落下するものと予想されます。また、過去2週間の走査記録の確認も同時に行ったものの、当該物体の観測履歴は確認されませんでした。恐らくは何らかの要因で地球付近の軌道に突如現れた物と思われ、何らかの異常性を持つ可能性が考えられます。流星体の予想大気圏突入時刻はおよそ5時間後です。(エージェント██)

記録002-日付2017/05/02

SCP-2294-JP確保記録

SCP-2294-JPはフィールドエージェント██による一次報告により中度の放射線が観測された為、放射性オブジェクトの収容スペシャリストである██を中心とした確保チームが結成された。また、落下地点では直径約6メートル、深さ約2メートルのクレーターが確認された。同チームの到着までにSCP-2294-JPの表面温度は593.15Kから1163.15Kまで上昇し、フィールドエージェント██の個人線量計における総被曝量が1Sv5を超えたため、同氏は確保チームへの引き継ぎ作業を行った後に財団保有の医療施設へと搬送された。収容スペシャリスト██はSCP-2294-JPの放射性の高さによる隊員への被害を懸念し、サイト-████に対して放射性物質保管用キャスクの輸送を申請した。また、キャスク到着までの暫定的な処置として、ヘリコプターによるSCP-2294-JP落下地点のクレーター内へ注水作業が開始された。これらは簡易的な冷却と放射線減衰の役割を果たし、注水完了から3時間でSCP-2294-JPの表面温度を873.15Kまで低下させることに成功した。2時間後、現場に高レベル放射性廃棄物用キャスクが搬入され、収容チームはSCP-2294-JPを確保し、サイト-████への輸送を開始した。また、収容に要した使用機材に対しては平均7Gy6の放射能汚染が確認された。(収容チーム記録担当者██)

実験記録001-日付2017/05/03

対象: SCP-2294-JP
実施方法: 遠隔操作によってSCP-2294-JPの外殻構築成分のサンプルテストを行う。また、外部及び内部の調査の為、高解像度カメラとサーモグラフィーカメラシステムを用いた非破壊検査を実行する。
結果: 外殻はオガネソンの297同位体が98%を占め、残りの2%は何らかの超重金属類が添加されているものと推測されるが資料サンプルの不足により同定には至らなかった。その他に外殻には4箇所の微細な損傷が確認され、亀裂からはガス化したと思われるSCP-2294-JP-1の漏出が確認され、同時に青褐色の固形物が析出した。サーモグラフィーによる内部観測ではSCP-2294-JP内部に1773K程の高温と重度の放射線を発する熱源が存在することが確認された。
分析: SCP-2294-JPが自然物では無い事はほぼ確実であり、現状人工合成のみで得られる重元素をこれだけ多く利用している事から、SCP-2294-JPを作成した知的文明は非常に高度な科学技術を保有しているものと見られる。また、SCP-2294-JP-1から漏出したガスが固形化する段階でキャスク保管室の酸素濃度が急激に低下していることが確認された。恐らくは空気中の酸素と急速に化合している物と思われるが、仮にSCP-2294-JPが破壊され、内容物が全て気化した場合には地球上の酸素ガスと結合して未知の酸化物となり、我々の科学技術では還元不可能な物質にしてしまう可能性が考えられる。(██博士)

記録003-日付2017/05/06

SCP-2294-JP調査報告書

解析を担当した██博士はSCP-2294-JPに対して、人類よりも高度に発展した文明によって製作された人工物であり、何らかの目的において地球上に落下した可能性があるとの結論に至った。この詳細の解明の為に財団日本支部に対し、SCP-2294-JPの外殻の破壊を伴う内部検査の許可申請が行われたが、当該申請は却下された。また、SCP-2294-JP-1については漏出したガスをサンプルとして回収し、冷却した上でその物質特性を調査した。その結果、現在の技術ではSCP-2294-JP-1を無害化する事は不可能であり、有用物質の再利用処理が可能になるのは早くても███年先になると予測される。調査チームは暫定的な処置として処理手法が確立されるまでは徹底的な封じ込めにより外部への危害の防止を行うべきという意見で一致した。(██研究員)

記録004-日付2017/6/16

観測された重力異常について

本日、大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)に派遣されている財団エージェント██により、地球から234AU7付近の地点で重力波の乱れが観測されたとの報告がなされました。具体的な数は不明ですが、動向を調査したところ少なくとも太陽系方面への移動を行っている事が確認されました。予想到着時刻は56時間後であり、敵対的文明による攻撃を受ける可能性も含めて早急な対応が必要であると思われます。(██博士)

記録005-日付2017/6/19

SCP-2294-JP-2に対する音声記録

対象: SCP-2294-JP-2
オペレーター: ██博士

付記: SCP-2294-JP-2は地球から12AUの地点まで接近した後に停止し、サイト-8194はSCP-2294-JP-2より通信用マイクロ波を受信した。

<録音開始>

SCP-2294-JP-2: …通信のテストを開始…こちらは[不明な言語による発音]社の恒星外資源掘削船、[不明な言語による発音]聞こえますか?

