SCP-2329-JP
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アイテム番号: SCP-2329-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現在、SCP-2329-JPの収容手段は確立されていません。SCP-2329-JP対策チームは一般社会に出回ったSCP-2329-JPに関する情報に対して、適切なカバーストーリーの流布等で情報拡散を最小に留めてください。倫理的観点並びに一般社会に影響を与えるSCP-2329-JP-1-α、及び-βが生まれる可能性を加味し、実験においてSCP-2329-JP-1をSCP-2329-JP-1-α、βに変化させることは禁止されています。またインシデント2329-JP.1以降、SCP-2329-JP-1に対しての記憶処理も原則禁止とされています。

説明: SCP-2329-JPは有限会社"自殺互助支援サービス"と自称している、日本語圏で異常なサービスを展開する集団です。SCP-2329-JPの構成員の情報並びに所在地等は不明となっています。現在、財団からSCP-2329-JPと直接接触する試みは全て失敗しており、SCP-2329-JP-1に該当する人物を介する事が確認されているSCP-2329-JPと接触可能な唯一の手段です。

SCP-2329-JP-1はSCP-2329-JPのサービス利用者とされる人物です。SCP-2329-JP-1は希死念慮のある人間の一部であり、該当者は不特定の広告の一部をSCP-2329-JPへのアクセス手段1に書き換えられた状態に認知していると推測されています。SCP-2329-JPを認知したSCP-2329-JP-1がSCP-2329-JPにコンタクトを行うかはSCP-2329-JP-1個々の判断に委ねられていると推察され、情報災害及びその他の誘導を行うような異常性は確認されていません。

SCP-2329-JP-1がSCP-2329-JPに接触しそのサービスを受けると決めた場合、SCP-2329-JPによってSCP-2329-JP-1はSCP-2329-JP-1-αかSCP-2329-JP-1-βに区分されます。以下、SCP-2329-JP-α、及び-βは単純にα、βと表記します。

α、βはそれぞれ"供自殺利用者"、"被自殺利用者"とSCP-2329-JPによって称されており、SCP-2329-JPよりマッチング連絡とされる接触が行われた後に暴露する異常性が異なります。供自殺利用者と称されるαは、マッチング連絡ののちにSCP-2329-JP登録時点で抱いていた希死念慮を失います。これは、自殺という行動に対して反ミームに似た形で思考を放棄させる事で行われています。また、被自殺利用者と称されるβは、マッチング連絡ののちに希死念慮が増幅され各々の手段で自殺を図ります。α、βはSCP-2329-JPによって組になるように分類されており、α側の希死念慮を異常な手段をもってβ側に移す事でこれらの効果を引き起こしていると推察されます。α、β共にSCP-2329-JPの利用開始時点からの記憶に対して記憶処理を行う事で、この精神影響は消失させることが可能です。

α、βの精神的影響の異常性については、SCP-2329-JP対策チームの玉井博士によって立てられた仮説が現在有力とされています。

補遺2329-JP.1: 発見経緯

SCP-2329-JPはサイト-8113内の一部のDクラス職員によって偶発的に発見されました。サイト-8113内にSCP-2329-JPの広告が存在しているという報告が複数なされ、当初は他のオブジェクトの精神影響による集団幻覚が疑われましたが、その後に日本国内の自殺者を調査したフィールドエージェントによって存在の裏付けがなされました。初期収容の一環として、SCP-2329-JPを発見したDクラス職員には実験を目的とする一部の人員を除き記憶処理が行われています。

補遺2329-JP.2: β利用者の記録

以下は、SCP-2329-JPの利用者である絹井玉子氏の携帯電話より回収されたSCP-2329-JPとの接触記録です。絹井玉子氏はSCP-2329-JPのβ利用者であったため財団の発見時点で自死を既に行っており、破損した携帯電話2から復元したデータでのみSCP-2329-JPとの記録が確認されました。

文書記録2329-JP.1


被自殺利用者様マッチング連絡

絹井 玉子 様 この度は自殺互助支援サービスに登録して頂きありがとうございました。
我々、自殺互助支援サービススタッフ一同、絹井様の門出を心よりお祝い申し上げます。


