アイテム番号: SCP-2307-JP
オブジェクトクラス: Safe(議論中)
特別収容プロトコル: SCP-2307-JPはロバート・ウィリアム氏に帰属しており、ロバート・ウィリアム氏を収容することで実質的な収容とみなされます。 現在SCP-2307-JPの捜索が行われています。
説明: SCP-2307-JPは対話が可能なロバート・ウィリアム氏の左乳首です。
インタビュー記録2307-JP.3
インタビュアー: エリック研究員
対象: ウィリアム氏・SCP-2307-JP
[記録開始]
エリック研究員: それでウィリアムさん。生活に不便などはありませんか?
ウィリアム氏: 特に。SNSを見れないのは不便だけど、差し入れしてもらった本もありますし、人に会わなくていい生活もそれはそれで気楽ですよ。清掃1も気晴らしになっていますし。
SCP-2307-JP: 俺も不満はねぇぜ。耐久実験なんていう俺に電流を流したり抓んだり[編集済]さえするクソみたいな変態実験さえなければな!
ウィリアム氏: 僕には耐久実験は痛くも痒くもないので問題ありませんけど。
SCP-2307-JP: おお痛い痛い!なぁ、カワイ子ちゃん連れてきて俺をさすったり撫でたりしてくれよ。それぐらいの役得あってしかるべきだろ?
エリック研究員: ええと……生活に不便がないなら何よりです。今日はSCP-2307-JPが出現した日のことをお伺いしたいのですがよろしいですか?
ウィリアム氏: 大丈夫です。
エリック研究員: では最初からお願いします。
ウィリアム氏: はい。僕は近所のスイミングスクールで働いていて、といっても来るのは健康志向の老人ぐらいのものなんですけど。その日も仕事のためにスイミングスクールに出勤したんです。それでロッカーで着替えていたら、急に左乳首が光り始めて。
SCP-2307-JP: 左乳首じゃねぇ!ジョン2だ!
ウィリアム氏: うるさいな!分かってるよ! [深呼吸] それで、こうやって急にちく……ジョンが話しかけてきたんです。その日は、とにかく仕事にならないと感じたので、仕事を早退しました。
ウィリアム氏: その後、何かの間違いだと思って4,5日家で様子を見ていたんですが、いつまで経っても一向に治らなくて。ついに我慢ができなくなって精神科に駆け込みました。
エリック研究員: それで我々の知るところになったというわけですね。ええと、ジョンさん。今の話に間違いはありませんか?
SCP-2307-JP: コイツがバカみたいに狼狽えてたところが抜けてるな。
エリック研究員: [咳払い] 大筋では問題ありませんか?
SCP-2307-JP: まぁ、いいんじゃねぇの。
エリック研究員: では、次にあなたにお伺いします。なぜ自分がウィリアムさんの……左乳首に発生したかということについて心当たりはありますか?
SCP-2307-JP: ないね。アンタは自分がクソ田舎町で生まれた理由を説明できんのか?
エリック研究員: いいえ。
SCP-2307-JP: だろうさ。アンタが都会のまともな両親から生まれることを選べなかったように、俺も発生する乳首を選べなかったんだ。
ウィリアム氏: ジョン!やめてくれ!どうして君はいつもこうなんだ!野蛮で粗暴、うんざりする!
SCP-2307-JP: [舌打ち] じゃあこうしてやろうか? [裏声で] こんにちは!私ニッピィ!可愛い可愛い乳首の妖精よ!今からあなたの乳首を誰もが振り向くキュートでセクシーな乳首にオシャレさせてあげる!──こうか!?確かにな!俺もブロンド女の乳首に生まれてみたかったよ!眼鏡のオタク野郎!
エリック研究員: まぁまぁ、落ち着いてください……
SCP-2307-JP: お前みたいなもじゃもじゃ頭のクソナードな乳首でさえなけりゃ、俺は今頃カワイ子ちゃんと"ニャンニャン"して遊ぶ毎日だったろうに!
