アイテム番号: SCP-2349-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2349-JP-aの存在する崖の周囲2km内の海域とアクセス経路を全て封鎖し、電磁妨害によりメール機能の作動を妨害してください。カバーストーリー「私有地化」が適用されます。侵入者はクラスB記憶処理後に解放してください。
SCP-2349-JP-aの下底部と頂上部は海上に設置されたブイに繋げられたカメラでサイト-81██のセキュリティクリアランス3以上の職員により常時監視されなければなりません。SCP-2349-JP-aの全高の上昇が確認された場合、必ず3人以上の職員で迅速に規定量のSCP-2349-JP-a構成物品を回収してください。その際、多量の物品の回収はSCP-2349-JP-bが拒否するため、1人の職員がSCP-2349-JP-bと会話することでSCP-2349-JP-bの意識を回収作業から離すようにしてください。回収した構成物品は異常性の有無を確認したのち、破砕し廃棄されます。
説明: SCP-2349-JP-aは██県の日本海側に位置する██mの海食崖1から約██m離れた海底に存在する異常物品群です。構成物品は円錐状に堆積し、現在海底からの全高は約50mです。構成物品はSCP-2349-JP-bを除き共通して、構成物品は全て20世紀中に製造され、数カ所に歪曲などが存在し、また全体が錆び付いており、起動することは不可能です。修復の試みは全て失敗しています。
SCP-2349-JP-aは不定期的にその構成物品を未知の方法で増加させます。一度に増加する物品の総体積は概ね同じであることが判明しています。
SCP-2349-JP-bはSCP-2349-JP-aの頂上に存在する人型実体です。SCP-2349-JP-bは外見上は一般的な女性と差異はありませんが、体内の内臓や血管が電子基盤や電子コードなどの機械部品で代替されています。SCP-2349-JP-bとは日本語、英語などの██カ国語による意思疎通が可能です。
財団はSCP-2349-JP-bに対しサイト-81██での収容を試みましたが、SCP-2349-JP-bはSCP-2349-JP-aに約8mの電子コードで接続されていたため移動することが不可能でした。以下は回収された構成物品の一部です。
物品 | 破損部位 | 備考 |
19██年製小型ラジオカセット | スピーカー機能に重度の損傷。 | プロトコルに従い処分済み。 |
19██年製二槽式洗濯機 | ドラム下底部分に重度の欠損、本体に歪曲。 | 処分済み。 |
19██年製の日本車 | サスペンションに燃焼の痕跡。 | 処分済み。 |
20██年製、SCP-2349-JP-bが所持する携帯電話 | GPSとメール機能の誤作動を確認。分解調査では破損、歪曲等は見受けられなかった。 | 電話番号等から██ ██氏2の物と判明。調査後SCP-2349-JP-bに返却。 |
インタビュー記録SCP-2349-JP
対象: SCP-2349-JP-b
インタビュアー: ██研究員
付記: ██研究員がSCP-2349-JP-a頂上部まで潜水し、デジタル文字盤による筆談で行われた。
<録音開始>
██研究員: 初めまして。よろしいかな?
SCP-2349-JP-b: 構いませんよ。
██研究員: 私は██です。君はSCP-2349-JP-bと呼んで宜しいですか?
SCP-2349-JP-b: ██さんですね。私のことは好きなように呼んでもらって構いません。██研究員: ありがとうございます。ただ、私は此処には長くは居られないので手早く済ませてしまいしょう。
SCP-2349-JP-b: そうですか。まぁ、沢山背負ってますしそうなんでしょうね。
██研究員: では、SCP-2349-JP-b、あなたは自身をどのような存在であるか理解していますか?
SCP-2349-JP-b: 私ですか?私はこの携帯電話です。
██研究員: 携帯電話ですか?
SCP-2349-JP-b: ええ、そうです。フォルダ内の画像コードでもなんでも、全て私の記憶メモリーに入っていますよ。
██研究員: 私は人の姿をした携帯電話を見たことも聞いたこともないのですが、その姿をしている理由は何ですか?
SCP-2349-JP-b: 携帯電話のままだと、この機械の山は登れません。
██研究員: 機械類であるにも関わらず、水中で活動出来ていることについて何か知っていますか?
SCP-2349-JP-b: それは私にも分かりませんね。この姿になって、それからは一切浸水による動作不良は起きてないです。
██研究員: そうですか。では、これら機械類が何故ここに集まっているのかは分かりますか?
SCP-2349-JP-b: 私が集めています。
██研究員: どういう方法か、説明して貰えますか?
SCP-2349-JP-b: 壊れたり、バラバラになった機械を探して、ここに持ってきてます。いや、持ってくるって言っても私が担いでくる訳じゃなくて、スクラップ機とかに頼んで、直接ここに送ってもらってます。
██研究員: その手段や目的について説明してもらえますか。
SCP-2349-JP-b: 地上まで登っていくためです。私がこの姿になったのもそのためですね。手段は上手く説明出来ないんですけど……
██研究員: 何故地上に行きたいのかも、詳しく教えて貰えますか。
SCP-2349-JP-b: ええと、この姿になる前、つまり地上に居た時にやり残した業務があって、それを完了するためです。
██研究員: その内容を聞いても?
SCP-2349-JP-b: メールの送信が出来なかったんです。途中で電源が落ちてしまって。だから、それを実行しなければいけません。
██研究員: なるほど。
SCP-2349-JP-b: それと、私の少しの我儘、良く言えば興味と言ったところもあります。
██研究員: 我儘、興味ですか。
SCP-2349-JP-b: はい、月を見たいんです。この暗い所では見えません。
██研究員: そうですか。最後に1つお願いがあるのですが、宜しいですか?
SCP-2349-JP-b: はい、何ですか?
██研究員: 幾つかの物品と、そちらの携帯電話をサンプルとして回収したいのですが、構いませんか?
SCP-2349-JP-b: 少しなら大丈夫ですよ。あんまり多いと私も少し怒りますけど。あ、携帯電話は返してくださいね?
██研究員: 勿論です。ありがとうございます。
<録音終了>
終了報告書: SCP-2349-JP-b以外の物品は、見ただけで分かる破損具合でした。おそらくスクラップにかけられた痕跡です。 -██研究員
このインタビュー後、██県の複数のスクラップ工場に投入された乗用車4台が連続してスクラップ機内部で消失し、同時にSCP-2349-JP-aの全高と質量が同量上昇、増加していることが確認されました。当該工場の職員はBクラス記憶処理が実施されました。