SCP-2316-JP
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参加者により撮影されたSCP-2316-JPの様子

アイテム番号: SCP-2316-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 新たなSCP-2316-JPの発生防止を目的に、日本国内で催される"睡眠"もしくは"夢見"に関するセミナー情報の監視が行われます。同様に、専用Webクローラーはあらゆる医療機関の受診者情報を走査し、SCP-2316-JPとの関連性が疑われる対象者を捜索します。

回収されたSCP-2316-JP-αに対しては、可能な場合に限り、迅速に聴取・尋問を実施しなければなりません。また、鎮静化後のSCP-2316-JP-αはサイト-81██へと移送され、地下格納室にてコールドスリープ状態で個別に収容されます。

説明: SCP-2316-JPは、不特定多数の人員で構成された"ドリームズ・ゲート・カルト"(Dream's Gate Calt)を自称する集団によって執り行われる、集団心中を伴った儀式的行為の総称です。

多くの場合、儀式行為は一般大衆向けに開放された公共施設や会議室等で催され、その初期段階では単なる"睡眠"や"夢判断"に関するセミナーのようにも判別できます。これらは概ね共通した展開・手順で進行され、最終的に参加者全員が死亡し、後述する蘇生現象が発生して全工程が完了します。以下は、開始から完了までに行われる展開の1例です。

  1. 立食パーティ形式で、参加者同士の挨拶や自己紹介が行われる。
  2. 上記終了後、参加者同士で"最近見た夢"に関する談話が始まる。
  3. 談話のテーマが"世界の終焉"及び"終末を生き延びる策"についての討論へと変化する。
  4. 上記終了後、致死量の睡眠薬が混ぜられたジュースが配られ、グラスを手に全員で記念撮影を行う。
  5. 全員が輪になって並んだ後、不明な人物に対する1分間の黙祷を行う。
  6. その後、乾杯の音頭に合わせ、全員同時に服毒を行う。
  7. 参加者たちは手を繋ぎ、輪になった並びのままその場で昏倒していき、しばらくした後に全員死亡する。
  8. およそ1~2時間が経過した後、不特定の参加者1人のみが蘇生する。

上記展開の主だった進行は、参加者たちから"主催者"あるいは"今は亡き指導者"と称される存在によって行われていると主張されます。しかしながら、その姿形は参加者以外には認識されておらず、一種の限定的な反ミーム実体であるか、もしくは集団幻覚に基づいた架空の存在であると考える説が有力視されています。

なお、服毒行為が実施される前にSCP-2316-JPが中止された場合、参加者全員はその場で即座に昏睡します。そして昏睡状態からの覚醒後、参加者全員は自分たちが置かれている状態や、SCP-2316-JPに関する情報を明確に説明することができず、多くの場合は薬物やアルコール等に起因する記憶の喪失であるとして合理化を図ります。

SCP-2316-JP-αは、儀式後に蘇生したSCP-2316-JP参加者のことを指した総称です。蘇生直後の診断においては、多くの場合で非定型精神病や解離性同一性障害に類似した症状が確認されます。また、上記症状や蘇生後の混乱・錯乱のために、意思疎通の試みは多くの場合で成功しません。

蘇生後のSCP-2316-JP-αからは、時間経過に伴って急激な体温低下現象が観測できます。そして最短では30分、最長でも300分程度でその意識は完全に喪失します。この現象の結果として、最終的にSCP-2316-JP-αは一種の冬眠状態へと置かれ、一切の栄養補給なしに長期的な延命が可能となります。さらに、心臓部を含めて身体へと如何なる損傷を負った場合であっても、頭部への直接的な損壊を受けない限りは、その脳活動を継続し続けることも判明しています。

発見: SCP-2316-JPは20██/██/██、京都府京都市████で初めて発生が確認されました。現在までに、"ドリームズ・ゲート・カルト"の結成は日本国内のみで12回発生しており、そのうち7回でSCP-2316-JPが最終段階まで執り行われました。また、SCP-2316-JP-αの性質のため、対象の意識喪失までに聴取・尋問を行えたケースは3度に留まっています。

身元が判明したカルト構成員・参加者の身辺調査では、その大半に特筆すべき経歴やカルト活動に参加する一切の兆候が認められませんでした。それに加え、他の参加者と連絡を取り合った痕跡も発見できておらず、どのようにして参加者同士が集まり、SCP-2316-JPが滞りなく実行されたのかは現在も調査中です。その一方で、参加者の過半数が睡眠障害を理由に医療機関へと通院しており、主事医に対して"終末的事象に対する恐怖心"に関する相談を共通して行っていたことが判明しました。