ウィリアム氏: もううんざりだ!こうしてやる!
[ウィリアム氏がSCP-2307-JPをつねり上げる]
SCP-2307-JP: [悲鳴] 人前で乳首をイジメるな!この変態露出狂!
[記録終了]
上記のインタビューから記されるように、SCP-2307-JPは不明な原理により発声する手段を得ています。これらの現象について、財団は既知の科学的な説明を得ることができませんでした。
SCP-2307-JP、及びウィリアム氏に行われたインタビューからは異常性の発生における由来を特定することができませんでした。ウィリアム氏の身辺調査から異常技術に関連する人物は発見されておらず、SCP-2307-JPの発生は統計的に偶然であることが示唆されています。
SCP-2307-JPの組成は一般的な乳首と同様であり、乳頭から生えている産毛のDNAからはウィリアム氏と同一のもの検出されています。にもかかわらず、SCP-2307-JPは破壊耐性を有しており、最大███ Nまでの圧力や、そのほか様々な実験に対しての完全な耐性を示しています。ウィリアム氏は実験に対してSCP-2307-JPの受けた感覚を共有しておらず、伸長実験でSCP-2307-JPの周囲の皮膚が同時に引き伸ばされたことによる副次的な痛みを訴えるのみにとどまりました。
財団はSCP-2307-JPへのインタビューや実験から新たな情報は得られないと結論付けました。SCP-2307-JPの収容に関して、SCP-2307-JPを切除することでウィリアム氏とSCP-2307-JPを分離して収容する案も提示されましたが、これは却下されました。この方法ではウィリアム氏を異常性を持たない個人として収容を解除することができることがメリットでしたが、SCP-2307-JPを切除した場合に異常性が失われる可能性が指摘され、実現には至りませんでした。最終的に、ウィリアム氏をサイト-81█の清掃員として正規雇用し、財団敷地内に居住させることで、SCP-2307-JPの収容がなされています。収容に伴う措置として、SCP-2307-JPとウィリアム氏には録音機の所持が義務付けられています。会話の内容はAICが収集を行い、重要度が高いと判断されたもの以外は一般職員には開示されません。
経過観察記録
下記セクションはSCP-2307-JP及びウィリアム氏の言動について抜粋したものです。記録はAICによって選別されています。
映像記録2307-JP.4
[記録開始]
ウィリアム氏: や、やぁメリー。
メリー清掃員3: あらウィリアム。今日も清掃?
ウィリアム氏: ああ。奇遇だね。
メリー清掃員: 奇遇って、いつも同じ場所しか清掃してないじゃない。
ウィリアム氏: 確かにそうかも。
SCP-2307-JP: お前は本当にヘタクソだな!
ウィリアム氏: バカ!彼女の前では喋るなって言っただろ!
メリー清掃員: どうかした?
ウィリアム氏: い、いや。なんでも。
SCP-2307-JP: お、彼女髪を切ったみたいだぜ。
ウィリアム氏: 髪?ええと……髪型、似合ってるね。
メリー清掃員: あら、気づいた?
SCP-2307-JP: イヤリングも変えてるんじゃないか?
ウィリアム氏: あとそのイヤリングも。
メリー清掃員: ホント?うれしいわ。
ウィリアム氏: そうそう!よく似合ってる。その……今日の洋服に!
メリー清掃員: 洋服?いつもと同じただの清掃服だけど……
ウィリアム氏: 似合ってるよ!それ以外じゃもう考えられないね!
メリー清掃員: そう……
ウィリアム氏: それでその、今度の日曜日とか……
メリー清掃員: あら?ごめんなさい!もう持ち場を移動しないといけない時間だわ!
ウィリアム氏: あっ。
メリー清掃員: それじゃあまた明日!
SCP-2307-JP: 残念、振られちまったな。
ウィリアム氏: [沈黙]
SCP-2307-JP: ウィリアム?
