SCP-2350-JP

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当該オブジェクトは発見されて間もないものです。当該報告書は暫定的に作成されたものであるため、情報の更新に留意してください。

アイテム番号: SCP-2350-JP

オブジェクトクラス: Safe(暫定)

特別収容プロトコル: 現在制定中

説明: SCP-2350-JPは、アナログ式の目覚まし時計です。長針・短針・目安針(アラームの鳴る時刻を設定するための針)のみが存在し、秒針は存在しません。

SCP-2350-JPは、電波時計と同様に、常に日本国における標準時と同じ時刻を示しています。また、不明な原理で、電池などの電源を必要とせず動作します。SCP-2350-JPを所有していたエージェント・██は、「元々は絶縁用プラスチック様の物体が存在していたが、これを引き抜くと即座に動作した」旨の証言をしています。

SCP-2350-JPのアラームは、不定期的な間隔で鳴ります。この際に発生するアラーム音は、以下の異常性を有していることが判明しています。

  • SCP-2350-JPが存在する部屋1の内部でアラーム音を観測した場合、その音圧レベルは120dBを記録する。室内においては、いかなる物体でも音量は低減できない。
  • SCP-2350-JPが存在する部屋の外部では、非異常の音と同様に減衰する。

120dBとは、近距離地点における航空機のエンジン音に匹敵する音圧レベルであり、睡眠している人物を起床させるには過剰です。また、この音圧は、長時間聴くことにより聴覚障害を発症しうるものです。

なお、SCP-2350-JPのアラーム音が屋外で鳴った場合、どのような影響が出るかは不明です。ただし、過去に発見された類似オブジェクトやその実験により、最大で全世界の屋外に範囲が及ぶ可能性があると結論付けられています。アラームを屋外で鳴らすこと、およびアラームが鳴っている状態のSCP-2350-JPを屋外に移動させることが禁止されています。

発見: SCP-2350-JPは、東京都██区に位置するマンションの11階で発見されました。当該部屋の住人であるエージェント・██は、"秒針のない目覚まし時計"であるとして、インターネット上でSCP-2350-JPを購入しました2。23:00頃、同氏はアラームを設定した上で就寝しました。その後の23:30頃、SCP-2350-JPの異常性によりアラーム音が鳴り、同氏は大音量により起床しました。同氏は、アラームを停止せず室外に避難しましたが、室外では音量が小さかったことから、なんらかの異常性が関与していると判断し、財団へ通報を行いました。なお、エージェント・██は聴覚の不調を訴えており、財団の医療施設で治療が行われています。

収容作戦: SCP-2350-JPは、その性質上、屋外に位置している状態で鳴ることを回避しなくてはなりません。これを踏まえ、以下の収容作戦が立案されました。

  1. SCP-2350-JPが鳴る時間を特定または推定する。
  2. SCP-2350-JPが鳴らないタイミングで、部屋からマンション入り口まで移動させる3
  3. マンション付近に停車させた財団のキャンピングカーにSCP-2350-JPを収容する。他のオブジェクトから類推し、キャンピングカーは「室内」とみなされると判断できる。
  4. キャンピングカーにてサイト-81██に向かい、専用の収容室へ収容する。

この工程を満たすために、まずはアラームが鳴る時間を特定/推定する必要があります。現在確認されているアラーム音の発生時間は、以下の通りです。

(23時30分頃)
0時00分00.00秒
0時27分30.00秒
1時05分27.27秒
1時27分30.00秒
2時10分54.55秒
2時27分30.00秒
3時16分21.82秒
3時27分30.00秒
4時21分49.09秒
4時27分30.00秒

更新: 戦術求解部門4の神野研究員により、アラームの時間が推定されました。以下が推定の内容です。

アラームが鳴った時間には、法則性を見出すことができる。まず、アラームが鳴った時間を以下の2種類に分類してみる。

表1: 2グループの「アラームの鳴った時刻」

Aグループ Bグループ
0時00分00.00秒 0時27分30.00秒
1時05分27.27秒 1時27分30.00秒
2時10分54.55秒 2時27分30.00秒
3時16分21.82秒 3時27分30.00秒
4時21分49.09秒 4時27分30.00秒

これを見ると、AグループとBグループとでそれぞれ法則性があることが分かる。まず、Bグループの規則は「毎時27分30秒」であることは明らかだ。一方、Aグループはやや複雑だが、注意深く見ると、間隔が約「1時間5分27.27秒」になっていることが言える。このような法則性より、次回以降アラームが鳴る時刻は、以下だと推定できる。

Aグループ Bグループ
5時27分16.36秒 5時27分30.00秒
6時32分43.64秒 6時27分30.00秒

つまり、5時27分30秒から6時27分30秒の間には、アラームが鳴らないといえる。5時27分30秒のアラームが鳴った後に収容作戦を開始すれば、1時間という余裕を持って収容が可能だ。

当該提言は、現時点で最も有力であると判断されました。よって、5時28分頃より、機動部隊によるSCP-2350-JP回収作業が実施されることが決定されました。



更新2: 以下は、神野研究員の提言に対して行われた、戦術求解部門の反田博士と木村研究員による対話ログです。

<記録開始>

反田博士: 例の提言だけど、納得がいかない。

木村研究員: ちょっと待ってください、今、朝5時とかですよ? この時間からパズルを解くんです?

