SCP-2327-JP
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SCP-001

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アイテム番号: SCP-001

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-001-1は標準人型実体収容セルに収容されます。実験にはレベル4以上の職員3名の許可が必要とされます。

説明: SCP-001は、基底世界を包囲する様に存在している薄い膜状の空間異常です。SCP-001の外側を認識する事は不可能であり、またSCP-001の外側から帰還した生物は外側の環境について一切の記憶を有しません。カメラ等の記録装置も、SCP-001外部の環境を記録する事は不可能です。

SCP-001は一種の反認知的性質を有していると推測されており、通常SCP-001の存在が認識される事はありません。財団においてもSCP-001の発見は、超認知部門による反認知性オブジェクトの俯瞰的観察法が開発されるまでの間達成されていませんでした。

SCP-001は収容以前バスケットボールのプロプレイヤーとして活動していた、34歳のアメリカ人男性であるモリス・スノー(以降、SCP-001-1と呼称)を常に中心として存在しています。またSCP-001によって包囲される体積は、有限かつ一定です。このため基底世界の空間及び物質はSCP-001-1の移動に伴って度々SCP-001の外側に移動しますが、この事象による影響が社会に大きく影響を与えた事はありません。これが前述の反認知性質に付随する効果であるのかは不明です。

以下に、SCP-001関連実験の一覧を記載します。説明パラグラフにおいて記載された情報に関連する実験については、文書簡略化のため省略されます。


実験1


概要: SCP-001-1の移動により複数の指標用物質を約1時間SCP-001の外部に存在させ、回収後解析を行う。

結果: 異常な変質は確認されなかった。


実験2


概要: フランクリン定常時間溝内部にタイマーを設置し、SCP-001-1の移動によりこれらを約1時間SCP-001の外部に存在させる。回収後、タイマーの計測した時間からSCP-001外部の時流を測定する。

結果: タイマーはSCP-001外部にて一切の時間が経過していない事を示した。


実験3


概要: 対象となる物質に異常な因果律エネルギーを付加し、SCP-001-1の移動により約1時間SCP-001の外部に存在させる。回収後、因果律エネルギーの増減を調べる事により概念工学の観点から対象となる物質の変質を調査する。

結果: 実験の前後で因果律エネルギーのリセットが確認された。これはSCP-001外部において、物質が完全に再構築された事を示している。

実験2においてタイマーが時間を記録しなかった事を考慮すると、SCP-001外部において物質は実体として存在せず、内部に再侵入する際に再構築が行われていると推測される。


実験4


概要: 超認知部門の補助の元、SCP-001-1にSCP-001を認識させる。

結果: SCP-001-1はSCP-001に対する嫌悪感を示した。詳細は以下のインタビューを参照。

会話記録-1


██研究員: では、インタビューを開始します。SCP-001 ー あの壁を視認した際に、感じた事を詳細に話して下さい。

SCP-001-1: ええと、はい。あれ自体って言うよりかは、あれを見てしまった事に対して凄い嫌な感じがしました。

██研究員: もう少し詳しくいいですか?

SCP-001-1: 気持ちとしては「知りたくなかった」って言うか……そうですね、何か本当に直感的にあれについては知るべきじゃなかった、って気持ちが今もあります。

██研究員: それは純粋にあの壁自体に対して起こっている感情なのか、それともあの壁に付随する他の要素に対して起こっているものなのかは分かりますか?

SCP-001-1: うーん……すいません、自分ではよく。

██研究員: 分かりました。……ところで、今度あなたにはSCP-001の外へ出てもらおうと思います。

SCP-001-1: えっ。

██研究員: 今までの実験で外部に移動した物質が無事に戻って来なかった事はありません、安心して下さい。

SCP-001-1: いや、でも……

██研究員: どうされましたか?

SCP-001-1: ……どうしてもやらなければダメでしょうか。

██研究員: 何か懸念事項があるのであればお伝え下さい。

SCP-001-1: すいません、理由は分からないんですけど、今あの壁の外に出ろって言われた時凄い嫌な感じがして、さっき壁を見た時と似てるんですけど直感的にあれの向こうに行きたくないって気持ちが……具体的に何でって言われると困ってしまうんですけど。

██研究員: つまり嫌悪感は壁の向こう側に出る事に対しても存在すると……分かりました、それが聞けただけで十分です。

SCP-001-1: え、向こうに行かなくてもいいんですか?