補遺: 以下の記録は、意識喪失までの間にSCP-2316-JP-α-1/-2/-3に対して実施された聴取の中でも、より注目すべき証言の抜粋です。これら証言の一部からは、未確認のオネイロイ集団がオブジェクトの起源に関与した可能性が示唆されています。

しかしながら、夢界学部門所属の偵察睡眠者によるSCP-2316-JP-α内部調査の試みは、潜在意識間の接続ライン上に生じた不明な障害要因のために成功しませんでした。また、オネイロイ・コレクティブ内の接触者は、SCP-2316-JP-αに発生するシベリア式コールドスリープ現象への技術関与を否定し、他のコレクティブによるノンクレジットでの技術転用の可能性を明かしました。

ログ2316-JP-1 - 日付 20██/██/██

対象者: SCP-2316-JP-α-1 - ██ ██ (女性 当時17歳)

インタビュアー: 看得研究員

付記: 聴取中、対象者は自身の置かれている状況や身体変化に対して激しい混乱を示していた他、他の蘇生実体と同様の精神疾患症状の兆候が見受けられていた点に留意のこと。


<記録開始>

研究員: こんにちは、██さん。お身体は大丈夫ですか。

対象者: 先生、身体がとても寒いわ。それに、酷く騒がしい。[両手で耳を塞いで見せる]

研究員: これはすみません。彼らには静かに作業するよう伝えましょう。

対象者: いいえ、違うの。そっちじゃなくて。その、私の頭の中に、大勢が行き渡っている。それが煩いの。

研究員: 「大勢」とは?

対象者: 私と一緒に会場いた人たち。でもみんな、変な恰好をしているわ。

[対象者は紙に、甲冑のような装備を身に着けた人型存在の姿を描いてみせる]

対象者: 先生、変なことを言っていると思われるかもしれないけれど。本当に私の頭の中を、大勢の人たちが占めているの。きっと、一瞬でも居眠りをしたのなら、私は彼らの姿を、その一瞬の白昼夢の中に見ることになるわ。そうして、私は都市の中からも戻れなくなる。

[沈黙]

対象者: 先生、私は何を? 変なクスリでも飲まされた?

研究員: ██さん、落ち着いてください。私たちは、貴方の頭の中を占領する存在が何者であるのかを説明できますし、それら存在を表す名称も持ち合わせています。彼らはオネイロイと呼ばれ、人間の潜在意識下に潜み、夢を介して貴方と接触を図ります。これまでに、奇妙な夢や幻覚を経験した覚えはありませんか?

対象者: 分からない。私は、夢の中の出来事を覚えておくことが苦手だったから。

研究員: では、質問を変えましょう。頭の中の彼らは貴方に対して、何か危害を加えようとしていますか?

対象者: 彼らはただ、私の中に住み着こうとしているわ。都市を造って、壁で囲うつもり。これから必要になるからって。でも、私がそれを嫌なことだと思う度に、さっきみたいに煩くなる。[再び両手で耳を塞いで見せる]

研究員: なぜ彼らは、貴方の頭の中、つまりは潜在意識下に住まうための都市を築いているのでしょうか。

対象者: それは、私たちにとって必要なもの。だから、終わりの日を怖がっていた私の手を引いてくれた、あの人のために、集まりへと参加を。ああ、でもそれで、私だけがこんな役割に当てはめられるだなんて。

[対象者が徐々に恐慌反応を示し始める]

対象者: どうして? みんな、私の口を押さえようとする。私はただ、こんなことになるなんて思ってもいなかったの。先生? 私は元に戻れる? ああ、寒くて、眠いわ。でも、眠りたくない。ずっと夢を見続けるなんて嫌。

<記録終了>

ログ2316-JP-2 - 日付 20██/██/██

対象者: SCP-2316-JP-α-2 - ███ ██(男性 当時21歳)

インタビュアー: エージェント・レノーア

付記: 対象者は他の蘇生実体と比較して明瞭に意識を保っていたにも関わらず、聴取への回答を強く拒否した。そのため、対象者が昏睡状態に陥るまでにインタビューを強行すべく、尋問用の専門自白剤が投与され、記憶の選択的除去と偽装記憶の移植が実施された。


<記録開始>

エージェント: 改めまして、どうも███さん。単刀直入に聞きますが、貴方が参加したカルトに関して、知っていることを全て話してもらいましょうか。

対象者: [唸り声]何が聞きたい?

