SCP-2388-JP
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SCP-2388-JP。

特別収容プロトコル: SCP-2388-JPはサイト-81AMの専用収容室に、非密閉性の耐衝撃容器に収められた状態で安置されます。収容室内の室温は15~25℃を保つように調整し、季節の変化などによる気温変動の影響が最小限となるようにして下さい。SCP-2388-JPはその総数が400個を保つように点検され、新たに回収された場合適切に処分が行われます。

SCP-2388-JP-Aの発見・拘束・収容の試みは継続されます。

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SCP-2388-JP内部化合物。

説明: SCP-2388-JPは生物学的な代謝・反応・生殖を行わない他、既知の多細胞有機生命体の諸要素がその組成から明らかに欠落しているにもかかわらず、その挙動が生物的様態を示す4001の個体です。SCP-2388-JPを構成する主要素は石油に由来すると推測される粘性の未知の液状合成化合物であり、当該化合物は外気と作用することにより硬化・粘質化する性質を保有しています。この性質により、SCP-2388-JPは非常に薄く脆い外殻を形成しています。

SCP-2388-JPは、全長約32cm程度の蛹化した鱗翅目に類似する形状をとった状態で個体としての形態的ホメオスタシスを完結させていると考えられており、自発的にSCP-2388-JPが移動する、もしくは何らかの形状に変化した例は確認されていません。SCP-2388-JP外殻が実際の完全変態昆虫における蛹と同等の役割を果たしているかどうかは、この性質により不明となっています。

SCP-2388-JPの唯一の運動性は、内部化合物を微弱に蠕動させる活動からのみ見出されます。この活動は、不明な原理によってSCP-2388-JPが周囲の熱エネルギーを僅かに吸収することで発生させる内部化合物の濃度勾配に沿うものと推測されており、この蠕動は外殻に生じた破損から内部化合物を滲出・硬化させることでSCP-2388-JPの形態を維持することにのみ注力されています。

先述の通りSCP-2388-JPの外殻は非常に脆く、落下や加圧などによって容易に破壊可能です。外殻の破壊により蛹を模した姿の維持に失敗したSCP-2388-JPは、多くの場合流体力学的法則に逆らうことなく飛散し活動を停止します。また、周囲からの吸熱を阻害した場合もSCP-2388-JPの自重により外殻が崩壊し、元の内部化合物30%以上が流出した時点で活動が停止します。

活動の停止したSCP-2388-JP内部化合物と通常のSCP-2388-JPとの間には前述の運動性を除きあらゆる差異が存在しません。現在までに行われたSCP-2388-JP内部化合物を硬化させることで意図的にSCP-2388-JPの形態を模倣する試みは、全て運動性を持たないSCP-2388-JP内部化合物の集合を形成するのみの結果に終わっています。


SCP-2388-JP-Aは、財団サイト-81AM各所へSCP-2388-JPを設置してその場を去る詳細不明の人型実体です。SCP-2388-JP-Aのこの行動はサイト-81AM保安職員により発電棟内からSCP-2388-JPが初めて発見されてから断続的に継続されていると考えられており、平均して2~3個のSCP-2388-JPを放置していく傾向にあります。

限定的な観測結果から、財団はSCP-2388-JP-Aをアイデンティティを分析できないグレーのスーツ姿の中年男性として定義しています。SCP-2388-JP-Aは軽微な自己隠匿的性質を保有していると推測される実体であり、サイト-81AMの職員・監視カメラ・あらゆる検知機器は恐らく機会/能力の不足によりSCP-2388-JP-Aの進入及び退出の瞬間を捕捉しておらず、その身柄を確保することに成功していません。

特筆すべき事項として、SCP-2388-JP-AがSCP-2388-JPを放置していく際、その近傍にメモ書きを残していく事例が不定期に確認されています。このメモは1980年代に一般的に流通していたノートとシャーピーによって構成されており、異常性は確認されていません。以下は、最初に発見されたメモ書きの転写です。

