伐採前に撮影されたエリア2366における樹木の細部。
アイテム番号: SCP-2366
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: エリア2366は保安フェンスで囲み、定期的な除草剤散布の対象となります。機動部隊シータ-4(“庭師”)が収容のためのカバーストーリー(ニレ立枯病の変種に関するもの)を維持し、地元のメノー派コミュニティに異常な挙動が見られないかの監視を行います。
エリア2366に駐留しているエージェントは、SCP-2366の影響を受けている地元のコヨーテの群れの危険に警戒するように忠告されます。
SCP-2366の全てのサンプルは、テキサス州の砂漠にある自動化された倉庫、保管拠点73-Eに格納されます。如何なる新しいSCP-2366実例も取り除いた後、保管拠点73-Eに移送されます。現時点で収容下に無い実例の回収は優先して行われるべきと見做されています。
説明: SCP-2366は、異常な落葉広葉樹の一種と、その木材を指します。SCP-2366の樹木は外観および遺伝子組成の両方でシラカンバ(カバノキ属)に類似しています。影響領域内(SCP-2366アイテムの直径約25m)において、SCP-2366は協調性や共同行動を促進します。SCP-2366に曝露すると、同種族から成る生物群は相互目標を達成するために協力します。協力の度合いと、その行動の結果として齎される利益は、種の社会構造の複雑さに比例して増大します。
SCP-2366: 選択された実験記録
実験# SCP-2366-5
日付: 2014年11月12日
手順: お互いに繋がりを持たない6匹のチンパンジーに、6つに分かれた木製パズルピースが与えられた。正しく組み合わせた場合、パズルは報酬の食物が入ったガラスケースを開錠するための鍵を形成する。実験群にはSCP-2366で作られたパズルピースが与えられた。
観察: 実験群は、対照群よりも平均して5倍の速さでパズルを解き、報酬を手に入れた。研究者たちは、実験群の全てのチンパンジーがパズルに集中しており、仲間外れにされた個体や優越性を示す個体がいなかった事を観察した。
実験# SCP-2366-13
日付: 2015年3月18日
手順: Dクラス職員の一団に一連の職務(それぞれ協調的アプローチを必要とする)が与えられ、制限時間内に職務を終えた場合はチーム全体が1ヶ月間、実験への参加を免除されると告げられた。実験群にはSCP-2366で作られた木製のバッジが与えられた。
観察: 実験群は、対象群より平均して15倍の速さで成功裏に職務を完了させた。記録の言語学的な分析は、実験群が包括的な言語を使用し、問題解決のために幅広い提案を奨励していた可能性が ― 以前に面識の無かったDクラス職員らが集ったグループでも ― 統計的に高いことを示唆している。
注記: この実験は幾つかのバリエーションが実行され、それらにおいて実験対象者の全員ないし一部は、職務を終えることによって齎される報酬のことを通知されなかった。この実験の結果、SCP-2366の影響強度はグループが有する共通の動機や目標に依存していることと、SCP-2366は本来存在しない協調性を促進するというより、目標に対する協力の度合いを増大させているということが示されている。
実験# SCP-2366-32
日付: 2015年9月22日
手順: より複雑な共同作業におけるSCP-2366の効果を探るため、研究者たちはDクラス職員のチーム間で行われたバスケットボールの2試合を撮影した。第1試合は対象群として、両チームともにごく普通の木材で作られたバッジを着用。第2試合では、片方のチームがSCP-2366製のバッジを与えられた。2試合の映像は比較のため分析にかけられた。
観察: 戦術、チームワーク、コミュニケーションが第2試合で有意に向上しているのが明白であった。しかしながら、これはSCP-2366を着用したチームだけでなく、両チームにおいて示されていた。これは、SCP-2366は複雑かつ流動的な職務のパフォーマンスに影響を与えることができる一方で、対抗する相手が近距離で活動している場合、SCP-2366の効果領域が時として競争を不利にすることを示唆している。
実験# SCP-2366-35
日付: 2015年10月6日
手順: この実験は、予め定められた共同目標を持たずにSCP-2366へ長期曝露した場合の影響をテストするために計画された。Dクラス職員10名のグループがSCP-2366製バッジを与えられ、サイト-73の寮に集められた。グループに指示や職務は与えられなかった。
