
SCP-2398。
アイテム番号: SCP-2398
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2398はサイト-81の標準的な高セキュリティ収容ロッカーに収容されます。SCP-2398の実験クリアランスを求める職員は、適切な書類をサイト-81研究業務課主任のオフィスに提出しなければいけません。
SCP-2398の実験を行う職員は、他の財団職員に向かってSCP-2398を振り回すことが禁止されます。
更新版収容プロトコル: SCP-2398の実験は現在制限されています。
説明: SCP-2398は簡素な木製の野球バットです。長さおよそ110cmで、トネリコ材から作られており、グリップにはテープが巻かれています。SCP-2398には握りのすぐ上に焼き印で押された“K.O.”という文句以外の特筆すべきマークがありません。
SCP-2398は未使用時には全く異常性質を示しません。しかしながら、約20m/s以上の速度で振り回す時、そのスイングの終了時にSCP-2398と接触した全ての生物は激しく自爆します。このメカニズムは現在不明です。
発見: SCP-2398は、トロント・ブルージェイズ所属の野球選手カール・トーマスと若い男女のグループの間で起きた格闘の後、トロント市の地方自治体に潜入していた財団職員から発見されました。近くのナイトクラブを離れて車に向かうトーマス氏を見た男性1名が彼に対して強盗を試み、他の男性3名と女性2名が速やかにこれに加勢しました。トーマス氏は車の後部座席からSCP-2398を取り出して、女性の一人に向けて振り回し、彼女の身体を爆破しました。攻撃者たちは直ちに散り、通行人が警察に通報しました。
補遺2398.1: インタビュー
[記録開始]
タウンズ博士: さて、マルコ巡査とは既に話したようですね。我々はただ、記録のために、今夜何が起こったのかを知りたいだけなのです。
トーマス氏: おい、何が起きたか分からないってもう言っただろ。あの女の子はきっとバッグか何処かに爆弾を隠してたんだよ。俺は奴らと戦おうとしてた、そしたらあいつが俺の方に来るからそっちに向かってスイングした。次に覚えてるのはなんか風船の割れるような音がしたことで、あの女は… そこら中に散らばってた。なぁ、ああいう手合いのことは前に聞いてる。ほらアレ、こう… 自爆テロ。マジでイカレてるねアレは。
タウンズ博士: トーマスさん、今夜お持ちだったバットを何処で入手しました?
トーマス氏: バット? (沈黙) 何のことを言ってるのか分からないな。
タウンズ博士: 我々の知るべき事を話したほうが貴方にとってはずっと良いだろう、というのは確実に言えます。
トーマス氏: ちょっと待て、弁護士と話したい。弁護士が来ないうちは絶対に何も言わないからな。
タウンズ博士: 私は警官ではありませんし、弁護士は来ません。
トーマス氏: (居心地悪げな沈黙) なぁアンタ、俺は今回の件について何も知らないんだって。俺はただ… その、上には俺との契約を更新する気が無いって話を耳にしてたんだよ。だってホラ、俺の成績は負傷して以来ずっと振るわないままだ。時には汚い事にも手を染めなきゃならない。
タウンズ博士: で、バットですか?
トーマス氏: 友達の友達からな。俺は反則したかもしれないけど、身内を売る気はないぞ。
タウンズ博士: そのバットでどういう事ができます?
トーマス氏: アンタ見てなかったのか? ホームランが3本、打点は4点。俺のキャリアで最高の試合だった。打てばホームランになるのさ。アレはただそれだけのもんだよ。マジで良いバットだ。
タウンズ博士: 本当にただそれだけですか?
トーマス氏: (沈黙) ああ、畜生。どうもそうじゃなさそうだな、え?
補遺2398.2: 実験ログ
実験ID: 2398.01
実験パラメータ: SCP-2398は使用者によってメロンに向かってスイングされる。
実験結果: メロンは床に落ちて割れた。非異常性の対照試験との差異は無い。
注記: 特に変わった点は無い。果物は影響を受けていない。 -タウンズ博士
実験ID: 2398.02
実験パラメータ: SCP-2398は使用者によって試合規格の野球ボールに向かってスイングされる。
実験結果: 野球ボールは急勾配の弧を描きながら実験チャンバーの壁に向かって飛び、チャンバーの鋼壁に約15cmめり込んだ。
注記: バットはどうやら外部エントロピー的らしい。ボールがバットを離れた時の速さは、間違いなくバットを振った速度を上回っていた。興味深い。 -タウンズ博士
実験ID: 2398.03
実験パラメータ: SCP-2398は使用者によってビーチボールに向かってスイングされる。
実験結果: ビーチボールは実験チャンバーの向こうまで飛ばされた。非異常性の対照試験との差異は無い。
注記: これは非常に興味深い。どういう訳か、バットは野球ボールとその他のボールを区別できている。ソフトボールも同じように影響を受けないのだろうか。 -タウンズ博士
実験ID: 2398.04
実験パラメータ: SCP-2398は使用者によって試合規格のソフトボールに向かってスイングされる。
実験結果: ソフトボールは燃焼したが、爆発はしなかった。
注記: ふむ。 -タウンズ博士
実験ID: 2398.05
実験パラメータ: SCP-2398は使用者によって実験用のニワトリに向かってスイングされる。
実験結果: 実験用ニワトリは激しく爆発し、羽と内臓を実験チャンバー中に撒き散らした。使用者は嘴の破片が腕にめり込んだために負傷した。SCP-2398は影響を受けなかった。
注記: 留意すべき点として、我々が対照実験に用いたニワトリも非異常性のバットで殴られた際に死亡した。こちらはあまり劇的な死ではなかったものの、もっと有意義な実験を行うべきだったのではないか。 -タウンズ博士
実験ID: 2398.06
実験パラメータ: SCP-2398は使用者によって実験用のウシに向かってスイングされる。
実験結果: 実験用ウシは激しく爆発した。使用者は爆発の結果死亡。実験チャンバーは深刻な損傷を負った。
注記: 生物が大きいほど、爆発力はより激しくなる。良い知らせだが、我々の実験用ウシは通常のバットで殴った時は死ななかった。だから少なくとも顕著な違いを見ることはできたわけだな。 -タウンズ博士
実験ID: 2398.07
実験パラメータ: SCP-2398は機械によって実験用のブタに向かってスイングされる。
実験結果: スイング用ロボットアームリグの設定中、アームは予定より早く振り回され、タウンズ博士の腕を殴打して激しく爆発させた。スイング用ロボットアームリグは破壊された。この結果起きた爆発で、SCP-2398は弧を描きながら実験チャンバーを横切って実験用ブタに命中し、こちらも激しく爆発させた。さらにこの爆発で、SCP-2398は以前の実験で使用者を務めたDクラス職員2名に当たり、激しく爆発させた。実験チャンバーは計4回の爆発によって破壊された。SCP-2398は影響を受けておらず、後ほど収容下に戻された。
注記: 多分こいつの実験はしばらく中止になると思います。 -ライル博士