ウィリアム氏: また明日だって!すごい進展だ!
SCP-2307-JP: [溜息] 本気かよ。
[記録終了]
ウィリアム氏の勤務態度は良好と判断されており、サイトに勤務する職員からは概ね高い評価を得ています。SCP-2307-JPの存在については異常性の危険度が十分に低いこともあり、収容にかかわる職員、サイト役職者以外には開示されていません。ただし、収容プロトコルではウィリアム氏が自発的にSCP-2307-JPを開示することを妨げてはいません。
映像記録2307-JP.6
[記録開始]
メリー清掃員: それじゃあ、また明日。
ウィリアム氏: う、うん。また明日。
[メリー清掃員がウィリアム氏から離れていく]
SCP-2307-JP: ……おい
[ウィリアム氏が手を振り続けている]
SCP-2307-JP: おいったら!
ウィリアム氏: うわ!びっくりした!どうしたんだよ。今日は珍しく静かにしてると思ったら。
SCP-2307-JP: 俺が空気を読んで黙っててやったんだろうが!それよりなんだよ今のは。
ウィリアム氏: い、今のって……
SCP-2307-JP: クソみたいな会話のことだよ!なんだ?オウムみたいに相手の言うことを繰り返したと思ったら明後日の方向の返事をしやがって。鳥はそうやって求愛するのか?知らなかったぜ。
ウィリアム氏: う、うるさいな!僕の勝手だろ!
SCP-2307-JP: そうとも!どれだけ乳首が辟易していたとしても持ち主の勝手さ!俺が望んでお前の乳首になったわけではないとしても!
ウィリアム氏: 僕だって僕の乳首になってくれなんて頼んだ覚えはない!
SCP-2307-JP: その通りだ!しかし俺たちは一心同体!お前がしわくちゃの孤独な老人になってもくすんだ黒乳首と仲良くするんだ!
ウィリアム氏: 黙れ!
[ウィリアム氏がSCP-2307-JPを抓り上げる]
SCP-2307-JP: クソ!乳首虐待の現行犯だ!誰か捕まえてくれ!
アムス研究員: どうかされましたか!?何やら大声をあげていましたが……
SCP-2307-JP: 誰だこのクソモブ!とっとと失せろ!
アムス研究員: は、はぁ…… [小声で] 1人で喧嘩してるのか?
[叫び声に気が付いたアムス研究員がウィリアム氏に近づくものの、SCP-2307-JPに怒鳴られその場を後にする]
[ウィリアム氏とSCP-2307-JPの荒い呼吸音が記録される]
SCP-2307-JP: ……場所を変えるぞ。また誰かが不審がる。
ウィリアム氏: ……自分ひとりじゃどこにも行けない癖に。
[ウィリアム氏がサイトの男子トイレに移動する]
[2分程度の沈黙が記録される]
SCP-2307-JP: おい、いつまでこうしてんだよ。
ウィリアム氏: いいだろ、いつまでだって。
SCP-2307-JP: ふん、サボり野郎め。
[15秒の沈黙が記録される]
SCP-2307-JP: なぁ、本当のところを言えよ。お前はどうしたいんだ?
ウィリアム氏: どうって……僕はどうもしないよ。今のままで十分さ。彼女とたまにお喋りできれば、それでいい。彼女はかわいいし、優しいし、いい子だ。僕には不釣り合いだよ。このぐらいがちょうどいいんだ。だから……
SCP-2307-JP: だから!俺は彼女と"どうしたいか"って聞いてんだよ!何が適当か、お前の身の丈かじゃなく!
ウィリアム氏: どうしたいか……
SCP-2307-JP: そうだ。言っちまうがお前の身の丈なんて乳首の俺よりずっと低い。身の丈ってんならお前があんなカワイ子ちゃんとお話しすることすら傲慢だぜ。そのうえで、お前はあの女とどうしたいかって聞いてんだ。
ウィリアム氏: 僕は……
ウィリアム氏: 僕は、もっとあの子とお喋りがしたい。
SCP-2307-JP: それで?
