SCP-2384-JP
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アイテム番号: SCP-2384-JP l2.png オブジェクトクラス: Safe
Level 2 Clearance 脅威レベル:


特別収容プロトコル

SCP-2384-JPは月面を模した観測基地-2384で覆いその存在を秘匿します。SCP-2384-JPの状況は月面上のサイト-81LN及び地球上のサイト-81GAに送信され、あらゆる変化は記録されます。SCP-2384-JPの破片サンプルは15日ごとに採取され、サイト-81LNで検査・保管されます。

説明

SCP-2384-JPは月面と融合している人型の構造体です。SCP-2384-JPの成分は大部分が角礫岩で構成されていますが、部分的に人体組織が含まれており、収容初期は僅かながら血液も存在していました。採取された血液のDNAは宇津木うつぎ塑羅そら氏のものと一致しています。

SCP-2384-JPは徐々に月面と同化しており、成分における人体組織の割合は減少している他、形状は人型から山型へと変化しています。これまでの変化から、2028/██/██には完全に成分が角礫岩に置換されると予測されています。

発見経緯

2024/2/19以来、塑羅氏は消息不明となっており、警察による捜索が行われていましたが有意な情報の獲得には至らずにいました。

2024/3/15、塑羅氏が在籍していた████高等学校1年6組の教室で、SCP-2384-JPの写真及びその位置を示したイラストの描かれた紙が発見され、財団が調査を行った結果SCP-2384-JPが発見されました。写真の裏には「私はここにいます 地球からは見えないだろうけど もし良かったら月を見て思い出してね」と塑羅氏の筆跡で記されていました。
同日、塑羅氏の自宅に1万円札が3枚封入された茶封筒と、「最期のお願い叶えマス 宇津木塑羅回 簡易編集版」と書かれたDVDが出現しているのが発見されました。

以下は茶封筒に記されていた文章です。

宇津木広継様、睦美様1。この度、私どもの番組「最期のお願い叶えマス」に塑羅様に出演して頂きました。こちらは、その出演料です。どうぞお受け取りください。
横に置いてありますDVDの内容は、私どもが撮影したものであり、塑羅様のビデオレターも兼ねております。塑羅様の現状につきましても、そちらをご覧下さい。
本日は誠にありがとうございました。

白騒放送

映像記録

以下は塑羅氏の自宅から発見されたDVDに記録されていた映像の転写です。

シーン1


[シーン1開始]

図書館のように見える部屋が映っている。2秒後、その部屋を背景に「最期のお願い叶えマス」といタタイトルが表示され、消える。

???: 皆さん、本日は良くいらっしゃいました。

外見上は40代程度のモンゴロイド男性に見える人物が画面右側から歩いて登場する。画面下部に「益上ますがみ斎輪さいりん」というキャプションが表示される。

益上: さて、今週もまた「最期のお願い叶えマス」のお時間がやって参りました。

益上が本棚に沿って手を滑らせる。

益上: 皆さんは、目立ちたい、とは思いますか?「はい」という方も「いいえ」という方もいらっしゃることでしょう。皆んなの中心となる人もいれば、この方が楽だと言って独りでいる人もいます。しかしいずれにせよ、独りの方が楽だと言う人でさえ、心のどこかでは必ず誰かの存在を求めているものなのだと私は考えております。

ある本に触れたところで手を止め、その本を取り出す。

益上: さて、今回はそんな「目立ちたい」と「目立ちたくない」、そんな言葉に振り回されたある少女の話をします。

益上が本を開く。中には塑羅氏の写真が貼り付けられ、「宇津木塑羅」と書かれている。

益上: 彼女は最期に、何を願うのでしょうか。

[シーン1終了]

シーン2


[シーン2開始]

塑羅氏の自宅と、その手前に立つ外見上は30代程度のモンゴロイド男性に見える人物が映っている。画面下部に「梁取やなとり邑我ゆうが」というキャプションが表示される。

梁取: はい、こちら梁取です。さて、こちらが宇津木塑羅さんの自宅ですね。早速、お邪魔していきましょう。

梁取がインターホンを押す。

塑羅氏: [インターホン越しに]はい?