反田博士: 5時28分から収容作戦が行われる。今解くしかない。

木村研究員: ……まあ、それはそうですね。でも、何が納得いかないんですか? 神野先輩の言ってる規則性は数学的に正しいですよ。

反田博士: ……確かに、規則性は見つかってる。ただし、「なぜその規則性があるのか」が分からない。なぜ毎時27分30秒に鳴るのか、なぜ1時間5分27.27秒毎に鳴るのか、それが不明。

木村研究員: なぜって、うーん、たまたま毎時27分30秒でたまたま1時間5分27.27秒毎だったのでは?

反田博士: ……前も言ったかもしれないけど、人工物の異常性は規則性を有する傾向がある。なぜこの時間なのか考えることによって、判明する事柄もある。そして  

木村研究員: それを考えるのが我々の仕事、ですよね。わかりましたよ。

[重要度の低い会話を省略]

木村研究員: うーん、それにしても、1時間5分27.27秒ってキリが悪いですね。27.27、ナントカ小数みたいだ。

反田博士: ……循環小数?

木村研究員: 多分それです。そういえば、これって分数にできるんですよね。x=27.272727…… とすれば100x=2727.272727…… ですから、100x-x=99x=2700です。つまり、x=2700/99=300/11です。この前、この方法を相馬博士に教わったんです!

反田博士: なるほど……でも、これ、高校数学では?

木村研究員: えっ? ……ともかく、27.27≒300/11といえますね。まあ、でも、分母が11なんて、やっぱりキリが悪いです。

反田博士: ……いや、そうでもない。時計において「分母が11」は、逆によくあるともいえる。

木村研究員: なんでですか?

反田博士: ……例えば、現在1時丁度であるとして、次に時計の長針と短針が重なるのは1時何分か?

木村研究員: 急ですね。えーと、1時ってことは、短針は「1」を指してますね。1時5分になれば長針も「1」を指します。

反田博士: でも、1時5分では、短針は「1」より少し進んでいる。

木村研究員: あー、そうか。だとすると……?

反田博士: ヒント。長針は60分で360°進む(1分で6°進む)。短針は60分で360°/12=30°進む(1分で0.5°進む)。つまり、「長針と短針のなす角度」は、1分で5.5°小さくなる。

木村研究員: あっ! そうか! 1時ってことは、長針と短針との角度は30°です。つまり、30°÷5.5°を計算すれば、何分で長針と短針との角度が0°になるか  長針と短針が重なるかが分かりますね!

反田博士: その通り。珍しく察しが良い。

木村研究員: 「珍しく」は余計ですよ。「池の周りを走る兄弟」の角度バージョンみたいなものですからね。

反田博士: ちなみに、30°÷5.5°=30/5.5=60/11分となる。このように、5.5で割るから、分母に11が現れる。

木村研究員: なるほど。

反田博士: でも、針が重なることと、SCP-2350-JPとの関係は、無さそう。

木村研究員: いや、そんなことないんじゃないです? だって、目覚まし時計って、本来針が重なった時刻で鳴るじゃないですか。

反田博士: ……確かに。あ、待って、60/11分とは5分27.27秒……つまり、Aグループの時間と一致する……!

表1: 2グループの「アラームの鳴った時刻」(再掲)

Aグループ Bグループ
0時00分00.00秒 0時27分30.00秒
1時05分27.27秒 1時27分30.00秒
2時10分54.55秒 2時27分30.00秒
3時16分21.82秒 3時27分30.00秒
4時21分49.09秒 4時27分30.00秒

木村研究員: 本当ですか!? もしかして、残りのAグループの時間も?

反田博士: ちょっと計算を……うん、その通りだった。つまり、Aグループは、「長針と短針が重なる時間」……

木村研究員: じゃあ、Bグループは何でしょう?

反田博士: 毎時27分30秒……何時台においても同じだから、もしかしたら、アラームの時刻を設定する目安針? 目安針が27分30秒の位置にあるとしたら?

木村研究員: だとするとは、Bグループは「長針と目安針が重なる時間」でしたか。これがこの時計の法則性だったのですね!

反田博士: いや、待って、じゃあ、「短針と目安針が重なる」時間は……?

木村研究員: えっ!? ……えっと、長針では27分30秒に相当する時間ですよね?

反田博士: 計算を……5時30分00秒。これは、短針と目安針が重なる、普通の目覚まし時計が鳴る時間。

木村研究員: なるほど、今は5時27分ですから、3分後にも鳴るんですね。

反田博士: ……非常事態。さっきの提言では、「5時27分30秒以降にはしばらく鳴らない」と予想されてた。だから、5時28分になれば収容作戦が実施され、室外へと持ち出されうる。しかし、私達の推論が正しければ、5時30分にもアラームが鳴る……!

木村研究員: まずいです! 早く現場に連絡しましょう!

<記録終了>

この後、現場の機動部隊らに当該推論が伝達され、SCP-2350-JPの収容作戦開始時刻の延期が決定されました。

実際に、アラームは、短針と目安針が重なる5時30分00秒にも鳴りました。これにより、マンションの共用スペースやマンション外にてアラームが鳴ることを回避できました。したがって、「SCP-2350-JPが室外/屋外で鳴る」という最悪の事態は免れました。

予定されていた収容作業は、5時31分より実施されました。結果として、SCP-2350-JPは無事サイト-81██へと輸送されました。現在、SCP-2350-JPはサイト-81██の標準収容室へ保管されています。

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