アイテム番号: SCP-2300-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-2300-JPによりもたらされる副次的な被害は、重要手順に指定した全文書を定期的に更新することで回避されます。これは財団への損害および災害等緊急時や国際政治などの場面での不必要な混乱の防止を目的としています。市民に発生したSCP-2300-JPは、異常行動の発現後に対応します。SCP-2300-JPが出現している文書をその組織に属さない第三者が発見したとき、財団の権限を活用して以前の状態に差し戻してください。
このページとSCP-2300-JP関連文書はSCP-2300-JPの影響を回避するため、規定書式に更新され続けています。
説明: SCP-2300-JPは、舌を露出させているように描画された犬の記号です。些細な線の揺れも含め、現在までに確認されている全事例の形態が同一です。
SCP-2300-JPは収録媒体を問わず、何らかの作業手順や問題への対処手順を掲載した文書に出現します。多くの場合、余白部分の一部を占拠します。その手順を実行する人物(以下、対象)に発見されるまで、SCP-2300-JPは変化や影響を及ぼしません。
対象がSCP-2300-JPを視認すると、SCP-2300-JPの存在に違和感を抱いた後に、文書に記載されている手順へSCP-2300-JPの導入を試みます。この導入は対象が属する組織や他の関係者に無断で行われます。その際、SCP-2300-JPの周辺には修正線や矢印などの記号が出現し、改訂を誘導します。誘導により、困難とされる工程や方法に代わってSCP-2300-JPは挿入されます。
SCP-2300-JPが介入している手順が進行し、SCP-2300-JPの段階に移ったとき、対象は目を大きく見開いて舌を露出させます。その後は個人ごとに異なる行動を取ります。具体的な行動例には、抑制なく動き回る、地面へ倒れ込む、言語化不能な発声をする、物体に衝突し続ける、眠る、可食物体の限度のない摂食などが挙げられます。これらの異常行動は、置換された作業に要求される平均的な時間だけ継続されます。その後、対象は作業や問題対応が完了したと認識し、手順の次段階へ移ります。なおこの状態では認識が強制的に歪曲されるのみで、記憶は保有しています。
対象がSCP-2300-JPに従い行動を取ったとしても、直面している作業や問題は実際には解決されません。また次の段階に移った際、前段階で達成されるはずだった要素が欠落していることで、対象を含む担当者が正常に手順を続行できない場合もあります。しかし、対象と社会的な関係性を有している人々はその行動や結果の一切を疑問視せず、対象を直接認知しない第三者にのみ指摘可能です。過去の事例では指摘する第三者が度々存在しますが、社会的影響の規模が小さくなるほど対象を包括する集団が多数派となり、異常はないものとして扱われます。
SCP-2300-JPの特徴として、無気力状態にある人物の周辺に出現する確率の高さが挙げられます。同時に対象となる人々は、社会に対する自己の地位の低さ、あるいは社会での不自由さという不満を抱えている傾向にあります。初期の対象の多くはそうした不満の発散として異常行動を容認し、自由に以前の手順を逸脱しても批判されないことに多幸感を覚えます。しかし回数を重ねるにつれ、異常行動を無視し続ける周囲の様子と社会から疎外されているという認識を結び付けます。最終的に、対象は自発的にSCP-2300-JPの影響を脱しますが、社会での自己存在の無価値という観念に基づく極度の精神的不安定に至る結果が事例のほとんどを占めています。
補遺.01: 歴史
現在、最古に確認されたSCP-2300-JP出現例は20██/03/23発見の事例とされています。原初とされるSCP-2300-JPは東京都██市内、██駅の構内にて、四宮久雄の所有物である手帳から発見されました。手帳には以下の不可解な点が残されています。
- 数ページに渡り、SCP-2300-JPに類似した記号が記されている。しかし、形状が他の事例と同一でありSCP-2300-JPと認定可能なものは、マンスリーページの20██/03/23付近に記された記号に限られる。
- 20██/03/23以降の、行動予定と思わしきすべての文章に打ち消し線が引かれている。
発見以前に四宮は死亡しています。駅の監視機器には、声を発しながら四足歩行で構内を移動する四宮の様子が17分間観測されています。この異常行動の途中、四宮は線路上に降り、到着した列車によって轢死しました。
四宮の異常行動時、周囲に目撃者は存在せず、四宮がSCP-2300-JPの影響を受けていたかは正確には判別できません。一部見解では手帳の記号はSCP-2300-JPではない可能性が指摘されており、その場合、四宮の行動は非異常性の要因に基づくものと考えられます。