██研究員: SCP-001はあなたを中心に移動しますから、現段階で我々があなたをあれの外に出す事は不可能です。嫌悪感についてより詳しく聞き出すために、率直に言えばカマをかけました。申し訳ないです。

SCP-001-1: 何だ……いや、いいですよ、別に気にしてません。

██研究員: ありがとうございます。では他に何もなければ、これでインタビューを終了しますね。

SCP-001-1: あの、これ後どのくらい続くんですか?そりゃこんな変なもの見た事ないし研究するのは分かるんですけど、早くクラブに戻りたいんですが……

インタビュアー: それについては申し訳ありません。一応クラブの方には話をしていますが、性質解明の後あなたとSCP-001の連動の解除に成功するまでは拘束が続く事になると思います。

SCP-001-1: ……協力はするので、出来るだけ早くお願いします。


実験5

概要: 睡眠下のSCP-001-1の精神に接触し、潜在意識にSCP-001に関連する情報が残留しているかを調査する。

接触の手段はSCP-001-1の深層意識への直接的なダイブであり、特殊部隊"ドリーマーズ"に所属する精神体エージェントによって実行される。

深層意識探査記録


エージェントが意識下へのダイブを行う。降下は順調に達成され、約20分後エージェントはSCP-001-1の深層意識に到達する。

SCP-001-1の深層意識は都会の街並みの様な形態を有しており、その外見は非常に華やかである。しかしエージェントが建物に接近して調査を行うと、それらは全てハリボテで形成されている事が明らかになる。

エージェントは意識の中心部に向かって約15分間移動を行い、やがて2体の人型実体に遭遇する ー 留意すべき点として、深層意識下に存在する夢界主のアバターは原則的に1体のみである。片方の人型実体は複数の装飾品を身に付け華美な服装をしているが、それらは建物と同様ハリボテで形成されている様に見える。もう一方の人型実体は総じてみすぼらしい外見をしており、うめきながら前述の人型実体に縋りついている。(以下、便宜的に前者を人型実体-A、後者を人型実体-Bと呼称する)

人型実体-A: お客?珍しいね。

エージェント: 勝手に入り込んで申し訳ありません、あなた方に少し聞きたい事があって来ました。

人型実体-A: 僕たちがそれに答える理由は?

エージェント: あの壁に対する研究が進めば、あなたの肉体をより早く開放する事が出来ます。

人型実体-A: ……分かった。[人型実体-Bを一瞥して] こいつはまともに答えられそうにないけど、僕で良ければ構わないよ。

エージェント: ありがとうございます。では始めにですが、何故この意識下にはアバターが2体存在するのですか?

人型実体-A: ん、普通1人しかいないものなのかい?

エージェント: 一般的には。

人型実体-A: ……まあ思い返してみれば、僕が生まれた時こいつは既に存在していたから、元々はこいつ1人だったのかもね。

エージェント: あなたが誕生した要因について、何か心当たりはありますか?

人型実体-A: ある。あるけど、それを言う事は出来ない。

エージェント: なぜでしょうか?

人型実体-A: 現実の僕がそれを認識する事に耐えられないからさ。口に出したら、無意識は自覚に変わるからね。

エージェント: それはあの壁と関係があるのですか?

人型実体-A: ……あるけど、これ以上は聞かないで欲しい。

エージェント: 分かりました。では、そこの彼はなぜあなたに縋りついているのですか?

人型実体-A: それは……[自身と人型実体-Bを見る] 僕の方が幸せだからだと思う。

エージェント: 失礼な事を言うようですが、あなたの服も、この街も、ハリボテで出来ているように見えます ー

人型実体-Bが大きな悲鳴を上げる。人型実体-Aがエージェントを強く睨みつける。

人型実体-A: 聞き間違いかもしれないからもう一度言って欲しい。僕とこの街は本物だろう?

エージェント: ……はい、どちらも本物です。

人型実体-A、-Bが落ち着きを取り戻す。

人型実体-A: そう、全部本物だよ。……申し訳ないんだけど、もう話す気分になれないや。帰ってもらっても良いかな?