██博士: えぇ、聞こえています。そちらの音声も理解できています。

SCP-2294-JP-2: それは良かった[不明な言語による発音]。ところで我々のクルーが誤って投下した[不明な言語による発音]がそちらに落下したはずなのですが…。今どちらにあるのでしょうか?

██博士: あー、恐らくあなた方が言うものは私達が保管しています。ですがその前に教えて頂けますか?あの中身は一体何で、あなた方はどこから来たのですか?

SCP-2294-JP-2: 我々がどこから来たのかは明かせませんよ[不明な言語による発音]。ですが中身だけはお教えできます。あれは特殊資源採掘とその加工処理時に発生する最終産業廃棄物なのです。[不明な言語による発音]の文明レベルでは処理出来ない危険物なのです。

██博士: それであれば…何故廃棄物を取り戻そうとしているのですか?

SCP-2294-JP-2: それは…連邦法で規定されているのです。宇宙空間へ特定産業廃棄物の投棄をしたことが発覚すれば我々は重い処罰を受ける。本来ならば連邦保護下にある下位文明惑星への非公式交信も違法なのです。ですから早く場所を教えては頂けませんか?

██博士: それは…出来ません。我々はこれを保護しなければならないのです。

SCP-2294-JP-2: まさか、それはただの廃棄物ですよ。[不明な言語による発音]…それに…。いや。

██博士: どうしたのですか?

SCP-2294-JP-2: [僅かなノイズだけが約53秒続く]

██博士: 聞こえていますか?

SCP-2294-JP-2: …一つだけ聞かせて下さい[不明な言語による発音]。どんなものであれ保護するのですね?

██博士: えぇ、我々はあらゆる危険や異常を人々から遠ざけなくてはなりません。今回も同じです。それが何であるかを理解するまでは残念ですがお返し出来ません。

SCP-2294-JP-2: あぁ、それは…[不明な言語による発音]…素晴らしい。

<録音終了>

終了報告書: 通信音声は全て日本語によって行われたが一部の言語はSCP-2294-JP-2側の翻訳能力、あるいは制限によってその意味については不明のままである。また、この通信によって対象はSCP-2294-JPとの関わりが示されたことから、SCP-2294-JPを投下する存在として暫定的にSCP-2294-JP-2へと分類された。以後SCP-2294-JP-2は地球から238AUの地点まで移動を開始し、重力波異常を引き起こして以来未だ追跡には成功していない。(██博士)

記録006-日付20██/12/08

SCP-2294-JPに関わる最終報告書

SCP-2294-JP群は2017年05月02日以降、約1年間隔で世界各地への落下が観測されている。これは現状のサイト-8194における新規埋設用施設の掘削作業速度とほぼ同等であり今後も計画的な増設を継続する方針である。しかし、国内における埋設用地の新規確保は依然として厳しい状況であり、あと██年ほどでサイト-8194はSCP-2294-JP群の収容能力上限に達する。この問題に対しては今後落下するであろうSCP-2294-JP群を宇宙空間で回収し、建設中の月面サイトにて保管するハドロン計画が立案された。以下に同案の詳細を添付する。以上。(██████)

ハドロン計画について

概要: 本計画ではラグランジュ点L5に統合母艦であるヒッグスユニットを展開し、回収用無人機としてタウ・ミューオンの2機を搭載する。これらの捕獲システムによりSCP-2294-JP群を確保した後にヒッグスユニット内の排熱用格納庫へ収容し、月面サイトの完成まで一時的に保管する。また、ヒッグスユニット内の格納庫は最大で300個のSCP-2294-JPの収納領域を確保する。
運用: 地上サイト-8194及びKAGRA観測装置により宇宙空間の重力場変化を監視し、変動があった場合には予測軌道を計算し、予めタウ・ミューオンの2機が最接近予想点へ展開する。SCP-2294-JP-2によるSCP-2294-JPの射出が確認された直後、両機が相対速度を合わせて飛行し、対象を捕獲する。その後逆噴射を用いて減速し、SCP-2294-JPをヒッグスユニット内へ輸送する。同ユニットではヒートパイプを用いた大型ラジエーターシステムを用いて宇宙空間への排熱を行い、その熱の一部を電力に変換することで長期間の無補給展開を可能とする。
最終計画: 月面サイト完成後は現在のサイト-8194に収容中のSCP-2294-JP群とヒッグスユニットに収容したSCP-2294-JP群を合わせて冷却及び隔離システムを備えた特別管理区画へと輸送する。移送完了後はサイト-8194を長距離宇宙観測施設として活用し、以後のSCP-2294-JPの確保はヒッグスユニットが引き継ぐものとする。また、これらの収容に関する総費用は延べ████億円となる見通しである。

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