アイテム番号: SCP-2425
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2425は聖遺物サイト251にある10.5m×8.5m×5mの収容室に封じ込めされます。収容室内には演劇的なパフォーマンス、特にミュージカルのためのステージを1つ備え付けます。毎月第二金曜日のEST(東部標準時)16:00、宗教的テーマを持つミュージカルからの劇中歌のパフォーマンスが、音楽的素養のある財団研究者の有志一同によって行われます。
承認されたミュージカルのリストには以下が含まれます。
- ジーザス・クライスト・スーパースター(アンドリュー・ロイド・ウェバー、ティム・ライス)
- ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート(アンドリュー・ロイド・ウェバー、ティム・ライス)
- プリンス・オブ・エジプト(ドリームワークス・アニメーション。サイモン・ウェルズ、ブレンダ・チャップマン、スティーブ・ヒックナー監督)
- 屋根の上のバイオリン弾き(ジェリー・ボック、シェルダン・ハーニック)
- ブック・オブ・モルモン(トレイ・パーカー、マット・ストーン、ロバート・ロペス)
続く日曜日、財団指名の宗教的権威者によって以下のいずれかに関する説教が行われます:出エジプト記20章3-6節、レビ記、モルモン書の1節、トーラーの朗読、コーランの朗読、または可能であれば境界線イニシアチブのユニバーサルテキスト。
これに続いてSCP-1425のレプリカ1冊が、SCP-2425から2m以内で焼却されます。レプリカが使用できない場合は、ステファン・ブリストウが出演した映画のフィルムで代用可能です。
公的には、俳優ステファン・ブリストウは2010年1月4日にニューヨークの[編集済]ホテルで薬物の過剰摂取により死亡したというカバーストーリーを保ってください。ステファン・ブリストウが主演または出演している映画は、映画の最終カットからのわずか5フレームの削除によってミーム媒介2425-01が失われているという条件のもとで配布し続けて構いません。
説明: SCP-2425は、オランダ系アメリカ人俳優である第五教会信者ステファン・ブリストウに似せて作られたアンドロイドです。SCP-2425はダマスカス鋼に類似した鉄合金製の骨格を持っていますが、合金の平均資料よりも約15%以上多いナノチューブ構造がSCP-2425内には存在します。回収時、SCP-2425は解剖学的に正確なステファン・ブリストウの外見的近似物に覆われており、これはブリストウ氏と正確に一致するDNAを持つ人間の皮膚で作成されていました。
SCP-2425の主要な異常効果は、映像作品において出演している時、より具体的にはカメラに映っている際に発生するものでした2。55秒以上カメラに映っている場合、SCP-2425の目は画面上で光り輝きます。これに続き、ミーム媒介2425-01(以下MV2425-01と呼称)として知られる短いミーム的メッセージが画面上で点滅します。MV2425-01は通常、第五教会聖書の引用・第五教会の讃美歌や歌の歌詞・あるいはSCP-1425の初期の章からの1節という形式をとります。この効果はSCP-2425が出演している映画ごとに5回だけ発生し、1回わずか1フレームです。
ミーム媒介2425-01に対するレベル2の接種を受けていない人物がこれに曝露した場合は、ステファン・ブリストウの人生に対して興味を抱き、やがてブリストウ・彼の映画・それらに出演している他の俳優に関しての情報を集め始めます。これは最終的に、MV2425-01の影響を受けた人物を第五教会の情報へと導きます。ここから更に、MV2425-01に影響された人物の20-27%が第五教会に入信します。曝露後52時間以内の接種は、ステファン・ブリストウに関する事柄への興味を59%まで減少させることができます。
二次的な異常効果は、SCP-2425が起動状態にある場合に発動します。この状態においてはハリウッド地域に位置する様々なニュースメディアが、ステファン・ブリストウは生きており”影の政府機関”に監禁されているという内容の報道を行います。これは自身を封じ込めから解放する試みとしての、SCP-2425による放送送出であると考えられています。
SCP-2425は、SCP-2425-Aと指定された異常な動力源によって供給を受けています。SCP-2425-Aは固有の振動周波数によって供給・充電されるバッテリーの一種です。これらの周波数は(第五教会の提携グループである)バンド”星座ヒトデ(Constellation Starfish)”の歌を発声する際の人間の声によって生成されるものであり、歌う・鼻歌を口ずさむ・あるいは単純に歌詞を音読する行為も含まれます。作曲家が歌詞を思い浮かべながら”宇宙トラック野郎のオールド・チリー(Old Chilly the Space Trucker)”からの一言を吟唱した場合、SCP-2425に約5時間分の動力を生み出すのに十分であることが判明しました。
現在、SCP-2425の動力を停止する方法は見つかっていません。このため、財団の任務の秘匿性を脅威に晒すことからKeterクラス異常として分類されています。 実験ログを参照してください。
実験ログ2425-D: SCP-2425の動力を停止する財団の試みに関しての記録が以下になります。
実験#: 001
仮説: SCP-2425は、SCP-2425-Aを除去することによって無力化できる。
手順: Dクラス職員がSCP-2425-Aを手動で取り外す。
結果: SCP-2425-Aと接触すると、Dクラス職員D-2812は感電して即死した。
結論: 素手によるSCP-2425-Aの手動除去は不可能である。
実験#: 002
仮説: 実験#001参照。
手順: 実験#001参照。ただしDクラス職員は電気絶縁性の全身防護服を着用。