梁取: あどうもすみません、こちら、「最期のお願い叶えマス」の梁取という者ですが。

塑羅氏: ああ!待ってください、今鍵開けます。

数秒後、玄関扉が開き、塑羅氏が顔を出す。

塑羅氏: こんにちは。

画面下部に「宇津木うつぎ塑羅そらさん」というキャプションが表示される。

梁取: どうも。

塑羅氏: ささ、上がってください。

塑羅氏が扉をより開き、体全体を見せる。

梁取: はい……それは?

梁取が塑羅氏の腕を指差す。塑羅氏の腕には直接黒色の糸で兎が縫われている。

塑羅氏: これは、後で話します。普段は隠しているのですが、今日はどうせ見せることになるので。

梁取: そう……ですか。ではとりあえず、失礼しまーす。

場面が変わり、塑羅氏の自室に移動している。室内のカレンダーや時計から、撮影は2024/2/4、9:30頃行われたと考えられる2

梁取: さて、早速ですが、あなたが依頼なさった経緯を教えてください。

塑羅氏: はい。……まず、これを見てください。

塑羅氏が前髪をかき上げる。額には小型の肥厚性瘢痕が存在している。

梁取: これは……。

塑羅氏: はい。瘢痕ってやつです。これが無かったら、私の人生は全く違うものになっていました。

梁取: 話してください。

塑羅氏: 分かりました。[5秒沈黙]えー、私がまだ5歳だった時です。ある日、家の階段を降りようとしたら、転んじゃったんですよ。それでその時、運悪く階段の角っこに頭ぶつけてしまって。結構痛そうなことになってたそうです。

梁取: あー。

塑羅氏: 応急処置をしてから一応病院も行って、特に問題は起きてないから直に治るだろう、って思ってたんですが。傷は閉じたんですけど、どういう訳か一向に痕が治らないんですよ。それでもほっとけば治るかなーなんて思いながら過ごしてたんですけど、小2になっても何の変化もないので諦めました。

梁取: そちらから何かして治療しようとは?

塑羅氏: 一応、軟膏とか塗ったりはしてましたが効果はありませんでした。病院ならもっとちゃんとした治療受けれたとは思いますが、やたらお金かかりますし、それにそこまでお金かけるほど目立つものでもないので。

梁取: なるほど。

塑羅氏: 続きいいですか?

梁取: どうぞ。

塑羅氏: 小3の頃です。私は、いじめ、とまではいかなくとも軽い嫌がらせやからかいを受けるようになりました。しつこく付きまとわれたり、勝手に椅子に座られてどいてもらえなかったり、後はこの痕が汚いって言われることもありました。今思えば全然大したことではなかったのですが、当時はメンタルが弱過ぎて無闇矢鱈と大きなリアクションを取って嫌がったりしていました。……要は明らかに嫌がらせを受けるべくして受けたって事です。

梁取: ……こう言うのが正しいかは分かりませんが、辛かった、でしょうね。

塑羅氏: ありがとうございます。[小さく笑う]それで、やがて自分に非があることに気付いた私は、出来るだけ目立たないようにすることにしました。いつどこで下手な事をして嫌がらせを受けるか分からないなら、いっそ人との繋がりを断ってしまった方がいいと判断したのです。

梁取: ふむ。

塑羅氏: その結果、確かに嫌がらせを受けることは無くなりました。が……自分で独りになった癖に、今度は独りでいるのが寂しくなってきました。中学校に上がると、それはより深刻になりました。中学ともなると、よりはっきりとグループが分かれるようになり、私は孤立を深めました。独りの方が気を遣わなくて楽だ、とか考えて自分の状況を正当化しようとしたりしてみましたが、それでも寂しいものは寂しいです。かと言って友達を作ろうにも、ずっと独りでいた私には他人との接し方が分かりませんでした。要は八方塞がりでした。