ウィリアム氏: 仕事中だけじゃなくて、もっと会いたい。休みの日に会ったりしたい。一緒にご飯を食べたりしたい。それから……
SCP-2307-JP: それからお前は、セックスがしたい!
ウィリアム氏: 不真面目だ!君はいつもそうだ!
SCP-2307-JP: 不真面目だと!?付き合ったカップルがセックスしないでどうするってんだ!?手をつないでキスをして一緒のベットで寝たら次の日に動物園にコウノトリでも見に行くってのか?俺は不健全ではあるが不真面目だったことはないぞ!不真面目なのは本当にやりたいことを棚上げにしてるお前のことだ!もう一度聞くぞ!お前は彼女と何がしたい!
ウィリアム氏: 僕は……その、彼女と"ニャンニャン"したい。
SCP-2307-JP: よぉし!オタク感たっぷりの情けない返事だが、今日はこのあたりで勘弁してやろう!そうと決まればケツを拭いてさっさと始めるぞ!
ウィリアム氏: サボっちゃった分の清掃を?
SCP-2307-JP: マヌケ!"イカす"男になる特訓をはじめんだよ!
[記録終了]
当該記録後、ウィリアム氏とSCP-2307-JPの関係は良好になったと報告されています。また、ウィリアム氏の立ち振る舞いにも変化が見られました。以前から周囲の人物はウィリアム氏を好意的に評価していましたが、多くのサイト職員は「より社交的で親しみやすい性格になった」と評価しています。
映像記録2307-JP.8
[記録開始]
ウィリアム氏: どうしようジョン!彼女「明日一緒に私の部屋でNETFLIXでも見ない?」って誘われちゃったよ!でも同泊申請なんて通るかな……
SCP-2307-JP: もう俺がもらっちまったよ!それよりお前はいい加減そのしょぼくれた見た目を何とかしろ!
ウィリアム氏: ど、どこをどうすればいい?
SCP-2307-JP: まずはその芋虫みたいな眉毛を整えることだな。そっちの引き出しに備え付けの衛生用品が入ってるだろ。
ウィリアム氏: あ、ホントだ。
SCP-2307-JP: そうだ。埃まみれの袋を開けろ。使い方は俺がレクチャーしてやる。それとボサボサの髪型を何とかしろ。ワックスは持ってるか?
ウィリアム氏: ない。大丈夫?おばあちゃんが気化したワックスは体にすごく悪いって……
SCP-2307-JP: クソナチュラリストが!今すぐ売店に駆け込んで来い!俺が正しい使い方を教えてやる!
[その後、数時間にわたりウィリアム氏の容姿に対する指導がSCP-2307-JPにより行われる]
ウィリアム氏: こ、こう?
SCP-2307-JP: そうそう、ワックスを髪に揉みこんで……頭皮には付けるなよ。
ウィリアム氏: こ、こんな感じ?
SCP-2307-JP: フーム……ま、いいだろ。マシってところだがな。いいか?クセ毛ってのは別に罪じゃない 。行く先さえ決めてやれば一つの個性になる。おい、そういえばクローゼットにはどんな服がある?作業着じゃないぞ。お前の私服だ。
[ウィリアム氏がクローゼットを開ける]
SCP-2307-JP: ファック!クソダセぇボーダーばっかり集めやがって!
ウィリアム氏: そ、そうかな。カラフルでオシャレだと思うんだけど……
SCP-2307-JP: お前の思い人がオシャレ好きのシマウマならそうだろうな!サバンナで研究者をやるのが夢だとはついぞ知らなかった!
ウィリアム氏: ど、どうしよう。今からでも服を買いに行って……
SCP-2307-JP: そうしよう!そしてお前はこうやって独り言を言うんだ!「ねぇ、乳首、どんな服がオシャレだと思う?」って!