つきましては、被自殺利用者様向けオプションサービスのご確認をさせて頂きます。

ご利用オプション一覧

・遺書代筆: 自殺前の手間にならないよう、弊社のスタッフが内容まで完全代筆させて頂きます3
・特殊清掃: 自殺場所の清掃も弊社スタッフが担当、ご遺族の手間はかけさせません
・遺影撮影: ご家族がご利用者様の葬儀で困らないよう、最適なご遺影を用意させて頂きます。撮影自体も弊社のスタッフが日常の中で撮影させていただきますのでご安心ください
・損害補填: 万一他者を自殺に巻き込んでしまっても安心、弊社がサポートして問題解決いたします

以上となります。

上記の契約で問題が無い場合は、マッチング先の供自殺利用者様のご確認が取れ次第手配をさせていただきます。
もし契約内容に不備が存在した場合は、それまでにお早めにご連絡ください。
それでは、よろしくお願いします。


リピーター数0人がモットーです!
有限会社 自殺互助支援サービス
お気軽に「じごサー」とお呼び下さい


上記以外のデータは破損によって読み取り不能となっていました。また、この通信先については現在無関係な企業のメールアドレスとなっており、追跡は不可能でした。

補遺2329-JP.3: α利用者へのインタビュー

以下は、SCP-2329-JPをαとして利用した阿部喜朗氏へのインタビューログです。

映像記録2329-JP.1

対象: 阿部 喜朗 氏

インタビュアー: エージェント・吉岡

付記: 阿部氏の勤める会社の協力会社の社員として吉岡は阿部氏に接触している。インタビューは仕事の休憩中に行われた。

<記録開始>

エージェント・吉岡: 阿部さん、何かさっき気になる事言ってたよね。なんかこう、じごさーとか。

阿部氏: そうそう、じごサーじごサー。アレのおかげでだいぶ今俺楽になってんだよ。

エージェント・吉岡: へぇー、そんなに良いもんならぜひ話を聞かせてよ。

阿部氏: つっても、仕事が上手くいってそうな吉岡さんになんか必要なさそうだからなー、自殺互助支援なんか。

エージェント・吉岡: 自殺互助支援?何か物々しい名前してるねぇ。

阿部氏: [頭を軽く掻きながら]そんなに深く考えなくてもいいんだ。なんかこう、家内と喧嘩してイライラしてる時に目について連絡してみたら、あれよあれよと話に乗せられて、なんだっけ、供自殺者、だかに選ばれて、そんでその後連絡が来たら頭のモヤモヤが無くなってスッキリとしたってだけの話よ。

エージェント・吉岡: へえ、何ともそりゃ不思議な話だね。じゃあその後は奥さんとは上手くいってるのかい。

阿部氏: いんや、変わらずさ。でも、そんなの全然気にならなくなった。もう子供がどうとか言われても、痛くも痒くもねーんだ。気楽なもんさ。

エージェント・吉岡: 阿部さん、そりゃ大丈夫なんかい。

阿部氏: [大きく手を振りながら]知らん知らん。はいはい、こんな面白くもない話やめようってな、ははは。

<記録終了>

終了報告書: 阿部氏の家庭環境、並びに勤務環境や人間関係を調査しましたが、SCP-2329-JPとの接触以前から大きな変化はありませんでした。阿部氏にはインタビュー後、Bクラス記憶処理が行われています。

補遺2329-JP.4: Dクラス職員を用いたSCP-2329-JPへの接触

音声記録2329-JP.1

対象: SCP-2329-JP4

関連人物: D-23813、エージェント・内田

付記: D-23813は"木村雄二"、エージェント・内田は"木村雄一"と偽名を名乗っており、D-23813は弟、内田は兄として身分を詐称している。また、D-23813は最初のSCP-2329-JPの広告を発見したDクラスの一人であり、改めてSCP-2329-JPとの連絡先を発見させる事によりSCP-2329-JP-1としている。

<録音開始>

[前略:D-23813がSCP-2329-JPへサービス利用の連絡を電話で行い、登録が行われたのちにエージェント・内田が電話を替わり説明を受けようとしている]