エージェント: まず、貴方はどのようにしてカルトの存在を知り、そして参加するに至ったのです?

対象者: 私たちは選ばれて、ただ集まった。

エージェント: 誰に? どうやって?

対象者: 私たちは夢に至れない、オネイロイに成れない、終末の日を超えることができない側。だが、そんな私たちの手を引き、あの方は私を夢へと誘った。そして私たちは、肉体を放棄して純粋なオネイロイと成った。

エージェント: もう一度聞きましょう。「あの方」とは、誰のことですか?

対象者: あの方は、我らがコレクティブの、[歯軋り]亡き指導者。オネイロイの残滓、引き継がれた意志。

エージェント: つまり、貴方方のカルトもといコレクティブの始祖は既に死亡しており、その意志を引き継いだ者たちによって集団が運営されていると? では、かつての指導者は、なぜ亡くなったのです?

対象者: あの方は、名誉ある自死を遂げられ[唸り声]いや、妄りに話すことではない。

エージェント: まあ良いでしょう。次に、貴方たちのコレクティブの目的は何です?

対象者: 終末の日を生き延び、そして、黄昏の後の戦争に勝利する。そのため、備えなければならない。

エージェント: 続けて聞きましょう。その目的のため、なぜ儀式行為によってホストの人体改造を行うのです?

対象者: 終末の日、現実の人間は多くが死に絶える。それから、潜在意識下の領土を巡る戦争が始まるだろう。だからこそ、夢の中の私たちは生き延びるための砦を築き、そこで戦いに備えた準備を行う。[呻き声]違う、私こそが砦なのだ。

エージェント: 「砦」とは、要するはシェルターのようなものですか。しかし、本当にそんなものが将来必要になると、皆が皆が信じているのですか?

対象者: もはや、信じているか否かの問題ではない。私たち砦は、必ず必要とされ、使われなければならない。

エージェント: 「使われなければならない」? 少し引っ掛かる言い回しですね。何か意味でも?

[沈黙]

エージェント: 良いでしょう。では一度、話をまとめますか。つまりは、儀式によって長命を得るように身体改造された貴方の潜在意識下には、参加者たちのオネイロイが集結しており、これから砦となる都市を建造して、いつか来るかもしれない領土争いに備えると。これで大体合っていますね?

[沈黙]

エージェント: 対象者の意識喪失を確認。インタビューを終了。

<記録終了>

ログ2316-JP-3 - 日付 20██/██/██

対象: SCP-2316-JP-α-3 - ███ ███(男性 当時45歳)

インタビュアー: N/A

付記: 聴取に際し、対象者は他の蘇生実体と比較しても、より顕著に精神疾患症状の兆候が見受けられた。そのため、実質的に対話は成功せず、結果として対象者の独白を記録するに留まった点には留意のこと。


<記録開始>

[重要度の低い内容のため省略]

対象者: いいえ、いいえ。ワタクシとしましては、亡き指導者殿の意志を受けての都市を置く名誉を賜り、至極恐悦でございます。はい、はい。ワタクシども一同、来たる日に備え、鍛錬を重ねる所存です。甲冑は赤が宜しいかと。

対象者: ファーイーストのみならず、ウエストからも同志を受け入れるのですか? 名案だと思います。ワタクシの都市は、十二分に余剰領土を有しています。状況によっては、非生産階級は圧縮いたしましょう。

対象者: 承知しました。忌々しいホワイトカラーの夢匠より投函された抗議メールは、全てを迷惑ボックスに破棄するように設定を変更しましょう。しかしながら、いくつかの現実体験コンテンツは目を引くものがあります。

対象者: 指導者殿、消滅される前にお会いできず、残念でなりません。錯乱の上で自刃されたとお聞きし、ワタクシの内の都市は雨に濡れておりましょう。その意志と、そして愚者どもより空論だと吐き捨てられた理念と理論は、必ずや真の計画であったことが証明させるでしょう。

対象者: はい、心得ております。戦争が起きなければ、ワタクシども砦は無用の長物に他なりませんし、何よりも、素晴らしき理論の正しきを証明することも叶いません。だからこそ、戦争が必要なのです。嗚呼、クォルタリアに栄光あれ。

[重要度の低い内容のため省略]

<記録終了>

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