ウィリアム氏: その時は小声で言うよ……
SCP-2307-JP: [舌打ち] ジョークだよ。乳首のあるじ様。任せとけ。俺がこの中から最高にマシなコーディネートを組んでやる。
[SCP-2307-JPがウィリアム氏に指示をして、いくつかの衣服を取り出させる]
SCP-2307-JP: そうだ、あとは服の袖を捲って……
ウィリアム氏: 暑いなら半袖のシャツを着たほうがいいんじゃ?
SCP-2307-JP: 特大ドアホ!これがオシャレの一工夫ってやつなんだよ!
ウィリアム氏: そうなのかなぁ……
SCP-2307-JP: わかったらそのスヌーピーのTシャツからさっさと手を放せ!
[ウィリアム氏が持っているTシャツをクローゼットに戻す]
SCP-2307-JP: もう一度鏡の前に戻って見せてみろ……ふむ、うん、うん。まぁ……いいんじゃねぇの。イカしてるぜ。すくなくとも出会った時のくしゃくしゃの子猫みたいなお前よりはずっとマシだぜ。そうだ。途中も言ったが、肌の保湿を始めろよ。男の肌がガサガサでも許されたのはリンカーンが大統領になるまでだ。
ウィリアム氏: わ、分かった。
SCP-2307-JP: それと、今度の休日にこの独房みたいな部屋を何とかするぞ。残念ながらこの施設には刑期短縮なんてすばらしい概念はないようだからな。彼女を連れ込みたいなら、アロマの一つでも置いておいたほうがいい。
ウィリアム氏: 明日の会話の切り出しはどうしたらいいかな?女の子とデートしたことなんてないし不安だよ。
SCP-2307-JP: それくらい自分で考えな!いつまでも乳首に頼ってるんじゃ情けねぇからな。
SCP-2307-JP: ま、本当にどうしようもなくなったら俺様を頼りな。ピロートークには自信があるんだ。乳首だけにな。
[記録終了]
それから約8か月間にわたり、メリー氏とウィリアム氏の交際は続けられました。2人の交際関係について問題行動は特に認められず、むしろ勤務態度の向上が見られました。多くのサイト関係者はこれら2人の行動を好意的に受け入れていましたが、財団上層部ではオブジェクト及びその所有者の深い交流は意図しない未知の異常性の発現を引き起こす可能性があるとして、この行動を注視していました。
2024/08/07、メリー氏とウィリアム氏の両名により管理部に婚姻届提出の申請がなされました。サイト-81█はこの申請を受理しましたが、財団上層部がこれを問題視し、ウィリアム氏の収容サイトの移送が決定されました。ウィリアム氏はこれを受け入れたものの、SCP-2307-JPが強い反発を見せ、ウィリアム氏の一時的なサイト内隔離を条件として移送計画は延期されました。
映像記録2307-JP.10
[記録開始]
SCP-2307-JP: もういっぺん言ってみろクソ研究者!
エリック研究員: ですから収容対象同士の結婚は認められないと……
SCP-2307-JP: 交際は認めたが結婚は認めないだと?モンタナの田舎親父でももう少しまっとうな判断をするぞ!
ウィリアム氏: ジョン。良いんだ。僕は彼女と一緒にいられただけで幸せだったんだから……
SCP-2307-JP: 分別のついた大人と大人が結婚して何が悪い!科学者の癖して敬虔なシスターでも育ててるつもりか?
ウィリアム氏: ジョン……
SCP-2307-JP: お前らの信念は何だ?……ああ、そうそう!"財団はスケベだがむっつりスケベではない"だったか!クソみたいな詭弁を振り回すならこっちも……
ウィリアム氏: ジョン!いい加減に黙ってくれ!
SCP-2307-JP: おお失敬!いつまでも鳥の巣みたいな頭をしていたから俺の主は口のない一本の枯れ木かといっつも勘違いしてしまうんだ!許しておくれ、虫食いの街路樹!