エージェント・内田: はい、お電話替わりました。雄二の兄の木村雄一です。

新田氏: はい、雄二様のお兄様ですね。有限会社自殺互助支援サービス、担当の新田です。この度は弊社を利用いただき、誠にありがとうございます。我々のサービスが利用者様のご家族の方に理解を得られるという事はとても珍しく、お話を聞いて頂けるようでとても感謝しています。

エージェント・内田: ご丁寧にありがとうございます。ここ数年、弟の様子がおかしいとは思っていたのですが、兄として全く力になる事ができず悔しい思いがありまして……。

[エージェント内田が一呼吸つく]

エージェント・内田: 今回自殺互助支援サービス様のお世話になると聞いた際には、否定するのではなく理解する事が必要なのかとお思い、お話を伺いたいと思った次第です。

新田氏: こちらこそ、ご丁寧にありがとうございます。お兄様のお気持ち、内心お察しいたします。ぜひ、しっかりと納得して頂けるように心を籠めてご説明させていただきます。

エージェント・内田: よろしくお願いします。

[新田氏が僅かに息を吐きだす音]

新田氏: それでは、まず我々の企業が行っている事から説明させて頂きます。

新田氏: 我々、有限会社自殺互助支援サービスは、自殺利用様たちの快適な生活、並びに快適な自殺を提供するべく活動させて頂いています。これは昨今、日本国を悩ませる自殺率の増加や諸々の精神的な問題を抱えた人々によって社会生産性が失われている事に対処するべく、我々が始めた事業になります。

新田氏: 我々は自殺利用者様達の自殺志願の度合いを独自の"自殺志願値"として計測し、それぞれに見合ったサービスをご提供することで、社会奉仕並びに各利用者様方のケアを行っています。

エージェント・内田: なるほど。先ほどの面談で弟のそういった面を計測されていたという事ですかね。

新田氏: はい、その通りになります。雄二様の自殺志願値を弊社で検討させて頂き、大まかに二通りのサービスを提供させていただく事になると思います。

新田氏: まず第一に供自殺利用者となられる場合です。こちらの場合ですと雄二様が自殺される事は無くなり、それに加えて自殺をしようと考える事も無くなる事でしょう。

エージェント・内田: えっと、それはどういった事なのでしょうか。

新田氏: いえ、深い意味はございません。雄二様の"自殺したい"という感情を弊社の方で回収させて頂く事で、自殺志願値を0にさせていただくという事になります。

新田氏: 半端な自殺感情を抱えて死ぬに死ねず、死なずにも辛い、そういった状態から解放されることでしょう。

[新田氏が咳払いする音]

新田氏: 次に第二に被自殺利用者となられた場合ですが、この場合ですが雄二様はすぐさま自ら命を絶たれる事でしょう。

新田氏: 供自殺利用者から回収させて頂いた自殺志願値を受け渡す事で、直ちに迷いなく自殺を選べるように思考を誘導させていただく事となります。先ほども申しましたが、中途半端な自殺志願値の方はそれ故に悩み苦しむ事になりますから、そういった点を解消させていただけると思います。

[以降、新田氏による各種サービスのオプションプラン等の説明が始まる。重要性が低いため省略]

<録音終了>

終了報告書: SCP-2329-JPはこちらの身元詐称を見抜いた様子はなく、あくまで非異常の手段でこちらの情報を収集していたと考えられます。また、会話から異常性に繋がる内容を得る事は難しく、別の進展がない限りは再度こちらから接触する価値は低いと判断します。

補遺2329-JP.5: インシデント記録2329-JP.1

音声記録2329-JP.2

対象: SCP-2329-JP5

関連人物: エージェント・吉岡

付記: 本音声記録はSCP-2329-JPから財団フロント企業"新秋クリエイティブファーマシー"に対して接触してきた際の電話記録である。電話を受けたエージェント・吉岡は当フロント企業の事務として勤務していた。相手先の電話番号は非通知で行われており、逆探知の試みは失敗に終わっている。