結果: 電荷はどういうわけか絶縁体を無視。しかし結果としての電気ショックは致命的ではなかった。Dクラス職員D-2813は月末の終了まで”頭の中に引っかかった歌”の事を訴え続けた。
結論: SCP-2425-Aの手動除去は不可能である。
実験#: 005
仮説: SCP-2425-Aは明らかに第五教会信徒の賛美歌からエネルギーを得ているという事実に基づき、エルドリッジ博士は他宗教の賛美歌でSCP-2425-Aを停止できると仮説を立てた。
手順: 財団研究者有志による小合唱団が、賛美歌”アメージング・グレイス”や”世の人忘るな”を歌うように指示された。
結果: SCP-2425-Aの電力レベルに変化なし。SCP-2425 が位置する地点から約15km離れた[編集済]の街でステファン・ブリストウが目撃されたという報道が、ハリウッドのNBCニュースの関連会社によって行われた。
実験#: 011
仮説: エルドリッジ博士はユダヤ教の賛美歌でSCP-2425-Aを停止できると仮説を立てた。
手順: 本来は、ヘブライ語に堪能な研究者有志が”Ma Nevu”を歌う予定であった。しかし、エルドリッジ博士の研究助手は手違いでミュージカル”屋根の上のバイオリン弾き”の劇中歌”人生に乾杯”のヘブライ語訳を持参していた。
結果: 歌が始まって約30秒で曲の間違いに気付き、エルドリッジ博士は実験を中止。実験は後日やり直しが予定された。
しかしながら、エルドリッジ博士は、この実験の後にSCP-2425の動きが緩慢になったことに着目した。
結論: 更なる実験が必要である。
実験#: 012
仮説: 宗教に関連する、明示的に宗教儀式や集会で用いられていない曲は、SCP-2425-Aの停止に有効と思われる。
手順: エルドリッジ博士は研究者有志の歌を3曲選択した。ミュージカル”ブック・オブ・モルモン”より”Hello”、ジョニー・キャッシュの”The Man Comes Around”、アーティストグループNewSongの”The Christmas Shoes”。
結果: 3曲の中では ”Hello”が最も効果的であり、”The Christmas Shoes”と”The Man Comes Around”はほとんど影響がなかった。”Hello”を歌い終えた際には、SCP-2425の動きは著しく妨げられたものとなっていた。この電力消費は”Hello”が他の2曲より大掛かりで、歌手の数が多かったためと仮定される。
結論: 宗教に関係するが、内容が明示的に宗教的ではない歌は、SCP-2425-Aに何らかの影響力を持っている。
エルドリッジ博士のメモ: あくまで記録のために述べておくが、”モルモン”の曲を歌う研究者たちを見るのは、ここしばらく彼らを見てきたなかでは最も幸せな体験であった。
実験#: 014
仮説: 実験#012参照。歌を歌うグループが大きいほど、より効果的に電力を消費させられるという補遺に基づく。
手順: ミュージカル”ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート”の劇中歌”ゴー・ゴー・ゴー・ヨセフ”が研究者有志によって演じられた。ブロードウェイの製作に基づき、効果的に演じるには少なくとも15人が必要であった。
結果: 曲の終了時、SCP-2425に前回の実験以上の電力消費は見られなかった。約50%の電力消費。
結論: 音楽による手法は有効的だが、SCP-2425-Aを完全に停止するには別の方法を見つける必要がある。
エルドリッジ博士の研究助手、メイベリー研究員のメモ: 実験が終わった時、みんな笑ってましたよ。何人かは踊りだしたぐらいです。思わず夢中になっちゃいました。もう一回できますかね、先生?
エルドリッジ博士のメモ: 検討中である。
実験#: 017
仮説: 第五教会に関連するオブジェクトの破壊は、更なる電力消費を齎すと思われる。
手順: 実験は却下された。第五教会関係のアイテムは貴重なアーティファクトと見なされている。
実験#: 018
仮説: 実験#017参照。
手順: SCP-1425実体の模型を作製した後、SCP-2425及び数人の研究者の前で焼却。
結果: 模型が本格的ではないにも拘らず、オブジェクトの破壊に伴いSCP-2425は完全に機能停止した。
結論: 補遺を参照。
補遺: ウイリアム・エルドリッジ博士の公式提案:
宛先: O5-9
件名: SCP-2425収容改訂
聖遺物サイト25は、恐らく財団で働く際に最もイラつく場所でしょう。ここに来る前、私は神学者でした、ええ、しかし同時に無神論者でもありました。 [編集済]のような物を見て、私は根幹から揺さぶられました。神は実在します。ありとあらゆる神々が実在します。そして彼らは、くしゃみ一つで黙示録を引き起こし、いつなんどきでも我々を殺しかねないのです。ここでブレイクスルーが起こることは稀です。私のチームからは、壁に何度も頭を叩きつけてみたところで得る物は一つもないという事へのフラストレーションから、2人が自殺しました。
我々が進歩しているという事をここに報告できて幸せです。効果的にSCP-2425、ならびに存在しうる同種の実体を無力化する方法が見つかりました。多くの人間によって行われるスピリチュアルな(あからさまに宗教的ではない)音楽と、第五教会に関連するアイテムの偽物を破壊する行為の組み合わせは、SCP-2425の完全な動力停止を齎しました。私がこれを書いている時点で、1週間の非活性化状態が続いています。
私のチームのメンバーが修正したSCP-2425の改訂済み収容手順を、このEメールに添付します。単純で、費用効果が高く、それでも実際に通用します。できる限り早い実装をお勧めいたします。
ウイリアム・エルドリッジ博士
危険物収容リエゾン 聖遺物サイト25
宛先: ウイリアム・エルドリッジ博士
件名: Re: SCP-2425収容改訂
承認。直ちにこれらの手順を実装してくれたまえ。よくやってくれた、エルドリッジ博士。
-O5-9