梁取: 大変でしたね。

塑羅氏: でも、中2になった時です。とある女の子──小学校も1年のクラスも別の子──が、私のこの瘢痕を見て、痛そうだけど大丈夫、って声をかけてくれたんです。この見た目なので、最近出来たものだと思ったんでしょう。私は……たどたどしくはありましたが、それでも、久しぶりに誰かとまともに話せた気がしました。あの子は一々こっちの言葉に頷いてくれたりして……それで私は、これだ、って思いました。自分が傷付けば誰かが心配してくれる、って。

梁取: あっ。そして……。

塑羅氏: はい。その通りです。一応あれより前から傷付けば心配してもらえるのかな、とは考えていましたが、あの件で確信しました。そして私は、カッターで顔を少し傷付けてみたり、手首を切ってみたりしました。因みにその時の私はそれをリストカットと言うなんて知りませんでした。周りの人には、塀に顔をぶつけて切ったとか、猫に引っ掻かれたとか説明してました。[一瞬視線が左を向く]最初のうちは何人かが心配してくれて、私は、嬉しいなんて言葉じゃ足りない程幸せに感じました。ですが……。

梁取: 何があったんですか?

塑羅氏: 流石に何度もやると気付かれました。そして、皆んな少しずつ私を避けるようになりました。自分に人が近付くようにやったのに、却って人が離れてしまいました。……普通の人なら、そんなのやらなくても分かるだろ、と思うと思いますが、私は平常ではなかったんです。逆に親にはかなり心配されるようになりました。学校で何かあったの、とか聞かれました。……間違いなくいい両親だったのでしょう。でも、私は親からの心配は求めていませんでした。だから、自然と無視するようになりました。自分で自分の首を絞め続けているとも気付かずに。はは……馬鹿ですよね。

梁取: そんな事……大丈夫です。ゆっくりとでいいので、お話しください。

塑羅氏: ありがとうございます。[咳払い]それで、学校にも家にも居場所が無くなった私は、ただぼけっと夜空を見るようになりました。[一瞬視線が左を向く]どこまでも真っ黒で、その中にちらちら光るものがあって。何もかも忘れてそこに吸い込まれていくようでした。幸いにもこの辺の地域は街灯も少なく、割と田舎なので星なんかが良く見えました。そうしていく内に、私はその中でも月に惹かれていきました。

梁取: 月……ですか?

塑羅氏: 月って、言い方はアレですが、ボコボコしてるじゃないですか。

梁取: ええ、まあ。クレーターとかの事ですね。

塑羅氏: でも、梁取さんはそれを見て汚い、と思ったことはありませんよね?

梁取: そうですね。むしろそれが綺麗と言うか、月の代名詞みたいになってますし。

塑羅氏: ですよね?それに昔から人はそれを見て兎とか、蟹とか鰐とか想像してきたんです。

塑羅氏の口調が徐々に強く、速くなってくる。数秒顔が左を向き、正面を向き直す。

塑羅氏: 月は、傷があるからこそ、色が1色ではないからこそ、魅力的なんです。世界中誰もに愛されてきたんです。だから私は、月に憧れました。月に行きたい、とかではなくて、月になりたい、と思うようになりました。でも現実にはそんなの無理です。だから私は少しでも月に近付けるように……こうしたんです。

塑羅氏が腕の縫われた兎に手を当てる。

梁取: ……なるほど、そういう経緯だったんですか。

塑羅氏: 勿論、こんな事をしても月という存在に近付ける訳が無いなんてことは分かってます。でも、それでもこれをやっている間、幸せだったんです。……ええ、確かにとても痛かったですが。ただ外側から切るのと違って、こっちは中からも出さないと駄目なので……あ、こういう痛々しい話はあんましない方がいいですかね。

梁取: 大丈夫ですよ。慣れてるので。

塑羅氏: まあ、この番組なら同じような依頼者の方もいますよね。[笑う]そうやって過ごして、やがて高校に上がりました。今度の傷は自己満足なので人には隠しましたが。あと、私の高校には同じ中学の人は少ししかいなかったので、また新たに交友関係を築くことが出来ました。[沈黙]

梁取: どう……しました?

