SCP-2333-JP
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アイテム番号: SCP-2333-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2333-JPは外観および内部を監視カメラにより撮影されます。この監視状態は1日に1時間停止されSCP-2333-JP-Aの変化条件を満たすことが求められます。SCP-2333-JP-Aはその行動を記録され、特異な行動を取った場合は担当研究員を通じ各部門への連絡が行われます。

説明: SCP-2333-JPは兵庫県神戸市に存在する戸建て住宅です。SCP-2333-JPはGOI-9519"ライフラフト"によって管理されており、構成員のシェアハウスとして使用されていたことが確認されています。

SCP-2333-JPの異常性は内部に居住するライフラフト構成員(以下、SCP-2333-JP-A)に対してのみ発生します。SCP-2333-JP内部に存在するSCP-2333-JP-Aはどのような状態においても同時に1人しか観測することができません。これは写真、映像等においても同様であり、観測を行い続ける限り存在するSCP-2333-JP-Aは変化しません。SCP-2333-JP-A自身においても同様であり、自身以外のSCP-2333-JP-Aの存在を観測できていませんが、それに対し弱い違和感を覚えるのみに留まっており、異常であるとは認識していません。

観測を中断し、内部のSCP-2333-JP-Aが変化した段階で、SCP-2333-JP内部には観測していた対象以外が残したと推測される生活の痕跡が出現します。この痕跡は食料の減少、上下水道の使用、個人的な趣味、研究の成果として確認されます。また、現在観測される限りではSCP-2333-JP-AがSCP-2333-JP外に移動したことは確認されず、職員による誘導も対象の拒絶により失敗しています。

以下は各SCP-2333-JP-Aの記録です。

SCP-2333-JP-A区分 名前 性別 特徴
SCP-2333-JP-A-1 大家 夕菜 女性 20代、最年少のSCP-2333-JP-A。社交的な性格でSCP-2333-JP-Aらにおける交渉、交友の類を担っているため、証言の多くは彼女による
SCP-2333-JP-A-2 御厨 総 男性 60代、最年長のSCP-2333-JP-A。温厚な性格で量子力学、次元物理学に長け、帰還計画をメインに担っている
SCP-2333-JP-A-3 六倉 晴彦 男性 20代、明朗な性格で行動的、力仕事を一手に担う一方で、電気工学への造詣も深いことが確認されている
SCP-2333-JP-A-4 藤堂 清史郎 男性 40代、内向的な性格で理論的な話し方を好む。神秘学や神話、伝承に造詣が深く、帰還計画に神秘論的アプローチを行っている
SCP-2333-JP-A-5 氷室 奈々子 女性 30代、強権的な性格を持ち、潔癖症の傾向がみられる。SCP-2333-JP-A内で唯一既婚者である

SCP-2333-JPは20██/██/██、ライフラフト構成員であるディヴィ氏からの連絡により発見されました。以下はディヴィ氏との会話記録です。

音声記録2333-JP-01 - 日付 20██/██/██

担当者: 渡辺研究員

対象: ディヴィ氏 (GoI-9519"ライフラフト"構成員)

«再生開始»

[事実確認のため省略]

渡辺研究員: では、あなたの主目的はその家に住んでいるであろう構成員を助け出したい、ということなのですね?

ディヴィ氏: ああ、虫のいい話だとは思っているが、あの家に住んでる連中は少なくともそっちの厄介になるような異常性は持ってないはずだ。もっとも、元の世界に戻りたがってる連中で構成されてるコミュニティだから、そういった技術はあるかもしれないが、命に比べればたいしたことはないだろう。どうだろうか

渡辺研究員: こちらとしても異常な物件ということであれば対処せざるをえません。コミュニティの性質として、帰還願望が強いコミュニティだということですが、何か異常の発生する原因などがあったのでしょうか

ディヴィ氏: 正直なところ分からん。俺もここ数か月会ってなかったからな。新しい奴を紹介しようとして会いに行ったらどうも様子がおかしい、しばらく通ってみてその違和感に気付いたときはゾッとしたな

渡辺研究員: 内部に見て分かる異常はありませんでしたか?