ウィリアム氏: うるさい! [深呼吸] 僕は本当に満足してるんだ。確かに、ここは外みたいに娯楽は少ないけど、みんなよくしてくれているし、愛する人もできた。そりゃ彼女と結婚式を挙げられないのはとても残念だけど、そもそも僕にはよくできた夢みたいなものだったんだ……
SCP-2307-JP: おお気弱な街路樹よ!残念ながら俺は人権をゲロマズい三食のサラダと引き換えに売り渡したクソ馬鹿のために戦っているのではないのだよ!ただ俺は俺のために清き戦いを続けているに過ぎない!
ウィリアム氏: 自分のため?それが何だっていうんだ!初めならいざ知らず、もう君は拷問じみた耐久実験とやらなんて受けてないだろう!
SCP-2307-JP: そんなことは問題じゃない!こいつは俺がいるからお前の結婚は認められないと言ったんだ!俺はそれに怒ってる!
ウィリアム氏: だから僕はそれに納得してる!
SCP-2307-JP: そうか!だが俺は知ったこっちゃない!お前がその鳥の巣頭に何匹の雌鳥を連れ込んでようと俺は知ったこっちゃないんだ!だが、俺がいるからお前が結婚できないなんてのは許せない!
SCP-2307-JP: だってそうだろう?それは……なんと恐ろしい乳首差別なのか!
エリック研究員: さ、差別?
SCP-2307-JP: そうだ!お前たちはこう言ってるんだぞ!この乳首が邪悪だから権利が認められないと!なんて恐ろしい!まるで俺の父親みたいだ!俺の父親は黒人の血が混ざっていると迫害され生涯童貞のまま死んでいったんだ……
エリック研究員: それは話が矛盾しているのでは……
SCP-2307-JP: なんだ!?乳首の口まで塞ごうって言うのか!?出る乳首は抓られるとはよく言ったものだぜ!
エリック研究員: そうではありません。我々もこの件については、現在上級部署と話し合いを続けているところです。
SCP-2307-JP: おお!懐かしい回答だ!俺も昔そうやって役所で言われたことがある!その時は住民課から納税課に回され、納税課から法務課に回され、法務課から住民課へと楽しいメリーゴーラウンドだった!失業したらいい職場を紹介してやるよ!
ウィリアム氏: ジョン、君の気持ちはうれしいよ。でもそういうのは……
SCP-2307-JP: とにかく!差別主義者じゃないって言いたいならさっさと持って来い!その……"色っぽい返事4"って奴を!
[記録終了]
2024/12/12、度重なる検討を重ね、最終的にウィリアム氏とメリー氏の婚姻届は受理されました。検討の過程でオブジェクトの異常性をより詳細に把握するため、SCP-2307-JPへの追加実験が行われましたが、意外にもSCP-2307-JPはこれを受け入れました。最終的にウィリアム氏の結婚の認可はSCP-2307-JPの異常性変容を引き起こす大きなリスクはなく、財団の実験や、日常生活で発生するいくつかのイベントと同程度であるとの見解が提出されました。
サイト-81█の管理部はこの見解を受け、倫理委員会に両氏の結婚に関する嘆願書を提出しました。この嘆願書にはサイト-81█に所属する職員の署名も併せて提出されています。倫理委員会は最終的に研究職の異常性を有した職員間での結婚の前例があることから、職員は職位に関わらず、危険性が認められない範囲内での権利の行使には制限を設けるべきではないとの声明を発表しました。これにより、両氏の結婚は認められました。
現在、ウィリアム氏とメリー氏の結婚は、財団によるオブジェクト及びオブジェクト所有者同士の交流のモデルケースとして認知されています。
補遺: 2025/1/24にSCP-2307-JPがウィリアム氏の左胸から消失しました。以下はその際の映像記録です。
映像記録2307-JP.12
[映像は消失の途中から撮影されている。清掃業務に従事していたウィリアム氏がSCP-2307-JPが突如発光したことを近くの職員に報告したために映像が記録された]
[上半身裸のウィリアム氏と発光するSCP-2307-JPが画面に収められる]
ウィリアム氏: どうしたんだよジョン!