塑羅氏: 普通だったら友達が出来て、それでハッピーエンド、で良かったんですけどね。でも私は、表面上は良くなっても、内側ではもう戻れなくなっていました。

梁取: 戻れなくなった、と言うと?

塑羅氏: 私の望むのが、人並みに目立って友達を作ることから、月になることにすげ替わってしまっていたんです。初めに縫った時の喜びが強かったからなのか、は分かりません。しかしとにかく、私はあの美しい月に少しでも近付きたいと思いました。高校に入っても自分を縫い続けました。[視線が一瞬左を向く]刺して引っ張って引き出して、じわじわと浮かぶ血を押さえながら、自分に新たに1本1本線が出来る喜びを噛み締めて、縫って縫って縫いまくりました。……すいません、興奮してしまいました。あれを考えると、どうしてもこうなってしまって。

梁取: 心配は要りません。こんなデリケートな話、してくれるだけで大変ありがたいです。

塑羅氏: ありがとうございます。……縫うだけ縫った後は私は……笑われるかもしれませんが、地球を去りたいなんて思うようになりました。

梁取: 地球を?

塑羅氏: はい。[一瞬視線が左を向く]いくら模様を付けたところで、地球に居ては月にはなれません。だから、何とか地球から離れる方法を考えました。……そして、1つの結論に辿り着きました。

梁取: 自殺……ですか?

塑羅氏: その通りです。それが手っ取り早く地球を離れられる方法です。生きていても殆どの人は宇宙になんて行けませんし、えーっと、そういう人は元々才能があって、それでいてかなり努力したような人ばかりです。私には、とても無理です。

梁取: しかし、確かに生きていても月にはなれませんが、死んだところで月に近付けるとは限らないのでは?

塑羅氏: はい。そこなんです。それがどうしても引っかかって未だ自殺出来ずにいたのです。……というか、それを言い訳にして結局は死がどこかで怖かったのかもしれません。しかしそんな時、あなた達が現れたんです。確か、死ぬ時、又は死後に依頼者の願いを叶えてくれるんでしたよね?

梁取: その通りです。……ああ、何をお望みか大体分かりました。話は以上ですか?

塑羅氏: はい。

梁取: それでは、例の奴、行きます。

塑羅氏: 了解です。

梁取:[大袈裟な口調で]あなたの、最期のお願いはー!?

塑羅氏: [3秒沈黙]私を……私を月に近い存在にしてください。

梁取: その願い……[5秒沈黙]承りました!

[シーン2終了]

シーン3


[シーン3開始]

夜、不明な山中の開けた場所で梁取と塑羅氏が立っている。空は快晴である。

梁取: さあ、やって参りました。

塑羅氏: 来ちゃいましたね。

梁取: あなたはもうじき死んでしまうという訳ですが、今の気分はどうですか?

塑羅氏: 何ていうか……緊張しますね。

梁取: 怖くはないですか?

塑羅氏: まあ、多少は。自分で死にたい言っておいて何だよって話ですが。

梁取: 大丈夫です、それが普通ですよ。それに、私どもとしましても、痛くも苦しくもなく、いつの間にかスッと死ねるようにはしますので安心してください。

塑羅氏: そうです……か。

梁取: では、早速説明に入らさせて頂きます。とは言っても、あなたはただこれを飲めばいいだけですが。

梁取が灰色の錠剤を取り出す。

塑羅氏: 何ですか?それ。

梁取: これはちょっと特殊なルートから手に入れた錠剤で、早い話、飲むと体が石になります。

塑羅氏: ……石?

梁取: はい。飲んでから3時間くらいで、まず脳組織から石化が始まります。だから苦しくはなくすぐに死ねます。そして何年かかけて完全に体が石になります。それと今回は特別にちょうど月の石と同じになるようにして作って頂きました。

塑羅氏: 完全に理解出来てるかどうかは怪しいですが……ともあれ、それで月になる、ってことですか。

梁取: それから私たちであなたを月に転送し、月とくっ付けます。これで一応、月になるという目標は達成出来ます。

塑羅氏: 転送。

梁取: 企業秘密になっちゃうのでそれ以上は話せませんが。……あとこの方法はあなたが元々考えてたであろうものとは全然異なると思いますが宜しいですか?