ディヴィ氏: 俺の見る限りでは無かった。1階に3部屋、2階に2部屋の部屋割りも変わってなかったし、トイレや洗面所、風呂場なんかも見たが問題なかった。メンバーの顔ぶれも変わらずだ

渡辺研究員: メンバーとは話されましたか? 話したのであれば何かきっかけになるようなことは確認できませんでしたか?

ディヴィ氏: もちろん話してみたが、俺の知ってるアイツらと何も変わりはなかった。……ただ、そういえば以前訪れたときよりも研究に躍起になってないような印象はあったな

渡辺研究員: 帰還に対する意欲を喪失していたということでしょうか

ディヴィ氏: いや、そんなことはない。そういうことよりも、何と言えばいいのかな、その場で足踏みを続けているような印象だった。まあ、会ってみれば分かるだろう、そっちのことは入居を考えてるメンバーだと伝えてごまかしておく。よろしく頼む

«再生停止»

ディヴィ氏の協力を受け、SCP-2333-JP内部への潜入調査が開始されました。

音声記録2333-JP-02 - 日付 20██/██/██

担当者: エージェント・足利

対象: 大家 夕菜氏 (SCP-2333-JP-A-1)

«再生開始»

[事実確認のため省略]

大家氏: シェアハウスのルールはこんな感じですね。各部屋には1人ずつが原則ですし、ここに1つ残ってますけど、部屋の鍵は各自が管理してます。空いているときは入室可能のサインですね。このダイニングは共用スペースで、いつもなら御厨さんがいたりするんですけどね

エージェント・足利: そういえば他の方の気配がしませんね。お仕事か何かですか?

大家氏: いえいえ、私たちはあくまでここの住人じゃないので、基本的には自給自足ですね。お金は必要なので在宅でできる仕事したりもしてますし、そういった人たちからの依頼で働きに出たりはしますけど。最近みんないないんですよ

エージェント・足利: それって何かあったんじゃないですか?

大家氏: 別にそこまで気にしなくてもいいと思いますけどね。食器や家電が使われた気配はありますし、ちゃんと研究も進んでるみたいですし、別にそれでいいんじゃないかなって

エージェント・足利: そういうものなんですかね? シェアハウスなんて初めてだから分からなくって。他の人が見えなくなってどれくらい経つんです?

大家氏: だいたいですけど……、あのときからだから、2か月くらい前ですかね?

エージェント・足利: あのとき?

大家氏: はい、御厨さんの実験が失敗して、家が大きく揺れたときがあったんですよ。よく分かんないこと言ってましたね、エヴァレットだとかコペンハーゲンとか、掃除が大変だったって記憶が一番強いですよ。六倉君にも協力してもらったりしましたしね。もっとも、他の世界に繋がったり、誰かがいなくなったりとかそういうことはなかったんですけど

エージェント・足利: そのときから他のメンバーが見えなくなったと

大家氏: そう言われるとそんな気もしますね。結び付けて考えたことがありませんでした。そうだ、その時の実験記録見ます? 御厨さんが保管していたと思うんですけど

エージェント・足利: ええ、是非

«再生停止»

音声記録2333-JP-03 - 日付 20██/██/██

担当者: エージェント・新田

対象: 御厨 総氏 (SCP-2333-JP-A-2)

«再生開始»

[事実確認のため省略]

御厨氏: ああ、あの実験のことですか。確かにここに住みたいという人なら気にしても当然ですね

エージェント・新田: ええ、私も元の世界に戻りたいとは思いますが

御厨氏: 可能な限り危険は避けたい、それは当然ですよ。その実験に関しての資料をお渡ししますので確認していただければ結構です。ちょっと待ってくださいね、部屋に取りに行きますので

[約10分経過]

御厨氏: お待たせしました

エージェント・新田: 毎回鍵をかけているんですね

御厨氏: ええ、プライバシーの問題がありますのでね。私みたいな老人が気にしても仕方ありませんが氷室さんのような若い女性もいらっしゃいますし

エージェント・新田: 確かにそうですね。マスターキーもないんでしょうか

御厨氏: ええ、作ろうかという案もありましたがね。さて、話が逸れました、こちらです

エージェント・新田: 僕が見て分かりますかね

御厨氏: 少々難解かもしれませんね、私の専門分野だけではなく藤堂君の神秘論的アプローチもありますし、実際の機械的な部分は六倉君に頼っていますしね。簡単に説明しましょうか?