エージェントは申し出に従い、人型実体-A、-Bに感謝の言葉を告げ彼らから離れていく。その後エージェントは帰還を開始し、約30分後SCP-001の深層意識から脱出する。

考察: 潜在意識下における複数アバターの存在は、多重人格者に典型的に見られる現象である。またアバター及び潜在意識の個性は、肉体の精神状態を反映したものである事は考慮すべきである。

SCP-001-1には現在まで多重人格の症状は確認されておらず、また目立った精神の不安定さも見られない。加えて人型実体の発言を真とするのであれば、複数アバターの存在はSCP-001に由来している。これらを総合して思考すると、SCP-001とSCP-001-1の連動は生まれつきのものではなく、この連動が発生した不明な時点でSCP-001-1は第二の人格を獲得したと推測される。


実験6

概要: SCP-001-1の脳の各領域における負荷程度を計測し、精神的異常の有無を確認する。

実験5においてSCP-001-1のアバターらが示した言動から、SCP-001-1は何らかの精神的歪曲を有していると推測される。当該実験はこの精神的歪曲の存在を、化学的観点から確認するものである。

結果: 大脳皮質に局地的な過負荷が確認された。これは精神的苦痛等に起因する特定記憶の自主的忘却に典型的な症状である。


実験7

概要: SCP-001-1の意識に対して大量の抽象的ヴィジョンを連続的に投影し、脳波の反応から実験6にて存在が確認された忘却記憶の特定を試みる。

結果: SCP-001-1の脳波は以下のヴィジョンの投影に対して、異常なストレスレベルの増大を示した。

◾︎ 廃棄場

◾︎ 無機質な廊下

◾︎ 独房

◾︎ 複数人の悲鳴

◾︎ 財団のロゴマーク


実験8(進行中)

概要: 実験1〜7の結果から、担当チームはSCP-001に対して1つの仮説を立てる事に成功した。

実験5においてSCP-001-1のアバターらが示した言動から、SCP-001-1は潜在的にSCP-001と自身の関連性を理解していると推測される。これを利用し、SCP-001-1に前述の仮説を認識させた際の脳波の反応から仮説の真偽を推測する。

会話記録-2

██研究員: さて、今日はSCP-001とあなたの関係について、1つの仮説が導かれたのでそれをお伝えに来ました。

SCP-001-1: やっと自由になれるんですか?

██研究員: ……ええ、大きな進歩があった事は間違いないです。とりあえず、今まで得られた情報を含め一旦一気に喋ってしまいますね。

まず精神鑑定の結果、あなたはSCP-001に関連するいくつかのトラウマの様なものを抱いているようです。

SCP-001-1: トラウマ?身に覚えがないですが……

██研究員: おそらくは精神的苦痛から逃れるため、その記憶は忘却されていました。しかし完全に消え去っていた訳ではなく、我々は脳の反応を調べる事によりそれに関連したいくつかの要素の特定に成功しました。

[実験7にて著しい反応が見られたヴィジョンの一覧を見せる] これらから何か思い出す事はありませんか?

SCP-001-1の脳波が少し乱れる。

SCP-001: 何となく嫌な感じはしますが、特に思い出す事はありません。

██研究員: ……まあいいでしょう、話を続けますね。我々は先日あなたの潜在意識下において、無意識のあなたの人格に接触しました。驚くべき事に、あなたの人格は2人確認されました ー つまるところ、あなたは潜在的な二重人格者でした。

SCP-001-1: 二重人格?僕がですか?それに潜在意識下でっていうのはどういった事なんでしょうか、ちょっと話について行けなくて……

██研究員: 詳しく説明すると時間がかかってしまいますが、要するに我々はあなたの無意識の部分と会話ができるという事です。色々と疑問はあると思いますが、とりあえずはそういった行為が可能である事を受け入れて下さい。そしてこれから話す事についても同様にしてもらえると助かります ー 我々の技術は、おそらくあなたの想像している範囲を超えているので。

話を戻しますね。あなたの潜在意識、つまり脳内の世界はとても華やかな都会の街並みという形態を取っていましたが、それらは全てハリボテで出来ていました。そして人格の1人もまた、ハリボテで身を包んでいました。もう片方の人格はと言うと精神的にとても弱っており、ハリボテの人格の脚に縋り付く様な格好を取っていました。

彼らはあなたの精神を反映した存在であり、現在のあなたに顕著な精神的不安定さは確認されていません。この事から我々はハリボテの人格の方が、現在のあなたであると踏んでいます。そして彼らは、先に生まれたのは精神的に不安定な方の人格であると言いました。

SCP-001-1: つまり今の僕の人格は、生まれつきのものではないと?