塑羅氏: はい、月の一部になれるというだけで……[4秒沈黙]大丈夫です。はい。十分です。

梁取: 分かりました。では、お好きなタイミングでそれ[錠剤を指差す]をお飲みください。あとその前でも後でもいいので、何か誰かに言いたいことがあれば。

塑羅氏: はい。でも、その前に気持ちと言いたい事を整理させてください。まだ、実感が湧かなくて。

梁取: 構いませんよ。

[塑羅氏が地面に体育座りをし、膝に顔をうずめる。2分後、塑羅氏が立ち上がる。]

梁取: もう宜しいということですか?

塑羅氏: 飲む前に、言いたいこと言わせてください。

梁取: 分かりました。

塑羅氏: [唾を飲む]まず、小中のクラスメイトの皆んな、色々あったけど、ありがとう。私の事はあんまり覚えてないかもしれないけど、それでも確かに大切な時間であったことには変わりません。あと……。

以降、塑羅氏の声が震え始める。

塑羅氏: 傷とか見せて、嫌な思いさせちゃってごめんね。

塑羅氏が胸に手を当て、深呼吸する。一瞬斜め右を向き、頷く。

塑羅氏: 次に、高校の皆んな。今まで、仲良くしてくれてありがとう。私がこんな人間だったなんて知らなかったと思います。どう思ってくれても構わないけど、少なくとも私は、一緒にいれて楽しかったです。皆さんの幸せを、祈ります。

塑羅氏の目から涙が流れる。塑羅氏は涙を拭き、辛うじて笑顔を作る。塑羅氏の体が震える。

塑羅氏: 最後に、[息を吸う]お母さん、お父さん。散々心配かけちゃってごめんね。それを無視しちゃってごめんね。先に逝っちゃってごめんね。でも。

塑羅氏は笑いながら涙を流す。

塑羅氏: 二人は、最高の両親で、最高の家族です。月になっても、死んでも絶対に忘れないから。……もう、これ以上話してると耐えられないから。こんな言葉じゃ絶対足りないけど、でも、本当に、本当に。

塑羅氏が錠剤を飲み込む。

塑羅氏: ありがとう。

[シーン3終了]

シーン4


[シーン4開始]

シーン1と同一の部屋で益上がシーン1で取った本を持って立っている。益上はその本を本棚に戻す。

益上: さて、皆さん、いかがでしたでしょうか。目立つことを避け、しかし存在を認識して貰いたくて動いた彼女は、最期に月という存在になることを願いました。今回の場合は、彼女は一応は望み通りの最期を遂げることが出来ましたが、とはいえ当初の、本来の望みからズレてしまった事実は否めません。結局は、確かに多少は必要ですが、それでも余り他人の目を気にし過ぎるのは体に毒というものでしょうか。

益上が本のページを捲る。

益上: しかし、勿論彼女の最期を否定する訳ではありません。最期を選ぶ権利は誰にでもあります。これもまた、良い終わりなのではないでしょうか。

益上の本の内容が映る。本にはSCP-2384-JPの画像が掲載されている。

益上: 今、確かに彼女は月にいます……もとい、月と一つになっています。月全体からすれば、彼女は余りにも小さく、地球から見ることは不可能です。しかし、ここに写っている通り、間違いなく彼女は月の一部分として存在しています。まだ石化は進んでいないので色は周りと違い、目立っています。……この言い方が良いのかは分かりませんが、奇しくもあの瘢痕と似ているところがあります。しかしこちらは、やがて変色し、月と完全に一体化することになります。そしてその時こそ。

益上が本を閉じる。

益上: 真に彼女が月の凸凹の一つとなり、全人類に愛されるのではないでしょうか。




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