エージェント・新田: 現在危険はないということですよね

御厨氏: もちろんです。気になるのでしたら家の中を見ていただいても構いませんよ。もっとも、各個人の部屋にはそれぞれの許可が必要なのでご理解をいただければと思いますが

エージェント・新田: ええ、もちろん、ではまず説明をお願いできますか?

«再生停止»

この調査により発見された資料から、SCP-2333-JP-A-2による他世界への移動実験における失敗、あるいは過失により各SCP-2333-JP-Aは量子論的に重ね合わせ状態が確定されていない状態に置かれていると推測されます。そのため、何らかの定義を満たした観測によって重ね合わさった状態に置かれると仮定され、現在その定義の同定が進められています。

また、SCP-2333-JP-Aらが行っている研究は定期的に凍結と再検討が行われており、進展の兆候を見せていないことが確認されました。

以下は調査以降に行われたディヴィ氏との会話記録です。

音声記録2333-JP-04 - 日付 20██/██/██

担当者: 渡辺研究員

対象: ディヴィ氏

«再生開始»

[事実確認のため省略]

渡辺研究員: 以上が現段階で我々によって判明している事実です。これから更なる調査を行う予定ですが

ディヴィ氏: 俺は数字がダメでね。何にせよ、もうしばらくアイツらはそのまんまってことだよな

渡辺研究員: ええ、現状危険な状況に置かれているわけではありませんので、こちらからの干渉は監視に留めています。その性質上、長期の監視体制が危険を及ぼす可能性も鑑みられるため、調査体制に何か意見がある場合は忌憚なくおっしゃってください

ディヴィ氏: いや、任せたのは俺だからな、他の仲介者が何というかは分からんが、そっちの判断に任せるさ。しかし、責任感じちまうな、できることはしたつもりだが、帰りたいという気持ちを止めることはできないわけだ。因果な立場になったもんだと思うよ

渡辺研究員: 御心中察します。では、今回の会談はこれにて、SCP-2333-JP及びSCP-2333-JP-Aの5人に対する調査は今後とも継続して

ディヴィ氏: あ? ……今何て言った?

渡辺研究員: 何か気に障られましたか?

ディヴィ氏: いや、そうじゃねえ、そうじゃねえよ。あそこに住んでるのは4人だぞ?

渡辺研究員: ……は? 私たちが確認しているのは5人です。あなたが会わない内に誰かを加えたのでは?

ディヴィ氏: それはまずない、あの場所を知ってたのは俺だけで他の仲介者にはまだ紹介していない。それにだ、俺はあそこにお前たちを入居希望者として連れて行ったんだぞ? もし部屋が全部埋まってるなら対応した奴が断るだろ

渡辺研究員: ……SCP-2333-JP-Aとの会話記録では常に鍵が1つ余っていました

ディヴィ氏: それもおかしいんだよ、それぞれの部屋の鍵は1つだけだ、そして鍵を持ってるのは部屋に住んでる人間だけ、鍵が余ってるってことはどこかの部屋が空いてるんだよ

渡辺研究員: ディヴィさん、あの家に住むメンバーの名前を列挙してください

ディヴィ氏: それだ、それなんだよ。俺も今思い出そうとしてるのに、全く分からねえ。大家、御厨、六倉、藤堂、氷室、その誰が増えたんだ? ……なあ、これはホントに御厨さんの実験が失敗したからなのか? アイツらの中に紛れ込んだ何かは、何のために紛れ込んでるんだ?

«再生停止»

ディヴィ氏の発言を受け、再調査が行われましたが各SCP-2333-JP-Aに有意差は確認されていません。また、この事実を各SCP-2333-JP-Aに伝えたところ、混乱する様子を見せましたが次回遭遇時には該当する記憶を失っていることが確認されています。

現在、広範な分野の視点からSCP-2333-JP-Aに対する詳細調査が継続されています。

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