<録音開始>

エージェント・吉岡: お電話ありがとうございます。新秋クリエイティブファーマシーの吉岡です。

新井氏: あー、新秋クリエイティブファーマシーさん?私は自殺互助支援サービスって会社の新井って者だけど、ちょっと単刀直入に言わせてもらいますわ。

新井氏: お宅、うちの利用者様に何してくれたんです。

エージェント・吉岡: えっと、[返答に困った様子で少し言葉に詰まった後に]どのような御用件になりますか。

新井氏: しらばっくれないでください、阿部さんの事ですよ。お宅の仕業なんでしょう、わかっているんですからね。

[この時点で対策チームが電話の傍受と吉岡への指示に入った]

新井氏: うちはね、リピート率0%をモットーにやってるんですよ。それが、あんたらのせいでリピーターが出来てしまってほんとに迷惑してるんです。

エージェント・吉岡: あの、すみませんが

新井氏: [吉岡の言葉を遮るように続けて]良いですか、言いましたからね。

新井氏: [大きく溜めを作ってから]今度このような事をされたら、我々も何らかの措置を考えていますから。

[対策チームより吉岡へ、電話を長引かせるように指示が下る]

エージェント・吉岡: ですから、我々は

新井氏: [再び吉岡の言葉を遮るように]言い訳なんて聞く気はありません、それでは。

[新井氏によって電話が切られる]

<録音終了>

終了報告書: SCP-2329-JPから"阿部"の名前が出たことから対策チームによって調査が行われ、以前にαとして分類されていた阿部喜朗氏が記憶処理後に再びSCP-2329-JPと接触し、再びSCP-2329-JP-1に変化していたことが判明しました。

補遺2329-JP.6: インシデント2329-JP.1を受けてのクラス及び収容手順の変更について

SCP-2329-JPが記憶処理を何らかの手段で感知した事、並びに財団への圧力を匂わせる発言をしたことについて対策チームで検討された結果、SCP-2329-JPのオブジェクトクラスはKeterに変更され、SCP-2329-JPに関わった一般人への記憶処理は原則として禁止となりました。

補遺2329-JP.7: 阿部氏への再インタビュー

映像記録2329-JP.2

対象: 阿部 喜朗 氏

インタビュアー: エージェント・佐原

付記: 佐原は阿部氏の勤める会社のカウンセラーとして阿部氏に話を伺っている。

<記録開始>

[前略:佐原が阿部氏に当たり障りのない質問をしつつ警戒を解かせる]

エージェント・佐原: それでは阿部さん、お気に障ったら申し訳ありませんが、家庭でのことを話していただけますか。

阿部氏: 何にも気に障ることはないさ、ただ、もうすぐ離婚が決まるってだけだよ。

エージェント・佐原: それは、結構揉めたのではないのでしょうか。

阿部氏: なぁに大したことはないさ、向こうが色々言ってきた事を全部呑んでやったけど、たいして気にもならないね。

エージェント・佐原: 以前はお子さんの教育について熱心になされていたようですが。

阿部氏: まぁ以前ほどは興味は無くなったかな、今は仕事に集中したい気分なんだ。

エージェント・佐原: それは、そうですか。[やや間隔を空けてから]そういえば、自殺互助支援サービスというものを利用されたとの事でしたが、そちらについて伺ってもよろしいでしょうか。

阿部氏: 別に構わないよ、といってもそんなに面白い話でもないだろうけど。

[阿部氏がSCP-2329-JPについての話を始める。内容自体は以前にエージェント・吉岡が質問した際とほぼ同一の回答であり、新規性が乏しいために省略された]

阿部氏: そんなところかい、カウンセラーさん。

エージェント・佐原: [メモを取る為に一端顔を下げてから]ええ、お疲れ様でした。ありがとうございました。

<記録終了>

終了報告書: 阿部氏が再度SCP-2329-JP-1に変化した原因は、記憶処理によって心理状態が以前と同様になったことが原因と推測されます。このインタビューの後、阿部氏は離婚し親権を失っています。また、以前よりも職場での残業時間が長くなったことも報告されています。改訂された特別収容プロトコルに基づき記憶処理は行われていません。


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