SCP-2307-JP: 見りゃわかんだろ。お別れさ。
ウィリアム氏: なんで!
SCP-2307-JP: きっと俺の役目はお前みたいなモテない男を変えることだったのさ。最高のキューピッドだったろ?俺は。
[SCP-2307-JPの発光がより一層強くなる。カメラの画面はウィリアム氏の左胸を拡大する]
ウィリアム氏: 行かないでくれよ……僕はまだ……
SCP-2307-JP: 駄目だぜ、相棒。俺がいたらお前の弱みになっちまう。乳首が弱点なんて、男として恥ずかしいからな。
[SCP-2307-JP全体が光り、光の粒となって崩れ始める。カメラはさらにウィリアム氏の左胸を拡大する]
ウィリアム氏: 待ってくれジョン!ジョン!
SCP-2307-JP: 彼女を幸せにするんだぜ。相棒。
ウィリアム氏: ジョン!
[SCP-2307-JPの発光が終わる。その様子を見届けたウィリアム氏は膝をつき、涙を流す]
[撮影を行っていた職員がウィリアム氏に駆け寄る。背中をさすっている手が映る]
[何かに気が付いた様子のウィリアム氏が左胸を触り、悲鳴を上げる]
ウィリアム氏: ファッキン俺の左乳首がなくなっちまった!
03:43 カメラの画面が左乳首の消失したウィリアム氏の左胸を映し出す。
[記録終了]
映像記録の後、近くにいた職員によってSCP-2307-JPがウィリアム氏から消失していることが確認されました。それに伴い、ウィリアム氏の左胸からは乳首そのものが消失しています。のちの検査からは左乳首が存在した痕跡そのものが発見されませんでした。SCP-2307-JPの無力化はサイト上層部による、ウィリアム氏とメリー氏の婚姻の申請とほぼ同時であったことがわかっています。
補遺2: 婚姻の申請の承認から一か月後、ウィリアム氏とメリー氏は正式に結婚しました。簡易的なものではありますが、結婚式は両氏の同僚を招き、サイト-81█のカフェテリアを貸し切って行われました。両氏の異常性消失に伴い、財団は一般社会への解放を提案しましたが、財団内の出来事に関する記憶処理が不可欠なため、両氏はこれを拒みました。現在、両氏は収容を解かれ、一般的な財団職員として雇用されています。
SCP-2307-JPの消失について、財団はメリー氏の結婚が引き金になった可能性について指摘しました。しかし、これまでの映像分析や形式部門による考察により、オブジェクト同士の交流が原因ではなく、ウィリアム氏の心情変化や生活環境、人間関係の変化が最も大きな原因であると現在では考えられています。倫理委員会はインシデントについて「オブジェクトの消失は研究内容からは予測しがたく、結婚による消失のリスクはウィリアム氏及びメリー氏の行動を制限する合理的な理由とは認められなかった」との結論を出しました。
両氏には定期的なカウンセリングが行われています。ともに精神状態は良好で、財団は最終的にこれらの措置も必要なくなると考えています。
音声記録_ウィリアム・ロバート
インタビュアー: ショルツ心理療法士
対象: ウィリアム・ロバート
付記: ウィリアム氏の結婚から1度目のカウンセリング音声です。
[記録開始]
ショルツ心理療法士: それでは始めましょうか。ウィリアムさん。
ウィリアム氏: はい、よろしくお願いします。
ショルツ心理療法士: ではまず……まぁ、大きな出来事から行きましょうか。どうですか?結婚生活は。
ウィリアム氏: 順風満帆ですよ。僕にはよくできた女性だなと、いつもそう思っています。
[重要度が低いため、中略]
ショルツ心理療法士: では……次にSCP-2307-JP、失礼、ジョンさんのことですが。
ウィリアム氏: ええ……
ショルツ心理療法士: 長い時間を共にした、友人……パートナー?ともかく、何時もあなたのそばにいた存在を失ったわけですが、このことについて、何か不安などはありませんか?