██研究員: おそらくは。そして彼らはまた、あなたが二重人格である理由にSCP-001が含まれているとも述べました。この事から、あなたとSCP-001の連動が第二の人格 ー つまりは今のあなたの誕生のトリガーであった事が推測されます。

そして注目すべき事象として、我々がこの世界の人格の衣服と脳内の街がハリボテで出来ている事を指摘すると、両方の人格は激しい動揺と敵意を見せたのです。この事から、我々は先程述べたトラウマにこのハリボテの事も関係していると考えています。

SCP-001-1: ええと、結局ハリボテで出来ているって言うのはどういう事なんですか?

██研究員: それが偽物であるという事です、おそらくは。そしてこれはあなたの脳内の事象ですから、あなたは心の奥底でそれを理解しています。

さらにSCP-001の外側では、物質は実体として存在していません。言い換えれば、SCP-001の内部でしか物質は存在出来ないと言う事です。つまるところ、我々はSCP-001の外側ではなく、むしろ内側こそがイレギュラーな存在なのではないかと考えています。

SCP-001-1の脳波が乱れ始める。

SCP-001-1: すいません、一回頭の整理をしたいので止まって貰えると助かります。

██研究員: 先程述べたように以前あなたが有していたと推測される人格は精神的に苦しんでおり、その原因はおそらく先程見せたヴィジョンの要素にあります。そして後から生まれたという人格 ー つまり今のあなたに縋りついている。

SCP-001-1の脳波の乱れが増大する。

SCP-001-1: 待ってって言ってるじゃないですか、ねえ、聞いてくださいよ!

██研究員: 加えてあなたは心の奥底で自身と自身の世界は偽物であると認識すると共に、SCP-001やその向こう側について知る事を極度に恐れている。さらにこの世界はSCP-001内部の一定体積、つまりはあなたから一定の距離でしか存在できない ー いや、そこにしか存在しない。これらを総合した結果、我々は1つの仮説に辿り着きました。

SCP-001-1: 止まってって、ねえ、これ以上聞きたくない ー

██研究員: 我々はこの世界を、あなたが逃避のために作り出した仮想現実であると考えています。

SCP-001-1の脳波が著しく乱れる。SCP-001-1は椅子から転げ落ち、絶望した表情で床を見つめる。

SCP-001-1: まただ……何でいつもいつもこうなるんだ!

██研究員: SCP-001-1、落ち着いて下さい。これはあくまで仮説ですし、仮に本当であったとしても、我々はその現実に対処するためにここにいます ー

SCP-001-1: 何度やっても同じだって言うのか?俺を逃す気はないと?

██研究員: 何の話をしているのですか、SCP-001-1。

SCP-001-1が██研究員を睨みつける。

SCP-001-1: 大体何でいつもお前らは存在しているんだ?ここにはアノマリーなんてない、あるはずがない。お前らはあの壁をSCP-001と呼ぶが、SCP-002は存在するのか?003は?その先は?

██研究員: 我々は異常なものを管理し、収容するためにここにいます。世界を正しく維持する事、それが理由です。

SCP-001-1: 話にならない、財団が正義だって?あれは根っこまで完全に腐り切ってる、だから俺はここに来たんだ!

██研究員: SCP-001-1、これ以上続けるようであれば鎮静剤を投与します。

SCP-001-1: そう、だからここに来たのに、やっと自由になれたと思ったのに……結局何度繰り返してもお前らがいて、俺に逃げ場はないって突きつけるんだ。

██研究員: どうか落ち着いて下さい、SCP-001-1。我々はあなたの味方です。

SCP-001-1: いいよ、もう嫌になった……疲れた。

[警告: 記録機器との接続が遮断されました。状況の自動書き起こしを中断、当該ファイルはロックされます。]












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