親愛ならざる財団の各位へ、

この手紙を快く受け取ってくれるよう願う。まず、私に悪意は存在しない……すなわち、毒や異常ミィム、邪悪な呪文、コグハズなどの一切はこの文書に含まれていない(この表明は君達の手間を省くためでもあるが、どうせ隈無く検査を行うのだろうね)。そして、この手紙の横に置いたラグビーボールほどの物体も、あらゆる方法において君達を脅かすものではない。

これらは蛹だ。孵化し何になるかは分からない、だが「何かになれ」と叫んでいる。そのように思えた。問題は蛹が余りに脆いために、世界のあらゆる悪意、あるいは悪意すら無き力が、至極容易に彼らを破壊しうることだ。そして私には彼らを庇護するための力も、時間も不足している。

私は、蛹を君達に任せるのが最良であると判断した。彼らに対し、今暫くの保護を頼みたい。

何者でもない者


補遺1: SCP-2388-JPの収容後、SCP-2388-JPが生物であるかどうかの議論が交わされました。以下は、この議論を受けて実施された科学部門超常昆虫課による提言です。

私はSCP-2388-JPを生物というカテゴリへと分類することに異議を唱えます。確かに我々は昆虫のように振る舞う物体や物体のように振る舞う昆虫を扱ってきました。しかし、あれはタンパク質や細胞など一般的な生物を構成する物質を組成に含んでおらず、また生殖や自己複製に類する振る舞いをするわけでもありません。熱を吸収して僅かに動く。SCP-2388-JPがそれだけの化合物であることは既に解明されています。

つまるところ、あれを生物として認める要因は形しか無いのです。そしてその形は蛹だ。蛹というのは本質的には鋳型です。昆虫は中の液状化した肉体を成型するために脱皮殻を利用するのであって、本来であるなら蛹を蛹のまま維持するための機構など必要ない。あれを生物として見なすなら、その在り方は極めて歪だ。

やはりSCP-2388-JPは生物では無い。それが私の出した結論です。

ーー秋津洲 蜜蜂博士

この提言により、SCP-2388-JPの収容プロトコルは現在の「規定個体数のみを収容し、新たに発見された個体は破壊・焼却などによって処分する」方針が策定され、現在まで維持されています。

補遺2: 20██/05/09、SCP-2388-JP収容室内から、SCP-2388-JP-Aによるものと同様のメモ書きがSCP-2388-JPを伴わない形で初めて発見されました。以下はその転写です。

やあ。変わらず蛹を預かってくれているようだね。

あれらは蛹の形を維持するという目的に力のすべてを注いでいる。だが通常、蛹は昆虫にとって成長するための手段でしかない。目的と手段が溶け合って一つになってしまっているが故に、その挙動は本質的に矛盾している。だからあれらは生物ではないのだ  と切り捨てることは簡単だろう。

だが一つ疑問が残る。生物でないとするなら、なぜ砕けた蛹は元に戻らないのか。恐らく君達も試しただろうが、零れ出た中身を蛹の形に戻しても、二度と動こうとはしないのだ。あの蛹は本質的に生きてはいない。だがあれらには明確な生死がある。それは何故か?

私はこう考える。あの蛹は何者でもないが、"何者でもない"ではあるのではないか?

幾ら待ったとしてもあの蛹が孵化するとは思っていない。それがあの蛹の本質であり、定まった運命だからだ。だが私は、運命を甘んじて受け入れるつもりは無い。君達が蛹をどう扱っているかは知っているが、それでも、この蛹を君達に任せるのが最良であるという私の意見は変わっていない。与えられた時間の全ては、不可能に抗い立ち上がるためにある。君達だってそうだろう?

改めて、あらゆる敬意をこめて。

この事例に起因する財団の収容活動の変更点は存在しません。SCP-2388-JPの収容プロトコルは現在のまま維持されています。

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