注記: 実験中止。一見して何の活動も見られない48時間が過ぎた後、Dクラス職員たちは、寮の警備員を無力化して自動化された監視を逃れるための一連の協調行動から成る脱走の試みを実行に移した。警告を受けたサイト-73の保安職員がクラス-D棟に派遣され、4時間かけて全てのDクラス職員を再捕縛した。保安職員らはこの事案への反応において優れたパフォーマンスとチームワークを示したことにより表彰された。
回収: SCP-2366は、キリスト教メノー派の信者たちによって納屋の棟上げが非常に協調的かつ急速に行われる様子を撮影したバイラルCMを財団が調査した後に発見されました。財団エージェントが秘密裏にペンシルベニア州███████████にあるオールド・オーダー・メノナイトのコミュニティを訪れ、地元の農場が不自然なまでに効率的に操業されている様子を観察しました。
エージェントは、このコミュニティが納屋だけでなく、様々な家庭用品さえも、ある特定の木材を使用して作っていることを知りました。これらの木材で構築されたアイテムは、コミュニティが行う定期的な取引の一部を形成していました。木材は地元にあるシラカンバの林(後にエリア2366と指定)に由来するものと特定され、エリア2366の植物学的分析はシラカンバの特異な一種が当地に生育していることを示唆するものでした。
SCP-2366の樹木を特定する最初の試みは、複雑かつ組織的な狩猟テクニックを示すコヨーテの群れに財団エージェントが度々攻撃されたことによって妨害されました。地元のメノー派コミュニティはこのような攻撃が起こりうる危険性を認識しており、コヨーテの攻撃を避ける/撃退するためのエリア2366における協調行動戦略に関する知識を覆面エージェントと共有しました。これらの戦略は有効であることが証明され、SCP-2366実例がエリア2366から取り除かれるとコヨーテの非定型的な振舞いは収まりました。
SCP-2366の生きている実例が伐採のためにタグ付けされた後、財団はメノー派コミュニティによってSCP-2366から作成された全てのアイテムを特定しようと試みました。これらのアイテムは、売却または物々交換によって観光客や訪問者に譲渡された既製品およびオーダーメイドの品々も(可能な限り)追跡後に回収され、所有者には必要に応じて記憶処理が施されました。初期の現地収容プロトコルがその後確立され、全てのSCP-2366木材サンプルはサイト-73へ収容および実験のために移送されました。
補遺1 - SCP-2366の既知のアイテム一覧
アイテム分類 |
説明 |
注記 |
2366-A |
加工済および未加工のシラカンバ材(枝と根を含む)、4,000kg。 |
保管拠点73-Eに格納。 |
2366-B |
各種の木製建具、家具、玩具 ― およそ400点。 |
保管拠点73-Eに格納。 |
2366-C |
乾燥したシラカンバの樹皮 ― 約100kg。 |
保管拠点73-Eに格納。表記用素材としての実験が考慮中。 |
2366-D |
茶、自家製アスピリン、その他シラカンバの樹皮を素材とする伝統的な薬剤。 |
保管拠点73-Eに格納。メノー派コミュニティにおける流通状況が引き続き調査中。 |
2366-E |
実験のために作成された、木製パズルピースとバッジ。 |
保管拠点73-Eに格納。 |
2366-F |
長さ40cmの硬いシラカンバ材で出来た指揮棒。"tous ensemble au Golgotha (共にゴルゴタへ至る)"という彫り込みあり。 |
当該アイテムの作成を依頼した人物または団体のアイデンティティ、並びにSCP-012との関連性が調査中である。 |
補遺2 - 人類学的研究
財団の人類学者は、地元のアメリカ先住民によるSCP-2366の伝統的利用を調査する努力を行いました。これらの努力はヨーロッパ人の居住以来長い年月が経ったことによって妨げられたものの、オクラホマ州に居住する一部ショーニー族の末裔の口伝に、以下のような物語の断片が見出されました。
我々の民は神聖な山のふもとに到着した。我々は薪として各々腕一杯に白樺の樹皮を集め、大きな焚火を作る。焚火の煙はあらゆる方角へと広がり、他の全ての部族はそれを見て仲間に加わる。そこに闘争や対抗は無い ― 全ての民が偉大なる宴のために集うのだ。我々は皆、Mishe Moneto[至高の存在]のために共に踊り、唄っているのだ。
この物語が歴史的な出来事の伝説として語られることを意図しているのか、未来の出来事を予言しているのかは定かでありません。
Update:
アイテム2366-Fは保管拠点73-Eから盗難されました。現在の所在は不明です。
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