アイテム番号: SCP-2406-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2406-JPはサイト-8172の低危険度収容ロッカーに保管されます。実験には3名以上のセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。実験の対象には実験終了後、Aクラス記憶処理を施し、また実験で発生した内容物は、回収後指定された生物試料保管ユニットで管理及び保管して下さい。
サイト-8172内で財団職員の失踪が発生した場合、直近のSCP-2406-JP関連業務との関連性を調査し、関与が疑われる場合は調査を行って下さい。
追記(2024/2/5): 現在、SCP-2406-JPを用いた実験は無期限に凍結されています。
説明: SCP-2406-JPは、30cm×40cm×20cmの寸法の段ボール製の箱です。外観に一般的な段ボール箱との違いはありません。
不特定の人物(以下、対象)がSCP-2406-JPを開封すると、その内部に人体の一部(以下、内容物)が出現します。内容物は開封と同時に瞬間的に出現し、またSCP-2406-JPは開封する度に異なる内容物を生成することが確認されています。出現する内容物には人間の歯牙、毛髪、手指、耳介、及び臓器などが確認されています。これらの内容物のDNAは、開封時点で日本国内で行方不明となっている人物と一致する事が確認されています。
SCP-2406-JPは対象に認識災害を引き起こし、対象に内容物を"母親からの仕送り"であると直感的に認識させます。この認識災害は五感全てに影響を及ぼし、内容物がどのような形状や質感であった場合でも、対象は内容物を通常の生活用品と同様に使用します。他者から、内容物が人体の一部であるという指摘を受けた場合でもその認識を変化させる事は不可能であり、対象は内容物に対して感情的な安定感や依存を示す傾向があります。
内容物は対象の母親が既に死亡している、また母親が不明な場合でも出現することが確認されています。この場合においても、対象は内容物を"母親からの仕送り"であると認識することが確認されています。対象以外の他者から母親の死亡証明や記録などが提示された場合でも、対象は頑なに母親が生存しているという内容の主張を継続します。
実験記録2406-5 - 日付2023/6/12
対象: D-4821 (37歳男性・母親は存命中)
内容物: 手首部分で切断された左手・歯牙156本
備考: D-4821は左手を鯖の缶詰、歯を200g程度の雑穀米であると認識した。D-4821はプルタブの開封と同様の動作で爪を剥がそうとしたが、実行出来ず「このメーカーは缶が硬い」と苦笑した。また歯牙及び通常の米を炊飯器に入れ炊飯を行い「やっぱり実家の米は違う」と語った後に全て摂食した。
実験記録2406-17 - 日付2023/9/25
対象: D-0529(27歳女性・母親は故人)
内容物: 肺2個・約1.5mの大腸
備考: D-0529は肺を一対の手袋、大腸をマフラーであると認識した。D-0529は気管支部分から手を肺に挿入した後、大腸を首元に巻き、「今年の冬はこれで乗り切れそう」と発言した。
実験記録2406-29 - 日付2023/11/10
対象: D-8762(45歳男性・孤児院出身)
内容物: 心臓6個・腎臓4個
備考: D-8762は心臓を干し柿、腎臓をじゃがいもであると認識した。D-8762は心臓を手に取り、親指でその表面を押しながら「母さんの干し柿は、もうちょっと柔らかかったけどな」と発言した後に笑みを浮かべた。
実験記録2406-35 - 日付2023/12/23
対象: D-1134(46歳女性・母親は存命)
内容物: 爪の破片45枚・胸骨と接続した肋骨24本
備考: D-1134は爪をハーブティーの茶葉、肋骨をタペストリーであると認識した。D-1134は肋骨を丁寧に広げた後に「母さんは裁縫が上手い」と発言した。また爪を煎じ、抽出された液体を摂取した。
実験記録2406-46 - 日付2024/1/20
対象: D-3030(22歳男性・母親とは疎遠状態)
内容物: 毛髪の存在しない男性の頭部
備考: D-3030は頭部をサッカーボールであると認識した。D-3030はサッカーボールを小学校時代に使用していた物として認識しており、複数回リフティングを行った。
補遺1: 2024/2/5に行われた定期点検中、SCP-2406-JPの収容室内部にSCP-2406-JPとは別の段ボール箱(SCP-2406-JP-aと指定)が発見されました。SCP-2406-JP-aの寸法はSCP-2406-JPと同一(30cm×40cm×20cm)であり、箱の表面には送り状などの記載は無く、また財団職員による持ち込みの記録も存在しませんでした。Dクラス職員を用いて箱の開封が行われ、その結果、内部には以下の内容物が確認されました。
- 眼鏡(行方不明となっていた██研究員の所有物と一致)
- 腕時計(██研究員の所有物と一致)
- 研究ノート(SCP-2406-JPの調査記録が記されているが、約8割の文章が解読不能)
- 圧縮された人体組織(DNA鑑定の結果、██研究員と一致)
発見された██研究員はSCP-2406-JPの担当職員であり、2024/1/28の行われたオブジェクトの定期点検後に消息を絶ち、それ以降の所在が不明となっていました。点検後、監視カメラの映像には██研究員が収容室を退出する様子が記録されておらず、施設内での目撃情報も得られなかったため、財団内で捜索が行われていました。
SCP-2406-JP-a内部の人体組織は高い圧縮率で圧縮されており、通常の手段ではこの箱のサイズに収めることは不可能と推測されます。現在、この現象の原因探究のため研究ノートの内容の修復作業が進められています。また内部の底面には手書きのメモが貼り付けられており、筆跡は██研究員のものと一致しました。以下にその内容を示します。
「お母さんへ、仕送りを送ります。いつもありがとう。」
監視カメラの映像にはSCP-2406-JP-aが出現する様子が記録されておらず、██研究員が如何にして箱の内部に収められたのかは不明です。本事案の発生以降、SCP-2406-JPの実験は凍結され、現在さらなる調査が進行中です。
補遺2: 補遺-1の事例の発生から5日後、収容下にあったSCP-2406-JP-aの内容物が完全に消失しました。監視カメラに消失の瞬間は映っておらず、段ボール箱の内部が空になっている映像のみが記録されていました。SCP-2406-JP-a自体は収容室内に残存していましたが、内容物が存在していたという痕跡は検出不可能でした。内容物の"送り先"が存在する可能性を考慮し、その"送り先"や転送経路を特定する試みが現在進行中です。