ウィリアム氏: ええと……そうですね。ジョンは……アイツは悪いやつでした。口を開けば罵声ばかり。よく言い合いをしていました。ただ……僕には友人がいなかったから、学生時代とかに友人がいたとすれば、きっとそんな奴だったのかなと。そんな風に思えないこともないですね。ははは、まぁ、友人を選べる立場なら、あんな粗暴な奴、きっと仲良くならなかったでしょうけど。[ショルツ心理療法士が頷く]
ウィリアム氏: ジョンは……僕に多くのものをもたらしてくれました。オシャレ、人との話し方、そして妻を。そんなアイツに、僕は何もしてやれなかったなと、いまさらになってそう思う時があります。ジョンは僕を自由にしてくれたけど、僕はアイツに負担を強いてばかりだった。
ショルツ心理療法士: それは……まぁ乳首だから、そうでしょうね。
ウィリアム氏: だから……これは願望みたいなものなんですけど、あいつが自由な場所がどこかにあればいいなと。もっと自由で、気ままにふるまえる場所に……そうそう、かわいい金髪の子の乳首になりたいなんて言ってましたね。そうであればいいな。ショルツ心理療法士: そうですね……それは、難しいかもしれませんね。財団は異常を収容することが仕事ですから。
ウィリアム氏: ははは、まぁ、単なる願望ですよ。気にしないでください。ただアイツが自由にやれてればいいなと。誰の邪魔も入らない場所で、ジョンはカワイ子ちゃんと……そう、"ニャンニャン"やるんだ。[ショルツ心理療法士が時計を確認する]
ショルツ心理療法士: オーケイ、今のは聞かなかったことにしましょう。収容違反の話は提出すると上が嫌な顔をしますから。そろそろ終わりの時間ですが、何かありますか?
ウィリアム氏: ええと……ちょっと言いにくいことなんですが、その……ショルツ心理療法士: なんでもどうぞ。
ウィリアム氏: えっと、プライベートな話でよくないのは分かっているんですが……そのですね、彼女と、先日、初夜だったんですけど……ショルツ心理療法士: ……あまり思い悩まないでください。財団には確かな医療技術があります。EDは恥じることではありませんよ。
ウィリアム氏: 違くて……それは問題なかったんですが、その、プライベートというのは主に彼女のことなんですが……その……ウィリアム氏: 彼女、右乳首がなくて、これはどういうことなんでしょう。僕は気にしないよって言ったんですが、もしかして大きな病気でもして切除したのかなって。彼女のプライベートの話だからこうやって人に聞くべきではないと思うんですが、とても心配で……
[記録終了]
インタビューの終了から3日後、財団の自動走査式WebクローラにSCP-2307-JPに関連する可能性のある投稿が発見されました。投稿にはSCP-2307-JPがサイト外で再発生したことが示唆されています。以下はその内容です。

ISABELLA @ISAAABELLLA
どういうこと!?乳首が喋ってる!?
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ISABELLA @ISAAABELLLA
私は薬なんてやってない!
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ISABELLA @ISAAABELLLA
ああもう!喋らないで!音声入力が滅茶苦茶に!
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ISABELLA @ISAAABELLLA
よお相棒!俺は楽しくやってるぜ!もちろん右のカワイ子ちゃんとも一緒にな!
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該当アカウントは上記発信後、削除されました。財団では、該当アカウントがSCP-2307-JP及び同時に消失したSCP-3N93-JP5に関連する可能性があるとして調査を行っています。









